混ぜたらなぜ均一になるのか…?

前回は、別に誰にも聞かれてもいない「液体の分子レベルでの話」をくっちゃべっていました。


ご質問の本題はそこではなかったので、早速続きの段落に参りましょう。

まぁでも、それは恐らく別問題なので置いておくとして、、

例えば塩20と砂糖80が混ざっている状態のものからほんの少しだけ取り出した場合、それが5なら必ず塩と砂糖が混ざっているとしても、4以下なら砂糖だけの可能性もあるということになりますよね?

「それを混ざっていない部分があると言わないことが、確率の問題ということの意味だということ」がわかっていなかった(イメージできていなかった?)ということが、今回の説明でわかりました。

なので、以前コップ1杯の水について説明していただいた時に、確率の問題ということだったので、「あぁ、すくえない場合もあるんだ?混ざっているわけではないんだ?」と思っており、今回のエタノールのケースと同じとは思えなかった感じですね。

 

⇒「塩20と砂糖80」の例ですが、まぁこれは、こないだこの話に触れていた際の「水とエタノール」の例で、「分子20個」という分かりやすい形で書いてしまっていましたけれども、実際の分子を考える上ではそんな少数の例はあり得ず……

またさらに、例えば「塩20グラムと砂糖80グラム」であれば、「完全に一様・均一に混ざり合った」この塩砂糖ミックスを4グラム取った場合、普通に「塩0.8グラムと砂糖3.2グラム」がすくい取れる形になるともいえますね。


とはいえまぁ、小数点以下が存在しない「塩20粒と砂糖80粒」なんかで考えた場合、「完全に一様・均一に混ざり合った」ミックスから5粒取り出せば確実に塩が1粒入った状態になるわけですが…

(もちろん、「一様に並んだ粒々ミックスから選り好みせず、まとまった形ですくうなら」という条件はつくものの、単純化すると「1:4の割合で並んでいるものから5を取る」というこの例では、最低5粒すくえば絶対に塩も取れる形になってるわけですね。

 何気にこれは確率・統計において重要な話になっていまして、「鳩の巣原理」や「部屋割り論法」と呼ばれている重要な考え方になりますが…

ja.wikipedia.org
…まぁ今はそんなことどうでもいいでしょう(笑))


(上からの続き)…確かに、4粒を取り出す場合は、20%の確率で「砂糖4連続」の部分を引いてしまいますから、その意味では「完全に混ざり合っているモノの一部をすくい取って、少ないヤツをすくえないこともある」とはいえるものの、まぁ改めて、分子みたいなミクロのレベルを考える上では、基本的にそんな少ない数を考える意味はないという感じですね。

 

これまたこの種の確率・統計の話を考える上で極めて大事な概念として「大数の法則」というのがありますが……

ja.wikipedia.org

…まぁ上記記事では「公理的確率により構成される確率空間の体系は、統計学的確率と矛盾しないことを保証する定理である。」とかクソ難しい表現で書かれてますけど(笑)、これは単純に、「数が増えれば増えるほど、結果は必ず理論的な確率に収束する」というもので、何億何兆あるいはそれ以上の数のものが関わる分子の世界において、「均一に混ざった」ものは、必ずどこを見てもその比通りの構成になっていると考えて問題ないという感じだといえましょう。


(もちろん、例の「海にコップ一杯の水やエタノール」のあの話で、「太平洋全体に1滴のエタノール」みたいな極端なことを考えた場合(ちなみに最初の例では水同士で考えていましたが、違う分子の方が分かりやすいでしょうし、最初からエタノールで考えた方がよかったかもですね)は、「均一に混ざっている。しかし、あまりにも数が少ないため、完全拡散後にこぼしたエタノール分子をすくえるかどうかは運次第」という話にもなってしまうものの…

(要は、100個並んだ箱の中に、20個に1個の割合で等間隔に「当たり」のエタノールボールが入っているとして(残り19個は連続で「外れ」の水ボール入り)、並んだ箱を3つとか選ぶ場合、当たりが入ってる箱を引けるかは確率次第となる…ってのと同じですね)

…それは何というか最早大数の法則が成り立たない、小さすぎる数の極端すぎる例を考えているだけであり、基本的に分子に関する話は鳩の巣原理が必ず成り立つレベルで莫大な数を取り扱うことになるため、普通は完全に理論通りの構成比の分子なりを素直に考えるだけで全く問題ない感じ(=太平洋にコップ一杯という例でさえ、必ず元のエタノール分子を大量にすくい直せる)だといえましょう。)


