食べてはいけないヤバイやつ

「食べてはいけない」と書いてて、その昔流行った「買ってはいけない」って本を思い出しました。

面白そうでありながら僕は読んだことないんですけど、めちゃくちゃブームになった結果、『「買ってはいけない」は買ってはいけない』という、便乗にも程があるでしょ(笑)と思える本も出たりで、何か笑えた記憶が一番残っています。
(あぁ、桃の天然水がめっちゃ槍玉に挙げられて、それだけが原因じゃないかもしれませんが、超大ヒット商品だったのにいきなり凋落した、とかいうことも結構印象に残ってますが…。)

流石に調べてもそこまではありませんでしたが、『「「買ってはいけない」は買ってはいけない」は買ってはいけない』『「「「買ってはいけない」は買ってはいけない」は買ってはいけない」は買ってはいけない』……を出版すれば、永久機関の完成じゃん!…と、一人で春の夜長に爆笑しちゃいましたね(どんだけつまんねぇ夜だよ(笑))。

まぁそんな無駄話はともかく、食べてはいけないヤバイやつ、早速改めて↓の「インチキサプリ」チャートから紹介させていただきましょう。

informationisbeautiful.net
前回のカリウムは、一見無能なヤバイやつかと思いきや、逆に人体に必須のミネラルであり「絶対摂らなきゃヤバイやつ」でしたが、今回はどうも本格的に「食べたらアカン」方でヤバくなりそうですよ。

一番目についたのが、バブルチャート最下部左端の、これ…

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アロエベラ

いやちょっとまた余談ですけど、初めて聞いたときから「アロエ『ベラ』って何だよ、妖怪人間かよ」とか思い続けてたんですが、これはアロエが靴べらの形に似てるから…というわけでは全くなく、実はむしろ妖怪人間の方が近かったといいますか、女性名に使われるVeraと同じ、ラテン語でtrue/genuine(真実・純正)を意味するワードだそうですね、Wikipediaによると。
(Aloeは古代アラビア語で「植物」を意味するので、合わせ技で、「真の植物」という名を持つってことなんですね。何かカッコいいじゃん!)

…と、名前はともかく、誰しもが体にいいと思ってやまないこのアロエ、まさかの、全大文字で強調してまで、有害 (HARMFUL) と断言されています!

うっそーん、いや直感的にそれはないだろ、って気がしますけど…。

一応、僕はアロエは別にそこまで好きでもなく、むしろ味や食感的にはイマイッチに感じるぐらいですが、体に良さそうなので、アロエヨーグルトは安くなってるときによく買ってましたし、やっぱりそんな悪いやつにはどうしても見えませんから、これは擁護したくなっちゃいますね。

早速元ネタにあたってみましょう。

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
まさかの、50ページ超の大作!

読む気しねぇ~~

ですがまぁアロエのためには仕方ありません、流し読みではありますが、つらつら~っと読んでみるとしましょう。

……
…つらつら~っ…
……

う~ん、一応、要約部ではまさに画像の説明文にある通り「摂取することで下痢・電解質失調・腎機能障害・従来薬との相互作用、また塗布することで接触性皮膚炎・紅斑・光毒性なんかも報告されている」とのことですが…。

このレビュー論文はアロエの毒性を網羅的にまとめているから各症例が紹介されているだけで、メリットにもきちんと触れられているし、全体的にはそこまで「絶対に食べてはいけない」みたいな論調にはなってない気がするけどな…。

「HARMFUL. Never eat.」は、ちょっと大げさな気がしましたね。

一応、見てて面白かったところをいくつかピックアップしてみましょう。

アロエベラには2000年以上にわたる民間医薬品としての歴史があり、特に中国、インド、日本などで古くから重用されている。

アロエベラは、大きく分けて2つの部位が製品として用いられる。葉肉部、ゼリー状のゲルと、切断面から滴り落ちる乳汁成分のラテックスである。

乾燥ラテックス以外、アロエベラの医薬品としての利用は、FDA(=アメリカの厚労省)では認可されていない。

・その乾燥ラテックスは、強力な下剤(便秘薬)として用いられている。

・ゲルの方は、主に皮膚の傷や炎症に塗布して用いられるが、アロエゲルを用いた商品を「Aloe」と表記することには問題がある。医薬品業界では、Aloeという語は、ラテックス成分の薬のみを指すと決められているからである。
(これはもちろん、FDAの関わる、米国内のみの話だと思いますが…)

