謝るならお礼を言おう

今回もコメントから話を広げさせていただく形ですね。

コメントは毎度おなじみ、アンさんより賜ったものとなります。

いつも大変ご丁寧なメッセージ、筆舌に尽くしがたい感謝の念に堪えません…!

 

なるほど、「co-operation(コ・オペレーション)」ですか。「coworker」(コワーカー=一緒に働く人=同僚)は知っていましたし、これはイメージしやすいですねぇ。


しかし、「co・rporation」と区切っても意味不明なのに、「corpus」という語のcoはある意味「ともに・一緒に」という字義を含んだもの…ということになると、どのcoがその意味のcoなのか、正直自分には区別できないかもしれません笑


⇒「corpusの『co』も、『ともに』って原義を含んでいるのではなかろうか……」というのは完全に僕が勝手にほざいているだけの戯言に過ぎないので、全くそんなこたぁないかもしれないことにまずご注意いただければと思います(笑)。

まぁ一応、corpusのラテン語での意味「body=体」というのは、複数の構成要素が一つにまとまったものだから、源流を辿ればそういう関連性も無きにしも非ずではなかろうか…と思えるためそう書いてみたんですけど、とはいえこれは、コメント最後にあったような「どのcoがそのco??このcoは、例の『ともに』の接頭辞なんだろうか?」なんて区別する必要などは皆無な点だと思えます。

この話は区別するための知識というより、「coを抜いたときに、残った単語が完全に見覚えのあるものなら、その単語に『ともに』的なニュアンスを足してやれば良さそうだね」という判断というか推測がつけられればそれで十分かつ大変役に立つポイントであり、「この単語のcoは、例の接頭辞的な意味なのかな…?」みたいな悩みというか余計な疑問は、抱える意味が特にない(=よく分からなかったら無視すればいいだけ)、って感じですね。


ちょうど、こないだこの話に触れていた記事(→「your」ってゆわないで…!)を校正がてら再読していた際、「別の例でもうちょい何かいいのはなかったかな、coで始まる単語…」と考えたら、一ついい例が浮かんでいたので脱線ネタとしてそちらにまた触れてみましょう。


それがズバリ、coincidence(コインシデンス)!


この単語、僕が最初に出会ったのは、ずっと前話に出していた「仮定法はムードなんだよ」という分かりやすい説明をしてくれたのと同じ、高2の頃の土曜授業(普段の担当教員ではなく、適当にシャッフルされた担当外の先生が、単発で面白い講義をしてくれる…みたいな感じだったと思います)で、例のコワモテのチョビヒゲのマッチョでダンディな先生が教えてくれたのが(ちゃんと記憶に定着した)最初のものであり、仮定法含め今でも印象に残っています。


これはズバリ、「お、偶然!」と言いたいとき……日本語では極めてよく使うものの、いざ英語にしろと言われると意外に難しい気がするこの「偶然」という言葉、もちろん色々な表現法があるものの、よく使われるのがこの「Coincidence!」なんですね。

多分その授業のテキストで出てきた単語だったのかもしれませんけど、そのダンディ先生が「例えば遠い町で昔の知り合いの女の子とバッタリ運命的な再会をした場合なんかは、最初の声掛けとして、まさに『Coincidence!』とか『What a coincidence!』ってのがピッタリなんだな。コインが偶然に特別な面を向いてくれたみたいな感じで、覚えやすいだろう?」…という説明をされたかまではハッキリ覚えておらず、コワモテ先生が指パッチンしながら「コインシデンス!こう言うんだ」と説明されていたのしか覚えていないんですけど(実際↑の話はあんまり上手い説明でもないですしね(笑))、僕はこの授業でこの語をバッチリ覚えたものの、この時は「コイン」という、響きも割と素敵なイメージで残った単語でした。


ただこれは、実は「コイン・シデンス」ではなく、「コ・インシデンス」だったんですね!

