やっぱりちょっと変なのかな…?

ちょうど、『青い花』考察本同人誌『That Type of Girl』の日本語版『そっち系のひと』の全作業が終わり、Amazonに今夜送信するよ、というメールを著者であるFrankさんからいただいていましたが、ついでに送っていた些細な質問への回答も併記されていました。

とはいえ、追加で質問を送っていた結果、「こないだの質問への回答」というより、追加で送った別のフォーラム記事に関する説明をいただいた感じになっていたのですが、それはまた後で触れるとして、前回の終わりにもちらっと書いていた「○○さんに代わっていただけますか?」「私です」という電話上でのやり取りでの英語について、よりはっきりと書かれた記事が、実は新たに目についていたという形ですね。

(前回取り上げていたフォーラム記事は必ずしもその場面を想定しておらず、自分から「あぁオレだけど」と言ってる場面を浮かべて回答している人もいるのかな?という感じで、実はドンピシャのディスカッション記事ではなかったかもしれない…という話でした。)

そんなわけで、今回はその「より適した議論がなされていたスレッド」を翻訳紹介し、最後にFrankさんからいただいた回答も紹介させていただこうかと思います。


同じくWordreference.comから、今回はこのスレッド(↓)ですね。

 

forum.wordreference.com

早速参りましょう。

blackGhost(質問者:フランス在住・フランス語話者):

こんにちは。

電話で自分と話したいと言ってくる人にどう答えればいいのか、いつも悩んでいるんだ。

「May I speak to Mr.XXX?」(XXXさんと話せますか?)

―「That's me / This is him / It's me」 


私は悪い癖で、「It's me」と答えてしまうんだけど、これが正しいのかどうか、全く分からない。

どなたかハッキリさせてもらえないかな?

 

PaulQ(イギリス在住・英語(イングランド)話者):

通常の応答は以下の通り:

「May I speak to Mr. XXX?」

「Yes. Speaking....」 / 「That's me.」 / 「You are doing. Can I help you?」


「This is him.」と「It's me.」は、フランス人っぽさが伝わってくるね😄

 

Glasguensis(フランス在住・英語(スコットランド)話者):

正しいフレーズは「this is he」だが、これでは堅苦しすぎると思う人も多いであろう。「Speaking」が一般的な返答だね。

 

blackGhost(質問者、2つ目のPaulQさんへの返信):

ハハハ、まさにそう思っていたよ。やっぱり長年間違っていたみたいだね😖

 

blackGhost(質問者、連投):

うーむ、別のスレッドで以下の情報を見かけたんだけど:

知り合いから電話がかかってきたとき、電話に出たあなたの声に気付かずにあなたと話したいと言われたら、「it's me!」と言うように思う。

あるいはそれ以外だと、「this is him」と言うのが一般的だ。

それから、

KeepinOnさんと同意見だ:「this is he」は文法的には正しく、今でも多くの人が使っているけれど、一般的な使い方ではここで「it's me」か「this is him」だと思う、もっとも、後者は私もちょっと変な感じがするけれど!

「May I speak to xxx?」に対する答え方より)

また混乱してきてしまったよ。この人たちも「フランス人っぽさ」に悩まされているのか、それとも私には分からない微妙な何かがあるのだろうか?😄

 

oddmania(フランス在住・フランス語話者):

どうも。

「It's me」と「This is he」は交換可能な表現ではないよ。

「It's me」は、話している相手が自分を認識してくれることを期待しているといえる。例えば、あなたが友人の家のドアをノックした時、「Who's there?(どなた?)」と聞かれたので、「It's me!」と答えると、相手はあなたの声で、あなたを認識することができることになる、といった具合だ。

この場面では、「This is he」は通用しないね。代名詞の彼 (he) は、会話の中で先に出てきた「なんとかさん」を指し示す必要があるからだ。


つまり、相手(友人、親戚など)があなたの声からあなたを認識することが期待できない限り、電話で「It's me!」とは言えないってことだね。

私も「This is him!」という人は今まで一度も聞いたことがないけど(「This is her!」だと、更にもっと変に聞こえるね)、やっぱり中には言う人もいるのかもしれない。

「This is he」と「Speaking!」の方が、私の経験上、遥かにずっと一般的だと思う。

編集:これを打っている今、TVで『Brothers』という映画をやっていて、ナタリー・ポートマンが「Yes, this is she」と電話に出ていたよ。なんて偶然!「This is her!」だったら、もっと驚きだっただろうね。

