コメ返信や補足その1-48-8:やっぱりネイティブもあんまり分かってないんかいな!

それでは前回、辞書の定義に立ち返ることでポイントが見えてきた気がする、英語における色の名前の使い方の話をまとめていきましょう。

改めて、結論的なものとしては、辞書で認められているような使い方以外、普通は色の名前をもってして指したいモノそのものを呼ぶことはしないと思われる、って感じですね。

もちろん、そう使っても言わんとしていることの意味は一応伝わるようには思いますけど、「何か変な言い方だね」と思われる可能性が高い、という形でしょうか。


日本語での似たような例を考えてみましたが、例えば何か対人のチームサバイバルゲームみたいなのをしているとして、頼れる味方のリーダーから、「君は若さを優先して倒してくれ。俺は背の高さから順にやっつけていくから」と言われたとしたら、「(いや一瞬意味分からんかったけど、『若い人を優先して』『背の高い方から』ってことか。何か変な言い方っすね…。一応同じ名詞で文法的には正しい使い方かもだけど、倒すのは『若さ』じゃなくて、『若い人』なわけだし…)」と、意味はまぁ分かるもののかなり違和感があるし、もしかしてこのリーダー、日本語ネイティブの人じゃないのかな?と思えるのではないかと思えますが、それに近いような気がする、って感じですかね。


例えば(これはこないだも書いたことの焼き直しですが)、青あざが3つも出来たことを言いたくて「I've got three blues.」と言った場合(まぁ青あざは普通bruiseと呼ぶというのは置いておいて、完全に真っ青な青あざで、「青」と呼ぶにあまりにも相応しい状況でそう言いたくなったとしても)、

「ん?3色の青が含まれる何かを手にしたってこと?…と思ったら、blue spotsが3つできたってことなのか。まぁ言わんとしたいことは状況を見れば分かるけれど、3つあるのは『blue』という色の種類っていうより『spots』なわけだし、何か変なというか、普通我々ネイティブならしない、面白い言い回しだね」

と思われる可能性がとても高いのではないかな、という感じでしょうか。

(前回見ていたオックスフォード辞書によると、オーストラリア英語だと数えられる名詞のblueには「失敗」や「喧嘩」という意味があるようなので、オーストラリアでそう言った場合、普通は「3つも失敗してもうた!」みたいな意味でまず捉えられる可能性が高い、という話ですね。)

 

とはいえ、これも前回書いていたことの繰り返しになりますが、なぜgoldはそれだけでメダルを表せるし、redはそれだけで赤ワインを表せるのかというと、それはあまりにその色がその物質のアイデンティティであるとか、身近で多く使われる場面があったからこそ、辞書にも収録されるぐらいになった…とかそういう話が背景にあってのことだと思えますから、結局、「色でその物体そのものを指し表せるかどうか」は、「そのように言う人がどのぐらい沢山いるのか」ってのがポイントに思うので、時代や人の流行語が変わればまた、いつか変わっていく(=色名で表されるモノが増えていく)こともあるのかもしれませんね。

 

そもそも辞書が全てではないのも先述の通りで、金ピカボールの例は僕が勝手に書いていた話でしたけど、あの例のように、身内・仲間内でもう「ゴールドといえばこれ」「レッドといえばあれ」みたいな総意が取れているような場合は、goldsと言うことで「『例の金ピカのそれ』が複数あること」を表すこともあるんじゃないかな…とは思えるものの、やはり改めて、それを世間一般で言っても中々通じない、いわば家庭内専用の用語みたいなものになっている、という感じではないかと思われます。


なので逆に、あえてそういう表現を使うのは、「面白い言い回し」として、カタコト面白外人的なニュアンスをもしかしたら出せるかもしれず、意外と使ってみたら受ける可能性も、なきにしもあらずといえるのかもしれません。

(とはいえその辺の「英語の音の響き」は僕には分からないので、単に「何言ってんだコイツ……発音だけじゃなく、文法もめちゃくちゃやんけ!」と思われるのがオチかもしれませんけどね(笑))

 

…という前回からのまとめを踏まえて、前回貼るだけ貼って触れていなかった部分のご質問だけ改めておさらいしていこう……と思ったのですが、ちょうどピンポイントなタイミングで、アンさんより前回の記事に対してのコメントが送られてきました。

こちらを見るに、アンさんも無事にかなりスッキリされたようなので、前回のご質問はもう基本的に解決という感じで、今回はこちらその新しいコメントの方に触れさせていただくといたしましょう。

毎回大変丁寧なコメント、誠にありがとうございます…!

