コメ返信や補足その1-48-9:犬の色一つ尋ねるのも大変だ

「具体的な色の名前と複数形」の話が一段落した所で、途中状態だったコメントに戻って参りましょう。


とはいえ振り返ってみたら、まだ色の話の途中ではありました。

今回は、既にいただいたコメントだけ貼って中身にはまだ触れていなかった部分になります。

まず、コメントをいただいていた元記事はこちら(↓)ですね。

con-cats.hatenablog.com

アンさんよりいただいていたコメント該当部文の再掲だけ、改めてしておきましょう。

 

後半のネイティブの意見は、、

めちゃくちゃ難しかったですねぇ。

まず、最初のMorganFRさんの回答が、全部同じに見えました笑

「what's the color of two dogs?(2匹の犬の色は何?)」

と聞きたい時って、

「犬を2匹飼ってるよ!」

「へぇ〜、何犬なの?」

「どちらもプードルだよ!」

「2匹の犬の色は何?」

とかいうシチュエーションを勝手に想定してましたけど、、

「どちらも同じ色」なのか、「両方とも違う色のこともあるが、大抵は1色ずつである」のか、「両方の犬が同じ色であったり、違う色であったりするが、それぞれ複数の色を持つか、少なくともどちらかは複数の色である」のか、、、、まぁそんなようなだいたいの色のイメージによって、聞き方が変わるっていうことなら、、

上記のシチュエーションでは聞けないですね笑

っていうか、何も知らずに聞く方が多くないですか?

何か間違った解釈をしてますか?

わからな過ぎて、ここで諦めました笑

 

これ、↑の記事のおまけで見ていたSE(StackExchange)記事で貼られていた例文についてですけど、ムズかったっすねぇ~。

話に入る前に、そのSE記事のリンクと、該当の例文の翻訳引用だけ、こちらも改めて再引用掲載しておきましょう。

 

english.stackexchange.com

MorganFR(今年上位23%に位置する回答者):回答スコア5点


「What is the color of those two dogs?」
(その2匹の犬の色は何ですか?)

どちらの犬も同じ色をしている。

 

「What color are those two dogs?」
(その2匹の犬は何色ですか?)

両方とも違う色のこともあるが、大抵は1色ずつである。

 

「What colors are those two dogs?」
(その2匹の犬は何色ですか?)

両方の犬が同じ色であったり、違う色であったりするが、それぞれ複数の色を持つか、少なくともどちらかは複数の色である。

 

「What are the colors of those two dogs?」
(その2匹の犬の色は何ですか?)

両方ともの犬が同じ複数の色か、またはそれぞれ異なる色(一色または複数色)である可能性がある。

 

「Leaves are different shades of brown and red in the fall.」
(秋の葉っぱは茶と赤の色合いが異なる)

「The reds and browns of the woods in the fall.」
(秋の森の赤さと茶色さ)

色の名前そのものについては、可算と不可算がある。それらを区別するために、例えば「shades」という語を使うことができるね。

 

例文をおさらいした所で、まずアンさんよりいただいていた部分ですが、僕も正直、

「疑問文で尋ねている内容なのに、まるで犬の色のことが概ね分かっているという形になってるとは、これいかに…?」

と思えたんですけど、まぁこれは結局、英語というのは言語の特性上、どうしても「数」を明記しなくては文が成立しないものになっているため、知らなかろうと何だろうと、とりあえず自分の中の数のイメージを相手に伝える必要がある…という仕組みになっていることに起因する話なのではないかな、と思います。


例えば日本語でも、「文の形式そのものに敬意が内包されているから、望むと望まないとに関わらず、言葉を発する際はどのぐらいの丁寧度をもつ文にするか、あらゆる単語・表現において自分で選択せねばならない」という仕組みになってるわけですけど(単純な話、公共の不特定多数に向けて話す場面で「だ・である」口調は無意識的に絶対に選ばない、など)、それと同じで、そんな厳密なもんちゃうけど、でも言葉の仕組み的に自分の思い描いている数のイメージを絶対に表明しなくてはいけない……ってのが英語なわけですね。


