いただいていたコメントの続きに参りましょう。
今回は、こないだの名前の不思議について見ていた記事へのコメントです。
(重ね重ね、毎度面白く丁寧なコメント、アンさんどうもありがとうございます!)
名前の男女の違いって、最近のキラキラしたものでも、まぁだいたいわかるもんな、確かに。
職場に「ゆある」っていう子がいて、なかなか聞かない名前だけど、まぁ男の子かな?って思えるけぇね(もう慣れてる人だからそう思うだけかもしらんけど)。
あ、そー言えば、知り合いの中国人も、張さんでWendyって名乗っとったわい笑
日本で会った人なのでなんとなく違和感あったっちゃけど、カナダで会った中国人はAngela(Angelだったかも?アンジェラって呼んどったね)と名乗っちょーたが、全く違和感はなかったもんな。
あ、でもその人は中国系カナダ人だったのかも?(違いがよくわからん笑)
有名なディーンフジオカさんも藤岡竜雄さん(純日本人)みたいだし、日本人でも英名を名乗ってもいいのでは??笑
やっぱり、ヨーロッパ系言語の男性名詞・女性名詞じゃないですが、ブーバ・キキ同様、人間が純粋に音の響きから抱くmasculineかfeminineかのイメージみたいなものは、あるっちゃありますよね。
もちろん、中性的な名前であれば普通にどちらの性でも使えますけど、個人的には(どちらかといえば)「ひろみ」は女性的だし、「つばさ」は男性的だし、しかしどちらも逆の性でも全然違和感はないですね。
漢字ももちろんイメージに作用して、「結希(ゆうき)」なら女の子っぽいし、「勇気(ゆうき)」ならこれは完全に男の子っぽいしで、しかし「歩」で「あゆむ」だとやや男性的、「あゆみ」だとこれは極めて女性的で、まぁこの辺も絶対的な定義づけはできないけれど、何となく分かってもらえる人の多そうな、いわゆる共感覚の一種でしょうか。
ちなみにまた個人特定につながっちゃう情報ですが、僕の母親は生まれた時につけられた名前が結構男性的な響きのある名前(かつ結構古風)で、それが耐えられない苦痛ということで裁判所で公式に名前を変えてもらった、ということがあったと聞いています(もちろん、僕が生まれる遥か前、母親本人がまだ子供の頃ですね。調べたら、改名のハードルは結構高いようですが、「異性の名前と間違えられる」は、正当な理由と認められやすいとのことです)。
主観的なものでは正当な理由とみなされないことも多いようで、こちらのサイトによると、「姫星(きてぃ)」は変更許可の可能性が高いけれど、「心愛(ここあ)」は低い…などあるようですけど、やはり裁判をするのも人間ですから、その辺も絶対的なルールはなさそうですね。
ただ、同じく紹介されていた実例を見ると「馬茂(うましげ)」は昭和35年に「必ずしも珍奇・低俗な名ではなく、またこの名のために社会的信用がそこなわれるとは認めることができない…」と不許可の判例が下ったそうで、うそーん、それが信用問題まではいかなくとも、嫌な気持ちは理解できるじゃん……と思えてしまいますけど、法律素人としてはこの辺も興味深い話ですねぇ。
続いてEnglish nameは、日本人は中国人の名前を漢字呼びできますし、日本での生活で英語名を使うのはやや意外にも思いますが、まぁでも当然普通にあるパターンではありますね。
ちなみに、何度か話に出した元同僚の仲の良い中国人は、旦那さんはクッソ短くて呼びやすい名前なので英語名は使っていませんでしたが、奥さんの方は、そういうのが好きそうな人であったこともあり、自分オリジナルの名前をつけていましたねぇ。
「鈴」っぽい名前の入ってる人なので、bellをもじった感じでしたが、「世界で多分私だけの、自分で考えてつけた名前だし、気に入ってるよ」といっていたものの、僕は普通に本名で呼んでましたけどね(笑)(日本人的には普通に呼びやすく、そっちの方が響きが良かったこともあって……というかそもそも最初本名の方を先に知ったから、ですね)。
他にも、旦那さんの方とは別の人で、隣の研究室にいた大学院生ですが、中国人は本当に短い名前が多く、研究科主催セミナーで出席表的なものにサインをするとき、僕の前に並んでいたその子の友達(かなり長い名前)が、サインし終えた短い名前の子(Lu Yinみたいな感じの短さ)に「はいFive letters(笑)。マジであーた楽すぎでしょ(笑)」と笑いかけていましたが、その子は「そう(笑)。うちの両親は賢いんだ(笑)」とふざけあっていたのが印象的です。
ちなみにその短名の子も、英語名は使っていませんでしたね。
やっぱり、中国の人で英語名を使うのは、本名が欧米人にはかなり呼びづらいから、って理由が大きいのかな、って気がします。
コメント続き、あぁ、ディーンフジオカさんとか、芸名なのかな?って思ってましたが、Wikipedia見たら、留学先でつけた感じのイングリッシュネームなんですね。
…っていうか、ディーンさん、最近の芸能人をマジで知らないからか全くイメージがなく、60歳ぐらいの人のイメージだったんですけど、まさかのほぼ同世代の方で笑っちゃいました。
(あぁ、その頭の中でイメージしてたおじいちゃんは、マイク眞木さんでした(笑)。彼は普通に芸名って感じでしょうか…?
