切ったら増える、可愛いヤツ

動物の分類=門のレベルの話を進めていく中で色々脱線ネタにも触れてきましたが、あとは各門グループが残るばかりですね。

 

ここまでで、ハッキリした器官をもたない無胚葉の海綿動物に始まり、それよりは多少まともだけどまだ2胚葉しか持たないクラゲ・サンゴの類がメインの刺胞動物、そして高等動物のほぼ全てがこの形態を取っているといえる3胚葉性のグループが「左右相称動物」と呼ばれることがあり、これは大きく分けて受精卵が分割していくことで生じる「穴」の、くぼみ始めた方が将来口になるか肛門になるかで旧口・新口動物という区別でのグループ分けもされる…という話をしていました。

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/門_(分類学)#動物界より

↑のリストをご覧いただければ明らかな通り、ちょうど進化的にも古いと考えられる、発生時にくぼんだ方が口になる旧口動物はもうちょい特徴ごとに上手いグループ分けが可能のようで、それが冠輪動物脱皮動物になりますけど、まぁ聞き慣れない冠輪の方は言うほど共通点の多い一枚岩を形成している集団ではなく、単に「脱皮動物以外」という色合いが強いものであり、逆に「脱皮動物」というのがまさしく一緒くたにして然るべきといえる似たものの集いであり、これはもう説明するまでもないでしょう、このグループの例がほぼ全部「ムシ」とついている通り、脱皮と言えばこいつら、昆虫っぽいやつらがひとまとまりになった、いわば「昆虫上門」的な感じですね(まぁそれは全然正確な用語ではありませんが)。

 

そんなわけで上位分類は一通り見終えたということで、門の方に視点を移していきますと、まぁ2胚葉までのザコは既に見終えていましたから、ここからは3胚葉性の門ですね。

 

3胚葉性トップに来ている、すなわち最も原始的に近い生物と考えられるのが、話のネタがめちゃくちゃ豊富なイカすやつでした、代表例のプラナリアが今回の主役としておわします、扁形動物門ですね!


まぁ名前の通り、こいつらは平べったい形に特徴があるグループなわけですけど、それよりやはり、我らがプラナリアさんがあまりにも面白すぎる生命科学鉄板ネタをもったナイスガイなので、他の生物例はともかくまずはこちらさんを紹介してみますと……


あまりにも凄いのでかなり有名であり、生物を履修されたことがない方でもご存知かもしれません……そもそもツチノコみたいな形をした、寄り目な感じのクッソ可愛い形の時点で素晴らしすぎるんですけど、日本語版より英語版WikiPの方がより可愛らしさが出ている気がしたので、こちらからお借りさせていただきましょう……これが最も原始的な(3胚葉をもつ)まともな動物、プラナリア(英語:Planarian)ですね!

https://en.wikipedia.org/wiki/Planarianより

まぁちょっと分かり辛い写真かもしれないものの、頭は下で、よく見ると目玉が2つ付いているのが見て取れるように思うのですが、何かのマスコットかと思えるぐらい、黒目の部分が寄り目になってて本当に何だか愛らしいんですよね(笑)。

 

とはいえ言うまでもなくこいつの凄さは可愛さなどではなく、ズバリその再生能力

 

その神秘的な凄さというかヤバさを、日本語版ウィ記事の方からそのまま引用させていただきましょう。

  • 頭に切れ込みを入れて3等分にすれば、3つの頭を持つプラナリアに再生する。
  • ある学者がメスを使い100を超える断片になるまで滅多切りにしたが、その全片が再生して100を超えるプラナリアが再生したという逸話がある[5]プラナリアが再生できる栄養環境さえあれば可能であるとされる。
  • トーマス・ハント・モーガンの実験では、遅延や不完全な再生はあったものの、279に分割された断片から再生したとされる
  • 咽頭および目の前にあたる部分からは、それらが万能細胞を持たないため再生出来ない
  • 切断実験をする際は、1週間前から絶食させておかないと、切断時に体内の消化液で自身の体を溶かしてしまい、絶命する

 

…そう、何ということでしょう、このプラナリアは、頭に切れ込みを入れると、まさかのまさか、その切れて半分ずつ(3等分なら3つに)に別れたそれぞれの頭が、しばらくすると完全な頭に復活しまして、双頭(3等分なら、ヤマタノオロチもビックリの、6頭)になり、そしてこれは僕が高校の生物の授業に例の面白い先生から聞いた話ですけど、その双頭の頭に切れ込みを入れたらまたそれぞれの半分ヘッドから完全ヘッドが生えてきて4つに、さらにその4ヘッドをもっかいスパッと行けばまさにヤマタノオロチになるという、「そんな馬鹿なことがあってたまるかよ(笑)」と思えることを現実にやってのけるのが、この偉大なプラナリアなんですね!

