サナダムシダイエットってどうなの…?

前回の記事では、謎の再生力…を通り越して、最早不気味とまでいえる驚異の生命力(頭を切ったら頭が増える、頭を別の個体の切り口にくっつけたらそこも新しい頭になるなど…ヤバスギィ!(笑))を誇る、しかしそれでいて妙に可愛いナリをしているプラナリアを紹介していました。


ちなみに前回書いていなかった点として、プラナリアは最も原始的と考えられる三胚葉生物(=高度な組織・器官をもつ生物)であり、脳があることでも有名なので、言い換えれば「この地球上で初めて脳を持った生物」とも考えられるわけですが、驚きの再生能力のみならず、脳まで持っているとは侮れない子にも思えるわけですけど…

…しかしよく考えたら、脳を持っているのに、切り刻んだり頭を他人(他プラ)につなげたり…とかいう残忍な実験をしている我々人間とは一体……とも思えるものの、でもまぁそれもよく考えたら昆虫にだって脳はありますし、蚊をバチーンと殺してもさほど良心の呵責に苛まれることなどないのと同様、驚異の再生力についての知見を深めることで将来我々人類の役に立つかもしれませんから、人間の血肉になってくれる家畜同様、しっかりと研究材料となって後世へとその神秘の力をつないでいるともいえるということで…プラナリアくん、君の協力は決して忘れないよ……と、人類発展の礎になってくれることに感謝の気持ちを示したい限りですね。


それでは続いてまた門ネタを進めていきますと……

https://ja.wikipedia.org/wiki/門_(分類学)#動物界より

…あぁ、最古の三胚葉動物グループである扁形動物門には、プラナリアの他にこれまた何だか面白そうな動物も所属している感じですね…!

 

せっかくなのでこちらにも脱線させていただきましょう、そう、似たような…と思いきや見た目はそこまで似てはいないものの、他に挙げられていたこの門の生物には、
サナダムシキュウチュウなんてのもいらっしゃるようです。

 

とりあえず耳慣れないキュウチュウの方は何なのか見てみましたら、なるほど「吸虫」と書いてキュウチュウだそうで、↓のリンクカードサムネにごく一部だけ表示されていますが、全然見る価値もない、グロい感じの寄生虫の一種のようです。

 

ja.wikipedia.org

 

一方のサナダムシ、こちらはどなたも何となく耳にされたことがあるのではないかと思いますが、まぁこちらも寄生虫の一種で、あまり若い人はもうご存知ないかもしれないものの……というか若いぶるわけではないですが僕も生物の授業で聞いたことがあるだけで、身の回りでこんなのに触れたことはないわけですけど、そう、人間の腸に寄生することで有名なこのサナダさんは、その昔、

「お腹の中で飼うことで、食べたものをサナダムシが勝手に食べてエネルギーを消費してくれて、自分はダイエットができる!」

という感じで一世を風靡した…なんて話で知られているヤツなんですね!

 

これまた僕は高校の生物の授業で雑談の一種として初めて聞いていた話になりますけど、特に有名なのがアメリカのオペラ歌手、マリア・カラスさんの逸話で、彼女がお腹にサナダムシを飼うことで短期間で驚異のダイエットに成功したという話から……って、あれ、もしかしてこれも書いたことあったかしらん…?と思ってブログ記事検索してみたら、ぬわぁーんと!

 

con-cats.hatenablog.com

 

…以前、エキノコックスとかの寄生虫うんぬんを見ていた流れで、普通に触れたことがありましたね…。

 

しかし、今回はこれで一記事見繕えそうだしめしめ…と考えていた感じで、いつにも増して時間がないこともあり、やや被りネタではあるものの、被っていることに当の書いた本人である僕ですら忘れていたぐらいですから、そのまま強引に「サナダムシの真相に迫る…!」という感じでいかせていただきましょう(笑)。

 

まぁ、↑の記事で触れていた文春オンラインの特集記事で「その逸話は、誤って(あるいは、サナダムシダイエットを広めるために意図的に)伝えられたガセネタであった」というのが結論ではあるみたいなんですけど、文春も最近「誤報があった」などと巷をにぎわせていますしね、もう少し信頼性の高いソースに当たってみようかと思います。

