続×16・今時の略語をチェックしておこう(AFAxx系→As far asとAs long asの違い)

早速、「Disclaimers」に関する略語、いわば「まぁ知らんけどさ」という一種の責任放棄に使える表現の続きを見ていきましょう。


毎度貼っていますが、改めて参照元のPreply記事のリンクカードを感謝の気持ちとともにペタリと貼らせていただきます。

 

preply.com

前回は「IANAL」という、クサそうな略語((笑) ただし、意味としてはおふざけの全くない、お堅く、割と重要な、「法律の専門家による意見ではありません」という表明)を見ていましたが、続いては似たようなものが3つ連続、さらになぜかいくつか飛ばして下の方にもう一つリストアップされていたので、まずそちらを一気に見ておこうと思います。

 

AFAIK – As far as I know(私の知る限り)

AFAIR – As far as I remember(私の記憶では)

AFAIC – As far as I’m concerned(私の意見としては)

AFAICT – As far as I can tell(私が言える範囲では)


こちらはまぁ、前回のIANAL宣言よりもカジュアルな、かつ別に責任放棄みたいな投げやりなものでもなく、「あくまで自分個人的な考えであり、鵜呑みにしないで欲しいんだけど」という、真摯でかつ日常会話でかなり使うといえる、重要フレーズといえそうですね。


略語は使わないものの、表現自体は僕もよく使うやつといえます。


まぁズバリ、「As far as~」でAFAですが、これで「~の範囲では」という意味になる、どなたも学校英語で習ったことがある記憶がおありになると思われるイディオムに、続いて「~」にあたる主語動詞の文がつながっただけですね(全部「私は」なので、AFAIまで共通なわけですが)。

まぁぶっちゃけ3つ目4つ目は最後の1文字があるなしだけってこともあり、どちらも私見を述べているに過ぎないのでほぼ同じ……さらにいえば最初のやつも「私の知る限り」ってのは結局自分の意見や自分の言える範囲のことを言ってるに過ぎないので、ほぼ一緒、追加でいえば2つ目の「私の記憶では」も「私の知る限りでは」とほぼ同義ですし、これまたほぼほぼ一緒(まぁ一応、これは「私の記憶が正しければ…」という、他よりも若干の自信のなさも表しているとはいえるかもしれないものの)で、正直どれを使っても含まれるニュアンスとしてはほっとんど同じといえるように思えます。


後半部分の動詞に関しては、「know」や「remember」は説明不要で…

(とはいえ後者のrememberについては、「思い出す」と「覚えている」という、日本語だと若干異なる2つの表現が、英語だとどちらも「リメンバー」になってしまうというのは、区別して使いたい場合にちょっと腹立つのりと思えてしまうことがままある気もします(笑)。

 一応、「思い出す」にはremindやrecallなんかもありますが、「うーん、何だっけ…あっ!思い出した!」という場面だと「I remember」が適切ですし、「覚える」ならmemorizeなんかもありますけど、そちらは暗記的な「覚える」で、これまた「ずっと覚えてるよ」とかだと「I remember」となりますから、何ともややこし杉内というか、「日本語だと全然違う単語の出番だから使い分けたいんだけど、英語は使い分けられないんか~い!」って感じですね。

 とりあえずこの場面では、AFAIRで「私の覚えている限り…」という意味は分かりやすいと思います)

…「tell」も中1レベルの動詞ですけど、これは日本人的には「言う」という印象の強い単語ですが、何気に「教える」「伝える」というニュアンスで捉えた方が良いと思えるシーンが多いぐらいで(例えば「教えてください」は、中学生が作る英文だと100%必ず「Please teach...」という風になると思うんですけど、これはしばしば初級英作文の注意事項で挙げられる注意点筆頭で、「teach」ってのは学問やスポーツなど、かなり複雑なものをきちんと指導する的なニュアンスの語であり、もっとカジュアルな日常場面で「ちょっと何それ、教えてよ~」ぐらいのニュアンスだと、確実に「Please tell me.」(聞かせて)あるいは「Please show me.」(見せて)が、日本語の「教えて」ドンピシャになることの方が多い感じだといえましょう。

なので、AFAICTも、「私が教えられる範囲では」ということから、まぁこれは先ほども書いた通りズバリ「私が知る限り」とほぼ同義だといえる感じですね。


一方最後の「concerned」は、これだけ他のより若干レベルが高い単語に思えるものの、これはまず「excite」や「bore」同様、自分のこと(自分の感覚)を述べる場合、「I'm excited.」「I'm bored.」のように過去分詞形を使う必要がある(=「自分が興奮・エキサイトしている」と言いたい場合、「I'm exciting.」はおかしい)という、ずっと前にも触れていた話と同じ注意点がありますがまぁそれはともかく、concernで「心配させる」「関心がある」という意味合いで、「I'm concerned.」という文自体は「気がかりだ」というニュアンスが第一義に思えるものの、頭にAFAが付いた場合は、「私が心配する範囲では…」というのもちょっとおかしいですし、この場合、「関心がある」「心をくだく」的な意味が強く出て、「私の関心を表に出させてもらうなら…」「私が心をくだいて考えてみた限り」という、結局「私の意見では」という意味になる形といえる感じだと思います。