 

なんと!!orangeに、オレンジ色という色を表す意味以外に、当然(そう思って考えてみれば、ですが)可算名詞である果物のオレンジ・みかんという意味があるように、goldもその人次第のイメージでなく「金メダル」という意味があるんですか?!

これはびっくりですねぇ…!いや、別にびっくりするようなことではないんですけど、、この一言で、絶対理解できないと思っていた色の複数形が、完璧にわかった!とは言いませんが、あんなに前も後ろも見えなくなっていたモヤが、あっさり晴れてくれたので(どんだけ拘ってたんだ?って感じですが)…ほんとに、今回は引っかかる部分もなく、スッキリっていう感じで、とても嬉しいです。


言われてみれば、redsを漠然とどんな風に使うことがあるのかと思ってググってみた時に、赤色の種類(いわゆる「様々な赤」)を表している場合がほとんどだったのですが(浦和レッズも出てきました笑).、それは一応わかってるのよ…そうでなくって、、と思っていろいろ見ていたら、Half off Chilean reds(チリ産の赤ワインが半額 )っていう例文がありましたねぇ。「なんで赤ワインなんだろう?ネイティブは赤でまずワインをイメージするのかな?この感覚は私にはわからんわ。」と思って、スルーしていましたが、、 redに赤ワインっていう意味があったんですね。なるほど。改めてびっくり。

ただ、「赤ワイン」は載っていないサイトもあり、(日本では?)それほどメジャーな感じでもないのかな?という印象です。


ちなみに、

赤ワインや白ワインを指しての「We have two reds and three whites.」は、coffeeやteaと同じ感じでこの場合は可算名詞として複数形で使うけれども、基本は不可算名詞(「two glasses of red」のように表す)という理解で大丈夫ですか?

(Chilean redsが複数形になっていたのでちょっと気になりましたが、half offに関係してる?と思い込むことにしました笑)

 

あと、1点だけ…

「金でできたお金や宝石、銀製の食器、美しいオブジェなど、銀または銀に似た金属でできた硬貨」、、その辺りの金銀製品が不可算名詞となっていましたが、これはどういった考え方ですか?メダルはもちろん、硬貨や紙幣、リングや食器やオブジェも、数えられるように思えますが…?

 

という感じで、

途中もう諦めかけていましたが、(私自身のことでしたら)当然不快な思いなど微塵も感じておらず、寧ろ最後まで根気強くお付き合いいただき解説いただけたことに感謝しか御座いません。

ちょっと回り道したことで、自分でも掘り下げていろいろ考えてみることができましたし(結果、謎のままでしたけど笑)、めちゃくちゃ勉強になりました。


⇒今回も一気に貼り付けさせていただきましたが、順番に振り返っていくと、やっぱり、「『gold=メダル』は、辞書にもある用法であった。なので、金は特別」という話は極めて腑に落ちる感じで、スッキリご納得いただけたようで何よりでした。

そもそも途中やや勝手な考えの説明を挟んでしまったのが最大の混乱要因だったため、ご迷惑をおかけしたのには間違いないのですが、実際そんな感じで僕自身も非常にタメになる話で面白かったです。

改めて、ナイス着眼点のご質問、感謝感激の至りにございます。


続いての赤ワインですが、日本語辞書・解説でもやはり紹介されていた形でしたか。

と思いきや載っていないこともあるとのことで、確かに、検索トップで出てくるWeblio辞書には、赤ワインは載っていなかったですね。

まさにおっしゃる通りで、日本は欧米に比べワインがそこまで身近でもないため、割愛されているのかもしれません。


一方英語ネイティブの辞書であれば、メリアム=ウェブスター辞書には当然一つの項目として「ワインのこと」と掲載されており、ケンブリッジ辞書は、項目ではなく例文にしか登場していなかったものの、そもそもケンブリッジ辞書は発音記号や可算不可算といった情報はしっかり掲載してくれているものの、単語の定義は割とあっさりしている感じなので、こいつはあんまり網羅的ではない感じかもしれず(使える時は毎度「伝統と信頼の…」とか言ってて調子いいにも程がありますけど(笑))……とはいえこちらも一応例文には出て来ていたので、やはり英語圏では、「redといえばワイン」ぐらいに身近な物質と考えて良さそうですね。

 

その次の段落の、reds複数形に関するご質問ですが、これはまさにそういうこと(=coffeeとかと同じ)じゃないかな、と思います。

two redsなどと言った場合は、形のない液体のワインではなく、もう、グラスあるいはボトルに入ったあの赤い液体、形ある1本2本…と数えられるものとして発言者の頭の中にはイメージされているように思われます。


