コメ返信や補足その1-49-17:theが付くと「全部」なの?

Japaneseという英単語の使い方についての記事でいただいていたご質問コメント、前回は途中まで見ていました。

早速続きに参りましょう。

前回まだ触れていなかった、該当部分から再掲しておきます。

 

唯一、Flaterさんの意見は、納得できるとまではないものの、言わんとすることはわかる部分もありました。

……………

一人の国民を指す名詞と、全ての国民を指す名詞を混同しているのでは?この2つは、仮にたまたまスペルが同じであっても、私が知る限り文法的には何の関連もないものだよ。

……………

Japaneseが、自分のこと(または他人であっても誰か1人のこと)を日本人という場合と、「日本人は納豆を食べる」みたいに一般的な日本国籍の人のことをいう場合で、文法的にも全く違う扱いっていうことを言ってるんですかね?

もしそうだとして、何が違うんですか?


Japanese

a  Japanese

the  Japanese

それぞれどういう時に使うのが正解で、その理由は?

(前回質問した内容と被るかもしれませんが…)


彼らはアメリカ人です

They are Americans.(複数形で-sになる)

彼らは日本人です

They are Japanese.(複数形だけど-sはつかない。 Japaneseの最後が-seっていう発音だから?)


彼はアメリカ人です

He is an American.(単数形でan American)

彼は日本人です

He is Japanese.(単数形だけどaはつかない?)


Americans learn American football.

アメリカ人はアメフトを習います

The Japanese learn judo.

日本人は柔道を習います


↑一般的な国民をいう場合、

アメリカ人はAmericans(複数形?)で、

日本人はthe  Japanese(複数形??)

文法的な扱いはともかく、こんな感じでしょうか?

 

いやもう、挙げればキリがないくらい、謎だらけでした。

「…それで?何が言いたいの?」っていう感じで、しかも、いろんな意見があって「あぁ、そーなの?」って思っても、それを否定して違うことを言っている人もいて…結論が全く見えないです。

とりあえず、結論教えてください笑

 

⇒Flaterさんの書き込みは概ねアンさんの記述された通りの主張だと思います。


ご質問の「違い」としては、Japaneseはたまたま単複同形なので違いが分かりにくいものの、例えばロシア人の場合は、「Russian」という単語はどうやら「The Russian」でロシア人全体を指すことは絶対にないそうで(必ず「The Russians」となる)、単数形と複数形は意味的に明確に異なり、ゆえに(Japaneseのようにたまたま同じものもあるけど)文法的にも別個のものとして考えるべきだろう……ってのがFlaterさんのポイントだと思いますが…

(なので、SE記事コメントでの「a Finnishとは決して言わないのは、Finnishが名詞ではないからだ」という対立意見のPeterさんの主張に対し、Flaterさんはここで「名詞として『フィンランド人』という定義が辞書に載っていないだけであり、名詞的形容詞=the Finnishという形ならフィンランド人全体を指すんだから、その考え方はおかしい。単純に一人を指すのと国民全体を指すのとでは、用法が違うだけだ」と反論していた、って感じですね)

…まぁ正直細かすぎる違いで我々非英語話者にはイマイチピンと来ない……というよりぶっちゃけ「どうでもえぇわい」としか思えない話な気もしちゃいますね(笑)。


その辺の抽象的な文法議論はともかく、具体的な各語の用法に戻ると、

Japanese

a  Japanese

the  Japanese

それぞれどういう時に使うのが正解で、その理由は?