 

そういえば僕も実物は見たことがなかったのですが、流石はYouTube先生、実際の動画が紹介されていました。

実際多頭形成はそこそこ難しいらしくこの動画では双頭まででしたが、まさに2つの頭、どちらも寄り目でオマヌケな感じに思えるのも本当に可愛らしいですけど(笑)、まさにデュアルヘッド・プラネィリアンさんが平然と生きている感じですねぇ~。

 

www.youtube.com

 

動画のサムネはもしかしたら変わってしまうかもしれないので、ベストショット…ってわけでもないものの、適当に良さ気な瞬間のスクショも貼らせていただきましょう。

https://www.youtube.com/watch?app=desktop&v=ZvDlMwRysUg、08:05ぐらい

…クッソ可愛くてワロタ、これは飼いたい…!と思えますが、まぁ実物はこの動画でイメージされる魚みたいな大きさではなく、顕微鏡で見ないと目玉まではなかなか見えにくいぐらいの小さなサイズ(とはいえ、肉眼で個体を識別は余裕で可能ですが)であり、まぁ過程で飼育するようなものではないかもしれませんね。

 

「切れ込みからニュー頭発生」も相当ですが、↑のウィキリストにもある通り、まさかの「ぶつ切りにしたら、ぶつ切りにした全てがまた同じ1匹のプラナリアになる。最高記録は、279個のカタマリになるまでバラバラ殺人(ならぬ、殺プラ(笑))した、最早ホコリレベルの物体から元の体が戻った」なんて逸話まであるそうですけど、とはいえ実は無敵というわけではなく、リストのラストにある通り、食べ物を食べて満腹状態だと、切った時ににじみ出てきた消化液に切り刻まれた自分の一部が消化されてしまって溶けて死ぬ…という、「ギャグセンス高すぎやろ」と思えるとんでもねぇ逸材ですねこいつは…!(笑)

 

また、切り方が下手な場合も何気にうまく再発生せずそのまま物体としてこの世の塵と化す…という話も聞きますけど、断面を傷つけずにスパッと切れば本当にまた新しいものがニョキニョキ再生してくるということで、とにかくこの子は凄まじいやつだといえましょう。

 

さらに、これも高校の頃授業で聞いて「そんなバカな、ハハハ」とみんなで笑ってた話なんですが、例えば全体を上下三等分し、下半分に、また別の個体を三等分した頭部パーツをくっつけてやれば、見事に融合して「頭・へそ(プラナリアの場合「咽頭部」と呼ばれるようですが)・頭」という、上下に頭が存在した形で、そのまんま1つの個体としてのほほんと生き続けるという、最早冗談のような存在なんですね。

 

これまた現物を見たことはなかったですが、都市伝説やフェイクではないことを証明するため、プラナリアの再生についてまとめた学術論文・レビュー記事の説明図をお借りしてみますと…

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/reg2.54より

…寄り目の絵柄から本当にギャグ漫画か何かのキャラに思えますがそれはともかく(笑)、プラナリアの融合に使われる技術は「GJ(ギャップジャンクション、ギャップ結合)」と呼ばれるもので、これはプラナリアに限らず、神経細胞などで自然に存在している細胞同士の相互作用なのですが(参考↓)……

 

ja.wikipedia.org

 

…まさにGJ技術を応用し、遺伝子ノックダウンや細胞間物質の遮断などを駆使してプラナリアで遊んだ…もとい仕組みを研究した例が紹介されている形ですが、図Aにある通り、上下ダブルヘッドのものや、更にはヘッドなしのものも生育可能なんてことが記述されていますね。

また、一部の遺伝子をいじることで体のサイズ感をバグらせる図Bとか、別の種のプラナリア同士(頭の形で判別可能)で融合させると、10日目までは融合先の頭部が生まれるのに、その後30日が経過した頃には融合元の種の頭部に戻っている…という図Cなど、本当にあまりにも意味分からんすぎて笑えるデタラメさがあるものの、まぁ再生医療の分野への応用という点では本当に完全解明するのに相応しい夢のある生物ともいえる感じで、今なお盛んに詳しい仕組みが研究されている段階ですね。

 

上下双頭の方も、証拠として、他の論文から写真だけ引用させていただきましょう。

https://www.iflscience.com/scientists-grow-flatworm-with-two-heads-instead-of-tail-41823より

…やはりめっちゃ可愛い(笑)。

 

というわけで今回は、奇妙さ・不思議さがありながらも、妙な愛らしさのある、みんな大好きプラナリアのお話でした。


次回は、もうプラナリアさん以上に面白いやつはいないので適当に見ていく感じになりそうですが、もう少し動物門を見ていこうと思っています。

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