それでは引き続きいただいたコメントから話を広げさせていただきましょう。
今回まずは、新年最初の記事(→謎はすべて解けた!)へのコメですね。
毎度おなじみ、こちらもアンさんよりいただいたメッセージになります。
非常に面白く興味深いご視点からの面白いコメント、毎度心の底から感謝の限りです!
コーパス、流石ですね!!
世界的に有名な言語学者のマーク・デイビスさんは個人的には存じ上げませんが、お客様相手の一般企業でもないのに、一個人の疑問にも即対応していただけるとは、、ほんと、素晴らしいですね。
opusについては、細かいことはわかりませんでしたが、まぁその辺のエラーは仕方ないということで、それはそれで納得です。
でも、そう言われたら、何かおかしい?と思った時には、これもエラーかな?って思って、簡単に諦めてしまうかもしれませんよね。ちゃんと使いこなせていない自分なんかの場合には、ですけど。
⇒「世界的に有名な…」と大々的に言っておきながらあれですが、実は僕もコーパスについて調べるまではマークさんのことは存じ上げていなかったんですけど、まぁWikipediaに記事が存在するぐらいには、名の通った著名言語学者なのは確実ですね。
en.wikipedia.org
(数年前にリタイア済みということなので、もっと高齢かと思っていたのですが、まだ還暦前とは、かなりお若いですね!)
また、Wikipediaにご本人のウェブサイトのリンクがありましたけど……
www.mark-davies.org
こちらにも、コーパスのデータに関するより詳しい情報が載っていて興味深いですが、それ以外に一つ、最初のOverview(概要)の二段落目冒頭で、「But perhaps the best thing would be ...」という文があるのが目につきました。
これ、僕は英作文の授業で、
「『but』は接続詞であるから、文の頭に(=異なる文と文をつなぐ形で)使ってはいけない。絶対に『A, but B』という形(=1つの文章内で、対比する要素を接続する形)で使うこと。文の頭で『しかし、~』と書きたい場合は、副詞である『however』を使う必要がある。」
…と習い、英文法的には完全に理に適った話であるため基本的に僕も従うようにしているんですけど、実際カジュアルなメールみたいな文では、howeverは重すぎることもあるし、普通に文頭に「But ...」と置いちゃうこともあったのですが、やはり文法的には違反なので書く度にいつもちょっと罪悪感というか抵抗感があったのです。
しかし、まさかのまさか、偉大な言語学者であるマークさんが、めちゃくちゃ堂々と文頭で「But」を使っているじゃあありませんか!
これは、今後は文頭で「But」を使う場合も、罪悪感を覚えずに我が物顔で使っても良いというお墨付きをいただけたようで、気分が楽になりますね…!
とはいえこれは、「but」という単語でのみ半ば例外的に認められる話であり、基本的に「接続詞を単独で使ってはいけない(=必ず、1つの文の中で、何かと何かをつなぐ形で使う必要がある)」というのは、英作文初心者の方が極めてよく間違いを犯してしまいがちなルールではないかと思います。
例えば一番分かりやすいのは「because」ですね。
これは「なぜなら○○なので…」の意味の、中1で習う誰でも知ってる基本語ですけど、ちょうど日本語では「○○だからね。」だけで終わる文も普通に認められるから誤用しがちなポイントで、初学者は「Because X is Y.」だけで文を終えてしまいがちであるように思います。
中学生に英作文をやらせたら、ほぼ100%の割合でこの誤文が見受けられるのではないかという気がしますね(子供の作文なんて、「なぜなら○○だからです。」の多用ですしね(笑))。
しかしこれは完全なる文法ミスでして、上述の通り、becauseというのは接続詞ですから、becauseのすぐ後ろの部分はいわゆる「従属節」扱いになり、同じ文の中で必ず、もう一つ、文法的に等価な構成要素からなる「主節」をつなげなければいけないわけです。
つまり、「Because X is Y」という文で始めたら、必ず同じく主語と動詞からなる文をコンマでつなげて、例えば「Beause I was late, she got angry.」(私が遅刻したので、彼女は怒った。)という形にする必要があるんですね。
よく初学者がやってしまいがちな「Because I was late.」だけで終わる文というのは、(日本語だと「なぜなら私が遅刻したからです。」で問題ない文にはなるものの)英語だと文法的に完全に誤りであり、ネイティブからしたら「『私が遅刻したので………』って、それで終わりかい、遅刻したから何やねん!」と、この形の文を目にしたら絶対に「それを原因として生まれた、本題の続きの部分」が来ることが期待されるため、あまりにもおかしい文になってしまっているわけです。
…もっとも、作文する際は、まず最初に何か主張を述べて、その後に「なぜなら○○だからです。」と書くのが普通でしょうから、一つ前の文がその「本題=帰結部」になっている(少なくとも本人はそのつもり)とはいえるんですけど、基本的に中学生の作文なんて「レジ袋を使わないのは良いことだと思います。なぜなら、二酸化炭素濃度が増え続けているからです。」みたいな、そもそも因果関係がめちゃくちゃなことが多いですし(笑)、この場合、やりがちな誤文として、
Not using plastic bags is a good idea. Because carbon dioxide concentrations continue to increase.