…については、こんな感じ(↓)ですかね。

  • Japanese:裸だから何ともいえないけど(言うまでもなく、文脈で役割が決まる)、基本的には形容詞として使うのが安全そう
    (日本の○○(「a Japanese restaurant=日本食のレストラン」とか、「Japanese players=日本の選手たち」とか)や、それ単独で「日本生まれの」という意味、つまり主語の状態を描写する形容詞として用いる→「I'm Japanese.=私は日本人です」のが良さそう。)

  • a Japanese:これ単独で「一人の日本人」を指すのは絶対にやめた方がいい(というのが、一連の色々見ていた話の総合結論ですね)。
    これを使う場合は、次に名詞をつなげて、Japaneseを形容詞化すべし(まさに先ほどの日本食レストランとか、その他何でも「とある一つの日本の○○」って意味ですね)。

  • the Japanese:(名詞的形容詞とか、一方でFlaterさんは名詞と結論付けていたことからも分かるようにネイティブの間でも議論が白熱して統一見解にならないようなので)そういう細かい文法事項はともかく、基本的に「日本人全員」を指す
    (もちろん後ろに何か名詞がつながったら、これも「日本人」という名詞的な意味からいきなり単純な形容詞に変わって「日本の○○」という意味になるけれど、theが付いている時点で「余す所なく全ての日本○○」という意味になる点にも注意。
     例:「the Japanese products」=「全ての日本製品(車だろうと、衣服だろうと、漫画だろうと、あらゆる日本の生産物)」という形になるので、カジュアルに「日本製品」と言いたいような多くの文脈では、theがない方が自然ではないかと思います。)


それを踏まえてご質問コメントでいただいた例文の、まずは日本人に関する方だけを見ていくと…

彼らは日本人です

They are Japanese.(複数形だけど-sはつかない。 Japaneseの最後が-seっていう発音だから?)

⇒これは全く問題ないと思いますが、複数形というより、これは形容詞のJapaneseを使っていると考えるのが普通かな、と思います。

 

彼は日本人です

He is Japanese.(単数形だけどaはつかない?)

⇒同じく、これも形容詞ということですね(これは、可算名詞である「日本人」を冠詞なし単数形の裸で使うことはありえないため、確実に形容詞と断定できる話だと思います)。

 

The Japanese learn judo.

日本人は柔道を習います

⇒これに関しては、theが付いている時点で「全ての日本人は全員…」というニュアンスが含まれるため、まぁ実際僕は高校で習いましたしもしかしたらマジで全員習うのかもしれませんけど、「うっそ~ん、女子もぉ?絶対に全員必修ぅ~?」と思えますし、必ずしも全員と断言はできかねるように思えるので、ここはやっぱり定冠詞theなしの、

  • Japanese people learn judo.

などの方が、表現としてより適切かな、と思います。

(theがなければ「全員余す所なく」というニュアンスは全くありません。この場合、数については複数いること以外何も言及していない中立的な表現(単数ではなく、全員でもない)ですね。)


…とはいえ、したり顔で何度も「theが付くと全てを指す」とか書いてますけど、そうは言ってもどのような場面であれ日本人やその他言及する対象の全員、一人残らず余す所なく森羅万象の全てを確認できている人なんてこの世にいるわけありませんから、

「the Japaneseと言っても、別に『一人の例外もなく』なんて極端なわけじゃなく、『日本人は一般的に』って意味だろ常識的に考えて…」

…という解釈も、実際的には通用するとも思えるんですけどね。


ですが、厳密なことをいえば、「the」というのはあくまでも定冠詞、英語でいうと「definite article」で、字義通り解釈すれば「決定的な・明確に限定された」という意味ですから、これはやはり文法原義的には「例外を許さず、対象の全てを指す際に用いる」というのが原則かな、と思います。

(なので、「the」という冠詞は「あの」とか「お互いに何を指しているのか了承が取れているものを言及するときに使う」とか色々説明されますが、結局の所、「the ○○」と言った時点で他に例外がない、「全ての○○」を言及し尽くしている…というニュアンスが込められている感じですね。

 もちろん、単数形の名詞ならそもそも「全て」も何もないわけですが、例えば「the pen」なら「決して他のペンという例外は認めない、あのペン」という感じだといえましょう。

 文法最難関事項の冠詞ですが、そういう考え方というかニュアンスをもっておく(常に意識はしないまでも、心の片隅に置いておく)のも、「the」の雰囲気を掴む上では重要というか、手助けになる点ではないかな、と思います。)

