青い花・英語版で気になった所を挙げていこう:8巻その3

英語版『青い花』ことSBFの英訳ネタ続き、次回で終わりぐらいかと思っていましたが、無駄に記事を水増しする感じで、今回含め残り2回でいけそうだった所を3回に分けようと思います。

ま、毎度その辺の記事構成うんぬんはどうでもいいですね。

早速続きに参りましょう。

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(8) p. 127:"NEXT YEAR"(「来年」)

大きな違いではないけど、原文では"This year"(「今年から文化祭実施」)となってるよ。

(日本の学年度は4月から始まるから、卒業後でもまだその年の残り時間は大量にあるけど、アメリカだと制度が違ってイメージしづらいこともあって、"next"に変更されているのかもね。)

A. この英訳で暗示されている意味は、"next [school] year"(「来年度」)だと思う。

このシーンは学年末に設定されているので、文化祭の計画は新学年まで待つ必要がある。

少なくともこの文脈では、"year"を暦年ではなく学校年度と解釈する傾向が強いので、ここで"this year"を使うとアメリカ人の読者は混乱するように思う。


⇒(追加メッセージ:)
なるへそ~!

そういえば似たような例として、"we'll have a meeting next Friday"(「次の金曜日にミーティングを行う」)という文を例えば6月8日・水曜日現在に使うと、6月17日金曜日を指すことが多いよね?

我々日本人にとっては、"next Friday"というと、「次に来る金曜日」に聞こえてしまって、6月10日(直近の、今週金曜日)に感じてしまうので、やや違和感があるんだ。

じゃあ10日金曜日を表したい時にはどうすればいいのかアメリカの人に聞いたら、"this (coming) Friday"だと聞いたけど、やはり日本人的には紛らわしいね。

この"next [school] year"の省略も、どことなくそこに似ている部分を感じたよ。

(※追加独り言:)実はFrankさんに送ったメッセージでは、this Fridayとnext Fridayがごっちゃになってしまっており、何かよく分かんない文を送ってしまっていたのですが(幸い特にこの追加メッセージには返事もないですし、無駄なやり取りを強いることにならずに済んだのはよかたですが)、ブログ用に、本来言いたかったように修正しておきました。
(とはいえ、過去の言及も絡んでくると、やはり「this+曜日」は大変ややこしく、誤解のないようにちゃんと追加情報を出した方がいいとされているみたいですね。)

また、アメリカの新年度は9月からですけど、(僕は高校のことは知りませんが)大学の卒業式は実は5月にあることがほとんどなので(以前書いていた、「アメリカ人が見た、ここが変だよ日本人」ネタでも少し触れていました)、「アメリカは制度が違うから、卒業式時点で『今年』も残り少ないからかもね」という最初の質問で書いていた点は、冷静に考えたらやや不適だったかもしれませんね。

 

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(8) p. 127:"THE SECOND YEARS WERE MEAN"(「二年生は意地悪だった」)

実はここ、まるでやっさんの経験であるかのように「二年生」と明記されているわけではなく、日本語版オリジナルでは単に"the seniors were mean"(「上級生が意地悪だった」※原文は「あたし中学のとき上級生と仲悪かったんで」)となってるね。

A. 日本語原文は "senpai"なのかな?

もしそうなら、これも「先輩」という言葉そのものを使わず、「先輩」の類義語である「シニア」なども使わないようにした例といえよう。

実際、やっさん、モギー、ポンの三人が抱えている問題は特に二年生との問題であり、「先輩」だと二年生と三年生のどちらを指すのかが分からないから、ここでは「二年生」を用いる方がより理解できる形になっていると思う。


⇒(追加メッセージ:)
え、待った、これってやっさんの後輩が、自分の経験をやっさんに向けて語ってる台詞だよね?

だから、ここで特に「二年生」というのは、個人的にはかなり変な感じがするね(その生徒は、やっさんたちの中学時代の話なんて全く知らないのだから)。


そしてご質問の、日本語版原文で使われている言葉は"senpai"はなく、「上級生」(senpaiに似ているけど、単に"your seniors"の意味)なので、やはり特に「二年生」ではなく、"seniors"とした方がいいと思えるね。


(※追加独り言:)今回追加で送信していたメッセージは、色々な質問が大量に錯綜していたこともあってどれもFrankさんから更に追っていただいた回答はないのですが、英語版の方を見直してみると、「二年生は意地悪だった」に続く次の吹き出しは、

