温度計にも種類があるよ

唐突に脇道に逸れて始めていた湿度ネタも、前回の「体感気温(不快指数)ナンバーワンの記録」を見たぐらいで概ね語り終えていましたが、ちょっとネタを練る時間が中々ない日が続いていることもあり(まぁ練る時間があったところで、そない練られたネタにはなりませんけど(笑))、またまた適当な小ネタでお茶を濁させていただこうかと思います。

 

これまで散々温度やら湿度やらの話をしていたものの、「そもそも温度…はともかく、湿度ってどうやって測るのが一般的なんだろうか?」という点が気になりまして、今回その辺をつらつら語ってみようと思った次第です。

 

まぁ「ともかく」と言いつつ、温度計もよく考えたら謎というか、少なくとも自分で作ることは絶対不可能ですけど、「温度計」と聞いて一番よく頭に浮かぶあのガラスの棒の中に赤い液体が入っていて、温めるとウニョーンと伸びていくあれ…

あれはまぁ、「水銀温度計」と呼ばれることからも、古典的には金属の水銀が管内に封入されており、単純に液体である水銀の「熱が加わると容易に膨張する」という仕組みを活用して、「ここまで延びたら○℃」という目盛りをガラス棒に振った……ってだけの分かりやすいものですね。


まぁそもそもあのタイプの温度計も、学校の理科室とかででもないともう目にする機会がほとんどないかもしれませんけれども、僕は研究室で使うために何本も購入したことがあります。


その買い物をする際色々見ていて気付いたのは、まずやっぱり今時はもう水銀を使うものはなく(水銀は人体にとって有毒で、割れて散らばったりしたら危険だからですね)、代わりに「アルコール温度計」ばかりが売られていました。


「アルコール」って、何が使われてるんだ?まさかエタノール??…とずっと疑問に思ってましたが、↓のウィッキー先生によると…

 

ja.wikipedia.org

…色々なタイプがあれど、普通にエタノールが充填されているものもあって、むしろそれが安価で最も一般的のようですねぇ~。

 

「アルコールが熱で膨張…?」とも一瞬思えましたが、ご存知の通り冷える(凍る)と膨張するという性質があるんですけど…

(今時はもう製氷皿を使う家庭も珍しいかもしれないものの……って、別に珍しくはないですかね?

 「勝手に氷」系の冷凍庫、ちょうど僕が幼少期に初めて普及してきたぐらいで、TVコマーシャルで見たときには「すごい!魔法のようだ!!」と子供心には思えましたが、大人になって冷静に考えてみると、「いや、衛生面大丈夫なん…?給水部分の清掃とか、どうなっとるんやろ…」って思えますし、普通に全体をキレイに洗って使いやすい、製氷皿に水を張って冷凍庫で凍らせる、古典的なやり方のほうが正直いいような気がしますし、実際、あんまり「勝手に氷」タイプは普及しなかったような印象もあります。……今でも採用されてるんですかね…?)

…と余談が長くなりましたが、氷になったら最初に張った水よりかなりもっこりと、表面からはみ出すぐらいの氷ができるのはどなたも経験したことがあると思いますし、他にもペットボトルを凍らせたらはち切れんばかりにパンパンになることなどからも明らかな通り、水は「冷えると膨らむ」という性質があるわけですが、実はそれは極めて珍しいもので、(いくつかマイナーな仲間はいれど)何気に水のみに見られる性質なんですね!


その他の有機溶媒などの液体は、基本的に、温めたら膨張します。


これは実際仕組みを考えれば何となくイメージも容易な話で、熱いほど分子運動は激しくなりますから、そりゃめちゃくちゃ動く分子というものが作る液体も、運動の激しさに応じて大きくなるでしょうね…というのは自然なことだと思えます。


(ちなみに、実は水もその理屈通り、何気に温めるとちゃんと膨張するんですけど、正確には「4℃から氷点下にかけて、凍ると膨張していく」という感じなんですね。

 子供向け科学解説サイトKoKaNetのこちらの記事(↓)に、イラスト付きで完璧な解説がされていました。

www.kodomonokagaku.com

…結局、水素結合が原因で、氷はかなり隙間スカスカの状態で生まれるから……ってのがその理由なわけですけど、非常に丁寧で分かりやすく正しい解説ではあるものの、これ、子供が読んで分かるんでしょうか…?(笑))

 

いずれにせよ、水銀の方がより正確ではあるようですけど、そこまで厳密性を求めない簡単な温度計には、アルコールの膨張で十分計測可能だってことですね。

(温度計の内管は極めて細い毛細管でできているので、膨張率が水銀ほど高くはないアルコールなんかでも十分機能する、ということでしょう。

 実際使ってみて、古典的な水銀温度計との違いは1ミリも感じられません。)

 

…で、温度計を買う際に色々見ていて気付いたもう1つのことは、これ、その時買い物しなかったら多分僕は今でも知らなかったレベルの話なんですけど、実は一口にガラス型アルコール温度計といっても種類がありまして、「どうやって測るか」に応じて使うべきものを分ける必要があるのです。

 

ズバリ、「Total immersion」と「Partial immersion」の2種類がありまして、正しい温度を測るためには、この2つを使い分ける必要があるんですね…!