(もちろんエタノール分子をすくい直せなかった場合でも、それをもって「混ざっていない」といえるわけでは決してなく、逆に、「一様に・完全に均一に混ざった状態」だからこそ(=分子同士が融合して別の物質が全体に広がっているというわけではないからこそ)、あまりにも数が少ないと手元に戻ってこないこともあるといえるだけというか、液体同士が混ざるといった場合はそう考えなくてはいけない、って話なわけですね)

 

何とも細かすぎる話になってしまっていますが、あぁせっかくだからもう1点、補足として触れておこうかなと思っていた話があったので、今回はまたそちらにちょっと脱線してみようかと思います。


それがズバリ、「完全に均一に混ざるとか言ってるけどさ、本当にそんな、どこを取っても上手いこと完っ璧に一様に、両分子が等間隔で存在してるなんてあり得るんけ?」的な疑問……


まぁ別にそんな疑問は持たれないかもしれませんけど、「水とエタノールを1対1で混ぜたとしてさ、各分子がそれぞれ自由に漂ってるって話なら、所によってはちょっと水分子が多かったり、逆にエタノールが濃くなってたりする部分もあるんちゃうの?」みたいな疑問点、これ、僕は個人的に学生の頃強く感じてた点な気がしますけど、こいつはズバリ…


「しっかりかき混ぜる、あるいは混ぜなくても長時間経過すれば、完っ全にどの部分を切り取って覗いてみても、完璧に1対1(あるいは混ぜた比率)でキレ~イに混ざり合ってるよ」


ってのが回答になる感じですね。


もちろん、混ぜた直後は局所的に「かなりエタノールが濃い部分」とかは発生しますけど、完全にすべての分子がぐちゃぐちゃにかき混ざるほどよく振った後、あるいは別に容器を振らなくても、混ぜた後ずーっと長いこと放置してやれば、最終的には必ず「どの部分も完全に均一に混ざり合った状態」に落ち着きます。


それはなぜかというと、カッコつけた書き方をすれば…

「宇宙はエントロピー増大の法則にしたがっているから」


…の一言に尽きるわけですけど、カッコつけただけで何の説明にもなってない、典型的な理系オタクくんがしそうなクソみたいな話になっちゃってますね(笑)。


まぁエントロピーというのは……

…と、簡単に説明しようと思ったのですが、実はずーっと前の記事で、エントロピーは何度かちらっと触れたことがあったんですよね(↓)……

con-cats.hatenablog.com

…ここでもかなり浅~い説明しかしてませんでしたが、何気に書こうと思ってた話は既にし尽くしていたかもしれません。


まぁごく簡単にいえば、エントロピーは「乱雑さ」を表すもので、それを分子の熱運動などを絡めてクソむずい数式で理解していくのが大学教養課程の「熱力学」になるわけですけど、ムズすぎてキモイので数式はガン無視するとして(笑)、この概念を導くことで言えることの1つとして、

「世の中のあらゆるものは、自然と、偏りのない、等しく散らばったものになっていく運命にある」

ということがあるんですね。


なぜそういえるかは、数式を頑張って理解するしかない…というか結局究極的には、水が高いところから低いところへ流れるように、「宇宙はそういう風に出来ているから」としかいえないものなのですが、まぁ難しい話は抜きに、何気にこれは現実世界でも納得いくものになっているのではないかと思います。


例えばコーヒーにミルクを注いだ場合、最初は当然ミルクが濃い部分とまだミルクが浸入しておらずコーヒー色の強い、ミルクの薄い部分があるものの、しっかりとかき混ぜた場合、これは完全に一様な白茶色い液体になるのはどなたも想像に容易いのではないかと思えます。

むしろ逆に、メチャクチャ混ぜに混ぜた後でも、「あ、ここだけちょっとミルク濃いな」という部分を維持することの方が難しいというか、そんなのは不可能であることは経験的に明らかといえましょう。


結局溶質や溶媒同士の溶解・混合もこれと同じ話であり、しっかりと混ぜた溶液の中では、各粒子は完全に一様に広がった状態に落ち着くものであり、それはなぜかというと、「それがエントロピー的に安定した状態であるから」というよぉ分からん話に帰着してしまうものの、「ある一部分だけなぜか濃い状態」が逆に不自然なのは、コーヒー&ミルクの例を考えてもまぁ納得できる話といえるように思います。

 

ちなみに、コーヒーとミルクの例も、水と食塩の例も、早く一様に溶かすためには「混ぜてやる」のが一番早いわけですけれども、最終的に最も安定した姿というのは「一様に溶けた状態」なので、長い時間をかければ、こいつらは勝手に完全に混ざり合うものになっているのです。


