実はビタミンでした~

前回は、「カタカナ語の名前の区切りって面白いですね」というしょうもない話をしつつ、呼吸反応でATPと同じぐらいに重要な物質といえる、非常に長ったらしい名前の物質……ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドと、さらに名前だけ出していた兄弟分子的なフラビンアデニンジヌクレオチドというものに触れていました。

 

前者=NADと略記される方は「ニコチンアミド・アデニン・ジ・ヌクレオチド」という区切り方だったわけですが、後者=FADと略記されるこちらは、まぁ後半は同じですし考えるまでもないでしょう、「フラビン・アデニン・ジ・ヌクレオチド」というもので、こちらはズバリ、ニコチンアミドの部分がフラビンと呼ばれる構造に置き換わっただけの、とても似ているやつなのでした。

 

ウィッキー先生から画像をお借りすると、こんな感じですね(↓)。

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https://ja.wikipedia.org/wiki/フラビンアデニンジヌクレオチドより


果たしてこいつらは一体何なのか(どうやって働いているのか)という話ですが、まぁ詳しい話はあんまり面白くないし、そもそもそこまで有機化学的な、原子のどの部分が求核攻撃されて電子の移動がうんちゃらかんちゃらとかについてまでは僕も完璧に把握できていないわけですけど…


…とりあえず概略としては、例のもう何度もペタリと貼り付けさせていただいている、↓の呼吸反応概略図にもある通り……

 

https://https://ja.wikipedia.org/wiki/細胞呼吸より

…画像内にも矢印で変化の様子が示されていますけれども、最大の特徴として、NADやFADは、それぞれちょっと形の違うバージョンが存在している、なんてことが挙げられますね。


NADの場合は、「NAD+」と「NADH」、FADの場合は「FAD」と「FADH2」になるわけですけど、まぁ正直名前を見ればそのまんま明らかでしょう、要は水素Hがついているかついていないかの違いで、FADの記事から変換の様子の画像もお借りすると…

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/フラビンアデニンジヌクレオチドより

ま、水素イオン…というか電子も一緒に加わるので電荷はゼロであり、水素原子がくっついたと考えてもいいと思いますけど、単純に水素がくっついてる型とくっついていない型とで容易に変換が行われる分子になっている形です。

 

まぁ正直そんなのどうでもいいですが、酸素がくっつく反応を「酸化」というのと同じで、水素がくっつく反応を「還元」という……なんてことを、以前、金属についてあれこれ見ていた時(↓)にも触れていた感じでしたが…

 

con-cats.hatenablog.com

 

…本当にそれがどういう反応かなんて正直どうでもいいんですけど、要は水素がついたり離れたりするので、これは酸化還元反応になっているという感じですね。

 

呼吸反応の図、左側解糖系の真ん中で出てきた、GAPDHが執り行う反応ではNAD+がNADHになり、FADはまだ出てきていないものの、右側のぐるぐる回っている部分の右下に、FADがFADH2になっている様子が描かれている通り、呼吸の前半では、こいつらは還元される(水素がくっついているので)んですね。

 

で、画像ではめちゃくちゃ小さくて見づらいものの、右上にある呼吸第三のステップ「電子伝達系」では、こいつらがまた酸化型に戻る…つまり酸化されることで、実はその時にものすごい数のATPを合成できるようになっており、いわばNADやFADは呼吸反応の圧倒的主力に当たる部分で活躍しているやつらといえるわけですけど、まぁそれはまた反応を見進めていく中で簡単に触れていくとしましょう。

…あぁでも1つ、一応ポイントとしては、そこで「酸化」反応が起こるわけですから、当然そのステップで「酸素」が使われるわけで、我々が呼吸で酸素を吸うのは、実は「こいつらNADHやFADH2を参加するために必要だったから」なんてことが言える話になっているのでした!