その意味で、redは赤という原義から、その色を持ったワインの意味をもち、さらにそのワインというのはグラスに注がれたものやボトルに入って形あるものとしてしばしば思い描かれる…ということで、何ステップも意味が発展している高度な使い方だといえるのかもしれませんね。

もちろん、two glasses of redという場合のredは、形を持たない不可算名詞・赤ワインという液体を意味する使われ方なので、これは可算不可算どちらもある単語ってことですね。


お示しいただいた例文の「チリレッズ」について、これは半額うんぬんは恐らく全く関係なく、この文脈で描かれているのは当然、「店の売り物のボトルに入ったワイン」を思い描いているわけで、半額なのはある1本のみ(や数えられない不定形の液体ワイン)ではなく、店に並んでいるセール品の赤ワインどれもがそうだといえるわけですから、その意味で(=これも、もうビンに入って形ある1つのそれを「a red」と呼ぶ形で)複数形のreds(赤ワインたち)という使われ方になっているように思います。

 

…とはいえ、本当にネイティブの頭の中はそういう思考になっていると断言していいんだろうか、ここ最近、適当に書いた説明が間違っていることがよくあったぞ……と不安に思えてきたんですが、そう思っていた時にちょうど、帰り支度をしながら暇そうにしているジョンが目につきました(こちらは実在する、同じ研究室のマルコメ・ジョンですね(笑))。

正直、これ以上新規の質問をするのも申し訳ないというか、下手したら「何をそんなに英文法に入れ込んでるの?まさか、何かブログとかで不特定多数に伝えた情報を公開とかしてるの?」とか聞かれそうでちょっと気が引けるのですが(…ってそんな具体的なことを聞かれるわけがないというか、ジョンはそういう詮索も絶対にしなければ鋭さみたいなものの欠片もない、心配無用の男なんですけどね(笑))、まぁこれはこないだのcoffees/juiceの続きってことで、再度聞くのも自然だろと思えたので、簡単に質問をしてみました。


口頭なので、内容を完全に覚えているわけではないですけど、大体こんなやり取りだった感じです。

紺「こないだのtwo coffeesだけどさ、coffeeって形を持たない液体で、そもそも数えられない名詞じゃん?でもtwo coffeesと言う…って話だったけど、そう言っている場合、ネイティブの頭の中には、two glassesとかtwo cupsとか、そういうイメージを思い描いた上でcoffeesと複数形にしてるんかい?」


ジョン『two coffees...うーん、two coffeeでもいいけどね』


「え、そうなん?(結局two coffeeでもいいのかよ!)でもまぁ、こないだはtwo coffeesって言ってたけど…」


『そんなのどっちでもいいよ。あまりにも些細なことだから、本当に誰も気にしてないって。もし分からなかったら聞き直されるだろうしね』


「うーん、そんなもんか…。まぁとりあえず、two coffeesとも言うって話だったけど、その場合、頭の中のイメージとして、やっぱりカップみたいなものが2つあるイメージで、その上でコーヒーにsを付けてるってこと?」


『うーむ…two coffees…(何度かつぶやきながら)……別に特に何をイメージするってこともないけど…』


「えぇ、そんなもんなの?!いや日本語には複数形という概念がないから全くイメージできないんだけど、聞いた話では、英語ネイティブには数の概念が沁みついていて、当たり前のように名詞を口にするたび頭に個数の概念が浮かんでいる…ってことで、そうかなと思ってたんだけど…」


『まぁ自分はネイティブだけど、ぶっちゃけよく分からず適当に使ってるよ。Two coffees, two coffee……うん、どちらも言うかな。全く違いは分からない』


「はぇ~、そんなもんなんかいな。でも、やっぱり、two coffeesと言った場合、通常は不可算名詞のコーヒーが複数形になってるわけで、2つの形あるカップとかをイメージしてるもんじゃないんかな?そもそもcoffeeという単語そのものは数えられないでしょ?」


『それはそうだね、uncountableだね。でも、two coffees, two coffee……two cups of coffee……まぁどれも言うけど、別に違いは感じないよ。聞いてる方も、全く同じと思うはず』


「なるほどぉ…。ところで関連して、redという単語がred wineを意味するという情報を見かけたんだけど、そうだよね?」


『そうだね、redはred wineの意味で使われるね』


「これはcoffeeと同じで、複数形ならsがついて、two red winesって形になるのでいいんかな?(※最初、口が滑ってwinesで聞いてしまいました)」


『two red wines...うーん、これはtwo red wineって言うのが普通に感じるかなぁ。two orange juiceみたく』


「あぁ、オレンジジュースと同じで、単数しかつながらない気がする(理由は不明)って感じなのか……。(質問のポイントがずれていたことに気付き)いやでも、redでred wineの意味って話だったけど、two redsとかは?」