「incidence」という単語は、ずっと前触れたことのあった「incident」という単語(振り返ってみたら、青い花で学ぶ英語シリーズの記事でした)と形がそっくりな通り意味もまぁ似ていて、「発生」的な意味になりますけど、まぁ近い「incident=事件・出来事」とごっちゃになっても問題ない感じで、「co-incidence」で「共に・発生」「一緒に起きる・出来事」というニュアンスから、「偶然の一致」「奇遇な出来事」という意味になっているという感じだといえましょう。

その時はincidentやincidenceという語彙もまだ持っていなかったからそちらに意識がいきませんでしたが、このcoincidenceなんかも、まさに接頭辞co-が分かりやすく使われている例だといえる気がします。

 

あとは自分の専門に近いものとして、coenzymeなんてのが、こないだ触れていたcoexistよりも実は先に浮かんでいたのですが、これは「co-enzyme」で、「一緒に働く・酵素 (enzyme)」的なニュアンスから「補酵素」という意味ですけど、まぁサプリメントで流行ったこともあったので「コエンザイム」というのは耳にされたことのある方のほうが多いとは思いますけれども、そない一般用語でもないですし、特に触れるまでもないでしょう(って、結局話題水増しのために触れた形ですが(笑))。


ではコメント続きに参りましょう。

 

そして、

「Thank you for your understanding」ですが、紺助さん的にも違和感があるということですし、understandという単語が特別というわけではなかったんですね、やっぱり。

あぁ、ここでもコーパス検索…?

「for your understanding」が95件、「for understanding」が3000件超えということで、結果、thank you for your 〜ingはやっぱり一般的でないということですね。


helpやcallは名詞の意味もあるのでそのままyourの後に続けるけど、understandには名詞の意味がないのでそのままyour understandとするのは文法的におかしくて、understandingになっている(理解という意味の別の単語を使えばいいとは言えるものの、しっくりくるものがイマイチ見当たらないから?)、という感じでしょうかね?


for understandingが正解としても、あなたを強調したくて言う場合などにyourをどうしても言いたいとか、そんなことで…?


⇒概ねお書きいただいた通りのご理解でバッチリですね。


ただまぁ一応、こないだの記事中盤でも触れていた通り、何だかんだ「Thank you for your -ing」という表現は「understanding」が割と圧倒的に多かったので、understandは若干特別っちゃあ特別とはいえるかもしれませんね。

(もっとも、その特別さは、コメント後半でも改めて触れていただいていた通り、そのままの意味の名詞がないけど、そのままの意味の名詞的な感じで使いたいことが多いから……ってのがその理由といえる気もしますけどね。)


しかし一点触れていなかった点として、この表現、日本語からの発想的には「ご理解ご協力のほど、よろしく」という「依頼」の意味で使われている印象が強いと思うのですが、英語の場合は、これは基本的に「悪いお知らせをして、それの末尾に、『仕方がなかったのです。ご理解いただきありがとう』」という、いわば「謝罪」に近い意味で使われることが圧倒的に多い印象があるかもしれません。


例えば、今日の夜参加すると約束していた社内パーティーが、突然身内の不幸の報せが入って行けなくなってしまった!……というシチュエーションなんかで、「本日の夕食会は通夜参列のためキャンセルさせていただくことになりました。Thank you for understanding.」とか、他には、間違ったものを買ってしまって返品しようとしたけれど、それはクリアランスセール品だったため不可…というような場合、ダメ元でお店に聞いてみた結果「そちらはセール品で、事前に表示されていた通り返品不可になります。Thank you for understanding.」とかみたいな、そういう「致し方ない事情アリ。理解してちょんまげ」的な形での利用が、この表現のメインかなって気がします。

(もちろん、その流れでも、こないだ見ていた通り「ちょっと表現が強い気がする。もう少しマイルドに、こう言い換えた方がいいでしょう」ということが言われがちな表現でもあるわけですけどね。)

 

まさにこれに関連して、日英の表現の違いといいますか文化の違いとでもいいますか、一点話の広がるネタが浮かびました。

 

例えば「お待たせしてすみません」と言いたいとき、日本人的発想では絶っっ対に「Sorry...」から入ってしまうと思うんですけど(Sorry to keep you waiting. とか)、これはやっぱり、まぁそういうネイティブももちろんいなくはないし、絶対に使われない・完全に和製英語だ!というわけでも決してないんですけど、英語だと普通は違う表現が用いられるんですね。

