青い花・英語版で気になった所を挙げていこう:8巻その4

中途半端に分けたため、今回は割と短めです。

(とはいえ結局4000字以上あるので、冷静に考えたらブログ記事としてはむしろこれでも長い方かもしれませんね。いつもよりは短く、読みやすいから良いということにしておきましょう(笑))

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(8) p. 152:"I HEARD FROM YOUR MOM"(「あなたのお母さんに聞いたよ」)

これも既に訳注で指摘していたんだけど、最後のコマの京子の台詞、"YOUR MOM"ではなく、原文では複数形で表されている呼び方(これまた日本語は曖昧なため、誰かは特定できないんだけど…。"ladies"と同じような感じかな。※注:原文は「おばさまたち」)なので、ここは、必ずしも康の母親とは限らないね。

で、関連して次のページも、日本語版では、康は "MOM CAN'T WAIT"(「母は(京子の花嫁姿を)待ちきれない」)とは言っておらず、例によって日本語によくある主語のない文なんだけど、"(people) CAN'T WAIT TO SEE..."的な意味の台詞となってるよ(原文:「京子の花嫁姿が楽しみだって」(※「誰が」楽しみにしているかは明言していない))。

もちろん、康の母親である可能性が高いし、あの母親がちゃんと京子や京子母を受け入れてくれたという意味からもそうであると思いたいけど、一応、叔母の花絵さんや、他の人たちの可能性もあるってこっちゃね。

 

A. これは興味深い点だ。

ただ、はっきりさせておきたい点がある:京子が"my mother has worked hard on the ceremony"(「母が式のために尽力してくれた」)というのは、原文の日本語を正確に訳しているのであろうか?

つまり言い換えると、京子の台詞は自分の母親を指しているのか、それとも他の母親たちを指しているのだろうか…?


⇒(追加メッセージ:)
京子の台詞はその通りで、日本語版でも100%京子自身の母親だけを指しているよ。

ちなみに、京子も康も、相手の母親(およびその他の近い人)を「obasama」と表現しているけど、京子は複数形で、康は単数形を使っているね。

 

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(8) p. 153:"WHAT ABOUT YOU, FUMI?"(「ふみちゃんはどうなの?」)

最後から2コマ目の最初のこの文章で、実は英恵は「どう?」という質問ではなく、より切り込んで、"You don't talk about such things almost at all"(原文:「てゆーか ふみちゃんそういう話全然しないね」)とはっきり言っている感じだね。

A. SBF版は、元の日本語の延長線上にある、自然な表現だと思う。

英恵が "You don't talk about such things [marriage]"と言えば、"Are you not interested in marriage?"(次の吹き出しの台詞。「結婚に興味ないの?」)となるのが自然な流れであろう。

英恵が直接質問をしていない分、日本版の方が丁寧だね。

こういった状況では、アメリカ人の読者は、英恵が先に質問してくることを期待するといえよう。


⇒(追加メッセージ:)
あ、実は日本語版でも、次の台詞は"are you not interested in?"と質問しているんだけどね("marriage"(結婚)という単語は使っていないけど、なくてもそれは明確だよ。※原文:「興味ないの?」)。

一連の台詞の、最初の部分だけが違うということだね。

 

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(8) p. 129:"OH, TELL ME MORE!"(「おー、もっと聞かせて」)

そして次のページ……英恵は、↑の台詞ではなく、日本語版だと、ただ"Wow."と言ってるだけだね(もっと話を聞かせてと要求しているわけではなく…大して違わないけど。※注:原文は「おー」だけなので、wowというより英訳と同じohで良かったかもしれません(笑))。

 

A. これも、アメリカの読者なら、特に英恵がふみの友人であることを鑑みれば、英恵はふみにもっと率直に友人の状況を聞いてくれることを期待する例だと思うね。


⇒(追加メッセージ:)そうだね、その考え方は全く理に適ってるし、SBFの文章の方が英語としてはより自然ってこったろうね。

 

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(8) p. 173:"AND DID YOU HAVE TO CRY ABOUT IT?"(「それで泣く羽目になったの?」)

これは極々わずかな違いだけど……日本語版オリジナルでは、誰かが、"Well, it was a big trip, but I believe it was not so much as crying"(原文:「いやあ 泣くほどかっつーと そこまでとは」)と言っている感じだよ。

質問ではなく、転んだときの状況説明だね。

A. これもまた、アメリカ式より日本式の方が、この類の思いを表現する上で、より丁寧になっているケースだと思えるね :-)


(追加の独り言:)実際の日本語の台詞は、「あんなので泣くか普通?」みたいな雰囲気もある言い回しですが、まぁ英語にするとそのニュアンスは消えてしまいますね(笑)。

 

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(8) p. 182:"YASUKO SENT PICTURES."(「恭己が写真を送ってくれた」)