 

そんなわけで、例えば「the people」といえば、その発言を聞いた(見た)会話相手も確実に「あぁ、あいつらね」と頭に浮かぶ「あの人たち」であり、その思い浮かぶ集団の全員(改めて、その対象は全員そうだし、対象外は一切含まないという形で、例外を認めない表現です)を指すわけですけど、しかし、今問題としているJapaneseはいわばそれより重い制限が課される、やや特別な表現となっているというのもポイントかもしれません。

何が違うかというと、「the people」はあくまで「念頭に入れている集団に所属する人々全員」を指している言葉であって、地球上の全ての「人々」を指しているわけではないのですが、しかし、「the Japanese」という表現は、改めて何度もくどいですけど、これは「日本人全員」を指すフレーズになっている……という、何ていうんでしょうね、単に「その念頭に入れている集団が、既に完全に固定されており、かつ莫大」という特徴ゆえなのかもしれませんが、どうしてもクソデカ主語(あるいは目的語)になってしまう言い方だ、というのが注意点といえましょう。

 

…と、「本当にぃ~?!そしたら、『こないだ話した、あの日本人』とか言いたい時に、『the Japanese』って言えないワケ…??」という疑問は僕自身書いててうっすら浮かんだぐらいなんですけど、これに関してはまた例によってQ&Aフォーラムでかなり熱心に議論されていたので、そちらを参考にさせていただくとしましょう。


…と思ったのですが、既に結構いいボリュームになってしまっており、そのフォーラム記事もまた割と長めなので、延び延びですがそちらはまた次回とさせていただこうと思います。

もったいぶる話でもないですが、アメリカ人に関しては、そちらを終えてから触れる形ですね。


しかし、ちょうど上の話までを概ね書き終えたタイミングで、アンさんからまた新しくご質問コメントをいただいていました。


もちろん前回の記事に対しての追加コメですが、前回の記事はまだ途中状態なので軽めのご質問中心ということでしたし、ちょうど今回の話にも若干関連している点もあったため、せっかくなので最後そちらに触れて今回はおしまいといたしましょう。


順に触れていこうと思います。

 

わからな過ぎてかなり初歩的な質問になってしまっていましたが、丁寧にご回答いただき、ありがとうございました。まだ途中ということなので、少しだけ…


私は日本人です。の正解は、

「I'm Japanese.」

ということで、安心しました笑


Japaneseが形容詞ということは、

I'm serious.(私は真面目です)

I'm a serious person.(私は真面目な人です)

と文法的に同じですよね?


⇒まさにその通りですね。

しかし、本題とは全く関係ないネタになりますが「serious」という形容詞、こいつはもちろん辞書的には「真面目」になりますけど、個人的には「真剣な」という日本語の方が遥かに近い気がする(「He's so serious.」で、「彼は真剣だ・本気で取り組んでいる・とても深刻に事態を考えている」的な感じ。もちろんそれを「真面目」とも言えるわけですが…)というか、さらにいえば「真剣」さえ通り越して、「真面目すぎ・カタブツ」というネガティブなニュアンスを含むことも多分にある気がするので、日本語の「真面目」と同じ感覚で使うのは少し危険かな、って印象があるかもしれません。

多分日本語的に「真面目」と言いたい場合、「sincere」(誠実な・信頼できる)なんかの方が近いんじゃないかな、って気がしますね。

(まぁ、あんまり自分で自分を「sincere」って言うのもどうなんだ?って気はするかもしれませんが(笑))

 

I am a Japanese.

が差別的ニュアンス以前に、文法的に間違っていると書かれていたのは、

Japaneseが形容詞だからであって

I'm a serious.

とは言わないのと同じ理屈ということですよね?