…と思ったら、Wikipediaにもオフィシャルサイトにも載っていなかったものの、どうやら母親がアメリカ人の、ハーフでいらっしゃるみたいですね。)
ご存命であることにむしろ驚きなぐらい(めっちゃ失礼(笑))、幼い頃から白髪のおじいちゃんの印象ですが、ちょうど「マイク眞木 ハーフ」などで検索して目についた、岡田眞澄さんもフランス生まれのハーフと出てきました。
岡田さんのファンファンという愛称も謎ですが、フランスの人気俳優のニックネームにあやかって名付けたとのことです。
まぁファンファンさんがハーフというのは普通に聞いたことがあった気もしますけど、実は日仏ではなく、母親はデンマーク人だそうですが、何せスターリン激似ですからね(この画像には笑っちゃいました↓)、異国の血が入ってるのも納得といえましょう。
岡田さんは割と最近亡くなってしまいましたが、顔と名前のイメージもあんまりつかないマイクさんと違い、ファンファンさんは幼い頃見ていた番組とかでもおなじみの、とても優しい感じの方で、訃報は大変残念でした。
天国でもスターリンと間違えられるぐらいのダンディさで、人気者になってることを願いたい限りですね。
ファンファンといえば、また中国語になりますが、一時的に同じ研究室に所属していた中国人学生(こないだの名前記事でもそんな記述をしましたが、アメリカの大学院はシステムとして、入学後、「ローテーション」と呼ばれる3ヶ月程度×3回とかのお試し研究室所属期間を経て、その後、実際に大学院生活でずっと所属する研究室を選ぶシステムになっています。なので、一瞬だけ同じ研究室に所属していた学生も結構多いわけですね。色んな学生と知り合えるし、学生側からも実際に中に入って体験して自分に合った研究室を選べるしで、割といいシステムに思えます)に、ファンファンという名前の大学院生がいました。
僕が直接面倒を見ていたので、雑談の一環で漢字を聞いてみたら、「凡凡」でファンファンだそうで、「マジ?!うーん、言いづらいけど、日本語的には、『凡』は何というかbelow average的なイメージがあるから、何かあんまりいい印象の名前じゃないね」とついつい伝えちゃいましたが、本人はあっけらかんと「そうなん?中国語では、別にネガティブな意味は全然ないよ」とのことでしたけど、まぁ確かに「非凡」ならいい意味ともいえますし、いやでもそれは凡を否定してるからこそじゃん、って気もしますし、いずれにせよ結構ビックリした面白い出来事でした。
逆に、学会で「Lingling(リンリン)」という名前の研究者に会って話したこともありますけど、これは可愛らしい響きすぎて、そんな名前あるんだ(笑) パンダかよ(笑)とこれまた驚きでしたね。
あと、中国人の名前はやっぱり漢字の方が馴染みがありますから、アルファベット表記でへぇ~と思うこともいっぱいありましたねぇ~。
一番ぱっと浮かぶのは、よく見かけるChenさん、これ、陳さんなんですよね(まぁそれ以外のChenもあると思いますけど、とりあえず陳さんは英語表記だとChenさん)。
他にも、Zhaoって苗字もよく見るなぁ、と思ってたんですけど、これは趙だそうで、「趙雲(三国志の人気武将ですね(笑))、お前がZhaoだったのか!」と笑えました。
他にもお馴染み三国志からは、劉備の劉がLiu、関羽の関がGuan(だそうですがこれだけは周りで一度も見たことないですね)、張飛の張がZhangで、張は今でも中国苗字TOP3の1つのようです(アンさんが出会ったのもそれだけ多いからってことでしょう)。
No. 1が李で、これは言わずもがなLiまたはLee(前者が中国、後者が韓国台湾のイメージです)、No. 2の王がWangだけはやっぱり王監督のおかげで流石に昔から知っていましたが、残るベスト10は……
