今回は前回からの続きという形で、前回(やそれ以前)の話についても非常に面白いコメント・ご質問をいただいているのですが、ひとまず大元のネタから消化していこうかと思います。
それが、電話越しに、自分本人に向かって「○○さんと代わってもらえますか?」と聞かれた際に、英語ではしばしば「This is he (またはshe).」と答えるわけですけど、他の答え方についてはどうなのか?…特に「It's me.」と言えるかどうかという質問が、ちょうど言語学習者用のオンラインフォーラム・Wordreference.comで見つかったので、そちらを翻訳して見ておきましょう……という話ですね。
ちょうど、Frankさんから、「自分の会社に訪問してきた人に、面と向かって『Frankさんはいますか?』と尋ねられた際、『It's me.』は普通は使わないと思う」ということを伝えてもらっていましたが、どうやら電話の場合は普通に使いそう…?という部分だけ、既に触れていました。
早速こちらのスレッド(↓)を翻訳した上で紹介させていただきましょう。
yarka(質問者:スペイン語話者):
こんにちは。
電話での会話の場合、どう言えばいいのだろうか?
「It's me.」か「This is me.」か?
サンクス!
Peterdg(ベルギー在住・オランダ語話者・ベルギー人):
この条件であれば、どちらも正しい。
Sprache(アメリカ在住・英語話者):
この場合、私なら「It's me.」だけ使うかな。
例:「どちら様?」
「It's me. Jim.(私、ジムだよ)」
elvargas68(メキシコ在住):
It's me. が、より一般的!
donbill(サウスカロライナ在住・英語話者・アメリカ人):
ちょっとしたフォローアップを。
電話がかかってくると予期していなかった人や、私の声がわからない人に電話するときは、私なら「This is Bill.」と言うよ。
もし家族や友人に電話するなら、「Hi, it's me.(もしもし、俺だけど)」と言うかもしれない。
つまり、this is+名前、または、it is+代名詞が、私にとって自然な対応となるように思う。
スペイン語の「Hola, soy Juan」というごく自然な電話のあいさつは、英語だと「Hi, I'm John」となるが、私には変な英語に聞こえてしまう。例外としては、電話をかけた人が自分の姓を入れたい場合があるかもね:「Hello, I'm John Smith.(もしもし、ジョン・スミスと申します。)新しいレストランにぜひお越しください…」。(最後に、スペイン語で質問者への挨拶)
Yulan(ロンバルディア在住・イタリア人):
皆さんこんにちは。
「XXX's speaking.」も使えるかい?
よろしく!😄
donbill(一つ上のコメントに返信):
これは、オフィシャルな場ではより普通な言い方だと思う。私なら、自宅で受けた電話に出るときには使わないと思うけどね。電話のマナーは千差万別なので、他の外国人の方は、私の意見に反対するかもしれない。
しかし、例えば、何人かが働いているオフィスに電話をかけたような場合、誰かが電話に出て、会社名を告げた後、「XXX speaking.」と答えてくるのは考えられるね。より完全な文の例としては、「XXX University, department of Modern Languages, Smith speaking.(XXX大学、現代言語学部、スミスでございます)」といったところであろうか。
Yulan:
Donbillさん、どうもありがとう!
これで完璧にスッキリしたよ。
オフィスではフォーマルな「Yulan speaking」 - 家庭では口語的な「This is Yulan」または「It's me. Yulan」だね。
改めて、メニーサンクス😄
Chellybean(スペイン在住・英語話者・オーストラリア人):
「X speaking」がフォーマルだとは思えないんだが。実際私は、家でも「Hello, X speaking.」と電話に出るのが普通だよ。
逆に、この場合に「This is Yulan」というのは、めちゃくちゃ変に聞こえる。
でも、donbillさんが言うように、電話のマナーは国によって随分違うものだ。例えば、アメリカでは「Smith residence(スミス家です)」と言う人に出会うかもしれない。これは私にはあまりにも畏まり過ぎているように聞こえるため、オーストラリアでは絶対に言わないね。
donbill(一つ上のコメントに返信):
電話マナーは本当に様々だね!