まぁネイティブが使ってるのは見なくもない気もするものの、僕はあんまり使わないですね。

 

とりあえず後半の表現はともかく、それ以上に紛らわしいのが、前半のAFA……これ、「as long as」という、極めて不幸なことにどちらも日本語で「~の限り」と訳して全く問題なく意味が通ってしまう輩が存在しているせいで、割とごっちゃになりがちなフレーズの代表例ではないかと思います。

ま、例によってこういうのはまずネイティブの意見を参考にさせていただこう、ということで、検索したら出て来ました、久々にWordReferenceのQ&A記事を紹介させてもらいましょう。

まぁ、あんまり分かりやすい解説にはなってない気もしたものの、韓国人の方からの質問で、英語非ネイティブにはあるあるの疑問ということで面白い点に思えたので参考にしてみる形ですね。

forum.wordreference.com

Juanwan(質問者、韓国語話者):「as long as」と「as far as」は交換可能な表現なの?

こんにちは。私は韓国人の学生なんだけど。

教科書に、「It is not an asset as long as it belongs to you.(それが自分に所属する限り、資産ではない)」というのがあったんだ。

その後、学校のテストで、「It is not an asset (as much as / as far as) it belongs to you」のどちらかを選ぶ問題が出されたんだ。

僕の知る限り、「as far as」と「as long as」は意味が違うから、上記のどちらも正しいとは思えなかったんだけど…。

ネイティブスピーカー、特に教師の目から見て、この問題は高校1年生の文法を評価するのに適切なものといえるんだろうか?

上記のどちら(as much as vs as far as)が「as long as」と入れ替え可能なのかな?

あらかじめ、どうもありがとう!

 

Barqueタミル語話者):

(最後の「どちらが正しい?」の文を引用して)

どちらも正しくないね。「As long as」はa period of time(期間)を指すよ。「as much as」と「as far as」は、extent(範囲)を指すね。

(テストの問題文を引用して)

これでは意味が変わってしまうね。

「as long as」だと、あなたのものである間(その期間)は、資産ではない、という意味になるね(いずれにせよ、変な感じに聞こえるけど)。

「as much as」なら、though it belongs to you, it's not an asset(それはあなたのものであるが、資産ではない)という意味になる。

「as far as」なら、to the extent that it belongs to you, it's not an asset.(あなたに属している範囲において、資産ではない)という意味だね。

 

Juanwan(質問者):

先生、ありがとう!ただ一つ、上記の場合の「as long as」は、学校では「if」や「provided that(ただし、…)」「on the condition that(…という条件において)」といった、条件として説明されていた、ということを記しておくよ。

 

Barqueタミル語話者):(1つ上のコメントに返信)

うん、その通りだね。私は「while」を使ったけど、こちらの方が良い表現じゃないかと思えるし、効果も同じだよ。

 

Juanwan(質問者):

先生、ありがとう!英語ネイティブの方からの意見をもっと聞かせてもらえたら本当にありがたいなぁ。

 

DonnyB(イギリス・コヴェントリー在住、英国南部標準英語話者):

「It is not an asset as long as it belongs to you」という文の中で、「as long as」というフレーズは、「provided that」や「on condition that」の意味を持ち、「for the length of time that(…の期間)」という概念を伝えるものではないね。

私の考えでは、「as much as」や「as far as」と同じ意味にはならないし、なぜテストの答がそうなっているのか、少しばかり困惑してしまうよ😕

この文章はそもそもちょっとおかしいと思えるけど:彼らは一体何を「資産」として考えているのだろうか?

 

RedwoodGrove(北部カリフォルニア在住、アメリカ英語話者):(最初のテスト問題の文に返信)

逆じゃない?

 

Juanwan(質問者):

先生方、ありがとう!どのような意味で「It's not an asset as far as it belongs to you」が「It's not an asset as much as it belongs to you」よりも文法的に正しいのか、混乱してしまっているよ。追加のフィードバックをよろしく〜〜

 

RedwoodGrove(北部カリフォルニア在住、アメリカ英語話者):(最初のテスト問題の文に返信)

これは論理的さ:

It is not an asset as long as it does not belong to you.
(あなたのものでない限り、資産ではない。)
It is an asset as long as it belongs to you.
(あなたのものである限り、資産である。)


It's not an asset in as far as it does not belong to you.
(あなたのものでない範囲において、資産に含まれない。)
It's an asset in as far as it belongs to you.
(あなたのものである範囲において、資産に含まれる。)
It's not an asset in as much as it does not belong to you.
(あなたのものでない以上、資産に含まれない。)
It's an asset in as much as it belongs to you.
(あなたのものである以上、資産に含まれる。)

ただし、この3つのフレーズは全く同じ意味ではないね。(「in」を省くと文章が若干非文法的になるけど、inがあることで意味が変わってくるよ。)こういう意味であってほしいんだろうと思うんだけど、こうではないね:

