「尋ね人が自分だった」場合、英語でどう答えるのが自然か、ネイティブの参考意見

少しずつ溜まっていたネタを消化していきましょう。

 

今回はこないだのこの、電話応答の記事で触れていた話です。

アンさんからいただいていたご質問について、実際のところ英語だとどう答えるのが自然なのか、縁あって翻訳させていただいた『青い花』の考察本の著者・Frankさんと、ちょうど翻訳版の最終調整で頻繁にやり取りを行っているので、ついでとしてその点について質問してみた、という形でした。

まずはアンさんからのご質問の方を、再度コピペさせていただきましょう。

電話でなくてもインターホン越しのように相手の姿が見えなければ、電話と同じく「This is she」みたいになるのかな?っていう想像はなんとなくできますが(違うかもですが笑)、例えば、会社なんかに、名前しか知らない相手が「アンさんいますか?」と訪ねてきて、対応したのが本人だった時に「私です」と言いたい場合は、日本語では同じセリフでもこのケースだと「This is she」にはならないっていうことなんですかね?

そして、これこそIt's meがピタッときそうですけど…いやでも、そういう場合はやっぱり「私がアンです」と名乗るのが普通のような気がするので、そうなると、「This is Anne」になるのか、それとも「I'm Anne」になるのか…

さて、どうでしょう?


僕個人的には、「This is he/she.」という決まり文句は電話限定な印象があるので、それはないんちゃうかな、この場合はそうねぇ、「It's me.」とか「I'm Anne.」とかが使われそうな気はするけれど……ということは既にこないだの記事でも書いていましたが、ゆーて僕もただアメリカにいるだけ&何をするにも常に日本語で考えてる「絶対英語より日本語の方がいいマン」なので、この辺の微妙な表現については、完全に自分の英語レベルを超えてしまっています。

そんなわけで、「餅は餅屋」ならぬ「言語はネイティブ」ということで、文章を書くことや考察することが大変お好きなタイプだと思われるアメリカ人、Frankさんに聞いてみた形ですね。


メールでの質問メッセージとして、「電話で、かけてきた人の話したい相手が自分だった場合、英語だと『This is he』と答えると思う(『This is him』や『This is me』とか『This is I』とかではなく)…」という取っ掛かりの文に続けて、いただいたご質問と全く同じ内容を送ってみたとともに、いちいち考えていただくのも申し訳ない気がしたので、いくつかそれっぽい選択肢をズラァっと並べてみました(その方がめんどかったかもしれませんが(笑))。


選択肢として挙げたのは、以下の項目になります。

1) This is he.
2) This is me.
3) This is Frank.
4) It's me.
5) It's Frank.
6) That's me.
7) I'm Frank.
8) I'm the one.
9) Yes, I am.
10) Yeah, me. (または単純に "me" だけとか。自分なら多分こう言っちゃう気がするね。)
11) (その他の言い方)


さぁ、果たして、Frankさんの返事やいかに?!

以下いただいたメッセージを翻訳紹介させていただきましょう。

 

その通り、英語では通常、「this is he」(または「this is she」)と言うね。

「This is him」は文法的に正しくないといえる。なぜなら、「him」(または「her」)は、その人が何らかの動作の対象(目的語)である場合にのみ使用されるからだ:「John hit him(ジョンは彼を殴った)」とか「Jane talked to him(ジェーンは彼と話した)」とか、「Alice gave him some money(アリスは彼にお金を渡した)」などなどだね。

しかし、「this is he」というのは、いわば同値関係に近いのである:ちょうどx=yという関係であり、だからここでは「he」や「she」という、主語の形が使われるわけだね。

 

続いて、ご質問の状況における返答の選択肢について……まず、2, 3, 5番は間違いなく、全くもって自然な英語ではない。

1番と4番は、形式的には正しいのだけれど、普通のアメリカ人がこれらを使うとはあまり思えない。

一番自然な返答は、6, 7, 9番だと思う。

日本語から英語へと翻訳するならば、私なら、インフォーマルな場では6番を、フォーマルな場(ビジネス会議など)では7番を使うであろう。


→色々驚きの結果でした…!

まず、「家のインターホンの場合はどうなのか?」という点も一応「?」マークつきで質問していたのですがそれはスルーされてしまったものの(まぁこれは正直、電話応答でもあり対面応答でもありで、どっちを適用するかは完全に個人差があるんじゃないかな、と思います。日本なら、家にいるピンポンを取った側が「もしもし」は決して言わないと思いますけど、訪問側は、特にセールスみたいな見知らぬ人の場合、インターホンに向かって『もしもし』から始めるのは、まぁなくはないかな、って気がしますもんね)、まぁそれはいいとして……

前半部分、文法的な解説に関して、これは個人的な印象なんですけど、SVCだのSVOだのといった、日本人が中高6年間(今は小学校から?)で徹底的に習わせられる英文法について、より学問的・テクニカルな側面については、ぶっちゃけ我々日本人の方がアメリカ人より遥かによく知っているような気もしちゃうんですよね。

(例えば関連して、ずっと前に、同じ研究室のネイティブの大学生に英語の質問をしたことがあったんですけど、彼は「現在完了」(Present perfect)という用語をマジで全く知らない・一度も聞いたことすらないと言っていてビックリしたものです。

 「何それ? 『Present perfect』って用語は知らないけど、have+past tenseの形は、『純粋な過去形より、今にめちゃくちゃ近い過去』ってイメージだよ」という説明をもらった感じですね。

