陽子の寿命は?どうやって生まれた…?

前回の記事では、自然発生説を否定していました(笑)。


実際僕も栄養タップリの培地を実験で使うことがよくあるわけですけど、無菌状態を保つように使い続ける限り、どれだけ長期間保存しても培地に微生物が増えてしまうこと(=コンタミ)は決してなく、しかしフタを開けてクリーンベンチの中とかではない開放系の環境にちょっとでも放置してしまうと、すぐに色鮮やかなカビルンルンが増えてくるので、まさに自然発生はあり得ないこと、および空気中にはいかに微生物が漂いまくっているかについては、身をもってよく理解している感じですね。

 

ちなみに、培地のフタを開けて放置したら本当にすぐ、夏とかは翌日どころかその日の内にもう濁り始めたり(液体の場合)、微生物のコロニーが発生したり(固形プレートの場合)するわけですが、ではなぜ人間の体にカビが発生したりすることはないのでしょうか?


これはズバリ、「人間は生きているから、そして免疫系が働いているから」の一言で説明が付く話で、死体になったらソッコーでウジが湧くし、病気や体調不良で免疫系が弱まったら、普段健康体であれば全然大丈夫な菌や細菌に浸食されて感染症にかかり、下手したら死んでしまうこともあるぐらい(肺の中にカビが生える、とかですね)、免疫というのは偉大だし、空気中には雑菌の類が本当にウヨウヨしているんですね。

 

いずれにせよ目に見えないけれどそこには確実に存在しているのが微生物であり、一見自然に発生するようにも思える生物はみなそいつらが増えてきただけだ、ってのが自然発生説の否定だったわけですけど、では素粒子はどうなのでしょうか…?

 

改めてアンさんよりいただいていたご質問に戻り、ちょっくら見ていこうかと思います。

 

『今日僕が食べた納豆を構成していた陽子の1つは、1億年前恐竜が食べた陽子と、同じものだったかもしれない…』というお話、、

「仮に辿ることができとしたら」という前提なのはまぁ置いといて、素朴な疑問なんですけど、食べちゃった陽子は陽子として残るんですか?

現実的に、恐竜が食べた陽子が納豆の陽子になるということは、恐竜が食べた草が消化されて…ああなって…こうなって…ということですか?その陽子が、ああなってこうなって、紺助さんが食べるということ??(マジで?笑)

ということは、陽子は消滅することはない?(陽子に限らず、電子中性子も?飛んでいった電子もまたどこかで何かとくっつくといった話でしたよね、確か。)

逆に、生産されることはありますよね?人の体もそうなら、植物も、この世になかったものが現れるわけですし。

うーん…何か、どんどん違う方向へ向かっているような気もします

 

⇒前回取り上げただけで触れることはなかった、「陽子は消滅することはない?」「逆に、生産されることはありますよね?」という点についてですね。

 

これは正直、

「陽子が消滅することは、基本的にはないと思います」

「生産されることは……宇宙のどこかでは今でも生産されているのでしょうか?地球環境の中であれば、自然に発生することは、あんまりないんじゃないかなぁ、と思いますが…」

…という気がしますけれども、とはいえ僕も素粒子学の専門家ではないので、適当ぶっこいているだけの可能性も大いにあり得るかもしれません(笑)。


しかしそういう疑問はインターネッツの力を借りれば概ね解決できるので、早速調べさせていただきましょう。

まぁ調べるまでもなく、先ほど「基本的には」と書いた通り、人間の叡智・科学の力をもってすれば素粒子ぐらいは余裕で消滅させることが可能だという話は耳にしますね。


それがいわゆる「対消滅(ついしょうめつ)」と呼ばれる現象で……

ja.wikipedia.org

陽子の場合は、「反陽子」と呼ばれる物質と加速器内で衝突させることで起こる、って話だと思いますが、こちらのウィ記事(↓)を見る限り…

ja.wikipedia.org

対消滅」は名前的に消滅するのかと思いきや、少なくとも陽子の場合は、反陽子とぶつかることで、中間子など別の素粒子に姿を変えるとのことですね。


まぁ一応陽子という粒子は消滅しているものの、いきなりこの世にあったものが姿をなくして雲散霧消するわけではない、とはいえる感じのようです。


(というか、そういう意味で本当に物質として実在しているものの存在がこの世から消え失せることはあるのでしょうか…?

 検索してみたら、詳しい内容までは分からないものの、恐らく大学の素粒子論の講義のQ&A集でしょうか、神戸大学理学部の林さんが公開されていたこちらのPDF資料のまさに一つ目に、大変面白いQ&Aがあったのでご紹介させていただきましょう。

Q. 消滅した素粒子はどこに行くのか?

A. どこかに行くわけでなく完全に無くなり、持っていたエネルギーが放出される。そのエネルギーで別の素粒子が生成されたりする


…このQ&Aから判断するに、(恐らく実験的・人工的に)素粒子という物質をこの世から完全に消滅させることも十分可能で、その場合、存在がマジで「無」になり、そいつが持ってたエネルギーがその場に放出される、って話なんですねぇ~。

 大変面白いです!)

