続・補足ネタ:新章の題・最後の台詞など

では今回も補足・脱線ネタの続きに参りましょう。

 

といっても全く大したネタではなく、まさに記事水増しのため以外の何物でもないのですが(笑)、まず一つ目は、最初の追加新章のタイトルである「日本語版に向けての序文」という点に関してです。

既にこないだの記事でこのタイトルに関する補足メッセージは紹介していましたが、そこで触れていた通り、日本語版発行にあたり「Preface to the Japanese edition」という題の章が考察本の一番最初に追加されたわけですけど、それに伴い、元々あったオリジナルの序文は、「Preface to the English edition」と改名されていました。


これについて、Frankさんから、

「Preface to the Japanese editionは『日本語版に向けての序文』という翻訳がされているが、英語版の方のタイトル・Preface to the English editionは、それに対応して『英語版に向けての序文』という形で訳すので良いだろうか?」

という質問をいただいていました。


これ、もちろん自分から送るつもりだったんですけど、ちょっとややこしい点も含んでいる気がしたので、また後で詳しく送ろうかなと保留にしていた所だったのです。

しかし質問されたので、メールで返事をしておくことにしました。

以下日本語に変換して掲載しておきます。

 

-----Frankさんへの、序文タイトルに関する返信メッセージ-----

そうそう、それについてもメッセージを送ろうと思っていた所だよ。

それで正しいし全く問題ないんだけど、実を言うと、英語版の方は少し別の表現も一案として浮かんでいるんだ。

具体的には、「英語版への序文」という日本語訳なんだけど…
(※注:本当は「英語版の序文」とかの方がよりしっくり来る気もするんですが、どうせ採用しない案だと思ったため、まぁあまり深くこだわらず、一番直訳に近いように書いておきました)
…そちらをそう訳すことで、「日本語版に向けての序文」というタイトルが、何というか新しく挿入された、新規の章・序文であるということが、より分かりやすくハッキリと示される形になるんだ。


とはいえこれは微々たる違いであって、多くの読者はそんなこと気にしないし些細な点だとは思うんだけど、一応個人的には、そうした方が何となくしっくり来る気がするって感じかな。

実際「日本語版に向けての序文」は新しく挿入された章であるわけだし、タイトルでそれを示すのも悪くないと思えるしね。


…がしかし、元々の英語タイトルは両者が完全に同じ構造になっているわけで、恐らく日本語訳したタイトルも、同じ構造のフレーズにした方がいいのかもしれないな…とも、強く思えるよ。
(多分、上で記述したような差異(新しく追加した章であることを明示したい、的な)は、元々特に意図されていないのではないか、とも思うしね。)


そんなわけで、色々細かいニュアンスうんぬんを書いてしまったけど、「日本語版に向けての序文」「英語版に向けての序文」という訳題で、普通に全く問題ないと思う、って形かな。

(むしろ、後者だけ「英語版への序文」と構造を変えてしまうのは、元の英題が同じなのにやっぱりおかしい気がするから、同じ形の方が断然いいと思う。
 なお、上述の「新規性が伝わる表現」というのは、あくまでも「後者が違う表現の場合、それと比べたら」であって、両方同じタイトルの場合、別にこの表現自体でそういう「時系列的に新しい」というニュアンスが出るわけでもないから、英語版の方を「英語版に向けての序文」とするのも全く問題ない感じだね。)

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…という感じで、めちゃくちゃ微妙な差異でしかないですし(多分、日本語でもそう感じない人もいる?)、翻訳者が原文に影響を与えるのは差し出がましいか…?とも思えましたが、一応個人的に感じる微妙な違いについてFrankさんにも伝えてみた形です。

日本語ですら多分伝わってない可能性も高いので、果たして英語で伝わってんのか?って気もしましたが(笑)、これに関しても、また追って返信をいただいていました。

そちらをご紹介しておきましょう。

 

-----Frankさんから、追っていただいていた更なる返信-----

機械翻訳にかけて色々いじり回してみた所、いただいたご意見に同意できる形だね。

どうやら「英語版への序文」という日本語訳は、"Preface to the English Edition"というフレーズに対しての、最も明白な/単純な/分かり良い翻訳であるように見受けられる。

そして、"Preface to the Japanese Edition"については、「へ」を「向けて」に置き換えているようだね。これが新しい序文であると示す・元からあった序文のタイトルと対比させて訳すためには、この方法が良い…という、おっしゃられたご判断を信用しよう。

そんなわけで、いただいた提案に合わせて、オリジナルの序文のタイトルを変更しようと思う。…もしそれが悪いアイデアではないのなら。

---------------

 

というわけで、どうやらFrankさんは、英語の章タイトルに、追ってまた変更を加えてくれるようです。

とはいえぶっちゃけかなり微妙な差異でしかないですし、何か変更させるのも悪いというか改めて差し出がましい気もしたので、追っての返事で、

「実際のこういう場面では、上述のように違いのあるタイトルが使われることも多い気がするけど、しかし元々は同じタイトルを書かれていたわけだし、同じままでもいいと思うよ。
 あぁでもいただいたコメントを読んでいたら、同じにするにしても、どちらも『~版への序文』の方が素直だしいいかも、って気もしてきたね。