It is not an asset to the extent that it does not belong to you.
(あなたのものでない範囲において、資産ではない。)
It is an asset to the extent that it belongs to you.
(あなたのものである範囲において、資産である。)

 

DonnyB(イギリス・コヴェントリー在住、英国南部標準英語話者):

ああ…ここでその問題が伝えようとしているのは、こういった考えなのかもしれないね:

「It is not an asset (i.e the property of the school) as long as (=provided that) it belongs to you (i.e the individual student)」(あなた(=生徒個人)のものである限り(=provided that、~という条件で)、資産(=学校の所有物)ではない)ということかな。これは少なくとも、言っていることは論理的に筋が通っているね。

しかし、元々の3つの例文はどれもおかしく、良い慣用英語表現を作るという点で、この問題は大失敗していると私は思うよ😠

 

dojibearカリフォルニア州フレズノ在住、アメリカ北東部英語話者):(3つ上の質問者のコメントへの返信)

アメリカ英語では、これらの文章はどちらも不正解だね。「as far as」も「as much as」も「if」や「while(~の一方)」の意味にはならない。教科書の文(これは正しい)の「as long as」を置き換えることもできないね。

 

sound shift(ダービー(イギリス中部)在住、英国英語話者):(1つ上のdojibearさんのコメントへの返信)

イギリス英語も、同上。

 

PaulQ(英国在住、英国英語話者):

As long as = for the length of time that(その長さの時間の間)
As far as = to the degree/extent that(その程度/範囲で)

 

Linkway(イギリス英語話者):(1つ上のPaulQさんのコメントへの返信)

こういった定義が不完全で誤解を招くものであることは、すでに上の方で立証されていると思うんだけど。

「For as long as I live,...」は、確かに期間に関するものである。

「I will go to church as long as you promise to refund the bus fare to me(あなたがバス代を返してくれるなら、私は教会に行く)」というのは、「~を条件として」という意味であり、期間とは関係ないよね。

 

DonnyB(イギリス・コヴェントリー在住、英国南部標準英語話者):(2つ上のPaulQさんのコメントへの返信)

これは投稿質問文の文脈に合う定義としては間違っているけどね。

Oxford Dictionaries Onlineの定義2番のはずだね:Provided that(ただし、~の条件なら)さ😀

 

kentixアメリカ英語話者):(最初の質問「高1のテストとして適切?」への返信)

誰にとっても適切じゃないね🤪

 

PaulQさんは、以前取り上げていた複数のQ&Aスレで割とお役立ち回答を沢山くれていた印象がありますが、今回は他の方に「そういうことを聞いてるんじゃないと思う。この場面でその説明はおかしい」と書かれていた通り、結局かなりややこしい所なんですよね。

 

まぁネイティブの説明も錯綜していますし、正直彼らの説明で日本語には完璧に投影できない部分も多かったわけですが、我々日本人的には、ここはもうざっくり、「as long as」は「条件」を言いたいとき(「~であるならば」とか)に、一方「as far as」は今回の略語にあったように、「自分の知る範囲で」みたいな「自分の考え・意見であることを述べたい」ような場合に使われるものとでもいいますか(語義的には、「時間のlong」に対して、「farは距離」という印象が強いですが、このイディオムの使い分けにおいては、あまり意味のない分類かな、とも思えます)、まぁ正直その分類にピタリ当てはまるわけではない場面もあるっちゃああるものの、僕は何となくそれで使い分けできてる感じに思います。

 

つまり、「~という条件なら」と言い換えできそうな「~の限り」は「as long as」、「~の言える範囲で言うなら」と言い換えできそうな「~の限り」は「as far as」と、概ねそんな感じでOKでしょう。

後者はほとんど「私の意見的には」という形に落ち着きますし、今回の「AFAxx」系は、まさに「自分の知る範囲で言うなら」なので、これは全部farの出番だとそういう感じでした。

これをきっかけに、「そういえばあの略語は、『私見ですけど』というへりくだった言い回しで、『アファックス』って感じだったな」と思い出せば、farが「自分の知る範囲」、longがそれじゃない方の、「~という条件の限り」だったな、と思い返すことでど忘れ防止に使えるかもしれませんね。

 

一方as long asは、個人的に印象に残っているものとしては、ずっと前の記事で書いていた、元同僚のアサカさんに言われた「あなたが幸せであるならば、私もうれしい」という温かい台詞があるんですけど(参考:↓の記事)、 まさに彼女はここで「As long as you are happy, ...」と完全に「~であるならね」という形のイディオムを口にしてくれていた感じでした。

 

con-cats.hatenablog.com

…と、(途中WR記事の翻訳紹介すら初稿では間に合わなかったぐらいに)また時間切れとなってしまったので、何とも駆け足な、あんまり説明にもなってない説明になってしまいましたが、次回はまた続きの略語を見ていこうかなと思います。

アイキャッチ画像は、例によってまた全く考えてる暇がなかったので、 (全然内容と1ミリも関係ないものの)WR記事で触れられていた謎のテスト問題から、「資産」と検索して出てきたいらすとを貼ってお茶を濁させていただきました。

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