 

PaulQ(2つ上の、引用されたコメントへの返信):

全く違う意見になってるね。不思議でならない。

>あるいはそれ以外だと、「this is him」と言うのが一般的だ。

これは全く同意しかねる:1910年当時、電話で何を話せばいいのかわからなかった時代の誰かが言っていたようなフレーズに感じられる。

>KeepinOnさんと同意見だ:「this is he」は文法的には正しく…

同意しかねる―「This is him」が正しい(ちょうど、以下のように。

警察官:あなたの猫を盗んだ男を指差していただけますか?

A: 「This is him.」(この人です)。)

なので、「this is he」は過剰訂正で、間違いである。「Him」は分離代名詞なのだ。

 

>一般的な使い方ではここで「it's me」か「this is him」だと思う、もっとも、後者は私もちょっと変な感じがするけれど!

私にはどっちもおかしく聞こえるし、どちらも未だかつて聞いた覚えすらない。

 

>この人たちも「フランス人っぽさ」に悩まされているのか、それとも私には分からない微妙な何かがあるのだろうか?😄

こいつらをまとめて、カレー市経由で君に送ってあげようかな...逃げ出したみたいだし👍

「Speaking」で行けばいいよ。

 

ninuzzo(イタリア在住・イタリア人):

もし「it's me」の後に、その人の名前を付け足すならどうだい?これだと、ネイティブの耳には自然に聞こえるのかな?

例:

「Who's calling?」(どちら様ですか?)

「It's me, John.」

 

AnythingGoesアメリカ英語話者(中西部/アパラチア)、1つ上のコメントへの返信):

私には自然には聞こえないね。普通に、「This is John.」と言おう。

 

PaulQ

それはOKだし、私には自然に聞こえるけど(イギリス英語)、Johnが、会話相手がJohnの声を認識できるかどうか定かではない時にのみ使われると思う。
(※訳注:ここは、「認識できると確信している時」のミスではないかな、と思えますね。)

 

Glasguensis(フランス在住・英語(スコットランド)話者):

それは頻繁に使われるけれど、マナー違反と考える人もいる―「it's me 」を使うと、言われた相手は言ってきた人の声を認識できるという意味になるが、わざわざ質問されているということは、この例はそうではないということではないだろうか(恐らく、良くない台詞であろう)。

唯一、事前に打ち合わせをしていた電話であれば、許容範囲ではないかと思うね。

 

zaffyポーランド人、PaulQさんとGlasguensisさんの最初のコメントに向けて返信):

では、以下の2つのパターン、プラス「It's I.」が選択肢として取れるってことなのかな?

A: Can I speak to Paul Smith?(ポール・スミスさんと話せますか?)

B: This is he. How can I help you?

B: Speaking. How can I help you?

B: It's I. How can I help you?

 

natkretepシンガポール在住・英語(シンガポール/イギリス)話者・基礎中国語も):

残念ながら、「It's I」は私にはとんでもなく奇妙に聞こえるよ。
「Speaking」が私にとっては普通かな。なんなら、もう少し展開して、「Yes, Paul Smith speaking here」と説明してもいいかもしれないね。

 

dojibearカリフォルニア州フレズノ在住・英語(アメリカ北東部)話者、2つ上のzaffyさんの「ポール・スミスさんと話せますか?」に向けて返信):

B: This is Paul. Who is this?

B: Speaking. Who is this?

「I」も「he」も使う必要はないんだ。君は名前を知っているんだから。

 

Uncle Jack(イギリス・カンブリア在住・イギリス英語話者、同じくzaffyさんのコメントに返信):

「That's me」と「Speaking」だけが、私には普通に聞こえる。PaulQさんの「You are (doing)」は、もちろん完全に正しい返答なんだけど、自分で使おうとは思わないね。[追記:dojibearさんの「This is Paul」も大丈夫だね。]

「that's me」がなぜ有効かというと、恐らくこれが、あなたが誰なのか、あるいはあなたが存在しているかどうかを知らずに誰かがあなたの名前を言ったときの、最も一般的な反応だからだと言えるかな。

形式的には「I am he」と言うこともできるけど、そうする人がいるかどうかは非常に疑問に思えるね。「It is I」は、私には完全に意味をなさない;主語は「this」か「I」(自分自身を指す)か「that」(今話した名前を指す)である必要があるよ。

 

dojibear

A: Can I speak to Paul Smith?(ポール・スミスさんと話せますか?)

