コメ返信や補足その1-47-2:Anotherに決着を…

途中状態であったご質問コメントに触れていく予定でしたが、ふと、前回の記事で見ていた「another+複数形」の使い方について、結局結論というか他のネイティブの意見はどんなもんなんだろうと気になってきました。

そんなわけで、今回はまた脱線して、「another+複数形」についてのQ&Aフォーラム記事を参照させていただきましょう。


ドンピシャっぽいトピックが見つかりましたが、回答数は3つで、案外短そうに思えたため、本当は「anotherの用法」(高校で習う、other/others/the other/the othersとの違いとか含め)なんかも見ていこうと思っていたのですが、各回答レスへのコメントが地味に尋常じゃなく盛り上がっており、結果トータルではめっちゃんこ長かったので、今回はこちらのQ&A記事を一通り紹介だけして、「面白かった!」で終わろうかと思います(あまりにも長かったので、翻訳引用だけで力尽き、色々書くのが間に合いませんでした(笑))。

 

では、今回は以下のStackExchange記事から引用だけして、続きはまた次回とさせていただきましょう。

 

english.stackexchange.com

user1425(質問者・上位17%に位置する回答者、質問スコア10点):「another」は、期間や測定値を含まない複数形の名詞でも使える?

メリアム=ウェブスターはanotherについて、次のように記述している:

 being one more in addition to one or more of the same kind
 (同じ種類の1つ以上のものに加えて、もう1つ存在すること。)
http://www.merriam-webster.com/dictionary/another

しかし、次のような文章に出くわすことがあるんだ:「I am giving another three books away(もう三冊の本を寄贈することにしている)」「give me another 2 flowers(もう二本の花をください)」など。「give me another 20 minutes(もう20分くれ)」は期間なので問題ないと思うんだけど、「another two books/flowers」はどうなんだろう。文法的に正しいのかな?もう一つ怪しいと思える点としては、辞書で調べてもそういう例文が見当たらないってことがあるね。

 

(この質問レスへのコメント:user21497、コメントスコア2点)
私なら、anotherone more(もう一つ)という意味で使うから、another 3ではなく、Give me three more, pleaseと言うだろうね。

 

(この質問レスへのコメント:tchrist(上位0.04%に位置する超優良回答者・モデレーター))

うん、あなたの例文はどれも全く問題ないよ―正しい文脈であればね。

 

(この質問レスへのコメント:FumbleFingers(上位0.03%に位置する超優良回答者)、コメントスコア1点)

これは魅力的な質問だね(まあ、私が答えたのだから、そう思うのは当然かな?)。another+複数形の使用に反発するものの偏りはあるように思えるけれど、その「免除」は時間スパンに関するものだけなのかは分からないね。「I'll take another dozen roses, please(バラをもう1ダースください)」はちょっとズルいけど、another+丸めた数字も「許容範囲内」に思えるかな、自分には。

 

(この質問レスへのコメント:Chris(上位17%に位置する回答者))

「another」単体でone more(もう一つ)という意味合いになるから、混乱してしまっているのではないかな。特定された他の数字については、用法に制限なんてないよ。これは「extra(余分な)」という意味であり、「one extra(一つ余計に)」という意味に縛られているわけではないんだ。

 

(この質問レスへのコメント:FumbleFingers(コメントスコア1点))

@Chirsさんへ:もしかしたら、君は用法に「制限」がないと思っているのかもしれないけど、だからといって、then another two then two more(「それからもう二つ」)に負けるという事実は変わらないよね。たとえthen another one then one more(「それからもう一つ」)より一般的であるとしても。私からしたら、「複数性」によって使い方はまさに違ってくると思えるね。君の論理では、「one」は冗長だと主張されているので、then another oneの方がより一般性は低くなるはずだよね(要するに―「then another」だけになってしまうので、多くの例を見逃してしまうであろうということ)。

 