 

いずれにせよ、それは恐らくより小さな素粒子の話であり、陽子というのは素粒子の中でもより大型(別の素粒子が組み合わさって形成されるもの)なので、陽子がいきなり消えることはもちろん、自然に姿を変えることも、まずないのではないかと思います。


「そういえば陽子の寿命はどのぐらいなんだろう?」と気になって検索してみたら、日本学術会議のQ&A集に、これまたズバリの回答が掲載されていました。

www.scj.go.jp

お借りすると、

しかし,陽子が崩壊する現場に立ち会うことは,まずないと言えよう。
なぜなら,その寿命が桁違いに長く,私たちの寿命はもちろん,その私たちが住んでいる宇宙の年齢よりもずっと長いからだ。
実際,陽子の寿命は 1032(=10の32乗)年以上だと考えられている。


…ということで、陽子の寿命は100000000000000000000000000000000年以上だそうなので、これぁちょっとあいつが自然に崩壊・消滅する現場を実際に目撃するのは難しそうですね(笑)。


ついでなので「電子の寿命」も調べてみたら、こちらもそのものズバリな記事が見つかりました(↓)

www2.kek.jp

電子の寿命は6400000000000000000000000年以上となっていますが、ここでは極端に長い事だけでなく「以上」という表現が目を引きます。これは電子の寿命はまだ測定されていない、つまり大変長くてまだ誰も電子が死ぬのを(崩壊するのを)見た人がいないことを意味しています。


とのことで、電子の寿命は6.4×1024年以上……地味に陽子より短命やん、電子、ザッコ(笑)…と一瞬思えたものの、結局実はまだ観測されたことすらなく、想像の域を出ていない、というのが実際だったようです。


何となく、小さいものの方が寿命は長そうですし、観測ができていないだけで、実は陽子より電子の方が寿命は長そうな気がしますね。


スマンな電子、多分オメェの方が長生きだ!(笑)

(あぁでも、人間より小動物の方が寿命は短いですし、必ずしもそんなことはないかもしれませんが…)

 

せっかくなので当然、もう1つの原子構成粒子である、中性子の寿命もチェックしておきましょう。


どれどれ中性子は、っと……って、あっーーっ!!

www.icepp.s.u-tokyo.ac.jp

寿命約15分で陽子、電子、反ニュートリノに崩壊します


…他の2匹に比べて、中性子、死ぬの早すぎぃ!!(笑)

 

…と思いきやこれは当然「不安定な条件」、つまり「原子核内部にある中性子は安定ですが、ひとたび核外に取り出されると…」という条件付きのお話でした。


まぁ原子核内部の中性子はどの程度安定なのかの数字はなかったものの、これも常識的に考えたら、陽子や電子と同じ、観測不可能なレベルで長生きなのでしょう。


とはいえしかし、中性子に関してはまさに上の記述にもありましたが、そういやこいつは放射線の話で見ていた通り、ベータ崩壊で電子をぶっぱして、自身は陽子に姿を変えるやつでしたね!


ということで、中性子だけは、意外とこの世の至る所で消滅(まぁあくまでも崩壊ですが)しているといえるのかもしれません。

 

一方、逆の「生成」についてですが、これも、最初に見ていた「対消滅」の対義語としての「対生成」という用語はしばしば耳にした気もしますが……

ja.wikipedia.org
↑のウィ記事を参考にしてみると、こちらはどうも「実験的・人工的に」のみならず、自然発生もあり得る現象のようですね!

先ほどの神戸大学Q&Aにもあった通り、エネルギーから素粒子の類が形成されるのは、普通にあり得ることのようです。

 

…とはいえ、これもエネルギーありきで、完全なる「無」から発生したわけではないともいえるものの、しかしこれに関しては、突き詰めると結局「宇宙は何から発生したの?」という話に帰着しますから、一番最初は本当の無から何かが発生したのかもしれませんね…!


その話は完全に専門外ですし僕は全く何の意見もありませんが、大変夢があって面白い話だと思います。

しかし、残念ながら現在の地球においては、少なくとも生物が無生物から発生することはないでしょう、という、自然発生説否定信者のスタンスだけは崩さずにいかせていただきたく存じます(笑)。

 

そんな所で、この部分のご質問は、一通り(発生に関しては「するっぽいっす」だけで、ほぼ何の情報もなしで恐縮ですが(笑))触れ終えた感じですね。

アイキャッチ画像に使えそうなものが何もなかったので、最後の「ビッグバン」から、WikiP記事にあった、画像が何を意味しているのかは全く1ミリも分からないものの(笑)「シンギュラリティー!」というカッコいい単語が印象的だった、ビッグバン理論の画像をお借りさせていただきましょう。

https://ja.wikipedia.org/wiki/ビッグバンより

「シンギュラリティ」も、最近良く聞く興味深い単語ですね!(↓がこいつの日本語記事になります)

ja.wikipedia.org

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