主に白い舌でよく見られる症状といえます、地図状舌、口腔カンジダ、白板症、そして前回の溝状舌で、気になる白舌関連の話は概ね見終えていました(まぁまだいくつかありましたが、全部見ていくのも収拾がつきませんしね)。
別の色の舌の話に戻っていく前に、一連の舌記事のどこかで触れられていた、舌にできるのっぺりとした白斑ではなく、もっと何といいますか局所的な出来物全般、いわゆる口内炎的なものを取り上げていた記事が目に付いたので、正直一番身近で誰しもが経験あるものとも言えますし、今回はこちら(↓)の記事を見てみようかなと思います。
まぁ「口内炎的なもの」と書いた通り、↑の記事で取り上げられているのは「Spots on tongue(舌にできるスポット=出来物)」という感じで、「口内炎」とはまたちょっと違うものとは言えるかもしれません。
…と言っても、そこまで大きく違うわけではないものの、少なくとも唇にできるものとは分けられている感じと言いますか、それも正直、日本語の「口内炎」も舌に出来るものを含んでいるからそんな区別なくない?って気もするんですけど、英語の場合、口内炎は直訳で考えると「mouth ulcer」(ulcerは「潰瘍」という意味ですが、潰瘍ほど激しいものではなく、「出来物」という意味でも使われる形ですね)であり、実際「mouth ulcer」に関する記事は別でも存在していたため、今回の舌スポット記事を「口内炎のまとめ」とするのは語弊がありそうな気もしました。
当初、「口内炎に関する最新医学の所見」みたいな大見得切ったタイトルにしようと思ったんですけど、そんなわけでこちらはより舌の出来物に特化した内容であり、しかも「最新医学の~」と喧伝するほど大した内容でもなさそうだったので、控え目なタイトルにしておいた次第です(笑)。
実際舌にも口内炎なんかはたま~にできるものですし、対策その他結構気になるものなわけですけど、かなり短い内容で特にこれといって面白い話もなさそうな感じではあるものの、全体の取っ掛かりとして参考にさせていただこうかなと思います。
口内炎それぞれのタイプごとに気になる個別記事があったら、また見ていきたい限りですね。
(ちなみに、spotというのも中々難しい語で、「小さな領域」「円形の点」というのが第一義であるものの、それだと何か用語としてはしっくり来ない感じがします。
まぁ幸い日本語で「スポット」と言っても通じるのでそれで通してもいいのですが(ちなみにこないだから見ていた「斑点」は「patch」という語が使われていました)、どうやらここでは正常なものも異常なものも「spot」と呼んでいるようで、同じ英語なのに勝手に分けるのもアレかもしれませんけど、全体的には「スポット」として、異常なものには「出来物」みたいな感じで使い分けていこうかなと思います。)
舌のスポット(Spots on Tongue)
舌にできるスポットは、多くの場合無害です。しかし、場合によっては深刻な健康状態を示している可能性もあります。簡単に同定可能なスポットもあれば、医療機関での詳しい検査が必要なものもあります。
舌には多くの種類のスポットがあります。正常なスポットには味蕾や乳頭(papillae)が含まれます。異常なスポットには、口唇ヘルペス、口腔内びらん、一過性舌乳頭炎などがあり得ます。 (※各語は、以下登場してきます。それぞれ英語も併記するので、和名はそちらをご参照ください。)
なぜ舌にスポットがあるの?
舌の上にスポットがある理由は色々あります。まず、健康な舌には、沢山の小さなスポット―味蕾や乳頭(単数形papilla、複数形papillae)(小さな突起)など―が存在し、感覚や味覚の補助をしています。しかし時には、普段は存在しないスポットが舌にできることがあります。
ほとんどの場合、こういった出来物は無害です。しかしいくつかの症例では、舌にできる出来物が基礎疾患を示している場合もあり得ます。こういったスポットの違いを知っておくことは、必要な時に治療を受けるために重要です。
舌のスポットは何を意味してるの?