(この質問レスへのコメント:Chris

@FumbleFingersさんへ:重箱の隅をつつけば、微妙さってのはあちこちにあるのは間違いないね。でもそれ単体では、全くないんじゃないかな、と思うけど。「another one」の中の「one」が冗長になっているという点に関しては、より具体的になっているというだけだよ。He had five drinks, then another and then yet another.(彼は5杯飲んだ後、もう1杯、さらにもう1杯と飲んだ。)「Another one」は、文の流れの問題で読みやすく・聞こえやすくなる文脈があるってこともあるね。ちょうど「another one bites the dust」という言葉を使った歌とか、文全体としての「another one」の場合みたいにね。「two more」を使うと、類似性が引き出されるよ。having two moreをした後は、どれがどれだかわからなくなるけど、having another twoなら、取ったものは区別がつくね。

 

(この質問レスへのコメント:Kris(上位0.38%に位置する超優良回答者))


このanotherの出現について、私はいつもanother set (of)(別のセット(の))という意味として捉えているよ―だから、均質なグループへの言及である場合には、これは正しいといえるね。

 

(この質問レスへのコメント:FumbleFingers(コメントスコア1点))

@Chrisさんへ:私は「重箱の隅をつついて」微妙さを示しているわけではないよ―私がおこなったのは、時間スパンに関する表現が他のanother+複数形の用法(実際に、これは多くの人が避けているように思えるね)よりも比較的頻繁に発生する(そして暗に、より「許容」されているといえる)…という質問主さんの提案を裏付ける、使用統計情報を見出しただけだね。「流れの問題」がこの使用法の偏りの重要な要因であるという君の考えは、私にはあり得ないように思えてしまうかな。


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最高評価アンサーStoneyB on hiatus(上位0.15%に位置する超優良回答者、回答スコア10点):

この言葉は、最上級にフォーマルな文脈を除いて、全く問題がない。法律や外交の文章であれば、どんなにこじつけに思えるものでも曖昧さを回避せねばならないので、ほぼ間違いなく使われないであろう;しかし、それ以下の制限のものに関しては、全く問題ない。例えば、Jon B. Shermanによる『The Magician in Medieval German Literature(中世ドイツ文学における魔術師)』(イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校、2008年)という極めて学術的なテキストにある脚注を見てみよう:

 Thorndike eventually continued his work, adding another three books that investigated the post medieval period up to the seventeenth century.
(ソーンダイクは結局その仕事を続け、中世以降17世紀までを調査した別の三冊を加えた。)

そしてこれは、近代の下品な言葉でもない。以下は、 William Burt Harlow著『An Introduction to Early English Literature(初期英文学入門)』1884年、p.132からの抜粋である:

 By 1595 he had completed another three books of the "Faery Queen."
(1595年までに、彼はさらに三冊の「Faery Queen」を完成させた。)

(この使い方は、threes of others(もう3冊)に限ったことではないことを付け加えておく―「another three」は、Google検索ワードにすぎない。)

 

(このレスへのコメント:user1425(質問者・コメントスコア1点))

ここで指摘しておきたいことは、「another three centuries(もう三世紀)」という期間は、何か単数的なものとして捉えられているものだ、ということだね。「Another three months of delay(もう三ヶ月の遅れ)」も同じカテゴリーに入るかな。私自身、このカテゴリーからの例を質問文の中に含めているよ。

 

(このレスへのコメント:user21497

『近代の下品な言葉でもない』(ほとんどふざけてらっしゃるけど:)その通りだね。伝統のある下品な言葉だから、今現在使っても全く問題ないよね。これだから言語使用の歴史論は好きなんだ :-)

 

(このレスへのコメント:StoneyB on hiatus(レス投稿主))

同意するよ。新しい引用を紹介しておいたよ。ここでは単に、辞書ではなく、実際の使用というものが最終的な権威であることを言いたかっただけだね。
(※注:どうやら、↑のベストアンサーの投稿文・最初のバージョンでは、違う文章が引用されていたようですね。上記の文は、編集後のもののようです。)

 

(このレスへのコメント:StoneyB on hiatus(レス投稿主))

@BillFrankeさんへ(※注:恐らくBillさんはすでに退会済みなので、上記のコメントにはもうハンドルネームが反映されていなかった感じでしょうか。user21497さんへの返事と思われます。)しかし、私は個人的に「post medieval(ポスト中世)」という言葉は現代の下品な言い回しだと考えている…と告白せねばなるまいね。

 

(このレスへのコメント:user21497

@StoneyBさんへ: 考古学者によって発掘された言葉としては悪くないと思うな。少なくとも一貫してラテン語だし。

 