 いずれにせよ、変更するなら、またそれに応じた翻訳を考えるとするよ」

…というメッセージを送っておきました。


まだその後の追記はない状態ですが、序文のタイトルはまた変わるかもしれない、ということですね。

もし変更になったら、また改めてちょろっと触れてみようと思います。

 


そしてもう一つ全く別のネタになりますが、先日、ツイッターに珍しくリプの通知が来ており、何だ?と思って見てみたら、FrankさんがThat Type of Girlに関してのツイートをして、それに対して青い花(SBF)ファンの方がコメントをつけて、更にそれに対してFrankさんが僕のアカウントにも触れてリプをしてくれていたという形でした。

せっかくなので、今回はこちらのやり取りをご紹介させていただこうかと思います。


上記ツイートのツリーですね。


順に翻訳させていただきましょう。

Frankさん:
@takakoshimuraの漫画「#SweetBlueFlowers(#AoiHana)」のテーマ、キャラクター、プロットに関する本の作業で、しばらくTwitterを休止していた。

日本社会、歴史、LGBTQの文脈で百合漫画を解説しているので、興味のある方はぜひご覧いただきたい。

https://frankhecker.com/that-type-of-girl/


Jayさん:
SBFのViz版を読み終えたところで、エンディングについて疑問があり、あなたの本を読んでみることにしたよ。

単に、原作のニュアンスにどれだけ近い翻訳がされているかを知りたかったんだけど、何か感想やアイデアがあれば教えて欲しいな。

Jay Landoさんのアップされていた、翻訳比較画像

個人的には、エンディングの雰囲気が、例えば最初に読んだこのファンによる有志翻訳と比べると、変わっているような気がするんだけど。


Frankさん:
本書に興味を持っていただいてありがとう!

このページ(青い花 (8) p.185 / SBF 4:365)の翻訳について、拙著を翻訳していただいた@hitus_concatsと議論をした。

「overflowing(溢れる)」「spilling out(こぼれ落ちる)」といった言葉を使った方が原文に忠実であるという意見を支持したい。

拙著ではこの有志翻訳の点に関しては特に触れていないが(VIZ公式版について述べているため)、「Emotional Incontinence」の一節で、この「溢れる」という概念に関連する、『青い花』で繰り返し見られるテーマについて述べているよ。

 

Jayさん:
ああ、すてき。

私は「I(私)」と「we(私たち)」の違いに注目しているんだけど、本を読んでからにしましょうか。

余談だけど、今年Anne Arundel郡を離れたばかりで、私のパートナーはRockville出身でもあるので、検索でランダムに出てくるメリーランド州のネタが面白いんだ。


紺助:
Jayさんこんにちは!これは興味深い点で、Frankさんと議論していた所だよ。

日本語版オリジナルでは、文章の主語は完全に省かれているんだ(ご存知かと思うけど、日本語では普通にあることだね)。

なので、どう受け取るかは読者次第なんだけど、個人的には、あえて書くなら「we」の方が近いような気がするね(でも改めて、そこは明示されていない点だよ)。

 

まさにちょうど、こないだ触れていた最後の場面の台詞が気になったJayさんからのツイートでした。

比較の翻訳版は恐らく非公式のファンによるもので、あんまり取り上げてはいけないやつなのかもしれませんけど、割と、公式SBFよりも原典日本語のニュアンスが取れている気が、少なくともこの場面からはしますね。


とはいえここは本当に難しい所ですし、色々考察しがいがある点なので、Jayさんにも、Frankさんによる面白い考察をぜひご覧になって、楽しんでいただきたい限りです!

許可なく勝手に引用・翻訳させていただいちゃいましたが、この場を借りてJayさんには改めてお礼申し上げます。

(↓Jayさんのツイッターアカウント;シンボルである虹の旗、トランスジェンダーの方でしょうかね?)

twitter.com


…という所で、脱線ネタでした。

あぁあともう一点、こないだの記事で、ウェルカー教授によるマクレランド教授への追悼メッセージを翻訳させていただこうかと思う…などと書いていましたが、よく読んでみたらあの文章はほぼマクレランド教授の経歴をなぞっているだけで、特に思い出話や興味深い秘話などがあるわけではなかったので、まぁ流石にこれを翻訳する必要はないかな、と考えを改めました。

他に名前の挙がっていた、エリカ・フリードマンさんの本やブログ記事もたくさんあってどれも興味深そうではありますが、まぁ僕は青い花が好きなだけで、そこまで百合作品が好きというわけでもないですし、それ以上に他人の著作を勝手に翻訳して公開するのもよく考えたら認められた行為ではありませんから(CCライセンスを付与してくれていたFrankさんが、むしろ珍しいパターンですね)、まぁその他の翻訳紹介は控えておこうかなと思います。

では、次回はまた考察本新章の続きに参りましょう。

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