ほとんどの場合、舌のスポットは危険なものではなく、通常は治療しなくても治ります。しかし、ある種の舌の出来物は、食物アレルギーや自己免疫疾患、あるいはあまり一般的ではありませんが舌ガンなど、基礎疾患を示していることがあるかもしれません。
以下、舌にできる可能性のある最も一般的な出来物と、それがどのように見えるかについてのリストです:
状態 見た目 口腔内びらん(※最も一般的な、いわゆる「口内炎」)(Canker sores) 黄色または白色のスポットで、赤い縁がある 口唇ヘルペス(単純疱疹)(Cold sores) 水疱または液体で満たされた隆起、時にクラスターを形成する 地図状舌 薄い色の境界があることもある、変色した地図のようなスポット 嘘つきの突起(一過性舌乳頭炎)
(Lie bumps (transient lingual papillitis))小さな赤色または白色の突起物 口腔鵞口瘡(口腔カンジダ症) カッテージチーズのような盛り上がった白い領域 扁平苔癬(へんぺいたいせん) 白いレース状の斑点で、発赤や腫脹を伴うことがある 白板症 削り取れない白い斑点 紅板症 削り取れない赤い斑点 舌ガン 赤色または白色の斑点、潰瘍、または開放性のただれ
健康な舌にはどんなスポットがあるの?
舌の表面は、乳頭―話す、食べ物を噛む、温度を感知するといった感覚的なことに役立つ、小さな突起および隆起―で覆われています。乳頭には味蕾があるものとないものに分けられます。舌乳頭には以下の4種類があります:
- 糸状乳頭 (Filiform): 舌の前部と中央にあります。糸状乳頭は糸のように見え、味蕾を含みません。このタイプの乳頭は、他のどのタイプよりも多いです。
- 菌状乳頭 (Fungiform): ほとんどの人に200~400個あります。菌状乳頭は舌全体にありますが、舌の脇と先端に最も多く見られます。1つの菌状乳頭には3~5個の味蕾が含まれます。
- 葉状乳頭 (Foliate): 舌奥の両側にある乳頭です。他の舌乳頭とは異なり、葉状乳頭は滑らかではない、ひだ状になった組織のように見えます。葉状乳頭は約20個あり、それぞれに数百個の味蕾が含まれています。
- 円乳頭 (Circumvallate): 舌で最も大きな乳頭です。舌の一番奥にあり、約250個の味蕾を含みます。
舌に出来物ができる可能性のある最も一般的な疾患はどんなもの?
舌乳頭や味蕾に加えて、舌には時折その他のスポットができることがあります。ほとんどの場合、これは心配の種ではありません。しかし時々、舌の出来物がより深刻な健康問題を示唆している場合もあり得るかもしれません。
以下、舌にできる最も一般的な出来物の種類と、それが他の健康状態を示しているかどうかを示します。
口腔内びらん(※最も一般的な、いわゆる「口内炎」)(Canker sores)
アフタ性潰瘍とも呼ばれる口内炎は、口の内側にできる小さな潰瘍です。見た目は白または黄色がかっており、通常は赤い縁取りがあります。舌、唇、頬の内側、あるいはさらに口蓋部にできることもあり得ます。
口唇ヘルペス(単純疱疹)(Cold sores)
熱疱疹とも呼ばれる口唇ヘルペスは、液体で満たされた水疱(または水疱の集まり)のように見えます。唇によくできますが、舌にできることもあります。単純ヘルペスウイルス(HSV-1)がこれの原因です。HSV-1は、唾液や密接な接触によって容易に拡がります。
口唇ヘルペスの治療には市販薬が存在します。かかりつけの医療従事者が、ご自身に合った製品を見つける手助けをしてくれることでしょう。
地図状舌
地図状舌は、その「地図のような」外観からその名が付いたものです。この症状を持つ方の舌には、赤みや変色のある滑らかな斑点が生じます。この領域は、しばしば白色または淡色の境界線で囲まれています。