 ちなみにその学生は(まぁそこまでめちゃくちゃ優秀、って感じではなかったですけど(笑))、普通に卒業後めちゃくちゃランクの高いメディカルスクール(アメリカの大学は医学部がなく、お医者さんになりたい人は、大学4年を卒業したらMedical Schoolに入る形です。大学院に近い感じですね)に入っていったので、無知な若者という感じでも全くありませんでした。)

…話を戻すと、この場合の「This is him.」も、純粋な英文法的には、補語にあたるhimが「he/his/him/his」のhimという形を取るのは何ら誤りではなく(というかそっちが正しい)、Frankさんの「incorrect」という回答にもやや驚きでしたが、少なくともこの文脈においては、ネイティブにとっては「この部分はheでないと、文法的におかしいように聞こえる」ということなのかな、と思います。


まぁその辺も別にいいとして、メインの、実際の応答選択肢に関していただいた回答は驚きでしたねぇ~。


改めて並べると……

【完全に不自然】

This is me.

This is Frank.

It's Frank.

【構造的に問題はないけど、普通は使わない】

This is he.

It's me.

 

【使うなら、これ】

That's me.(カジュアル)

I'm Frank.(フォーマル)

Yes, I am.


【言及すらされなかった、論外(笑)】

Yeah, me.

I'm the one. (これは、そんなにおかしくはないと思いますけど、あえて特に取り上げられることはなかった感じでしょうかね。)


…まさに僕が「自分ならこう言うかなぁ」と思ってあえて足してみた2つが論外くんでしたが(笑)、それはともかく、衝撃の、「『It's me.』は、この場合は使わない気がするね」とは、大変意外です。


一方、カジュアルな返答での筆頭は「That's me.」ということで、来ましたね、日本人にはめちゃムズな、ItとThatの違い!

もちろん、僕も知識としては、「Itはより特定のものを指す/Thatは前述の文脈全体を指す」という原則みたいなものは一応頭に入ってはいるんですけど、結局これはもう、多分いわば日本語の「『は』と『が』の違い」みたいに、原則的な違いは一応明文化できるけど(ちょうど、原則として、「は」は既知の主語に対して、一方「が」は未知の主語に対して使われる…みたいな)、でも正直そんなもん日本人の誰も意識していないし例外の方が多そうなぐらいだしで、まさしく「ネイティブには感覚で無意識に扱える/使い分けできるもの」であり、これももう、「理解するんじゃない、感じろ」の領域に入ってる話な気もしちゃいますね。


実際確かに、言われてみたら、この場面は「That's me.」の方が自然に聞こえるかもしれないなぁ…という気がしてきました(クッソ後出しジャンケンにも程がありますけど(笑))。


この辺の違いについて、流石に「詳しく説明求む」とは言えなかったので、単に「めちゃくちゃ面白いね!そう、ItとThatの違いは、非ネイティブには難しく、自分も毎度ぶっちゃけランダムに使ってるんだ(笑)」という旨の返事をFrankさんに送りましたが、とはいえしかし、一点、そういえばこないだも貼っていたフォーラムでは「電話口では『It's me.』と答える人が多い」という感触の話があったため、リンクを紹介しつつ、「そういえばこういう情報もあったけど、これは電話で応答する場合に限るのかな?」という返信だけ、追ってさせていただきました。


もちろん、こんなしょうもない質問にFrankさんが付き合うメリットも義理もないというか、時間を取らせてしまうのも申し訳なかったので「あくまで自分の興味で気になってるだけのことなので、深入り不要だし、特に追って回答を求めているわけでもないよ」うんぬんというメッセージも付記しておいたのですが、一応、Frankさんからは「とても興味深いね。いただいたリンク含め、また後ほどチェックしておくよ」という返事だけ、現状でもらっている状況です。

ということで、実はまだ完全に解決し終えた感じではない途中状態ともいえるのですが、Frankさんに時間ができたら、追ってまた追加情報をもらえるかもしれません。

返信をいただけたら、また紹介させていただこうと思います。


とりあえず追記を待つ間は、その「電話口で『あ、わたしわたし』と言いたい時には『It's me』を使うよ」という意見が目立った例のフォーラム記事の方を改めて見てみたり、他にもまた追ってアンさんにいただいていた、ここ何回かの記事へのコメント&ご質問で改めて面白いものもあったため、そちらに触れたりなどして、順番に記事をこさえさせていただこうかな、と思っとります。


ブログ記事アイキャッチ画像は、今回の内容にちょうどいい画像もなかったので、一応今回も一連の電話ネタからの派生ということで電話関連の面白かったいらすとやイラストを貼って、お茶を濁すことにしましょう。

全然内容と無関係すぎて恐縮ですが、「電話」で検索してて出てきたこの画像には笑っちゃいましたね(笑)。

今でもまだあの悪しき習慣はあるんでしょうか?

最近はスマホの本体価格も高いですし、本体割引ローン価格で払ってる場面が多そうな印象で、そのローン支払いとして自動的に縛られてる感もありますが、まぁ僕は携帯ビジネスも全くのモグリなので、その辺よく分かりません(笑)。

下手したらこの2年くんが3年くんとかになってるのかもしれませんが、そんな縛りシステムでもみんな手を出さざるを得ないぐらい、便利で今の生活には欠かせないものだ、ってことかもしれませんね!

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