 

なので、「呼吸では何で酸素を吸うの?」と聞かれた場合、「ATPを合成するため」という呼吸の主目的を答えるのでも間違いではないんですけれども、より正確にいえば、「NADやFADを酸化するため」と答えるのが、一番適切な説明になっているといえる感じといえそうですね(まぁ、結局はやっぱり、「それらを酸化して、ATPという高エネルギー物質を得るため」というのがより包括的な回答な気もしますが)。

 

とはいえ改めて、そんな細かい反応については本当にどうでもいい気もするのですが、ポイントとしてはそう、こないだもちょっと書いていましたが、NADというのは「補酵素」でもあるのです…なんて話をしていました。

 

補酵素」ってのは、酵素の働きを補うもので、それ自身は何か特別な機能を持つわけではない、いわば鍵のような低分子のことです…なんてことをこないだの記事でも書いていましたけれども…

…まぁ正直、NADは自分自身が酸化型・還元型に変換されますし、こないだ「あんま補酵素の印象はないっすねぇ」などと書いていた通り、正直これ自身は、補酵素というよりも酵素が働く対象(専門用語で、「基質」)にも思えていた気もするものの、実際GAPDHが触媒するのは「G3P→1,3-BPG」の反応といえますから(=「酵素GAPDHの基質は、G3P」ということ)、NADはあくまでこれが共存していたら酵素GAPDHが働くことのできる、鍵となる分子=補酵素と考えて問題ないわけですね。

 

また、兄弟分子であるFADも当然、補酵素の一種ではあるのですが、FADの「フラビン」部単独の物質である「リボフラビン」の記事(↓)にもある通り…

ja.wikipedia.org


…しばしば「補酵素」として分類されることもあるものの、より厳密にいえば…

実際には酵素に対して強固に結合している補欠分子族配合団)である

…とある通り、「常に酵素に結合している(くっついたり外れたりする補酵素とは違って)」という特徴から、こいつらは「補欠分子族」なんて分類されることもあるみたいですけど、もうそんなの正直、人間が勝手に分類した名前にすぎませんから、ハッキリいってどうでもいいと思います。

 

それよりも、補酵素の話でも実は書こうと思っていた話として、実はこのリボフラビンや、さらにいえばNADなんかも、実はビタミンの仲間だったのです。

 

最初のFADの画像、実はあれ、ずーっと前のサプリメントシリーズの記事だったか忘れましたが、ビタミンBの記事(↓)で貼ったことがあるものでした。

 

con-cats.hatenablog.com

 

当時の記事では、アイキャッチ画像としては使っていなかったので、今回アイキャッチとして格上げ利用させていただいた感じですが、ズバリ、「自分自身は(何かの反応を触媒するなど)特別な機能を持たないけれど、生体反応に密接に関わる低分子」すなわち補酵素というのは、実はそれがそのまんまビタミンの定義でもあるのです……と、まぁ「面白いですねぇ~」とそのうち大々的に話に出そうとずっと思っていたものの、見直してみたら↑の記事でも軽く触れたことがあったみたいですね(笑)。


そう、ズバリ、リボフラビンというのはビタミンB2のことで、リボフラビンにアデニンがくっついた誘導体がFADになるわけですが、一方、NADを誘導可能なナイアシンはビタミンB3と呼ばれる物質ですから、ビタミンB群に、呼吸で超絶重要な役割を果たすこいつらは仲良くセットで存在していたわけですね!

 

そんなわけで、コエンザイムQ10なんてのも補酵素の一種=ビタミンの一種と考えても間違いではない感じだったわけですが、「補酵素」なんて聞いても全くピンと来ないものの、「ビタミン」と聞けば、「重要そう!知ってる!!」と思えますし、実際ビタミンB2・B3というのは、呼吸に欠かせない(ちなみにNADやFADは、呼吸だけじゃなくその他様々な生体反応にも顔を出してきます)、ゲボクソ重要な分子なのです……という話でした。

 

それでは、脇役(まぁ主役級の分子ですけど)の紹介も終えたので、呼吸反応の続きを、次回以降サクッと簡単に見ていこうかなと思います。

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