もし家にいて、知らない人からの電話であれば、私なら「Who's calling?(どちら様ですか?)」から始める。

相手が名乗らない内は、自分が誰なのかを言わないよ。85%くらいの確率で、何かを売りつけようとしている見知らぬ人からの電話だからね。そのような電話はすぐに切るんだ。

残りの15%は、相手が名前や社名を名乗った後に、「This is Paul.(ポールですけど)」と返して、話を続けるかな。

 

zaffydojibearさんとUncle Jackさんに向けて返信):

では、名前に言及されなかったらどうする?例えば、オフィスで電話をかけていて…

A: Can I speak to the manager please?(マネージャーに代わってもらえますか?)

B: Yes, this is he.

B: Yes, speaking.

B: Yes, this is me.

 

natkretep

Yes, I'm the manager.(はい、私がマネージャーです。)
Yes, the manager speaking.(はい、マネージャーが話しております。)
Yes, that's me.(はい、私です。)

 

今回は若干長かったですが、非っ常~に、完全に納得できる流れ&興味深い追加質問で、大分肌感覚をつかめたように思います。

PaulQさんはこないだ最初に見ていたドライブスルーの例でも答えてくれており「またおるやん!」と嬉しい再会でしたが(笑)、今回の回答者は、どなたもみなさん理由や簡単な説明なども付記してくれておりしかもそれが明快で、大変信頼できる感じでした(まぁ前回の回答が信頼ならないとまでは言いませんが、やっぱり理由や説明文が加わると、意図や背景知識がより伝わってくる感じですね)。


とりあえず結論としては、前回の記事では(回答の流れ的にも)、

「(『それ、わたしです』と対応する電話の文脈での)『It's me.』は、使うネイティブも間違いなくいるようだし、全然いいと思う。」

…などと書いていたのですが、今回の回答群、特に途中のoddmaniaさん(フランス人・フランス語話者なのが驚きでしたが)の説明が非常に分かりやすく、説得力の大きいものでしたけど、その辺を読んで改めて考えてみると、

「Konsukeさんと話せますか?」「私ですけど」

…の流れの場合、やっぱり「It's me.」は少し変(とまでは言わないし間違いなく通じるとは思いますが)、普通は使わない表現になっているのかもしれませんね。

(改めて、同じ電話であってもそれとは違う場面、例えば友達に「オレオレ、オレだけどさぁ」で自分から始めるような場合は、「It's me!」で会話を切り出すとかは全く問題ない感じではあると思います。)

そんなわけで、結論が行ったり来たりで恐縮ですが、「It's me.」は、この場面ではやめておいた方が無難かな、という気がします。

(前回の記事にも、その旨追記しておきました。)


ちなみに、Frankさんにはこの記事のリンクとともに「『It's me, John』は自然ではない、という意見があるね」というコメント付きのメッセージを送っていたのですが、「まさしく同意」という文から始まる返事をいただいていました。

今回はFrankさんからの返事に触れる予定だったんですけど、もう大分いい長さになっていたので、そちらはまた次回にまわさせていただきましょう。


ちなみに、いただいた返信にはその旨の直接的な記述はなかったものの、当初感じていた、

「『It's meとは言わない』という説明は、対面の状況を考えているからではないか?電話なら、自然なのかもしれないね」

…というのは、恐らくそうではなく、電話でも、例の「わたし、わたし」の場面で「It's me.」はやっぱりちょっと違和感があるかな、という結論になる感じですね。


Frankさんからの返事はそんなに長いものではなかったので、アンさんからいただいていた追加のGood questions/commentsも一緒に、また次回紹介させていただこうと思います。

 

アイキャッチ画像、例によって「電話」の検索で出てきたいらすとやイラストからの適当ピック、今回のはとても平和なシーンですね。

ビデオ通話の場合、顔が見えているということもあり、これはまた従来の電話とは違う会話例があるのかな、なんて気もしますが(多分、ビデオ通話だと、日本語でも「もしもし」って言わないですしね。…言うのかな?)、まぁそこまで深追いする話でもないので、触れずにおきましょう(笑)。

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