もちろん喫茶店でコーヒーが冷める前に完全に混ざりきるレベルの時間ではないので、現実的に待つことはできませんけど、極めて長い時間待てば、最終的には人間の手で混ぜずとも、完っ全に均一なミルク入りコーヒーに落ち着くんですね。


その辺の「モノの溶解」の話も、僕は高校化学で教わって「へぇ~、そんなもんかね?」と思った記憶がありますが、まぁ熱力学とかを齧れば、「まぁそうなるんでしょうな」と納得はいく話になってるとはいえるかもしれません。


(とはいえ実際に、全然混ざり合っていなかったものが、時間をかけて勝手に混ざる様子ってのはほとんどというか全く見たことがありませんが、それはやっぱり、セカセカ生きてる現代人は、何か目的があってモノとモノとを混ぜた以上、自分でとっととかき混ぜてしまうことの方が多いからですね。

 しかし改めて、悠久の時間を使えば、モノは必ず拡散し続け、一様に広がっていきます)


ちなみに、「物質は必ず乱雑になる方を目指す」というのがエントロピーうんたらの主張だったわけですけど、これに関しては、「『均一に混ざる』ってのは、乱雑と正反対じゃない?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

まぁこれは言葉の綾とでもいいますか、「均一に分かれている状態」ってのはある意味最もグチャグチャに広がった状態であって、逆に均一じゃない部分=特定の偏りが発生している部分が存在する方が、むしろ「何か人為的な力が働いて作られた、不自然な状態」といえる話だと思います。


もちろん、特に液体の場合、分子は溶液の中で自発的に熱運動をしているので、ミクロのレベルで一瞬の偏りが生まれることはあるかもしれないものの…

(例えば水4兆分子・エタノール1兆分子が混ざった中から、1億分子を取り出せば確実に4:1の比になっているものの、超小さい数…例えば5分子だけを取り出したら、これは4:1にはなっていないかもしれません。

 前半の「箱」の例では「必ずなってます」とか書いてましたけど、それは例示のために簡略化した例え話といいますか、きちんと整列された箱ならそうなんですけど、動いている液体の場合は、必ずしも理論通りにいかないこともあるのは、特に小さすぎる数を考える場合はいえてしまうわけですね。

 そのぐらいミクロな、1分子レベルの挙動というのは結局、もう「量子力学」とかが絡んでくる、全く別の学問分野で考えていく必要のある話ともいえましょう)

…しかし改めて、普通に現実世界の化学を考える場合、結局大数の法則的な話で、もっとマクロ=巨視的な視点で考えればいいだけなので、これはもう「完全に均一に広がっている」と考えてよい話になっている形なわけですね。


この辺の、「ミクロな視点の動きから、系全体を考える」というのは、大体高校化学でも難所・化学平衡のあたりで躓く学生も多いややこしい話になるので、そんなに深く考えない方がいいまであるかもしれないものの、改めて、

「均一に溶ける・混ざる・拡散するというのは、マクロのレベルでは本当に『完全に一切偏りがない状況へ落ち着いていく』と考えればOKです」

…ってなお話でした。

 

うーん、またしても、別に聞かれてない話を無駄にややこしくしただけな気もしますが、まあまあ、コーヒーにミルクの例なんかは納得いくものではないかな、と思います。


では、次回もご質問の続きを見ていく予定です。


アイキャッチ画像は……特にいいネタが全くなかったので、「宇宙はエントロピーが増大していく…」みたいな規模デカな話にかけて、宇宙のいらすとをお借りしましょう。

 

ちなみに、星という非常に不均一な存在というものは、乱雑さとは程遠いものなので、極めてエントロピーが低い状態といえるんですね(我々、生きている生物も全く同じ=超低エントロピーのカタマリが生物であり、我々が「生きる」というのは、「エントロピーの増大に抗っている」ことと同義なのである……ってのは以前のエントロピー記事でも書いていました)。

エントロピーが無限大まで増大していく結果、最終的に宇宙からは生物どころか星みたいなものは一切存在せず、全てが一様に等しく混ざった、いわば「全てが同じ・全てが無」に帰す運命にあると考えられるわけですね。


今はその仮定・途中状態であり、幸い我々が生きている内に全宇宙のエントロピーが無限大に到達することはまず100%ないと思いますが、今この瞬間も確実に宇宙全体のエントロピーは増え続けており、5000億兆万年後には、もしかしたら……

(絶対自分はもう存在しないので、まぁそれっぽい適当なこと言ってるだけともいえますが(笑))

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