(このレスへのコメント:FumbleFingers

法律や外交文書が避けようとしている「曖昧さの可能性」というのがよく分からない。彼らがanother+複数形を滅多使わないことの唯一の理由は、きっと、それが比較的新しい構造で、まだ着実に普及しきっていないからであろう。法学・外交・学術の文章では、確立された形式を長いこと使う傾向があるが、それは彼らが本質的に伝統主義者だからであって、それによって曖昧さが回避されるわけではないように思う。

 

(このレスへのコメント:StoneyB on hiatus(レス投稿主))

@FumbleFingersさん、彼らが保守的なのは、伝統主義者だからではなく、「if it ain't broke don't fix it(壊れていないなら直すな)」という原則に基づくからである。契約や法律で「another」と書いたら、相手の弁護士が辞書の定義を指して、複数の他のものを指すとは受け取れない、もっと包括的な意味を意図していたなら、貴殿は「(ここには定型用語であれば何でも入る)」と書くべきであった…などと言われかねない。

 

(このレスへのコメント:FumbleFingers

@StoneyBさんへ:質問主さんはanother+数字について具体的に尋ねているのだから、あなたの例は関係ないよね。その特定の数字が他のいくつのものに相当するかについて曖昧さがあるだなんて、最も巧妙な弁護士であろうと主張することなどできないのではなかろうか。

 

(このレスへのコメント:StoneyB on hiatus(レス投稿主))

@FumbleFingersさん、しかし、弁護士は、このような状況下では、この条項は自己矛盾しているか、意味がないなどと主張することができるかもしれない:「この条文はanother three books(あと3冊)を要求しているが、依頼人の当初の納品は4冊であり、したがって「other」three(「あと」3冊)は存在しない。この条項を適用するつもりなら、彼はthree more booksと書くべきだったのである」。疑惑的であることは間違いない。しかし、だからこそ、自分で契約書を書くのではなく、弁護士に契約書の作成を依頼するのであり、この問題で負けた場合には、弁護士を背任行為で訴えることができるのである。


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Gnawme(上位0.35%に位置する超優良回答者、回答スコア2点):

この形でanotherを使えば、よく使われる英語の言い回しができる。

マクミラン辞書によると:

 another two/ten/hundred など。

 used for saying how many more people or things there are
 (あといくつの人々や物事があるかを述べる意味で使われる。)

anotherの後に続くものの数に迷ったら、マクミランは引用したリンクの中でこんな用法を記述している:

 Anotherは次のように使うことができる:

 決定詞として(単数可算名詞が続く):Can I have another glass of water, please?(水のおかわりをお願いします。)

 代名詞として(名詞を伴わない):We're changing from one system to another.(あるシステムから別のシステムに変更している)。(その後に "of "が続くと): I have another of his books somewhere.(彼の本をもう一冊どこかに持っている)

これで、コメントでお尋ねになっていた疑問が解消されていればいいのだけど。

 

(このレスへのコメント:user1425(質問者))

確かに、そのような例が挙げられているね:Another 200 nurses are needed in local hospitals.(地域病院では、さらに200人の看護師が必要である。)では、これはどうだろう:(Some)other 200 nurses are needed in local hospitals. 

 

(このレスへのコメント:FumbleFingers

@user1425さんへ: 過剰な分析は禁物である。anotherというのは時に、本当に「an extra(余分な一つ)」という意味でしかないこともある。

 

(このレスへのコメント:user1425(質問者))

でも、ご指摘のように、私は数字と使われたときのことだけを考えているよ。いずれにせよ、いい構造ではないと思えるけどね:Another nurses are needed……という表現は。

  

(このレスへのコメント:Gnawme(レス投稿主))

@user1425さんへ: 回答を拡大しておいたのでご覧いただきたい;これは単数の可算名詞が必要なケースだね:Another nurse is needed. 