『Two reds...あぁ、それはめちゃくちゃ普通に言うね。Two reds, three whites...』


「おぉやっぱり!で、そう言った場合、これもやっぱり形のあるtwo glasses of redとかtwo bottles of redとか、そういうイメージを持って言ってるってことにぁならんのけ?」


『まぁ状況とかその店次第な話だけど、そう言われれば、2本のグラスなりボトルなりをイメージしてるとも言えるかもね。特にまぁ、書き言葉ならそうな気もするような…(スマホの時計チラッ)』


「(何かもう帰りたそうで、面倒くせぇからそうしとこみたいにも思えるけど…)なるほどねぇ~、こりゃどうもサンクス!」

 

…という感じで、一応「two reds」という言い方の背景には「two glasses/bottles of red wine」というイメージがあるというのは(半ば無理やり、おざなりに(笑))了承が取れましたが、個人的にはやはり、ネイティブも、単数複数は割と適当・なあなあに使っているというのがかなり印象的な感じでしたねぇ~。

マーク・ピーターセンさんやミントンさんの話を見るに、ネイティブの脳内思考はもう数の概念が完全にベースとして備わっていて、英語を話す際は確実にその名詞の数というものを常に意識していると思い込んでいたんですけど、案外そんなこともなさそうで驚きです。

 

…まぁ実際、英語に関する本を書くぐらい言葉に敏感でしっかり使っている人はそうなのかもしれないものの、一般の人は案外言葉なんてかなり適当に使っているだけなのかもしれない…というのは、英語に限らず、普通に日本語でもそんなもんなのかな……とも、よく考えたら思えてくる話だったかもしれません。

若干ハッキリしない形になってしまいましたが(結局、two coffeeでも別にいいと思うよ、マジで誰もそんなの気にしてないから、的なのもありましたしね)、ネイティブですら実は数(単数複数)の概念がよく分かってないくさいぞ、ということを知れたのは、結構な収穫といえるのではないでしょうか(笑)。

 

…あっと、実は帰りたそうにしている気がして話を切り上げてからも、別にただ時間を見ていただけですぐ帰るわけではなかったようで何気に少し話は続いていたのですが(ちなみに本日アメリカはサンクスギビングデイという、独立記念日とクリスマスに次ぐ国民的行事といえる、盛大な祝日でした)、一つ面白い話があったのを忘れていました!


最後まとめとして、こんな質問もしていたので、せっかくなので触れておきましょう。

「two coffeesやthree redsは自然だと思うのに、two orange juiceは単数形にこだわるのは面白いね。あ、じゃあwaterは?例えば(横に置いてあったビーカーを指して)このビーカー2つに水を汲んだとして、two watersは言う?」


『それは絶対に言わない。two waterで、sはつかないね』


「ほ~ん、あえて言うならtwo beakers of waterとかであって、two watersには決してならない……オレンジジュースと似たような感じってことかな」


『そんな感じだね』

 

ということで、例によって理由は不明であるものの、複数形でいえる液体といえない液体がある、というのも面白い点でした。

 

大分長くなっているので最後、ラストのご質問は簡単に触れておきますと、silverやgoldの食器や装飾品がなぜ不可算なのか、これはまさしく「furniture」なんかと同じく、集合名詞ってやつだからだと思います。

furnitureも、家具はタンスやテーブルや色々あるじゃんと思えるものの、こいつは家具の総体を指した言葉なので不可算なんです……という罠のような単語と全く同じで、銀食器や装飾品、個別には色々あれど、それらを「silver」と呼ぶ時は、銀器全般を指している、って話ですね。

これはジョンには直接聞きませんでしたが、これも先ほど上で書いていた話を総合すると、「何でやねん」って思ってるネイティブも、もしかしたらいるのかもしれませんね(笑)。

 

それではまた次回以降、途中状態のコメントに戻っていこうと思います。

アイキャッチ画像は、赤ワインかビーカーかで迷いましたが、折衷案で、実験器具にも見える気がする(ビーカーではなくフラスコに見えますが(笑))、デキャンタに入っているワインのいらすとをお借りしましょう。

ワインにもビーカーにも見えない微妙な感じになっただけかもしれませんが(笑)、そもそもデキャンタって何やねんという点は、検索したら出てきたアサヒグループのワイン専門系列・エノテカ解説サイトにあった通り、ワインが美味しくなる魔法のような入れ物とということで、知らないことを知れてタメになったのでヨシとしておこうと思います(笑)。

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