私の友人は、「Bob Smith's phone.(ボブ・スミスの電話)」と言って電話に出るからね。
そして実際、アメリカでは「スミス家です」は割と一般的な電話の出方といえる。
でも、スペイン語圏にも、バリエーションはあるんだよ:diga、hola、aló、bueno、dígameなどなど…。
Istriano (クロアチア人):
A:Hello, I would like to talk to John.(もしもし、ジョンと話したいのですが)
電話に出たジョン:This is he.
donbill(一つ上のコメントに返信):
「This is he.」は正しいね。また、電話に出る以外の文脈では、非常に作ったような響きのある表現でもある。電話の文脈でさえ、人工的な表現だという人は多いであろう―少なくともアメリカではね。
場合によってはもしかしたら、「speaking」とだけ言うかもしれない。
―もしもし、ジョン・スミスと話がしたいのですが。
―Speaking.
でもやっぱり、私ならまずこう言うだろうね:「This is John Smith.」
以上のように、電話応対には沢山のあり得る表現方法があることが明らかになったと思う。もちろん、他のアイディアも出てくるだろうね!
Chellybean(一つ上のコメントに返信):
「Speaking.」はこの場合、私にも完璧自然に聞こえるね。
「This is John Smith.」は、ちょっとフォーマルに感じる;もっと日常的にいくなら、やっぱり単に「It's me.」じゃないかな。
Yulan:
皆さん、本当にどうもありがとう!😄
Yulan
sac777(ヒンディー語話者):
これだと、どちらが正しい?
「This is David here」
か
「David here」かどっち?
補足質問…
上記の例では、HERE(ここ)かHEAR(聞いてる)か、どっちなんだい?
pozzo(カナダ在住・カナダ英語話者、一つ上のコメントに返信):
hearではなくhereであろう。
どちらも正しく聞こえるよ。その場の状況や電話をかける人、出る人の役割などによって、最適な言い方が変わるといえるのかもしれないね。もしあなたが電話に出た人であり、あなたがDavidで、相手の人にあなたがDavidであることを知ってもらいたいなら、「Hello, this is David speaking.」と言えばいいんじゃないかな。
sac777:
迅速な説明、どうもありがとう…
…ということで、むーん、よく見てみたらそもそもこのスレッドは「スペイン英語の文法」というグループで立てられてトピックだったようで、最初の方のやり取りで一瞬、「あれ、『It's me使うよ』って、もしかしてスペイン語圏でのことを言ってる…?」と焦ったものの、途中からはアメリカ人・オーストラリア人のdonbillさんやChellybeanさんが説明をくれていたように、やっぱりこれは特にスペインに限らずの話とはいえそうなものの、結局の所「国によっても人によってもバリエーションがありまくりそうだ」ってのが結論といえそうですね。
(っていうかそれ以上に、この質問自体、「『○○さん(自分本人)と代わってもらえますか?』の返答をする場面」という前提では必ずしもなかった感じなのが、一番大きなポイントだったのかもしれません。
でもまぁ一応一般的な電話の話にはなってますしね。)
そして、一番詳しく答えてくれていたアメリカ人のdonbillさんは、どうもご本人は「It's me.」は使われないような印象でしたけど、しかし同じアメリカ人のSpracheさんは普通に自分でも使うとのことだし、オーストラリア人のChellybeanさんも「It's me.」に一票を入れていました。
(…って、改めて読み直してみたら、donbillさんも最初の回答で、「カジュアルな場面なら私も使うかもね」とおっしゃられてましたね…!)