地図状舌は全く無害で、伝染することもありません。治療は通常必要ありません。
一過性舌乳頭炎(嘘つきの突起)(transient lingual papillitis (Lie bumps))
一般的に「嘘つきの突起」と呼ばれる一過性舌乳頭炎は、乳頭(舌にある小さな突起)の肥大や炎症を指します。通常、小さな赤や白の突起物として現れます。
嘘つきの突起は非常によく見られます。通常は数日以内に自然に治ります。危険なものではなく、通常、治療の必要はありません。
嘘つきの突起という名前は、嘘をついたらできる出来物、という迷信に由来しています。
口腔鵞口瘡(口腔カンジダ症)
口腔カンジダ症は、口の中の真菌感染症です。誰でも罹る可能性がありますが、幼児や小さな子供に最もよく見られます。感染力は強くありませんが、免疫力が低下している方に感染することはあり得ます。
口腔カンジダ症に罹ると、舌や頬の内側に盛り上がった白い出来物ができます。この炎症部分はカッテージチーズに似ています。この病変は削り取ることができますが、削り取ると出血します。かかりつけの医療機関で抗真菌薬を処方してもらえば、感染を治すことが可能です。
扁平苔癬
扁平苔癬は、皮膚に炎症が起こる疾患です。免疫系が、謎の原因で自分自身の細胞を攻撃してしまうことで発症します。口の中にも扁平苔癬ができることがあります。
口腔扁平苔癬は、白いレース状の斑点のように見えることもあれば、ただれたり組織が腫れたりすることもあり得るものです。
かかりつけの医療従事者が、症状の管理に役立つ薬を処方してくれることでしょう。
白板症
白板症は口の中に白い斑点または出来物ができる病変です。この出来物は頬の内側、または舌の上もしくは下にできることがあり―削ったり擦ったりして取り除くことはできません。
白板症になると口腔ガンのリスクが高まります。しかし、白板症になった方のほとんどは、口腔ガンになることはありません。
ほとんどの場合、医療従事者は手術や他の治療法で白板症の病変を取り除くことを勧めます。
紅板症
紅板症では口の中に異常な赤い出来物が生じます。この病変は舌上や口底部にできる可能性があります。白板症病変と同様、紅板症病変は擦っても取れません。
紅板症に罹患している方は、口腔ガンを発症するリスクが高くなります。
医療従事者は、放射線、手術、または関連する危険因子の除去によって、紅板症を治療します。
舌ガン
舌ガンは、舌を覆う細胞から発生する稀なタイプのガンです。ガン病変は以下のように見えるかもしれません:
- 赤や白の斑点
- 消えない潰瘍や開放性のただれ
いつ医師に連絡すべき?
舌や口の中に新たな痛みや潰瘍ができた場合は、いつでも医療機関に連絡してください―特に、それが数日経っても消えない場合はなおさらです。
クリーブランド・クリニックからのメモ
ほとんどの場合、舌の出来物は無害で、むしろすぐに消えます。しかし、一部の出来物、潰瘍または病変は、より深刻な基礎疾患を示していることがあり得ます。舌の出来物がなかなか消えない場合は、かかりつけの医療機関に受診の予約を入れてください。それが何なのか、および他の健康状態に関連しているのかどうかを判断するお手伝いが可能です。
最近見ていたものも多く、記述も簡潔なので短いと思っていたら、案外長かったですね。
とはいえ、気になる一般的な口内炎についての話はわずか1段落で終わりのあっさりしたものでした。
口内炎とヘルペスがやはり一番気になるものですし、若干長めですがせっかくなので次回・次々回で見てみようかなと思います。
…果たして、口内炎に絶対ならない方法はあるのでしょうか…?!(絶対ないですけど(笑))
