ユカリョーテ!

tRNAに関していただいていたご質問も中途半端に途中状態になっていますが、ここ何回かちょっとばかり脱線して、オルガネラこと細胞小器官のこぼれ話なんかを進めています。

しかし、冷静に考えたらあんまり面白くなりようもなかったので、こんなものとっとと終わらせてしまいましょう。

前回は特に深入りすることもなく表面をさらっただけのくせして「奥が深いですねぇ」などと分かった風な口を利いていた液胞についてでしたが、やはりオルガネラの主役・中心人物・最重要VIPといえばこの方、細胞のコアともいえる、今回はこちらですね。

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https://ja.wikipedia.org/wiki/細胞核より

ちなみに、細胞核は英語でコア…かと思いきや違って、nucleus(複数形nuclei、形容詞はnuclear)で、まさに核兵器nuclear weaponと同じそのまんまの「核」すぎて意外ですが、むしろ細胞核の意味での利用の方が歴史が古い(名付け親は、まさかのブラウン運動でおなじみ(って別にあんまりおなじみでもない気がしますが、理系の学生なら必ず習う、微粒子の不規則な熱運動のこと)、ロバートブラウンさんで、1830年代に付けられた名前のようです)ですし、むしろ核兵器がカッコいい「核」呼びをパクってるともいえるかもしれませんね。
(まぁそもそもnucleusは同スペルのラテン語で種seedとか中核kernelとかを意味するもので、核兵器の核は分子・原子の核融合の核なので、パクリもなにもねぇだろ、って話かもしれませんが。)


名前はともかく核についてですが、Wikipediaの上記画像の通り、二重膜に包まれたボールであることは恐らくどなたも習ったことがある話かと思われます。

いうまでもないですが、この手の模式図では必ず(中身を見せるために)核ボールが切断されていますけど、これはあくまで何というか模式図であって、実際はこんな感じに口が開いているわけではありません。

ですが、核膜には穴ぼこが開いており、これが図でいう3番の核膜孔と呼ばれるもので、したがって核の中と外は厳密にいえば境目はないともいえる…などということも高校生物までで習うわけですけど、しかし穴ぼこといっても完全に行き来自由なフリーホールというわけではなく、関所の番人的なものがこの穴にくっついて、核の内部に入れるもの・核の外部に出すものの選別・制御を行っています。

その番人は何者かというともちろん毎度おなじみタンパク質で、様々なタンパク質分子が集まってできたこの複合体は、穴ぼこは英語でpore(ポア)ですから、核の穴のプロテインということででヌクレオポリンなる分かりやすい名がついているものの、まぁそんな名前など覚える必要はないでしょう。

クレオポリン複合体の画像なんかもありましたが…

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https://ja.wikipedia.org/wiki/核膜孔より

改めて名前や細かいことなんてどうでもよく、「核膜の穴には特定のタンパク質が集まって核内・核外輸送のコントロールをしている」、そういうことを自分の頭でイメージできてれば、核の研究をする人でもない限り、もうそれだけで十分という感じですね。

そもそも核というのは、大切なDNA・自分を形成する全ての情報が入った遺伝子DNAをしっかり保護する&DNA→RNAの転写反応を行うための場所なわけですが、核外に運ばれるものは転写して産まれたRNAがメインになる形といえましょう。

そしてそのRNAを使ってタンパク質への翻訳反応を行う場がリボソームなわけですけど、そのリボソームは(最初の画像にも描かれていた通り)核膜や、それがビヨーンと伸びて形成された小胞体なんかに、フジツボのようにベタベタ付着している感じ(もちろん、付着せず、細胞を満たす液(細胞質基質とか、サイトゾルとか呼びます)内を漂ってるリボソームも沢山あります)なんですね。

模式図ではない、実際の画像はないかなと思って調べてみたら、パッと目についたのが医科歯科大の、生命科学系の講義資料でしょうか、細胞について色々な画像の引用とともによくまとめられていた(というかよくある教科書みたいな感じですが)ファイルの中にちょうどいい画像があったので、引用の引用をさせていただきましょう。

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https://www.tmd.ac.jp/artsci/biol/pdf3/Chapt7.pdfより

ちょうど、電顕画像の水平に左右端から端まで伸びている部分が小胞体の膜(のごく一部)ですが、リボソームの粒が沢山くっついているのが見て取れます。

まぁ小胞体についてもごく簡単にだけ触れておくと、普通に核膜の延長であるともいえる部分なわけですが、リボソームがビッシリくっついてガンガンタンパク質合成が行われ、さらに作られたタンパク質の修飾・編集などもついでに行われる場って感じですね。