4位が劉、5位が陳、続く6位が楊で、これはYangで分かりやすく(中国人のヤンさんとかいそうですもんね)、そして7位が黄忠の黄でこのアルファベット表記はHuang(カタカナだとファンがピタリな気がするもののアメリカ人は「ホアン」と発音することが多いイメージですね)、8位が趙雲さま、9位が周瑜の周で、これはZhouですが、僕はTOP10でこれだけ唯一、近隣の研究室にいて顔を知ってる人がいない(これまでにもいなかった)感じ、そして10位が呉で、これはこちらへ初めて来たとき同じ研究室所属だった、かなり仲良くしていた学生の苗字だったこともありWuで馴染みがありますけど、元阪神のピッチャーはオ・スンファンですし、これまた韓国人の場合は英語表記もまた違ってくるのかもしれませんね。
まぁこないだも書きましたが、あれだけの人口がいるのに、苗字は日本より遥かにバリエーションが少ないですから(しかも、1文字ばかり、かつ下の名前もさっき挙げてたLuさんみたく、クソ短いことが多い(笑))、とにかく中国人の名前は被りに被りまくる印象が多いです。
やはりそれもあってEnglish nameを名乗ることが多いのかもしれませんね。
あと最後名前ネタで、サリー・アン課題の話でふと気付いたんですけど、これ、いつもコメントをいただけるアンさんのHNと名前が被ってましたね!
ちょっと調べてみたら、アンと表記される名前はAnneであり(一番有名な赤毛のアンも、原題はAnne of Green Gablesですね)、別スペルではAnnと書くこともあり、元々はラテン語の女性名Annaと同源で、意味としてはfavour(親切・好意・愛顧)・grace(優美・恵み・上品)・beautifulという語だそうで、良い名前であるとともにそういった語源についても大変興味深いですね。
en.wikipedia.org
つまり、アンとアンヌ(Anneのフランス語読み)とアンネ(Anneのドイツ語読み)とアンナと、さらにはAna(アナ)どころか、これら元々の由来のヘブライ語でのHannah(ハナ・ハンナ)も語源を全く同一にするものだそうで、確かに言語によってはHは発音しませんし、アンとアナが同じオリジンの語なら、ハナもそうだな、って気がします。
漢字がない欧米圏では、こういうちょっとした変化型が好まれて使われてきた歴史があるのかもしれませんね。
実際、欧米の名前って、この辺の由来的なものを遡ると色々へぇ~と思えることがあって面白いです。
例えば代表的な名前、Johnであれば、これは元々聖ヨハネが由来ですけど…
ja.wikipedia.org
上記Wikipediaにもまとめられている通り、英語ならジョン、ドイツ語だとヨハネス(略してヨハンやハンス)、フランス語だとジャン、イタリア語だとジョヴァンニ、ポーランド語他だとヤン、ロシア語だとイヴァン(イワン)、ウェールズ語だとエヴァンになる…などなど、どこかで聞いたことのあるおなじみの名前は、実はみんなジョンだった、ってことなんですね。
あと同じく超メジャーネームMichaelなんかも、大天使ミカエルを原義にもつ名前で、英語だとマイケル、ドイツ語でミヒャエル、フランス語ならミシェル、スペイン語・ポルトガル語のミゲル、イタリア語はミケーレ、フィンランド語ではミカ、ロシア語であればミハエルなどなど、F1や野球選手で聞いたことのある名前、あれも実はみんな元を辿れば単なるミッキー(Michaelの略称の1つ)だったというのは面白い点といえましょう。
ja.wikipedia.org
この辺の典型的な名前、流石に人気も減ってるのかな、と思って調べてみたら…
JohnもMichaelも、1950年代を頂点に、明らかに減少していますね。
(全体的に、特に戦後はJohnよりMichaelの方が人気なのかな、って気もしますが、70年代以降の減りが特に小さかったのは、マイケル・ジャクソン人気とかもあってのことだろうか、とも思えます。
ただしどちらも、2020年の時点で、新生児のわずか1%未満ということで、アメリカも古風な名前は避ける傾向があるということでしょうか。)
ちなみにAnneも、近年は減少傾向にあるようですが…
あ、そうえいば話題のOliviaはどうなんやろ、と思って調べてみたら…
強えぇ~!