"...BUT YOU WERE ALWAYS NICE TO US!"(「でもあなたたちは優しかった」)

となっていたので………あぁ、このコマはやっさんの顔のアップということもあり、敬語とかもない英語では、読みようによっては「やっさんが後輩に向けて言っている台詞」と取れなくもないかもしれませんね。


ちなみに日本語原文のこの部分は「やさしい先輩でよかったって思います」なので、疑問の余地なく、ここはやっさんが「受けている言葉」と断言できますね。

普通に考えたら、文脈的にいくら上下関係の少ない英語圏といえど、後輩に「中学時代、二年生は意地悪だったけど、今はみんなが優しくてよかった!」なんて言わないでしょう…と思いますし、ここはやっぱり翻訳ミスの一種かな、と思いますね。

(Frankさんがこれをやっさんの台詞だと思ったのも、「二年生」という単語が一因だと思いますしね。)

 

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(8) p. 129:"WELL, I WANTED TO SEE YOU GUYS!"(「みんなに会いたかったよ!」)

これまた微々たる違いだけど、実際のあきらの発言は、"Well, I thought I should at least say good-bye."(原文:「いやー やっぱ あいさつくらいはしておこうと思って」)みたいな感じだね。

ここは、SBFの方がナイスな表現に思えるかな。

A. 意味は多少似ている。

"I wanted to see you guys"というのは、あきらが帰る前に友達にさよならを言うべきだと思ったということだからね。


⇒(追加メッセージ:)なるほど。

ただ指摘したかったポイントとしては、SBFの方は積極的な「願望」に思えるけど、日本語版はある種の「義務感」みたいなニュアンスが入ってるから(「そんなにしたかったわけではないけど、まぁしておくべきか」みたいな感じ)、SBFの方があきらの後輩に対する気持ちがより良いものに見える、ってこったね。

 

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(8) p. 133:"WERE YOU CELEBRATING WITH THE YOUNGER STUDENTS?"(「後輩と一緒にお祝いしたの?」)

これまた基本的には似たようなもの(というかほぼ同一)だけど、ここでやっさんは、"Both of us have wonderful Kouhai students, huh?"(原文:「お互い 良い後輩をもちましたなー」)みたいなことを言っているよ。

A. ここも、翻訳者が"kouhai"や"junior"という語の使用を避けようと、代案として"young students"を選択肢に入れたのだと思う。

"Both of us have wonderful younger students"という文章は、英語としては不自然なので、恐らく多少違う文章を選んだのであろう。


⇒(追加メッセージ:)
ああ、個人的なポイントは"kouhai/younger students"の違いではなく、文の構造・ニュアンスそのものの違いだったんだけど(単なる叙述文か疑問文かの違い程度)、しかし、直訳文そのものが不自然なのであれば、それはそれで問題ないね。知れて良かったよ。

 

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…という所で、今回は卒業シーンだけでしたが、気になった英訳部分としては、大したポイントでもなかったかもしれませんね。

個人的には、まぁそれで育ったから当たり前かもしれないですけど、まだ寒いけどもう春はすぐそこ……みたいなタイミングで卒業という、日本の年度システム(4月1日が新年度)の方がどちらかというと好きですねぇ。

とはいえ卒業後、新しい道に進む前の自由時間が一番いい真夏に当たるというアメリカのシステムも、悪くはない気もしますけどね。


「日本の学校年度も欧米に倣って9月スタートにしよう」みたいな議論も定期的に出ていると聞きますが、現実的には、日本は学校のみならず会計年度他社会がもう完全に4月新年度で出来上がっているので、それは難しいんじゃないかなぁ、という気がします。

世界のスタンダードではないですが、でも日本には桜があるから…ともいえますし、4月がスタート!という文化はまぁあえて変えなくてもいいんじゃないかなと、僕なんぞはそう思えるかもしれません。

(社会制度が許すならば、学生にとっては、9月スタートの方がメリットは多いとも思うんですけどね。

 入試も暖かい時期になってやりやすいだろうし、何より世界各国との新年度開始時期の違いがなくなるので、留学という点には大いにプラスに思います。

 でもまぁやっぱり、桜がある日本では、別れと出会いの卒業や入学は絶対に桜とともに!といえましょう(まぁそんなのが理由ではないと思いすけど(笑))。)


余談が長くなりましたが、今回の英語ネタはまさに小ネタですね。

PJとは一体?!