この場合であれば、「Thank you for your patience.」というフレーズを添えられることの方がずっと多いように思えます。

(直訳では、「あなたの忍耐をありがとう」ですが、ニュアンスはまさに日本語の「お待たせして申し訳ありません」に近いですね。使われる場面としては、「お待たせすることになります(=しばらくお待ちください)」でも「お待たせしました(準備できました)」でも使える気はするものの、基本的には色々案内や説明をし終えた〆の言葉で「お時間ちょっといただきます、我慢してくれてありがとう」という「しばらくお待ちください」の状況で使うことの方が多いかな、って気がするかもしれません。)

 

「日本人は謝りすぎ」ってよく言われる気がしますが、これはやはり文化の違いというか、恐らくそういうよく使われる言い回しの違いも背景にある気がしますね。

英語だと、謝るよりも、お礼を言おう!その方がポジティブじゃん?…という心がけが強いという感じだといえましょう。


これは実際、僕も英文メッセージを書く際に努めて気をつけている点で、日本語の「すみません」が万能すぎるためにしばしば「すみません」の発想で使ってしまいがちな「Sorry for...」は、基本的になるべく「Thank you for...」で言い換えができないだろうか、と考えるようにしています。

もちろん、何でもかんでも「それはちょっと難しい。理解してくれてセンキュー」とか「おっとミスしてもうた、しゃあない次頑張るわ、次のチャンスをくれてありがとナス!」とか、強引にお礼だけで切り抜けようとするとそれはそれでカス野郎になるのは英語圏でも同じなので(笑)、場面によっては「I apologize...」と謝罪の意を表明すべきシーンも当然ありますけど、「わざわざ車出してもらっちゃって、どうもすみません」みたいな場面は、積極的に謝罪ではなくお礼を言うようにする方が、英語圏では間違いなく自然でかつより丁寧な言い回しになっていると思えますね。

 

ただしそれは英語の場合であり、やっぱり日本語はそうではないんじゃないかな、って気も強くします。

まさに、こないだ書いていた松ちゃんのネタじゃないですけど、依頼を感謝の言葉で述べるのって、かなり押し付けがましさを感じる気もする…っちゃあ実際するんですよね。

(例の「いつもトイレを綺麗にご利用いただきありがとうございます」は、綺麗に利用する以外の可能性を一切認めないサイコパス的な発想……とまではまぁ言わないものの(笑)、松ちゃんの「いやこんなの脅迫やんけ…」という気持ちも、正直理解はできます。

…ちなみにこれ、もしかしたら男子トイレ限定の表現なのかもしれませんが、男子トイレ小便器の目線の先の壁とかによく貼ってあるメッセージな感じですね。そう書かないと、野郎どもは小便器をベショベショに汚してしまうのです(笑)。)


そもそもの「ご理解ご協力いただきありがとうございます」も、これやっぱり、個人的には「ご理解ご協力のほど、よろしくお願い致します」という形の方がより良い気がするといいますか、「本質は依頼なんだから、依頼する形で記述した方が間違いなくより丁寧だと思う」という気はするかもしれません。

(もちろん、「押し付けがましい」とまでは思わないものの、あえて比較するなら…ですね。少なくとも僕なら「協力を前提で勝手にお礼」より「他人の行動を決め付けるようなことはせず、あくまでもお願いをするという形」を取るかな、って気がします。

 とはいえ、実際このお礼文は恐らく上で見ていた通りの英語圏の文化・言い回し由来の表現なんだと思いますけど、昔よりこの手の「依頼文をお礼で」というのは増えている印象ですし、その方が実際の実行効果・希望達成率が高いという研究結果なんかが、もしかしたらあるのかもしれませんね。)

 

…という所で、コメントには続きがあり、実はコメントの中に今回触れていた「Thank you for your patience」に近い例文も顔を出していたのですが、続きはまた次回見ていく形とさせていただきましょう。

 

久々に記事中に特に画像がなかったので、適当なアイキャッチ画像を用意するパターンになりますが、まぁお礼とも謝罪ともいえるお辞儀のいらすとをお借りしましょう。

(既に以前、ネコのお辞儀いらすとは借りたことがあったので、今回はクマさんですが(笑)。)

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