「another+複数形」について議論されていたStackExchangeの記事を紹介だけしてそのまま時間切れで終わっていたのが前回の記事(↓)でした。
今回はそちらのおさらい・総括から参りましょう。
とはいえ大変読み応えがありすぎるQ&A記事だったため何から触れていこうかと迷ったのですが、ちょうどまた、毎回大変丁寧で温かいコメントをいただけるアンさんよりご質問を含むコメをちょうだいしていました。
おさらいにもピッタリですし、まずはそちらから触れさせていただこうと思います。
毎度、ナイス着眼点のコメント、本当にありがたい限りです!
anotherがan+otherということは知識として一応あった状態で読んだネイティブの意見、、
時間スパンとか1ダースとかくらいまでは理解できましたが、「extra」くらいから、着いていけず…
『then another two が then two more(「それからもう二つ」)に負けるという事実』負けるって何ですか?
⇒この辺、ただそのまま翻訳しただけで、めちゃんこ分かりにくくなってる感じでしたね。
まぁ僕も回答者ではないのであくまで自分なりの推測でしかないわけですが、これは利用頻度の話で、ネイティブ的には経験から来る直感として、then another twoという表現は圧倒的にthen two moreより聞かないものである、つまり表現の強さとして負けているわけだが……という話だと思われます。
個人的にはそこも分かりづらかったものの、一番盛んに議論をされていたFumbleFingersさんはずーっと「then another...」という形にこだわっていたけれど、何で「then」付きのものに限定しているんだろう、というのも気になったかもしれません。
でもまぁこれは、Google Booksなんかで利用頻度調査をする際に、つけないと検索が難しいとかそういう事情があったのかな、って感じでしょうかね、恐らく。
ではご質問の続きです。
『君の論理では、「one」は冗長だと主張されているので、then another oneの方がより一般性は低いはずだね(要するに―「then another」だけになってしまうので、多くの例を見逃してしまいかねないということ)。』
…さっぱり。笑
oneは冗長ってどういう意味?
⇒こちらは、このコメント先(対象)のChrisさんが、「『another』単体でもう一つという意味合いになるから…」と書き込まれていたことを受けての話ですね。
Chrisさんの説明だと、anotherだけで「もう一つ(one more)」という意味になるんだから、another oneという表現の場合、oneという意味がダブって変になるはずだよね?それは冗長だから、「then another」だけにならないとおかしいってことだろ?……みたいなことを指摘しているのではないかと思います。
Chrisさんのコメントの「もう一つ」という部分を、記事内では日本語のみにして、oneという英単語が隠れてしまっていたのがややこしさに拍車をかけてしまっていたのかもしれません。
前回の記事の該当部の記述を、one moreという単語も残しておくように変更しておきました。
分かり辛い点のご指摘、どうもありがとうございました、助かります。
ではコメントの最終部、特にご質問があるわけではなかったですが、こちらもご紹介させていただきましょう。
まぁ、挙げればキリがないくらい、ほぼ全部わかりませんでしたけど笑
唯一、
…………
「another three apples(リンゴをもう三個)」と言っても文法的には何の問題もないのだが、実際は「three more apples」と言うことの方が遥かに多いのである。それは、我々が通常、時間の5分のようには、三個のリンゴを単位として考えないことが一因ではないかと思われる。
…………
ここだけめっちゃわかりました。
これだけで良かったんじゃないかと思えるくらいですね笑
とりあえず、紺助さんの総括はまた次回ということなので、このモヤモヤが一気にスカッと晴れるのを期待したいと思います。
⇒正直、一番熱心に議論してくれていたFumbleFingersさんには申し訳ないですけど、Fumbleさんの説明は若干的を射ていない……という程までではないものの、何て言うんでしょうね、あぁ、自分の気になる点とはあんまり関係ない点につっかかって、ちょっとややこしくしてるだけの説明にも思えるなぁ……と感じたのが本音でしたが、アンさんの引用されていた部分は非常に分かりやすく、有益な情報でしたね。
とはいえ元々個人的に気になった点が「anotherが複数形につながることはあるのか?」という話だったため、Fumbleさんの話(=時間軸とそれ以外とか)はほとんど「何だかどうでもいい点につっかかるなぁ」と思えてしまったんですけど、しかしよく見たら質問者さんが質問していたのは「anotherは、時間表現以外の複数形と一緒に使える?」という内容だったため、必ずしもFumbleさんの説明も的外れなものではなかったとは言えるようにも思えます。