⇒これは実際フォーラムの書き込みでも同様の説明がありましたし概ねそうだと思うのですが、改めてそう言われると、

「でもよぉ考えたらJapaneseには『日本人』という名詞の使い方もあるから、seriousとはちょっと違うような気もするかも…」

とも思えたんですけど、再度改めて各フォーラム記事の書き込みをチェックしてみたら、「Japaneseを名詞で『日本人』という意味で使うのはめちゃくちゃ古臭い、下手したら差別的にも感じる」という人もいましたし、ここはもう、Japanese=形容詞と断定して考えてもいい話なのかもしれませんね。

(そうすると「the Japanese」という表現が若干謎になるわけですけど(→原則として、冠詞の後には名詞が来るので)、これが結局、散々ケンカにも似た議論がされていた部分のテーマというか本質部分で、色々と見てきた限り、やっぱり多数の人が名詞的形容詞と呼ばれる用法だ、と言っていたように思えますし、そう考えるのが一番自然といえそうです。)

 

そして、

ここで問題なのは(私の中で笑)、

I am an American.

がOKだということ。(OKですよね?)

これ、なんとなくわかってきたんですけど、 ただ単に、Japaneseと Americanは文法的に同じ扱いではないということですかね?

(Americanについてはまた次回という感じでしたが…)


⇒Americanについてはまた後ほど触れますが、『Japaneseと Americanは文法的に同じ扱いではない』は、「まさに完璧その通りだったのです!」って話になりそうです。

次回見る予定のフォーラム記事でもハッキリ触れられている話なので、また追って触れていきましょう。

 

Japaneseは、単複同形であり、不可算名詞でもあるということでしたが、その名詞として使われる場合を考えても「I am a Japanese.」とは言えないということなんですよね?名詞の意味もあるのに?

日本人という意味じゃないんですか?


⇒先ほども書きましたが、辞書には名詞としての定義も載っているけれど、実際現実的にその言い方は大多数のネイティブが極めて違和感を抱くものだそうですから、ここはもう、最早純粋な名詞としての用法は失われた、と考えるぐらいで(もちろん、厳密には「んなこたぁない」と主張する人もいることは理解した上で)ちょうどいいぐらいではないかな、と、色々見た限り個人的には結論としてそう思います。

 

あと、

……………

結局結論としては、「どんな場面でも、国を表す形容詞の後に『person』や『people』をつければ絶対に何の問題もない」というものになるので、そうすればいいだけのお話ってことですね。

……………

↑ここと、

……………

一方、挙げられていた「I am  a Japanese person.」は、通じなくはないし侮蔑的(この場合、自虐的?)な意味合いのある失礼な物言いでも全くないけれど、これはあんまり自然じゃない気がするかもしれませんね。

……………

↑ここの、違和感…?


でも、まだ謎だらけですが、ちょっとずつクリアになってきている感覚はあります。


⇒これ、改めて読んでみたら、普通にクッソ矛盾してましたね(笑)。

一応、上の文(前者)を書いたときは「(×) There are three Japanese.」みたいな、主語が自分ではなく、状況を描写するような場面を想定していた形でした。

(これは、「There are three Japanese people.(3名の日本人がいる)」「I saw a Chinese woman at the station.(駅で中国人の女性を見た)」などのように言うべきだということが、色々な人から一貫して強く主張されていた感じですね。)


一方、自分のことを言う場合は、もちろん「I am a Japanese person.」で特に大きな問題はないんですけど、普通は「I'm Japanese.」とシンプルに言う気がします(その方が自然)、という感じでした。


若干行き当たりばったりの説明っぽいですが、まぁそれだけ言葉というのは絶対的なルールが立てづらい、難しいものってことですね……みたいな小学生並の感想でお茶を濁させていただこうかと思います(笑)。

 

アイキャッチ画像は、あまりに何もなかったので、苦肉の策で「THE END」のテロップいらすとから「THE」の部分だけを抜き出したものを拝借しました。

では、次回はひとまず「the Japanese」などに関するフォーラム記事を参照させていただく予定です。

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