メタクソ右肩上がり!!
近年人気の女の子の名前はEmmaのイメージでしたが、これはハリポタのエマ・ワトソンなんかにちなんだ名前であろうと思ってましたけど、Olivia人気は何なんでしょうね…?
調べたら、どうやらTVドラマ・スキャンダルの主役キャラ・Olivia Popeがその火付け役らしいですが…
en.wikipedia.org
全然聞いたこともないドラマだし(まぁアメドラはモグリなので自分が知らないだけかもしれませんが)、非常に意外でした。
まぁ世界中どこでも、人気キャラの名前にあやかる、って傾向はやっぱりあるのかもしれませんね。
あぁ、古風な名前といえば、ゲームとかアニメとかでしばしばマチルダさんというキャラが登場しますけど、「これ、古臭いおばあちゃんな名前すぎて、外国人は笑うらしいな」というのを何度か聞いたことがあります。
やっぱり非ネイティブの感覚では全然、そんなことは全く分からないわけですけど、調べてみたら…
確かに1910年代に多かったような名前だけど、あーっと、なぜか、近年少しずつ、昔の勢いを取り戻すぐらいに増えてきているぅー!
って、母数が少なすぎるので(縦軸の最大数が、わずか700)、それでも全然マイナーな名前だと思いますが、上昇傾向にあるのは間違いないですし、こういう古風回帰の動きも、少なからずあるのかもですね。
あぁあと完全に似た話で、ファイナルファンタジー6のメインキャラ・ティナも、海外版ではTinaがあまりにもありふれた名前すぎて神秘的なキャラに似つかわしくなさすぎるということで、Terraに変わっている、というのはあまりにも有名です。
wikiwiki.jp
上記FF用語辞典Wikiの書き込みにもある通り、Tinaは響き的に日本でいう「花子」に近いものがあり、
『海外版制作にあたってのテストプレイでは、Tinaという名前はモニターからの総スカンに遭い、しまいには人格攻撃までされたという』
『翻訳担当へのインタビューで、「They "hated" the name Tina,」と語られている』
『期待して買った和風大作 RPG の主人公(ヒロイン)が「リョウコ」とか「マサエ」固定だった、 という感じかな?(別に良いと思うけど…)』
…って感じなんでしょうね。
日本人的には、確かに「ティナ」はそれなりにエキゾチックな響きがあり、むしろ「テラ」の方があんまりヒロインっぽくないような…って気もしますけど(まぁダウンタウン松ちゃんの娘さんがテラですし、悪い名前ではないですけどね)、文化が違うとそこまで違うんだなぁ、という感じで面白いですね。
確かに、命名数グラフでは、かなりメジャーで、しかもちょっと古めかしい感じなのかな、ということが伺えます。
(でも、僕は実際にTinaさんに会ったことはないですねぇ~。ちなみにAnneさんもMatildaさんもOliviaさんもないですが、一方JohnさんMichaelさんは、ウジャウジャいますね(笑))
そんなわけで、今回は主に米中の名前について、いくつか気ままに見てみました。
結構面白かったですねぇ~。
日本の名前は、ヨハネやミーハーエールみたいなそういう由緒正しき由来みたいなものはあんまりない気がしますね(苗字は、藤原氏の流れを汲む…みたいなのがあれど、下の名前は、「親がこういう意図でつけました」ってのはあれど、JohnとかMichaelみたいなそういう聖書や神話にハッキリと由来をもつ、みたいなのはない感じがします)。
いずれにせよ、名前は本当に大事ですし、色々背後にあるエピソードも面白いもんだなぁ、と思えるというネタでした。