…という英文を書いたとすると、これをネイティブが読んだら、100%確実に「『レジ袋を使わないのは良い考えだ。二酸化炭素濃度が増え続けているので、……』って、なんで文が途中で終わってるんだ、増え続けてるから何なんだよ!」と思われてしまう形になっている、ってことですね。
この場合はもちろん、2文を1文にするだけで(少なくとも文法的には)完全に正しい文になるわけですけど、becauseで作られる従属部は前に来ても後ろに来てもいいので…
(日本語でもそれはそうですが、やっぱり日本語だと「○○だから、××」という方が自然かな、って気がしますけど、英語の場合はどちらでもいいどころか、むしろ後置修飾の方がよく見るまであるぐらいですね)
…先ほどの英文の場合ですと、一つ目のピリオドを削除して、大文字のBecauseをbecauseに変えるだけでOKだというわけです。
Not using plastic bags is a good idea because concentrations of carbon dioxide continue to increase.
(二酸化炭層濃度が増え続けているので、ビニール袋を使わないのは良いアイディアだ。)
(ちなみに、because節を前置きした場合は区切りにコンマを足し、後ろ置きの場合は何もつけないというのも重要なポイントですね。
「Because XXX, YYY.」か「XXX because YYY.」という形です。)
…ただ、分かりやすい(かつ間違えやすい)からbecauseを挙げたものの、実はbecauseにも例外がありまして、唯一、会話文で「Why?」と聞かれたときの返答の場合のみ、「Because XXX.」で終わるのは慣用的に認められている感じですね。
「Why was she so upset?」「Because I was 3 hrs late.」
(「何で彼女はあんなに不機嫌だったの?」「俺が3時間も遅刻しちゃったからね。」)
(ちなみに、「怒っている」という英語は、日本人的には「angry」がまず浮かびますけど、「angry」は怒りに火がついてマジで感情顕わに「怒っている」感じですが、日常生活ではもっとマイルドに「不機嫌になってる」「苛立っている」「ムカついて心中穏やかではない」ことの方が多いですし、ちょうどそのニュアンスにピタリの「upset」の方が遥かによく使われる印象がありますね。
…もっとも、3時間も遅刻されたら、全力でアングリーしても全然普通な案件にも思えますが(笑))
とはいえこれも、正しくは「That's because XXX」と、because単体ではなく、「That is」にbecause節を接続させる形が正式といえますし(例の会話の返答文は、いわばその省略形ですね)、少なくとも「becauseのみ文」は書き言葉の文章では全く認められない形式ですから、接続詞を単独で、同じ文中の何ともつなげない形で使うのは良くない……というのは、ぜひ抑えておいた方がいいポイントだと思います。
(実際そういうことも中学の英語で習ってはいるはずなんですけど、特に初めて自分で英作文をする際はそんなことに気を配ってる余裕もないので、基本的にほとんどの日本人の英作文(もちろん昔の自分含め)ではこのパターンのミスが多発すると思えますから、まず最初に意識しておきたい点って感じですね。)
…と、別に全く聞かれていなかった基礎英文法ネタに脱線してしまいましたが、何気に、今回本題にしようと思っていたのはこれではなく、次の部分になります。
本題とはいえすぐ終わりそうなのであえて脱線した形でしたが、そういえばこないだチラッと書いていた触れそびれている「opus」に関する脱線ネタなんかもありましたし、前回の「co-」という接頭辞に関してももう1つこれに触れても良かったなと思えたものがあったのでそちらを取り上げてもよかったのですが、そちらはまぁまた今度スペースが余ったときのために残しておきましょう。
どうでもいいブログのネタ構成はともかく、↓がまた別のご質問を含むコメントの続きになります。
こちらはもう少し遡って、この記事 (→やっぱりまだまだ「分ける」のがトレンドなのかな…?)に対してのコメントですね。
alrightとall rightの発音についてですが、
alrightは砕けた表現で気軽には使わない方がいいかも?くらいに理解しましたが、でもこれ、会話の中で聞き分けられるんですか?
発音に関しては微妙で難しいということでしたが、そうなると、台本ではなく、有志・素人の情報では、必ずしもその字幕が正しいということでもなさそうな気がしますけど…
alrightとall right、映画ではどっちが多く使われているんだろう?なんて思った時に、コーパスを使って調べてみても結局微妙なんじゃないかと思えます。
まぁ、そのくらいは許容範囲であるということも全然理解できますし、なんとなくそう思っただけで、当然、個人的に何か困るというわけではないですけどね笑
ちなみに、every dayとeverydayとなると、これはもう、発音は同じっていうことで大丈夫ですよね??