アロエゲルの効能:細胞増殖、血管新生、抗菌抗ウイルス、抗ガン、などなど色々調査&報告されてはいるが、動物実験では一定の効果を示すものもあるものの、ヒトに対してはやや微妙であったり、そもそも実験スタイルが厳密ではなかったりと、やや議論を呼ぶ内容に終始している印象。

アロエゲルの副作用、毒性:同じく動物実験では、余程大量の投与でもない限り、一時的な副作用程度で、重篤な毒性はほぼ見られなかった。ただし、ヒトへの投与で、かぶれ湿疹炎症が認められた症例は複数報告されている。

アロエラテックスの効能:血糖値を下げる効果や抗酸化作用も報告されているが、やはり最大の用途は下剤(便秘薬)である。

・下痢というのは、大腸において水分含量かつ/または蠕動運動が増大することによって引き起こされるものだが、アロエラテックスは腸粘膜に作用してこれらを刺激することが知られている(ただし、組織レベルでの詳細メカニズムは、完全には明らかになっていない)。

アロエラテックスの下剤としての効果は、鉄分や鉄の豊富な肉を一緒に食べると促進されるが、シリアルなどの複合糖質によって小さくなる。
(一瞬、「マジか!シリアル好きの僕、死亡?!」と思いましたが、別に下剤用のアロエとシリアルを一緒に食べたことなどありませんでした。)

アロエラテックスの毒性:複数の動物実験や細胞実験で、アロエラテックスの成分には、遺伝子毒性変異原性ガン化の促進が認められている…。ただ、これは特定成分の集中投与であり、人体で生理的にそういえるのかについては、議論の余地があるといえる(とは明記されていませんが、個人的にはそう思います)。

アロエラテックスの副作用:下痢に伴う副作用として、電解質失調からのカリウム血症がある。これは、場合によっては深刻なので軽視してはいけない。その他の副作用症例としては、体重低下(場合によっては嬉しい?)、中枢神経系の乱れ(でもこれはヤバそう)、また、乱用すると大腸黒皮症からのこれまた大腸ガンの発生などにもつながる恐れあり(…ということで、やはり結構怖い存在かも…)。

・また、アロエラテックスには従来薬と相互作用してしまう可能性もあるため、強心剤やある種のステロイド剤との併用は避けるべき


…と、結構怖いことも書かれていましたが、全体的には、普通の用量であれば問題になるようなものでもなく、また、より危ないのはラテックス(アロエ液)を下剤として用いる場合であり、日本人になじみの深いアロエヨーグルト(アロエゲル)なんかをパクパク食べる分には、恐らく大丈夫じゃないかな、という印象を持ちました。

少なくとも、論文中には「Never eat」などとは一言も書かれていませんでしたし、これはちょっと過剰反応なのではないかな、という気がしてやみません。

2000年もの長きにわたって民間療法として伝承されてきたのですから、個人的には、いや、流石に信頼できるだろ、って気がしますね(ただそういうバイアスが入ってるだけかもしれませんが…)。


しかし、アロエはこの項目のすぐ上にも存在しており、そちらも見てみると…

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こちらは、「使ってはいけない!」とは書かれてはいないものの、なんと、アロエ先生で一番信用できそうな傷口の治療には、科学的にしっかりしたエビデンスが一切存在しないと断言……。

まぁ確かに、FDAに認可されていない時点で、やはり若干眉唾感のある、あくまでも民間療法の枠を出ないものでしかないのかもしれませんね。

総合すると、個人的な直感ですけど、絶対に食べないように避ける必要はないと思う(恐らく日本のアロエを使った食品は、アロエゲルのみを用いているので)けど、でも、そこまでみんなが考えてるほど、アロエは万能植物でもないのかな、って気もしてきたのが、(あくまで個人的な)アロエへの印象かもしれないですね。
(特に、化粧品系に「アロエ配合」とあっても、悪いことは決してないでしょうけど、あんまり意味は無いのかな、っていう気はしてしまいます。)


アロエネタ、すっかり長くなってしまいました。

「ヤバイやつ」関連の項目で、もう少し見てみたい気になるものがあったので、もし面白そうだったら、次回もう1回だけ、それらを見てみようかと思います(全然面白くもなりようがなさそうだったら、やめるかもしれませんが)。

アロエネタの途中でもうちょい触れたかった小ネタもあったので、残りのネタが短いようだったら、そちらに少し戻るのもいいかな、なんて思っています。

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