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FumbleFingers(回答スコア1点):

質問主さんに同意だ:then another one は「普通」に思える。then one more と同じくらい一般的に……

enter image description here


…が一方、then another two はあまりしっくり来ない。平均すると、我々は間違いなくそれを避けているといえる…

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また、この文脈では、例えば時間スパンの表現は「一つの単位」として扱われ得るのではないかという質問主さんの意見は正しいとも思う。「I'll be ready in another five minutes(あと5分で準備できる)」と言えば、「1分の5倍の時間」ではなく、その長さの期間というものを考えているわけだ。

Googleブックスでは、then another five minutes は2590件ヒットするが、then five more minutes は192件しかヒットしないので、明らかにanother+複数形に対するおなじみの強いバイアスは、時間スパンの表現には当てはまらないんだね。

個人的にこれは、実際の「文法的な問題」が関わるものではないと思う―BBC World ServiceのMichael Swan教授によると…

 anotherについては、一つだけ奇妙なことがあります。数字を伴うことで、複数形の表現の前にで用いることができるのです。

簡単に言うと、八百屋さんに「another three apples(リンゴをもう三個)」と言っても文法的には何の問題もないのだが、実際は「three more apples」と言うことの方が遥かに多いのである。それは、我々が通常、時間の5分のようには、三個のリンゴを単位として考えないことが一因ではないかと思われる。

 

(このレスへのコメント:StoneyB on hiatus(コメントスコア1点))

Googleブックスが最初のページの一番上に表示する数字は信用できない。A) 時に応じて、一貫性のない数字が表示される―私が見た数字は6,230と321であった。B) 何をカウントしているのか明確でない。私はいつも表示された最後のページに行き、そこにある数字が報告されたヒットの数を示すと見ている。この場合、それは43と25であった。

 

(このレスへのコメント:FumbleFingers(レス投稿主、コメントスコア1点))
@StoneyBさんへ:ええ、数字の絶対値が信頼できないことは承知しているよ。でも、彼らが指し示す方向性は真実だから、個人的にはそれを使うことは全くやぶさかではないんだ。ten minutesでもtwo daysでも同じ一方向に偏るし、four applesでもseven packetsでも反対方向になっているよ。だから、細事にこだわり大事を逸してはいけないということだね。

 

(このレスへのコメント:StoneyB on hiatus

承知した;でも、12や20対1と2対1とでは大きな違いがあるよね。そして、実際に引用された部分を一つ一つ見てみない限り、自分の念頭に置いていない文脈の要因を見つけることは不可能なのではなかろうか。 

 

(このレスへのコメント:FumbleFingers(レス投稿主))

@StoneyBさんへ:私は統計学者ではないけれど、分布のパターンを認識することは日々の仕事の一部となっているんだ。「複数化した時間スパン」は、anotherがあると比較的多く発生するのは明らかだと思えるよ。例えば、another five minutes(あと5分)はfive more minutes five minutes more足し合わせたものより2倍の頻度で出現するようなんだ。他の要因は、この大きな偏りに比べれば、ごくわずかなものである可能性が大きかろう。特に、then another seven(これは時間スパンの表現とはほとんど関連することがなさそう)が、then seven moreより遥かに出現頻度が小さいということを考慮すればなおさらだね。私には、単純に君の本質的なポイントが理解できないよ。

 

(このレスへのコメント:StoneyB on hiatus

A:Bの比率だけでは解決できない疑問もあるよね:誰がBよりAを用いるのだろう?方言、年齢、教育によって異なる集団なのかな?どのような意味的文脈で、彼らはBではなくAを使うのだろうか?どのような社会的文脈、あるいはどのような言語体系で?AとBの間に意味上の区別があると認識されているのか?――AがBより多くても、それ自体ではあまり意味がなく、さらに、比率が小さいほど意味がないよね。

 

(このレスへのコメント:FumbleFingers(レス投稿主))

@StoneyBさんへ:時間スパンを用いた意味上の文脈では、他の「複数形」の文脈よりも、「another」を見ることが比較的多いということについては、個人的には決定的に立証したと思っているよ。この傾向は「方言、年齢、教育」に影響されるのかもしれないし、私が気づいていない他の傾向も実際にあるのかもしれない。しかし、少なくとも私は質問主さんの質問に答えようとしたのであって、「全ての用法は文法的には問題ない」として一蹴するような、こういった場でよく他の回答に見られるような真似はしなかったつもりだよ。

 

それではこの大変興味深かったけれどあまりにも長かったQ&A記事の総括から、また次回とさせていただきましょう……。

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