⇒alrightとall rightは、元ネタの記事で触れていた通り、ネイティブでも議論が分かれるようではあるものの、基本的には微妙に違う、というのが多数派の感覚だったようですけれども、正直、会話の中でハッキリと違いを聞き取るのは至難の業といえましょう。
これはやっぱり、文章にした時にハッキリと明確になる違いだと思えますが、とはいえ一応、文脈によっては意味も少し変わってくる(alrightで「大丈夫」、all rightで「全て正しい」みたいな…もちろん発音同様、意味の差も極めて微妙だと思いますけどね)という話でしたし、それ抜きにしても、映画の台詞を(COCAデータベースであるOpenSubtitles.orgで)字幕に文字起こししているのは有志とはいえ、一応そこで書き起こされた字幕はその一人の有志の意見が反映されているということですから、完全な公式見解ではなかったとしても、少なくとも「この場面では、all rightと言っている」と判断するネイティブがいたという事実に変わりはないため、あれだけ圧倒的な差があったということもあり、映画でも「all right」がよく使われている(少なくともそう感じるネイティブが多い)ということは変わらず言えるんじゃないかな、という気がします。
とはいえもちろん、字幕をわざわざテキストにボランティアで起こしてくれるような(いい意味で)変人なんて言葉へのこだわりが強い方たちでしょうし、そういう連中が書いたものは、仮にalrightと言っていても、今の時代では間違いなくより正式な表記とされている二語のall rightにあえて置き換えている可能性もあるので、必ずしも実態を反映していない可能性がある…というのはその通りかもしれませんね。
一方ようやく本題になりますが、コメント最後のevery dayとeverydayの発音の違い……これもどうなんでしょうね…?
一応、軽く検索してみたら、↓の英文作成解説記事では…
(ほとんどの記事がそうであるように、発音ではなく用法の違いメインなんですけど、幸いこの記事には発音の記述もあった形ですね)
www.instructionalsolutions.com
…『
(どうでもいい点ですが復習として、これも「While」は接続詞なので、コンマの後に本題の主節が来ている形ですね。
改めて、「Because XXX.」で終わるのは、「
…と、やはり同じなのかな…?と思えたものの、調べた際の検索結果トップにはYoutube動画(↓)がヒットしてきていました。
基本的に情報というのは動画よりテキストの方が単位時間あたり得られる量が段違いで多いので、何か知るために動画を見るということは僕はほとんどしないんですけど(動画はやっぱり、学習よりエンタメ用で本領が発揮されるものだと思います)、何気に「ちょっと違う気もするけどなぁ」と思っていた僕は、そう主張してくれているかもしれないことを期待して、こちらの動画もチェックさせていただきました。
すると、おっ!
ちょうどこのスクショしたあたりでアダムさんが説明されている通り、1語のeverydayは最初の音節のみに強勢が置かれるけれど、その少し前に説明されていた、ホワイトボード上にも書かれている通り、2語のevery dayは、両方の語の頭に微妙に強勢が置かれ、かつ、語の間に微妙なギャップも置かれる形ということで、やっぱりこれも微妙~に発音は違うといえそうですね!
ちょうど僕も、何となくそう思っていました、サンキューアダムさん!!
ちなみにもちろん意味についての解説もされていましたが、これは以前何度か見ていた通り、2語のevery dayは副詞(adverb)で「毎日」という頻度(frequency)を表す語(いわゆる普通の「毎日」)、一方、1語のeverydayは形容詞(adjective)で「日常の、平凡な」という意味になるということが、まさに動画で解説されていた感じですね。
(特に1語の方は、このスクショだと手で隠れてますけど「run of the mill」と書かれており、これは「ありふれた、平凡な」という意味の熟語ですし、このスクショの直後で「common(一般の、通常の)」「not unusual(特別ではない)」「a little bit unexciting(ちょっと退屈な)」という類似表現で説明されていた通り、まさしくいわゆる「毎日」とはちょっと違う感じであることがしっかり強調されていました。)
ということで、一応の結論としては、やっぱり二語になることで微妙~に発音も変わるというものでしたが、とはいえ最初の解説記事のように「同じ」と断言されることもあるぐらい、少なくとも我々には判別が極めて困難と思われる程度の違いしかないともいえ、そんなにナーバスに気にしなくても、文脈で上手く解釈される話ではないかな、と思います。
(といっても、everydayを形容詞で使うことはまずあり得ないため(その意味を言いたいときは、こんな誤用が目立つ微妙なやつより、もっと別のより分かりやすい表現(まさにcommonとかusualとか)を使うのが普通なので)、これは基本的に副詞として使うことしかないですし、「エェブリ・ディ」と、2回の強勢と間のギャップをちょっと強調しすぎるぐらいでちょうどいいかもしれませんね(笑)。
という所で、前半のご質問とは関係ない脱線で長くなりましたが、次回以降もまた順にコメントを見ていこうかと思います。