オルガネラ!

前回は補足の脱線的な話として、アミノ酸リボソームの数について触れていましたが、改めて前回の内容に関して、追って良いご質問をいただいていました。

コメントいただいたアンさんからは「どうも話をあらぬ方向に広げてしもとる感じで、誠にスマンこってす」と恐縮しきりのメッセージも込みでしたが、何度か同じこと書いている通り、まさにこんなブログ記事なんて特に初学者の方が不明な点気になる点へと話を広げるためだけに書いてるといっても過言ではありませんので、本当にご質問ご感想は心の底から歓迎&ありがたい以外の何物でもありません。

って、「質問をもらうために記事を書いてる」って、婚活ブログとしてどーなんよ、あーた本質を見失ってませんこと?という気も若干しますが(笑)、でもまぁ、これも正直自分本位な視点からいってみれば、丁寧に対応することで、ある意味自分がどんな人かとか物の考え方とか含めまあまあ自己アピールにもつながってなくもない気がするので、自己紹介の一環とみなせば本質からは外れてないとはいえなくもない気もします。

……ってまぁ、話が長すぎる・何かクドくしつこいという逆アピールになってる可能性もあるし、そもそもそんな知識のひけらかしみたいなのがアピールになるかよ、そんなのがアピールになると思ってる時点で(笑)……という可能性もなきにしもあらずですが、まま、とりあえず始めちゃったので、一区切りつくまではこのシリーズを続けて完走してから次のことは考えたい限りですね。


というわけで、いただいたコメントから一部、ご質問を含む部分と、補足を追加しておいてもいいかなという点について、また改変抜粋させていただきましょう。

なるほど。通常なら(健康なら)アミノ酸はわんさかいるので、tRNAに出会うより前にアミノ酸を拾ってる(ポケットにセットしてる)場合がほとんどってことか。

アミノ酸が不足すると、必要なタンパク質も作られなくなって栄養失調になるってことだけど、アミノ酸はタンパク質が分解されて(体内に)取り込まれるって話だったので、タンパク質を摂取しないと結果的にタンパク質を作れなくなって、最悪死ぬっていう感じってことかね。(思い出しおさらい笑)

大腸菌1細胞に1000万分子!?うーん、多いってことはわかるけど、tRNAもまぁまぁ多かったような…?(あれ、どれくらいだったっけ??)
とりあえず、うじゃうじゃいると思ってたtRNAよりも更にもっとアミノ酸はわんさかいてバンバンチャージされてるってこっちゃね!!

 

あぅ、、リボソーム…くるくる回ってるやつは、もう、脳みそにしか見えないぜぇ~笑
そして、こちらもまた1000万分子?!哺乳類の1細胞に存在するってことなんか。
1000万分子って、このデカい塊(脳みそ大小ペア)が1000万個ってことじゃろ?分裂のペースによって違ってくる感じなのか…

『同じ生物でも細胞やそのコンディションによって大きく異なる…』っていうのは、“私”と“紺助さん”では違うという意味?それか、“私の爪”と“私の目”では違うという意味??


あとこれもちょっと関係ない話なんだけど、、細胞が分裂する時って、その1000万個のリボソームはそのまま1000万個コピーされるんかえ?半分になる?もしくはDNAだけコピーされて0からのスタート??

リボソームに限らず、アミノ酸やらtRNAも同じ感じなんかな?


最初の部分はそうですね、アミノ酸があまりにも不足したら自分の体から分解(生命活動において、あまり重要ではないタンパク質…まぁ筋肉とかが筆頭でしょうか)して無理にでも作られるでしょうから、ある程度までは生きられますけど、それが続くとどんどん大事な成分も分解されていき、最後は生体反応に重要な酵素とかも足りなくなりますから(筋肉だって、あまりにも落ちたら動けなくなるわけですしね)、病気&死のコースってことですね。

毎日しっかり栄養を取るのは、改めてとても大切だということです。

tRNAは、こないだ見たデータだと、酵母の場合1細胞に300万分子ぐらいあるようですが、まぁそれは全tRNAの数で、一方1000万はアミノ酸1つでその数ですし、さらに、そもそも大腸菌より酵母の方が細胞サイズも遺伝子の数も断然多いですから、大腸菌の細胞内tRNAはもっと少ないはずですし、その点を考慮すると、やはりアミノ酸の方が大量に漂っている感じといえましょう。

リボソームなどの巨大分子の構造は、大抵キモイ形になるかもですね(笑)。

ま、研究者は基本的に絵心やセンスがないともいえるのかもしれません(笑)。

まさにあの下手な模式図だとグロいだけのやつが大小ペアを組んで1000万個も細胞の中にウヨウヨしているという地獄絵図ってことですが、ご質問の『同じ生物でも細胞やそのコンディションによって大きく異なる…』については、まぁ個体間の差も、個体内の差もどちらもを含んではいますけど、どちらかといえば個体内の、目と爪の違いという意味合いの方が大きい気がしますね。
(違う人を比べても、同じ器官ならまぁそこまで尋常じゃない差はないと思います。
 もちろんピッタリ同じ数ってこともまた、絶対にないと思いますし、あとは個体間であっても、90歳の老人の細胞と、6歳の子供の細胞ではもう全く完全に違うでしょうから、その辺を考えると、やっぱり個体差も十分大きいとはいえそうですね)。


