飲んでも意味ないヤバイやつ

前回は最強栄養素ことビタミンD3について見ていましたが、今回は真逆の「僕らの中のヤバイやつ(栄養素)」を見ていこうと思います。

例によって、データはこちらのサイトからですね。

informationisbeautiful.net

前回、↑の記事に表示される「インチキサプリ」バブルチャート画像に赤枠をつけて気になるのを挙げていたんですが、まずは軽くジャブとして、「そこまでヤバくはなさそうだけど、個人的に意外に思ったもの」からとりあげてみようかと思います。

いい加減全体画像はしつこいので、今回からは、着目するやつ(有効性チャートの最底辺に位置してます)を拡大表示していこうと思いますが、まずはこれ!

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そう、カリウム

関係ない豆知識ですが、カリウムは、すっげぇ英語っぽい面してやがるくせに、こいつはドイツ語なんですよね。

英語では、画像にある通り、potassiumになります。化学・生物系を専攻された方でもない限り、ほとんど馴染みのない英単語なのではないでしょうか。

ちなみに、ペアを成すナトリウムもドイツ語であり、これも英語ではsodiumになります。

こちらは、ナトリウムのことを「ソーダ」と呼ぶこともあると知っている方であれば(まぁそれも割と化学に精通してないとご存じないというか、一般的にはソーダといえば炭酸でしょ、って気もしますが)、あぁ、sodiumだからソーダなのか、と多少の類推ができるものかもしれないですね。

そもそも元素記号NaKなので、どう考えてもナトリウムとカリウムの方が覚えやすく、英語がクソなのでは…?って気がしますが、まぁそれを言ったら、HがHydrogenじゃなくて水素(ドイツ語:Wasserstoff)、CがCarbonじゃなくて炭素(ドイツ語:Kohlenstoff)って呼んでる国に言われたかねぇわ、ってブーメランが返ってきちゃう感じかもしれませんね。

まぁそんなどうでもいい各言語での元素の呼び名の話はともかく、なぜカリウムが気になったのか…?

これも高校生物で習う知識だと思うんですけど、まず、体内の体液組成は、常に、細胞内液が高K・低Naに、逆に細胞外液は高Na・低Kに維持されている、という形になっています。
(高校時代、生物の先生に、「ナトリウムは、Naで中だと思いきや外」「ナトリウムはーダだからトダ」というナイスな覚え方を教わりましたねぇ。ちょっと強引というか何かメチャクチャな感じもしますが、だからこそ却って印象的でした。)

この濃度勾配はあらゆる生命現象に重要な役割を果たしている、超ウルトラスーパーミラクルドチャクソ大切な、多細胞生物が活動する上での根幹を成すぐらいのメカニズムなのですが、まぁその詳細も今は置いておきましょう。
岩手大学のこちら↓のPDFとか、読み応え抜群で面白かったので、興味ある方はご覧になってみてもいいかもしれないですね。)
https://iwate-u.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=10823&item_no=1&attribute_id=36&file_no=1


今触れておきたかったポイントとしては、ざっくり…

細胞内低ナトリウム濃度(高カリウム濃度)になっている

・細胞は、自分の中のナトリウム濃度を低く保ちたいので、常に、ずーっと、外にナトリウムを吐き出すために頑張り続けている

・どうやって頑張ってるのかというと、大量のエネルギーを使いながら、細胞の外側にあるカリウムと交換する(=カリウムを細胞内に受け入れる)ことで、ナトリウムを外部に捨てさせてもらっている

…という話になります。

で、ナトリウムというのは、これは恐らく誰でもご存知、人間に一番関係のある形として、塩化ナトリウム=食塩のことであるというのは、あまりにも有名な話でしょう。

つまり、日本人は塩分を摂り過ぎといわれていますが、これはすなわちナトリウムを摂り過ぎだと言い換えられるんですね。

んで、まぁそこまで単純な話ではないんですけど、一般的に、カリウムを積極的に摂るようにすれば、(上で書いた通り、細胞はナトリウムとカリウムを交換することで濃度勾配を保っていますから)摂り過ぎたナトリウムを細胞の外に排出することにつながる/排出する手助けをしてくれるため、「塩分過多の人は、カリウムもたくさん摂るようにしましょう」としばしばいわれているわけです。