特に丁寧な回答をされていたdonbillさんの肩を持つわけじゃないですけど、僕もやっぱり「This is he.」は何か多少電話専用の人工的というか作られたというか、少し堅苦しいとは言わないまでもカチッとした表現に思えますし、だからこそ下手な英語を話す外国人である僕は「This is」を使うかな、って感じですね。
(あぁでも、これは「自分から名乗る場合には、『This is Konsuke.』と言う」ということであって、そういえば「This is he.」というお決まりのフレーズは、知識としては当然頭に入ってるけど、自分では一度も使ったことがないかなぁ、って気がしてきました。
じゃあ、例えば自分が研究室共用の電話に出た場合に、自分宛のものを受けたときなんかはどうしてるのか……うーん、これも、なぜか僕は日本語でも「もしもし」を言わない&名乗りもせずただ「はい」としか言わないのと同様、もう、
「May I speak to Konsuke?(紺助さんに代わってもらえますか?)」
→「Yes, what happened?(あぁ、自分がそうだけど、どうされました?)」
…みたいな、「声で分かってね」という察してちゃんムーブ…とまでは言いませんけど(笑)、「そうだから、とっとと用件言ってくれや」みたいに、煩雑な英語での名乗りステップは飛ばして、そそくさと本題に入ろうとしちゃうかもしれません(笑)。
(実際、そうやって言えば、仮にお互いのことを知らないほぼ初対面的な電話であって自分であることが通じていなかったとしても、「あぁ、あなたがKonsukeさんご本人?」というYes/Noクエスチョンが返ってくるので、そこで改めて「Yes」といえば確実に伝わるわけですしね。一方知ってる人からの電話なら、この流れは「あぁ、あいつ本人だな」と伝わってくれますし(笑))
正直めちゃくちゃな受け答えかもしれませんが、そもそも今の時代、アポなしの電話が重要なことなんてほとんどないので、最早適当極まりない応対でやり過ごしてるといえるのかもしれません(笑))
ということで、「英語で『わたしわたし』はどう言えばいいのか」問題、結論としましては、
「正直、何がベスト(一番自然)かは人による。とりあえず『This is he/she.』が不自然になる英語環境はないはずなので、それが一番確実ではないでしょうか?
まぁ、僕は、通じた前提で話を進めて、最悪通じてなくても『Yes』だけ言って強引に身分照会ができる荒業にもってきますけど(笑)」
…という、しょうもない自分の適当さを公開して終わり…という感じになりそうですね(笑)。
とはいえ大元のご質問(It's meはどうなのか?)に戻ると、「It's me.」と答えるネイティブも確実にいる以上、そう答えても一切何の問題もなさそうです(↓追記の注参照)、と言えるように思えますね。
(※追記注1:後ほど色々見ていたら、やっぱり必ずしもそうとも言い切れなかったかもしれません。次回の記事にまたまとめてあります。)
ただし改めて、(「Konsukeさんに代わっていただけますか?」の流れで)「I'm Konsuke.」という返答だけは、間違いなく違和感を覚えられる形になってしまうので、(※これも追記ありです。以下の注2参照) 「This is he/she.」や「It's me.」や(※追記注1:より自然なのは「That's me.」でした)「Speaking.」(これは簡潔にして分かりやすい表現ですね。咄嗟に出せるには慣れが必要な気もしますが…) などから、自分の使いやすいのを使うようにするのがよろしいでしょう、というのはポイントかもしれませんね…!
(「I'm Konsuke.」は、日本語で例えるとちょうど、この電話の流れで「私は紺助です」と答えるのに近いですかね?
もちろん本人であることは確実に伝わるんですけど、「何その返し(笑)」ってちょっと笑える不自然さがある、って形といえましょう。)
(※追記注2:またまたこちらも、かなり自分勝手な推測の入っていた、不適切な記述になってしまっていました。利用頻度は低いものの、決して不自然とまではいえない表現だったようです。後日の記事で、また詳しく触れています。)
実は、何気に今回見たこのスレッドよりもうちょい細かくて深いディスカッションがされている記事(スレッド)が同じWordreferenceフォーラムにあって、そちらにも触れようかと思ったんですけど、もう大分長くなってしまったので、そちらはまた機会があったら、にするとしましょう。
(一応、Frankさんに、「こんな情報も見かけたよ」と追記で送っておこうと思うので、もしFrankさんからの回答が来たら、一緒に紹介するのが良さそうですかね。
…正直、そこまで深入りするほどのネタでもないように思えますが(笑)。)
アイキャッチ画像も、普通にネタが尽きて来てますけど、いらすとやの「電話」イラストの検索結果から一つ、また「何それ(笑)」と面白かったネタ絵を拝借させていただきましょう(笑)。