分裂時の行方も、実にいいご質問ですねぇ~。

今回はこれをメイントピックにいたしましょう。

まぁリボソームは、基本的にDNAさえあればいつでもガンガン合成できますから、これはそんなにしっかり制御されていないと思います。

当然、細胞内に1000万個のリボソームが存在している状況で分裂が起きると、分裂後は大体500万ずつになると思いますが、多少差があろうとなんだろうと、またすぐ大量に転写されまくって(&リボソームタンパク質は翻訳されまくって)新しいリボソームが形成される(そして1000万個ぐらいで落ち着く;改めて、細胞の種類や状況によっていくつかは変わるけど)というそれだけですね。

そんな程度のもんですし、リボソームを正確に二分する機構とかは、特にないんじゃないかなと思います。

絶対にきっちり二分しなきゃいけないのは、遺伝子が乗っている染色体DNAのみですね。

結局、染色体DNAをしっかりコピーして分配さえすれば、あとは最悪染色体に全ての情報が乗ってますから必要なものは栄養さえあれば自分で後からいくらでも作れるわけで、単なる小分子で栄養として簡単に取り込めるアミノ酸とか、巨大分子とはいえリボソームも所詮1分子でしかなくすぐに合成できるものなので、こいつらの分配は正直どうでもいいといえましょう。

ただ、多数の分子が集まってできている、細胞内にあるより大きなデカブツ、専門用語では細胞小器官・別名(記事タイトルにもした)オルガネラ(英語ではorganelleですが、オルガネラはラテン語読みみたいですね)といいますが、そういう結構大掛かりなやつらは、染色体DNAほど厳密ではないにせよ、それなりにどっちの細胞にも行き渡るような分配機構が存在しています。


論ずるより見るが易しということで、また分かりやすい研究解説記事が目についたので、引用させていただきましょう。

こちらはミシガン大の神さんによる酵母の分裂時の様子を研究したもので、特に、「モータータンパク質」と呼ばれるミオシンという、まさにモーターのように、細胞内に張り巡らされた道路(アクチンフィラメントと呼ばれるもので、これも、とりあえずそういうのがあるんです、ぐらいで受け入れておけばOK(というか受け入れるしかない)話でしょう)上をある程度自由に動くことのできるタンパク質に着目されたものですね。

katosei.jsbba.or.jp

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https://katosei.jsbba.or.jp/view_html.php?aid=771より

青いMyo2と赤いMyo4がミオシン分子ですが、あんまり細かいことを言ってもつまらないというか入門編を逸脱しているので深追いはしませんけど、こいつはアクチンフィラメント上を移動できるモータードメインと、各細胞小器官を掴んで運ぶための積荷結合ドメインと呼ばれる部分からできており、この図でいうとピンクの丸で描かれた液胞とか、緑のラグビーボールみたいなミトコンドリア、黄色いゴルジ体とかいったやつらを、アダプタータンパク質を介してしっかり掴んで、それぞれの小器官が分裂後の娘細胞にもそれなりにきちんと行き渡るように働いてくれている、というわけですね。

(なお、酵母は「出芽酵母」と呼ばれるように、芽が出るように分裂する、いわゆる不均等分裂なので、普通の細胞分裂(多くの場合、真ん中で均等分裂)とはちょっと違うのですが、まぁ酵母は研究上重要な生物ですし、不均等分裂でも色々知見は得られるので、非常によく研究がなされている感じです。)

その中の1つ、液胞を例にとって、液胞の膜にGFP(緑色に光るタンパク質。以前大腸菌とかにも導入した実験を見ていましたね)をくっつけて、細胞分裂時にどのように分配されるかを蛍光顕微鏡で観察した図も紹介されていました。

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同ページより、蛍光顕微鏡でのGFP観察図

上から順番に7分ごと(途中からもっと長いですが)の観察像だと思いますけど(左が普通の顕微鏡(酵母の輪郭が見える)、真ん中がGFPの蛍光を見た像、右が両者の重ね合わせ)、分裂に伴い、何のサポートもなくそのまんまだとほとんど液胞が娘細胞に分配されなさそうなのに、輸送業者であるミオシンのおかげで、ちゃーんと小さい細胞にも行き渡るようになっていることが見て取れる、面白い図ですね。

そんな感じで、ある程度大きな構造で存在している細胞内のブツは、輸送マシーンがある程度の量はちゃんと分配して、産まれた娘細胞の新生活を応援してくれている、って具合になっているという、改めて生物はよぉできとんなぁオイ、と感じられる話でした。
(ただ改めて、リボソームはこれらより遥かに小さいただのだるま型分子なので、特にリボソームが積極的に分配制御されている、ってことはないように思います。)


…と、この辺の話を見たついでに、まぁせっかくだから、改めて細胞小器官それぞれについてちょろちょろっと見ておくとしましょうか…と当初思っていたんですけど、もう割と十分長い量になったこともあり、今回はここまでにしようかと思います。

脱線に次ぐ脱線ですが、いい機会ですし次回はオルガネラを垣間見てみる回にしようかな、などと考えています(リボソームのサイズ感なんかも改めて触れてみる予定ですが、あんまり話が膨らみそうもなかったら、変更の可能性もあり)。

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