ひとつながりなんだし、これも核の一部でよくね?とも思えますが、まぁパッと見は、一応つながってる部分を目にしなかったら完全に別個の細胞小器官に見えますし、伝統的にこのビロ~ンと伸びてきたくせに伸びてからは意外と規則正しく折りたたまれて秩序良く存在しているこいつは、核とは別の小胞体(略称ERというのも、こないだ出てきていました)と呼ばれている感じですね。


まぁ結局の所、核なんてそんな感じで「DNAの保管庫」というのがほぼ全てですけど、ちょうど、途中になっているご質問コメントに、触れておきたい関連内容があったので、この機会にそちらを取り上げさせていただくとしましょうか。

もう大分前の、tRNAアンチコドン表の「数」が何を意味しているのかについて見ていた記事(数について…ミリオン超えだ!)を受けて、アンさんからいただいていたコメントになります。

あー!やっぱりー!!300万分子?!

tRNAは1細胞内にうじゃうじゃいるっていうイメージは間違ってなかった感じってこっちゃね!

200は少ないと思った(適当な)感覚も、まぁなんとなく正しかった…?


遺伝子の数っていうのは、そのtRNAを作るためのレシピ(いわゆるDNA)の数っていうことでえぇんよね?そのレシピが0なら、それで出来上がるtRNAも0っていうことだもんな。ちょっとわかった気もしてきたぜぇ~。

あぁ、そうかなるほど、酵母の遺伝子はヒトと同じように染色体の中に入ってる、ってことだったわけか…。


「遺伝子の数」は、まさに「そのtRNAを作るためのレシピ(いわゆるDNA)の数」という理解でバッチリです。

レシピがなければ作りようがない、ってのもその通りですね。


そして最後の「酵母の遺伝子はヒトと同じように染色体の中に入ってる、ってことだったのか」という点は、これは、ヒトや酵母に限らず、ミミズクだってオクラだってガガンボだって、当然バナナも、大腸菌ですら、世の中のありとあらゆる生物は遺伝子が染色体に乗っているといえる形です。

しかし、染色体というのは厳密にいうと細胞分裂時に現れる、あのベネッセマークみたいな、染色液で良く染まって顕微鏡で観察しやすいことからその名が付けられた太い棒状の構造体(ヒストンというタンパク質に巻きついたDNA;分子生物学入門編の、最初期の記事で触れてた話ですね→婚活してるし、染色体について知っておこーぜ!)であり、普段(細胞分裂時以外)は、核内にもっと雑多な感じで(ちょうど最初の図のように)存在しているのがDNAになります。

そしてその意味では、大腸菌は染色体をもたないともいえるのですが(大腸菌はヒストンをもたないので)、実際には、「染色体」という用語はより広い意味で、「ゲノム」とほぼ同じ意味合いの、「その生物のもつDNA1セット」的な感じで使われることが多く、そういう意味では「大腸菌の染色体」とかも間違いじゃないし普通に使われて意味が通じる言葉ともいえる感じですね。


それはともかく、核について触れたので関連して、何度か原核生物・真核生物というくくりに触れたことがありましたが(こないだの古細菌の記事とか)、ズバリ、原核生物と真核生物を分ける根本的な違いは、その名前が既に示唆している通り、核の有無になります。

つまり、原核生物である大腸菌は、先ほど見ていた核という構造がない、いわば無核生物ともいえる存在だったということなんですね。

(ただし、核様体と呼ばれる、まぁ多少染色体に似た感じの、DNAがごちゃっとコンパクトにまとまった構造は大腸菌にも存在します(これも、そんな名前とかはどうでもいいでしょう)。でも、核膜で囲まれた核は存在しない、ってことですね。
 当然、核という構造がないだけで、DNA→RNA→タンパク質という生体分子の基本的な流れが完全に同じであることはいうまでもありません。)

核どころか、その他オルガネラとして知られるほとんどの高機能なデカブツすらなく、あるのはDNAとタンパク質合成用のリボソームぐらいのもんという、まさに単細胞生物(単純な人を指す蔑称的な意味での)といえましょう。