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青い花で学ぶ英語】

(6) p. 60:"PJ'S"(パジャマ)

何てことはない、「PJ」や「PJ's」というのは、パジャマのことを英語ではそう呼ぶこともあるというそれだけですが(「パパ活女子」ではなく(笑))、この場面はふみちゃんのお母さんの発言ですし、別に子供の呼び方という訳ではなく、誰でも使う省略表現といえましょう。


省略表現といえば、日本語はとにかく何でも短くするのが好きで、僕もブログ記事ではよく無意味に四文字略語を使ってキャッキャしていたものです。

日本語の場合、名前の一部を取って四文字(四拍)にすることが多いですが(パーソナルコンピューター → パソコン、コンビニエンスストア → コンビニ、木村拓哉さん →キムタクなど)、英語の場合は、もちろん独自の愛称が付くこともありますけど、結構な頻度で、「アルファベットを羅列する形で略・短縮」のパターンを目にします。


いうまでもなくパソコンはPCで、これは日本語でもよく見かけますが、ファミリーコンピューターファミコンなんかは、英語だとNintendo Entertainment SystemNESなので、そもそも日本語名とは全然違いますけど、やっぱりアルファベットの抽出ですね(プレステもPSですし)。

(なお、発音は、基本的にアルファベットをそのまま読むことが多い印象なので、これは「エヌイーエス」だと思ってたんですが、検索したら、任天堂公式の発音は「ネス」だそうですね。)

 

また、そもそも本シリーズの最重要名詞、青い花英語版の『Sweet Blue Flowers』ですと、日本なら間違いなく「スイブル」とか「スウィフラ」とか略されていたでしょうが、Frankさんがまさにそうされているように、英語ならほぼ確で「SBF」でしょう。

ちなみにFrankさんからのメールでは、『青い花』もAHと略されていることがありました。


先ほど挙げた「コンビニ」なんかも、そもそもコンビニが日本ほどメジャーでも普及もしていない印象ですが、フルで呼ばない場合は、CVSと略される感じですね。

(ただCVSだと、最大手薬局の名前にもなるので紛らわしい気もしますが。「CVSに行きたい」と言ったら、100%確実にドラッグストアに連れて行かれます。)


一方人名は、流石にやっぱり人の名前はニックネームになることが多いですが、結構、特徴あるイニシャルの場合、特に同じイニシャルが続くような場合ですと、アルファベット2文字をニックネームにすることも多いですね。

実際周りにはJJさんやDDさんやKKさんなんかが、それぞれ自ら「JJと呼んでくれ」みたいに自己紹介している例がありました(当然みんなJJ呼び)。


そもそも国としてアメリカ自体もUSAという頭字語ですし、漢字という便利な代物がない以上、やはりアルファベット表記の略語が発展してきたという歴史があるのかもしれませんね。

野球チームとかも、ヤンキースNYYニューヨーク・ヤンキース)、エンゼルスLAAロサンゼルス・エンゼルス)という感じですし、同じ地区に別のチームがない場合は地名2文字の略記のみの場合すらありますが(ジャイアンツがSF(サンフランシスコ・ジャイアンツ)など)、こういうのも、「巨」や「神」(あぁ、阪神は、昔阪急があった名残で「神」表記ですね)といった便利表記が不可能な英語の苦肉の策に思えますけど、一見「分っかり辛っ!」と思えるものの、案外慣れるものなのかな、という印象です。

(野球の打率=AVG (Batting Average) とか、ホームラン=HRはともかく、打点=RBI (Run Batted In) とか、防御率ERA (Earned Run Average) とかは、よっぽどその競技が好きじゃないと意味不明な略語に思えますが、こういうのも使っていれば(よく目にしていれば)慣れていくことでしょう。

 他にも、ゲームの能力とかでよく使われるSTR(力でStrength)とか、VIT(生命力でVitality)とか、INT(知力でIntelligence)とか、まぁその辺は簡単にイメージも湧くものの、下手したらそんな単語すら知らなかったAGI(素早さのAgility)とかDEX(器用さのDexterity)とかそういうのも、案外慣れたら気にならないものになる印象ですし、むしろ意外と勉強になるといえるかもしれません。)


それでも僕はやっぱり、四拍の略語が好きですけどね(笑)。

 

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大したことないネタでしたが、無駄に長くなってしまいました。

次回の英語ネタも、更にショボイちょいネタです。

放浪息子』12巻表紙、https://www.amazon.co.jp/dp/B00972867Gより

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