これは明らかに違うね。

日本語版オリジナルでは、"YASSAN sent pictures."(「やっさんから写真送られてきた」)となってるよ。

二人との仲の良さを考えると、YASSANの方がどう考えても自然に思えるかな。

A. ああ、これも改訂版の誤植に追加する候補の一つといえよう。

もう一点:ふみが(恐らくひどい泣き顔で)恥ずかしがっていたことから、写真は京子の結婚式とその後のパーティーのものであることは明らかである。

披露宴には、やっさんはあきらやふみと一緒に出席していたが、恭己はその場にいたことは示されていないね。(実際、恭己が結婚式に出席したかどうかは不明である。)


⇒(追加メッセージ:)描写はないけど、個人的には恭己は結婚式に出席したと思うなぁ。

そもそもそのために日本に帰ってきたんだと思うし、恭己と京子二人の関係を考えれば、100%絶対に出席しているはずに思えるよ(実際そのことに気が付かなかったぐらい、描写がないのが不思議なくらいだね)。

 

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…ちょうど、今回は結婚式に至るあたりからその後のシーンについてでした。

次回は最終シーンと、それからあとがきのわずか二点ですが、Frankさん的には結構面白い点だったらしく、とても長いコメントが返ってきたため、二点で十分な長さになりそうです。

楽しみに紹介させていただきましょう。


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青い花で学ぶ英語】

(6) p. 114:"HOME EC"(「家庭科」(家庭科室の掛札))

そういえば家庭科みたいな授業の名前って、案外英語でどういえばいいのか分かんないですよね。

フルで書けば「home economics」で、家庭科というよりむしろ「家政学」みたいな仰々しい名前になりますけど、仰々しいだけに、軽く検索してみた限り、アメリカの多くの学校ではこの授業は特に存在しないこともあるみたいです。

僕は高校が男子校でしたが、一応、高校でも生活の授業はありましたねぇ。


その他の主要五科目以外の授業だと、保健とかもそういえばどういうのかな?…と思ったら、これはそのまんまhealthクラスですか。

ちなみに、体育は、これは世代・地域を問わず、中一英語の最初期に習うと思うんですけど、非常に分かりやすく覚えやすい「PE」なんですよね。


初めての英語のテストで、「好きな科目を書きなさい」という問題が出たんですけど、僕は迷うことなくPEと書きました。

まぁ実際体育は好きでしたけど、それ以上に、絶対にスペルミスをしないボーナスネームだからこそ、ここぞとばかりに選んで書いた形ですね(笑)。

(確か友達にそう言ったら笑われましたが、しかし英語をEngrishとか、国語をJapaneeseとか、数学をmassとか、理科をscienseとか、社会をsosial studysとか、音楽をmuzikとか、美術をaatとか、他の難しい単語だとついつい間違えてしまうチャンスはあるわけです(まぁ無理筋の間違いもありましたが(笑))。

…とはいえ初めてのテストというのは緊張しますし、慎重な僕は万全を期したわけです。
 なお、緊張しすぎたせいか、今でも覚えてますけど、「5番目のアルファベットを書きなさい」という問題で(答えは当然、E)、何をトチ狂ったのか僕は「fifth」と書いてバツを食らって100点を逃したのも、いい思い出です(笑)。)


ちなみにPEは、あの時習ってからその後一度も使う機会はなかったですけど、習ったとき、正式名称は「難しい英語だ!これは初心者には覚えられないね」と思った記憶が非常に強いんですが、改めて確認してみたらPEはPhysical Educationで、まさかのフィジカル・エデュケーション!

…こんな、簡単すぎて逆に「そんな訳ないよね、めっちゃ難解で全く覚えられそうにない単語だったし」と思えたレベルの基本語句が、当時本当に「はじめての英語」だっただけに謎の英単語文字列に思えていたとは、思い返してみると僕も成長したものです…。

(っていうか、「フィジカルが強い」とか別に子供でもいうし、なぜ僕はそんな発想もなかったのでしょうか…?(笑))


あとさっきは書きませんでしたが、技術をIndsutrial artsというのも、「インダストリアル・アーツ」という音が印象的ですしめっちゃ習った記憶が強いですけど(もちろん、当時はindustrialの意味すら知りませんでしたが)、これは、自分の中学校にあった科目を習ったってことなんですかね…?

ただ、書道のcalligraphyは、今は知ってますけどこちらは当時習った記憶はないので、「これは難しすぎて中学生には不要だ」とか思われたのでしょうか…?


いずれにせよ、Home Ecも習った記憶がないですし、割と学校で教わったことは完璧にマスターする自信のある僕ですが、もしかしたら自分が忘れているだけなのかもしれませんね。


Home Ecの掛札から、そんな昔のことを思い出しました、というお話でした。

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放浪息子』13巻表紙、https://www.amazon.co.jp/dp/B00972863Kより

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