ただ食っちゃ寝するだけの存在……いや、寝るという高等なことすらできず、食って、タンパク質を作って分裂してそれだけという悲しきモンスターがこの原核生物……

今でも印象に残ってる話として、ちょうど大学の専門課程に進んですぐにあった学生実習で、菌の培養の基本実験があったんですけど、その日の実験を終えて片づけ中の雑談時間に、担当の教授に冗談がてら「ただシャーレで飼われてタンパク質を作ったらポイって、こいつら何のために生きてんすかね(笑)?」と問いかけたら「まぁ多分、こいつらも君に同じことを問いかけてるだろうよ」と本質的な哲学回答を返され、「あぁそうか、自分もただ食って寝て生きているだけのつまらない肉隗にしか過ぎなかったんだ!これからは同じ業(ごう)に満ちた虫けら同然の生命体として、単細胞の菌体だろうと見下すことはせず、謙虚に生きることを誓おう…」と悟りを開いたことをよく覚えていますねぇ~(どんだけ浅い大学生だよ(笑))。


ちなみにその核すらもたない菌カス畜生こと原核生物は英語でprokaryote、一方我々人類を含む、全ての多細胞生物・単細胞でも大腸菌みたいなゴミクズ細菌以外の、核や細胞小器官をもつ立派な生命体たる真核生物は英語でeukaryoteと呼びますが、この名前を聞くとどうしても、僕はファイナルファンタジーの敵キャラ(モンスター)を思い出しちゃいますねぇ~。

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FF4より、画像はこちらのツイートから拝借

FF4で、月に降り立ってから頻繁に遭遇する敵なのですが、これが地味に強い!

まぁ子供の頃だったらこんなの印象にも残らなかったはずですが、実は僕がFF4をプレイしたのは大学に入って割とすぐのことで、ちょうど原核・真核の英語読みなんかが講義で出てきたのとほぼ同時期だったこともあり、あまりにもタイムリーすぎてこの謎の名前も強く心に残ったのでした。

なおちなみに、作品中ではなぜか、ユカリョーテよりプロカリョーテの方が断然、あらゆるステータスで強い敵になっており、人類であると同時にユカリョーテでもある僕なんぞは「何でだよ(笑)。百歩譲って細菌兵器的な感じで攻撃力が高いとかぐらいならまだしも、何で耐久力や生命力まで進化的に下等生物である原カスの方が上なんだよ(笑)。まさか、原核界隈からの圧力による、政治的忖度みたいなのが働いた可能性が微粒子レベルで存在…?失望しました、もうスクウェア作品は買わずにエニックスだけを買います…」と、強く憤りを覚えたものです(なお、その後すぐ、スクウェアエニックスは合併した模様…というかその後そもそもゲームを買うこと自体がめっきりなくなってしまった模様)。

(全然どうでもいいにも程があることですが、FF4は僕が小学校低中学年の頃の作品ですけど、そもそもドラクエ派だった僕は「けっ、ファイナルファンタジーなんて邪道だね。純朴で素直な少年は、ドラクエの方が好きなんだ」という感じでFFをほぼプレイしたことがなく(あぁでも、中3の頃に友達にFF6を借りてプレイしたら、クッソ面白く受験勉強そっちのけでガッツリはまったので、成長とともに「食わず嫌いの偏見は良くないな」と学んでいたのでした)、大学生になって、自由な時間も山のように増えましたし、死ぬほど評価が高く、特にストーリーが秀逸だという声を何度も目にした記憶があったFF4を満を持してぜひプレイしてみよう!と思い立って、楽しみに買ってみた感じでした。

…まぁ、感想は、正直ぶっちゃけ絵もストーリーも率直にいって子供だましというかイマイチ・イマニぐらいで、ガッカリ感の方が大きかったぐらいですけど、リメイクでグラフィックが改善されているなら、今プレイしてもまだマシかもしれませんね。
 どうも、SFC最高レベルの美麗グラを誇るFF6から入ってそれが基準になってしまったせいか、4のグラ(5も)はどうしても微妙感ショボ感が拭えず、そのせいでイマイチ入り込めなかった、ってのも大きいかもです。

 思い出補正込みで、3ならDQ(FF3以前は未プレイ)、そしてもちろん4も5も断然DQ、6だけはDQが個人的にイマイチだったので、FFの方が良かったかな、って感じでしょうか。
…って、イマイチとかいいつつ、ちゃんとピンクのしっぽを人数分入手したぐらいにはやり込みましたけどね(笑)。

 いきなり何の話だ(笑)って感じですが、イマイチでも途中で投げたりせず、しっかり最後までやり抜くのが僕という男なのです、という、唐突に謎アピールでした(こんなのがアピールになるかよ(笑))。)


というわけで、(不当に弱かった)ユカリョーテさんのせいでスペースを食ってしまったため(あぁ今更ですが、ユカリョーテより、「ユーカリオゥツ」の方が実際の発音に近い気がしますね)、とっとと終わらせるつもりがまた途中になりましたが、核はやはり最重要成分ですし、もうちょいだけ次回また見ていこうかと思っています。

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