少なくとも上記引用部分は、「another three apples」という表現がネイティブにとってやはり全く問題ないものとみなされていること、そして問題はないけれど実際は「three more apples」と言うことの方が遥かに自然であること、さらにその理由付けなんかも提供してくれていたので、これは大変分かりやすくタメになるお話をいただけていました。
ですがやっぱり、個人的にはFumbleさんの説明よりも、スコア的にベストアンサーになっていたStoneyB on hiatusさんの説明の方が遥かに明快で具体例も分かりやすく、なるほど~と思える感じだったかもしれません。
改めてStoneyBさんのポイントを抜粋させていただくと……
・「another+複数形」は、法律文書みたいな徹底した厳密性を求められる場合を除き、全く問題がない。
・学術論文はおろか、1800年代の古典的な文学書でさえ既に使われていたことからも明らか(今時の崩れた表現ではない)といえる。
…という感じで、大元の疑問点であった、「another+複数形が文法的に問題ないって、それはちょっとおかしいだろマッチョメンよぉ!」と、ネイティブに対して徹底抗戦の姿勢を見せていた話、これはどうやらマッチョメンどもは腐ってもインテリマッチョメンだったようで、我々非ネイティブ連合の負けだったといえるのかもしれませんね(笑)。
とはいえしかし、この話について検索した際、WordReferenceでのフォーラム記事がないか調べたかったため、「another plural wordreference」と検索してみたら、フォーラムではなくこのサイトの本業といえる辞書ページがヒットしてきたんですけど(↓)、ここでは、!Be carefulと強調されて、こんな但し書きが記述されていましたね…!
!注意
複数形の可算名詞や不可算名詞の直前で「another」を使ってはならない。例えば、「Another men came into the room」と言ってはいけない。「More men came into the room(さらに別の男たちが部屋に入ってきた)」と言う。
(例文)
We ought to have more police officers.
(もっと警察官を増やすべきだ。)
We need more information.
(もっと情報が必要だ。)
…ほらほら~、やっぱり辞書には、「複数形と一緒にanotherを使うな」って書いてるじゃあないですかぁ~。
まぁ、「直前で」という但し書きは気になるものの、例文ではpolice officersの前もanotherではなくmoreにするよう言われてますから、一瞬「anotherの直後に複数形の名詞が来ると、響きが悪いとかがあるのかな?」とも思えましたけど、police officersという二語でもそのルールは適用されているため、まぁ多少離れていても適用されそう……つまりこれはやっぱり、事実上anotherは複数形と一緒に使っちゃダメってことっしょ、って気もしちゃいますね。
とはいえ、フォーラムのネイティブは皆こぞって「一切問題ない」と言っていたので、結局実際の運用上ではほとんど無視されてるルールといえるのかもしれません。
(一応フォーラムでは、anotherの後に数字を使った表現が来る場合限定の議論であり、まさにこれが先ほどの「直後に複数形の名詞を使ってはいけない」という但し書きに適合する、例外的な話なのかもしれませんけどね。
しかし例の議論になったマッチョメンたちは、そんな但し書きなしで「another+複数形、全く問題なし!」と断言していましたし、やはり印象的には、多くのネイティブは悪びれることなくanotherと複数形をつなげて使ってる気がしちゃいます。)
あぁ、忘れてましたが、前回のフォーラムの回答の一つにあった、「私はこの表現を見たらいつも、『another set (of)』と言っているんだと考えているよ」というのが、非常になるほど~と思えるものでしたねぇ。
「another set of 複数形」なら、anotherが直接かかっているのは単数形の「set」なので、これなら誰からも全く難癖のつけられようのない、平和な解釈といえましょう(まぁ、じゃあsetを省略するなや、とも思えますけど(笑))。
せっかくなので、最後、当初触れようと思っていたanotherの用法について……これは高校で習う使い分けというより、また単数・複数に関する記述のあるものがあったため、それを紹介する目的で、先ほど↑で触れていた検索で出てきたワーリファのQ&A記事(↓)を紹介しておしまいといたしましょう。
割と短い記事だったので、すぐに終わりそうです。
usingenglish(質問者、スペイン語話者):Other/others / Another
こんにちは。
ANOTHERを使わなければならないときと、OTHER /OTHERSを使わなければならないときがよく分からないんだ。どのような違いがあるの?