…正直、日本語の敬語も、「別にそんな『毎回、あらゆる表現の丁寧度を選択』とか大層な話ちゃうやん」って思えるものですけど、多分英語の数も、「そんな意識して使ってるもんちゃうよ。あえて説明すれば、そういう感じかもね…程度だってば」ぐらいかと思います。

(まさに、前回の記事でネイティブのジョンが「単数形・複数形は、全然適当に使ってる」と言っていたこと、そして日本語の敬語も、特に言葉に対する感受性があまり高くない人なんかは、めちゃくちゃ適当に使ってる場合が結構多いことからも、恐らくそういう感じで間違いないんじゃないかな、といえそうな部分ですね。)

 

ということで、これは本当にそこまで厳密なものではなく、「あえて詳しく説明するなら…」かつ「あくまでそんなようなニュアンスがある気がする」という話(例によって、仮定法で触れていた「ムードに過ぎないんだよ、ムードに」という、何と言いますか適当さ・それっぽさぐらいの意識で臨むのが相応しい話)に過ぎないのがポイントかな、と思われます。

なので、基本的には「お宅の犬の色は知らないけど、とりあえず自分のイメージを伝えないと英語では文章にならんから、自分の予想というか思い描いてる印象だけ漠然と伝えとくわ」という形の話になっているだけ、ってのが最重要点ではないかという気がします。

(=そんな厳密なものじゃないし、同じ表現でも違うイメージを持ってる人も恐らくいそうな話。ただ、回答評価は高かったので、多くのネイティブは概ね同じイメージなのかなと推察される、て感じでしょうか。)

 

以上を踏まえて、あくまで個人的に「まぁ、こういう理屈なんかな…?」と考えてみた補足を付け足していきましょう。

 

「What is the color of those two dogs?」
(その2匹の犬の色は何ですか?)

どちらの犬も同じ色をしている。

⇒これは、the colorと、定冠詞theに単数形のcolorがついているため、発言者の中では「あの一つの色」という意識が働いているといえ、どちらの犬も同じ色を思い浮かべている。

 

「What color are those two dogs?」
(その2匹の犬は何色ですか?)

両方とも違う色のこともあるが、大抵は1色ずつである。

⇒主語が「2匹の犬」になったけど、疑問点である述語は単数のcolorを用いているため、多くてもそれぞれ1色ずつのパターンしか思い浮かべていない。

(ちなみに、ここで主語が「複数の犬」に対し、対応する術後である「color」が単数になっている形を目にしていたので、これに触れようと思って見ていたすぐ後に書いていたこないだの記事で「主語が複数形でも、述語が複数形とは限らんのです」的な話を書いてしまった…ということにつながっていました。

 しかしこれは、単数形というより、不可算名詞の「色という概念そのもの」を指しているといえるのかもしれませんね。

なので、説明文には「両方とも異なる色を持つこともあるが…」という但し書きがついているのではないかと思われます。)

 

「What colors are those two dogs?」
(その2匹の犬は何色ですか?)

両方の犬が同じ色であったり、違う色であったりするが、それぞれ複数の色を持つか、少なくともどちらかは複数の色である。

⇒これは2つ目のやつの、「尋ねる色が複数形」パターンであるため、確実に、少なくとも1匹には複数の色が使われている情景を思い浮かべている。

 

「What are the colors of those two dogs?」
(その2匹の犬の色は何ですか?)

両方ともの犬が同じ複数の色か、またはそれぞれ異なる色(一色または複数色)である可能性がある。

⇒これは1つ目のやつの「尋ねる色が複数形」パターンであり、この場に登場する色が複数存在することは確定しているが、それ以外は柔軟性があるため、「白1匹と茶1匹」のように単色ずつで合計2色(=複数)の場合も念頭に置いている。

----------

 

…ぶっちゃけ、書かれている説明から「そういうことではないか」という自分なりの考えを述べただけで、なぜそうなるかは全く、これっぱかしも分かりません(笑)。

(当然、自分で使い分けることは不可能です。)

 

とはいえまず間違いなく、極めて微妙な違いに過ぎず、改めて、あくまで「発言者が持ってる漠然としたニュアンスを、あえて言語化したらそうも言えるかもね」ぐらいの話だと思いますし、これは非ネイティブには深追い無用な話かな、と思えてなりません。