(とはいえ引っ張っていた文春記事は、かなりしっかり取材・調査をして一冊の本にまでまとめあげられた方による記事だったようで、これに関しては十分な信頼性がある内容だったとは思えますが…)

 

まぁ「信頼に足る情報」といえば、やはり職業柄どうしても査読付きの論文になってしまうのですが、検索したら普通に、大変都合よく「マリア・カラスさんの逸話を調査する」という意図でなされた、正直何とも週刊誌レベルに思えてしまうかもしれない研究論文が見つかりました。

 

サナダムシは英語で「Tapeworm(テープ・ワーム)」という、テープ型のワーム(ミミズなどの足のない虫全般を指す語)というそのまんまの通称で呼ばれることが多いようですが(ちなみに、我らがプラナリアは「Flatworm」でフラットなワームですね)、まさにそのまんまのタイトルの記事になっています、オープンアクセスなので、どなたも原著論文をお読みいただけるリンクがこちら(↓)…

 

www.mdpi.com

 

「サナダムシとマリアカラスのダイエット:謎は解けた」というタイトルの論文ですね!

 

…研究内容としては、「ホワイトなソース(著者責任が明確な、学術論文や書籍など)」「グレーなソース(著者責任がそこまではっきりはしていない、レクチャー資料や動画メディア、ブログなど)」「ブラックなソース(著者責任の存在しない、匿名のアイディアやコンセプトなど)」にあたり、世の中のトレンドやマリア・カラスさんの体重変遷などをまとめて真実に迫る!…という内容だったんですけど、結論や話の流れは普通に文春記事と完全に同じで、

マリア・カラスさんは生肉が好きで、実際にサナダムシに感染したのであろう記録は残されているが、むしろ寄生虫を取り除いて、健康になってからの方が体重が減っている」

…という話となっており、

「サナダムシのダイエット効果は全く信憑性がないフェイクであり……むしろ危険ともいえる、眉唾なものだと考えられる」

…という結論になっていました。

 

と、それだけでは面白くないので、ちょうどリンクカードのサムネにも使われていました、図1の、1898年に作られたというサナダムシダイエット商品の広告の画像をお借りさせていただきましょう。

https://www.mdpi.com/2673-6772/2/3/15より

1898年という、尋常じゃなく古いものにしてはイラストもデザインも洗練されていてそれは素晴らしいと思えましたが、広告の謳い文句は「まぁいつの時代もどこの国も変わらんのですね(笑)」と思えるしょうもないもので、面白かったため文字を抜粋翻訳させていただこうと思います。

 

(…と、論文をよく読んだらこれも実は後の時代に作られたフェイク広告だったみたいですが(笑)、まぁ「こういうのがあり得た」という風刺画の意味でも、参考資料といえましょう)

 

EAT! EAT! EAT!

& ALWAYS STAY THIN!

食べて!食べて!食べよう!

そしていつも痩せをキープ!

 

NO DIETS・NO BATHS

NO EXERCISE!

ダイエット不要・入浴不要

運動もいらない!

 

FAT

the ENEMY that is shortening Your Life

BANISHED!

脂肪

人生を短くする敵が…

消え去る!

 

HOW?

with
SANITIZED
TAPE
WORMS

Jar Packed

どうやって?

消毒済みの
サナダムシと…


瓶詰め

 

"FRIENDS FOR A FAIR FORM"
「正しい形の友達」

 

Easy To Swallow!

飲み込みやすい!

 

No Ill Effects!

悪影響はなし!

 

…などなど、マジで何の科学的根拠もないのにまさに誇大広告もいい所でワロてまいましたが、しかし、こういう怪しげなモノは今でも実は幅を利かせているのかもしれません……

 

危険なダイエット薬品には十分にご注意ください、という浅い主張で、今回はこの辺にさせていただこうと思います。

 

話を聞く限り、食べ物を代わりに食べてくれるサナダムシをお腹に飼うとか結構魅力的に思えるものの、まぁ実際は大人しく腸に留まってくれる保証もないですし、危ないのでやめましょう、というのが現代医療の結論って感じですね。

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