サンクス
ジーザス
Perdue(英国在住、英国英語話者):
私が考える限り、「another」は単数形でしか使われず、「other/others」は複数形の単語に対して使われるものだね。ひょっとしたら文法のエキスパートが裏付けてくれるかも…?
wishingiwasitalian(アメリカ・バージニア州在住、アメリカ英語話者):
こいつらは扱いづらい単語だね。まず、Anotherは形容詞や代名詞、Otherは形容詞、名詞、副詞、代名詞になり得るよ。Otherは形容詞にも名詞にもなるね。英語って難しいよねー!
「Another」は、前と同じもの、または同じものだけど別のタイプについて話しているときに使おう。
Another:「I am hungry, so I will have another hamburger.(お腹空いているから、ハンバーガーをもう一つ食べよう)」とか「This shirt is too big, I will try another size.(このシャツは大きすぎる、別のサイズを試そう)」 とか。
以前とは違うもの、あるいは同じものの異なる部分について話しているときは、「other」を使おう。「I'm sick of hamburgers. i want something other than beef.(ハンバーガーに飽きちゃった。ビーフ以外のものが食べたいな)」
「i'm done with this book, I want the other book by this author.(この本を読み終えたよ、この作者のもう一冊の本を読みたいね。)」(ここで、other bookとanother bookの違いは、「other book」は本が二冊しかないことを示唆しているけど、「another book」だと複数あることを意味している、という点があるよ)
その他のものが2つ以上ある場合は、Othersを使おう。「I'm done with this book, bring me the others by this author so I can pick one to read.(この本はもう読み終えたから、この作者の他の本を全部持ってきてよ。どれを読むか選べるようにね。)」この場合、the othersは他の本全てが欲しいという意味だね。
Another―もう1つ、どれかは特定しない
Other―持っている1つの他の、唯一のもの
others―持っているもの以外のもの全て…
まだ混乱が続いてるかもしれないけど、お役に立てれば幸いだよ…もし具体的な例があれば、ここに書いてもらえれば、我々が正しいものを使っているかどうかをお教えできるよ!
dragon64(質問者(?)、スペイン語話者):
ご説明、どうもありがとう!
Rover_KE(英国北西部(ランカシャー州ブラックバーン近郊)在住、イギリス英語話者):
こんにちは。
選択肢が1つしかないときは「other」を使うよ:My left foot hurts so I will kick the ball with the other.
(左足が痛いので、もう片方の足でボールを蹴るとしよう。)
複数の選択肢があるときは「another」を使うね:My wedding ring is too tight so I will wear it on another finger.
(結婚指輪がきつすぎるので、別の指にはめるとしよう。)
Rover
まさに教科書通りのanother/other/othersの使い分けでしたが、そちらはともかく、気になる単複について、最初のPerdueさんは、やはり「anotherが使われるのは単数形でのみ」と書かれていますね。
結局、一応そう認識しているネイティブもいるということで、ぶっちゃけ実際はどうなのか僕にはハッキリとは分かりませんが、やっぱり理論上は「an+other」から出来ている語ですし(まぁこれも、ネイティブの意見を聞く限り別にそういうわけでもないのかもしれませんけどね…)、単数形とつなげた方が安全な気がするものの、間違えて「another+複数形」と言ってしまっても、全然気にすることはない、ネイティブはみんな使ってるし……と開き直って全く問題ない話といえる気がしますね。
(ただ、「anotherがan+other」という考えは文形成上では有用な考え方で、既に「a」を含んでいる語であることから、aとtheが同時に出現することは絶対にないように、「the another…」という形になることだけは絶対にあり得ません。
そのミスを避ける上では「アナザーはアン・アザー」と考えるのは役に立つのではないかと思います。)
アイキャッチ画像は例によって全くいいのが思いつきませんでしたが、another oneといえばやはり、ちょうど前回の回答レスでも出てきた「Another One Bites the Dust」、Queenの有名な曲ですけど、この「bite the dust」というフレーズ、楽曲の邦題は「地獄へ道づれ」で、ジョジョ四部に出てくるスタンド・キラークイーン第3の爆弾「バイツァ・ダスト」なんかだと「負けて死ね」という日本語が振られている何とも禍々しい表現ですが(笑)、実際イディオムとしては「to die(死ぬこと)」を意味しているものの、直訳では「転んで、顔から突っ込んで土を食らう」というような感じのフレーズですね。
今回は、件の「another+複数形」の議論はどうもネイティブの「全く問題なし、使ってはいけないルールなど存在しない」の方が正しいようにも思えたため、負けたことを表明するため、バイツァ・ダスト的な、コケたいらすとをお借りするといたしましょう(別に死んではいませんが(笑))。