(ちなみに、回答後半のredやbrownが複数形になる話は、まさに何度も見ている「その色の様々な色合いについて話すときは、複数形を使うよ」というだけの話ですね。)

 

…と、「細かすぎ・ムズすぎで、な~んも分かりません」だけでは何とも情けない感じだったので、こないだの記事でも「もうちょいスペースに余裕があったら、もうちょい分かりやすい単数・複数形のネタにも触れようと思っていましたが…」と書いていたネタについて、ちょうどもうちょっとだけスペースを埋めるのにいい感じだったので、「これは分かりやすい!」と思えるQ&A記事を貼って、「数のネタでも、分かりやすい話もあるんだね」といい気分になって終わるといたしましょう(笑)。

 

その分かりやすかったネタがQuoraのこちら(↓)で、正直、色の複数形とはほぼ全く関係ない話なので、恐らく「red plural」(red 複数形)で検索してヒットしてきただけの記事だった感じですが、せっかくなので非常に分かりやすい解決がなされているこちらを見てお茶を濁しておこうと思います。

 

www.quora.com

(質問:)誰かこの文章「the red and yellow cars/car are/is expensive(赤と黄色の車は高い)」を訂正できる人はいないかな。複数形の名詞を、対になる形容詞と一緒に使うことはできる?

 

Gayathri Narayan(マイソール大学大学院修士課程修了、修士(英文学)および学士(教育)取得)


こんにちは!

これは、形容詞のペアの話ではなく―それぞれの構造が与える意味の問題だね。

The red and the yellow carsは、2台の車になるよ:1台は赤、もう1台は黄色の。だから、それに対応して、動詞(と名詞)は複数形になるんだね:

The red and the yellow carS are expensive.
(その赤いのと、その黄色い車は、高価だ。)


The red and yellow carは、2色を持つ1台の車になるよ―赤と黄色の。なので、それに対応して、単数形の動詞(と単数形の名詞)が続くわけだね:

The red and yellow car is expensive.
(その、赤と黄色のボディの車は高価だ。)


質問文の構造についての知見

 この質問では、"Can SOMEONE correct this sentence? "と言う方がより良いね。「Someone」には肯定的な意味合いがあるから―誰かが答えを教えてくれると仮定しているよ;それに対して、「anyone」は、誰かが答を知っていたり、訂正してくれることを期待していないことを意味しているんだ!

 また、あなたの文章は厳密には「訂正」ではなく―選択肢を与えていて、どれが正しいかに疑義を示しているものだよね。だから、それに適した構文を使う方がいいかもしれないね―例えば、「Can someone tell me which will be the right construction(どなたか、どれが正しい構造になるか教えて)」または「... which will be the correct verb to go with...?(どれが正しい動詞になるのか)」;または「... which is the correct number of the verb to use with the noun...?(この名詞と一緒に使う動詞の数はどれが正しいのか)」などだね。

 

日本語でも微妙になり得る話(=「赤と黄色の車」…2台か1台か??)でしたが、英語の場合、冠詞を付けることで(また、動詞の活用でも)数や何を描写しているのかがハッキリしているというのは、大変分かりやすい話でした。


これは非常に分かりやすい話でしたけど、ちょうど関連して、ずっと前話題になっていた、(面白い意味で)めっちゃ分かりにくい、『頭が赤い魚を食べる猫』なんかを思い出しました。

検索したらパッとツイートが出て来てくれた、こちら中村さんが出されたネタ(↓)ですが…


英語の数のややこしさをバカに出来ないぐらい、日本語も書き方によっては極めて難解で面白いものだといえましょう(笑)。

「言葉は難しい(けど面白い)」という小学生並の感想で今回は〆ですね。

 

…と、あともう一つ「red」について調べていたときに見かけた面白そうなフォーラムQ&Aネタがあったのですが、そちらは大分ややこしかった上にあんまり一連の数ネタとは関係ないので、またいつか機会があったら、短く終わってスペースが余ってそうなときなんかに触れてみようかなと思います。


アイキャッチ画像は、色を表すのがかなり難しそうな、シェットランドシープドッグ(ブルーマール)のいらすと(何ソレ?(笑))をお借りしました。

こういう犬を浮かべている場合は、「colors」と複数形を使って尋ねる方が安全そうですね(笑)。

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