これ自体は正しい話であり、健康の大敵ナトリウムと比べて、カリウムはむしろ積極的に摂取することが推奨されている良いミネラルである、ということについても、僕自身、異論は一切なく、そう思います。
(一応念のため…ナトリウムは、過剰摂取しがちなので健康の大敵ですが、言うまでもなく、不足しすぎたら即倒れるレベルの、超重要栄養素である…ということにもご注意いただければと思います。)

そして、体内の塩濃度と血圧には密接な関係がありますから、カリウムは高血圧を改善するのに役に立つと、少なくとも僕は漠然とそう思いながら生きてきたわけなのです。

で、例の「インチキサプリ」チャートですよ。

まさかの、カリウムが、血圧改善効果に対して、最底辺の「効果なし」に挙げられている!

そんなバカな、流石にそれはおかしくない?と、ちゃんと引用元の論文に当たってみると…

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
あれ、これ、元論文は前回のビタミンDの記事と同じ雑誌掲載ですが、この記事には日本語の要約がないですね。

どうも全部に日本語がついてるわけではなかったようですが(なので、やっぱり、あれは人力の日本語訳だったのかもしれませんね。別に著者に日本人もいなかったのに、意外です)、それはともかく、よく読んだら、

カリウム保持性の利尿薬(高血圧症に対して、他の利尿薬を服用している患者の二次治療薬として広く処方されている)に、高血圧を改善する効果は一切認められなかった」

…という話だったみたいです。

つまり、カリウム自体に血圧との関連がないわけではなく、このタイプの薬(具体的にはアミロライドトリアムテレンなど)、通常処方される低用量では、血圧降下効果が一切認められない、ってことだったというわけですね。

…いや、これを「カリウムに、血圧改善効果なし」ってするの、めっちゃミスリーディングじゃん!

この「インチキサプリ」チャート自体が、実はインチキなんじゃねぇか?!と思わないでもないですが、まぁちゃんと見ればちゃんと正しい情報も記述されているので、まぁ良しとすべき所でしょうか…。

というわけで、一瞬早とちりして「カリウムには血圧改善効果、ナシ!」としちゃう所でしたが、カリウム自体はやはり塩分過多の方は率先して摂った方がいい栄養素なのは間違いないと思うので、騙されないように注意しましょう。

カリウムを多く含む食品といえば、一番最初に浮かぶのがバナナですが、他にもイモ類・肉魚など、大抵の食品に含まれるものですね。

東京女子医大・腎臓内科のページをご参照ください。

www.twmu.ac.jp
(と思ったら、こちらは全く逆の、カリウム制限のためのページなので、「摂らないための情報」になってますね。

 一応、我らが厚労省のページには、「通常、カリウムが過剰になることはまれであると言われています」とあるので、特にお医者さんに控えるよう言われた方でない限り、過剰摂取に気をつける必要性はないと思われます)

www.e-healthnet.mhlw.go.jp

また、「インチキサプリ」に挙げられていたカリウム保持性利尿薬も、利尿作用なしとか危険性ありとかいってるわけではないので、そこまでヤバイやつでもありませんでしたね。

「飲んでも意味ないヤバイやつ」は明らかに語弊のある言いすぎ表現でした。記事終わりがけで恐縮ですが、ここでお詫びして訂正しておこうと思います。
(もっとヤバイやつがいそうだったので、タイトルは「ヤバイやつ」としていたのですが、相変わらず、無駄に長くなり、そこまでたどり着かなかった感じです。)

次回こそは、本当にヤバイやつ(まだ詳しく見てませんが、少なくともパッと見は)に触れてみようと思っています。

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