 

検索したら解説記事&記事内の画像からより詳細なPDF解説記事のリンクが貼られていたので、こちらをお借りして解説してみましょう。

www.belart.com

…と、記事内のQ&Aをお借りしようと思ったのですが、何か簡単な話が長々クドクドと書かれているだけだったのでそれは却下し、簡単に説明すると…

Total immersion(完全浸没)タイプの温度計は、温度計全体が測りたいものに完全に浸かっている状態で正確に測定できるように設計されており…
(気温を測る場合や、液体の場合は温度計全体を丸々、完全に水の中に浸からせる、ってことですね)

…一方、Partial immersion(部分浸没)タイプは、よく見たら温度計に必ず横線が引かれており、「このラインまで測りたい温度のものに浸けると、正確な値が得られる」ように設計されているんですね!

 

部分浸没タイプは、浅く張った水などの温度を測る際に便利なものだといえましょう。

(小さい容器内に浅く張った水のような場合、完全浸没タイプのものを全部浸けることが不可能なこともあるわけですね。

 その場合、温度計の上の方は冷えている状態で、その「上部の冷え」が着色アルコールの伸びに影響を与え得るといえますから、部分浸没タイプは、きちんとその分の調節がなされた設計になっている、って感じだといえましょう)

 

リンク先のPDFファイルに画像があったので、お借りさせていただきましょう。

https://www.belart.com/corporateintl/Resources/H-B%20Instrument%20Liquid-In-Glass%20Thermometer%20FAQs.pdfより

部分浸没タイプは、必ず「ここまで浸けてね」というラインも描かれている感じですね。

 

ちなみに、古い温度計なんかですと、内部の液体が千切れて飛び飛びになっているものもしばしば目にしますけど、リンク先のPDFには、その修理法が載っていました。

正直、分離してしまったらもうアウトかと思っていたので、直せるとは驚きです!


こちらは有用に思えたため、翻訳紹介させていただきましょう。

 

温度計内部の液体が分離してしまった場合、 その温度計は故障しているのでしょうか?

全くそんなことはありません!ガラス製温度計の液体は、種類に関係なく(水銀入り、アルコール入りなど)、液体がカラム内で分離してしまうことがあります。これは、輸送や取り扱い、または工場出荷後の不適切な保管の結果である可能性がありましょう。

温度計内部で分離してしまった液体を再結合させるために、2つの簡単な方法が開発されています。正しく行えば、再接合された液柱は新品同様になりますよ。

 

冷却法

細かく砕いた氷と塩の溶液、またはCO2ドライアイス)とアルコールの溶液を用意します。温度計の底球部だけを溶液の中に入れます。温度計は立てたままにしながら、液柱が底球部の中に引っ込むようにし、温度計を(球部を下にして)弧を描くように振り、巻き込まれたガスを液柱の上に押し出します。温度計を直立させたまま、ゆっくりと室温に戻してください。

 

加熱法

温度計の底球部を、顔から離した所で直立させ、温かい液体、空気、または弱い炎の中で、液柱がゆっくりと上昇し、液柱の分離した部分が温度計上部の膨張室に入るまで加熱します。長時間熱を加えすぎると、膨張室が充満しすぎて温度計が壊れるので注意してください。直立した状態で温度計の球部を卓上で軽く叩き、内部で分離したガスが上部まで上がるようにします。温度計を直立させたままゆっくりと冷ましてください。


これらの温度計の再接合方法に関する動画は、https://www.youtube.com/watch?v=w5FcaXXZf_Aをご覧ください。

(動画は既にリンク切れでした(笑))

 

まぁ、冷やしても温めてもどちらでもいいので、とにかく一箇所にまとめ上げれば復活する、ってことだったんですね!

(密封された温度計なら、中の溶液が失われているということはないので。もちろん、折れてしまったら完全におじゃんですね。)

研究室には太古の温度計が眠っていたはずなので(だから以前購入したわけですが)、次見かけたら修理にチャレンジしてみようと思います。

 

なお、その次の段落には、「温度計の正しい保存方法」も掲載されていました。

 

これもプロの説明がないと「寝かせるのがいいのか?立たせるのがいいのか?」というのは全く不明ですけど、個人的には何か重力の影響もありそうですし、寝かせる方が優しいんじゃないかな…?とか思っていたものの(というか、立てて保存するのは難しいですし)…

 

なんとズバリ、15℃以上の環境で、(当然底の温度計測用の球部が下になるように)立てて保存するのが正しいやり方だそうで、専用のスタンドも販売されているんですね!

 

…とはいえまぁ、温度計ごときのためにそんなスタンドを用意するのもアホらしいし、そんなもん場所とって邪魔臭いだけですから、この情報を見た後でも、僕は普通に引き出しの中に転がして置いておく感じになってしまいそうですけどね(笑)。


(ちなみに先ほどの完全浸没と部分浸没というタイプの違いも、正直厳密に正確さを求めるならそうすべきという話で、部分浸没を気温計測用に使ってもそこまで大きな誤差はありませんから、これまた気にせず使っても全く問題ないと思います(笑)。

 ただ、どの温度計にも必ず「浸没タイプ」は記述されているはずなので(温度計なんてかなり細いですし、「TI」「PI」とかあるいは「全浸」みたいな略式表記の可能性もありますが)、教養としてそれを知っておくのはいいことかな、という気はします。)

 

…と、本当は古典的なガラス型の温度計に続き、他の温度計も見ていく……どころか、当初本来はメインネタとして湿度計について見ていくつもりだったのですが、時間切れとなってしまいました。

 

大したことのない話ですが、続きは次回また追って触れさせていただこうと思います。

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