改めて、DNAやら遺伝子やら染色体やらについてなるべく分かりやすく…

おもむろに見始めていたDNAの構造全般の話…主に、細胞内においてメチャ長分子であるDNAをコンパクトにまとめている「ヒストン」というタンパク質と絡めて、少し細かい話に入っている形ですね。


まぁ僕自身の研究対象そのものズバリ…ってわけではないのですが、一応広い意味では自分の専門に近い話なので、得意気に早口で言ってそうな感じでくっちゃべってるわけですけれども、内容としては、高校生物ではそこまで詳しく触れることはないと思うので(少なくとも僕の時代はヒストンまでは学びませんでした)、大学教養レベルのお話になっている感じかな、と思います。

 

ただ、(前も何度か似たようなこと書いていましたが)別に自虐するわけじゃないですけど、物理や数学の大学教養レベルの話は高校の学習内容を知っていないと絶対に理解できないわけですが、生命科学ってのは正直、ただ対象の分子なり構造なりに名前を付けて、実際に観察された現象を記述しているだけの話にすぎないといえますから、そこまで厳密な理論・積み立てて理解していかなくてはいけない基礎知識ってのもなく、「そうなんだ」で納得して終わりの話ともいえるため、少なくとも大学数学なんかよりは確実に、全く何も知らない人にもとっつきやすい話になっているのではないかと思えます。

 

逆に言えば、偉そうに説明している僕も「ただ整理した知識・情報を持っているだけ」ともいえるわけで、インターネットの発達した現代において、ただの知識は集合知やAIに確実に負けますから、少し覚えている量が多いだけの我々生命科学者の存在意義とは一体……と、まぁ別にそんなこと考えて日々生きてるわけじゃないですし、実際、昨今のAIブームによる技術発展は物凄いものがあるとはいえ、

「でもまぁ流石にまだ細かく手を動かすような実験は人間に分があるしなぁ。既存の知識から新しい概念を構築するのも、まだまだAIには負けないよ」

…と、まぁ別にそんなことも普段考えているわけではなく今記事水増しのために考えて書いた与太話でしかないですけど(笑)、いずれにせよ、実験には慣れが必要だし、新しい生体反応モデルを構築するのもかなり大変なことではあるのですが、既にある知識の大枠を理解するのは、生命科学ってのは意外と単純な話ばかりになっているので、分かりやすく説明することさえできればすんなりとご理解いただける話になっているんじゃないかなぁ…と思えるので、

「この辺の話、興味はあるっちゃあるけど、それっぽい本を読んでもよく分からなかった」

といった方の理解の一助になればいいなぁ、という考えのもと、改めてこの、誰しもが名前は聞いたことがあるであろう「DNAや遺伝子や染色体やら」といった点に説明を加えていこうという次第です。

 

まぁそんな今さらすぎる駄文はともかく、前回はヒストンの語源に触れることで、こいつがどういったものなのかより親しみを持てるよう色々書いていましたが、正直あんまり触れた意味もなく(笑)、結局ヒストンってのは「長~い鎖状の分子であるDNAを巻き取ってコンパクトにしてくれるタンパク質」という、それ以上の何者でもない物質のことなのでした。

 

その辺の話に関して、初学者がなぜ細胞生物学・分子生物学で繰り広げられる話に親しみを感じづらいというか混乱しがちになってしまうかというと、やはり「イメージできない」というのが本当に大きいと思いますから、分かりやすいイラストで見ていくのが肝心だと思います。

 

そんなわけで前回はMBLライフサイエンス社の解説記事(↓)の、「小さい構成単位から大きい構成単位まで順に示してくれている」分かりやすいイラスト画像をお借りしていましたが…

 

ruo.mbl.co.jp

 

…まぁリンクカードだけ再度お借りしましたが、画像は前回も貼ったし変わり映えがしないので別のものに当たってみますと……

…前回、「ややこしい用語で、言うほど重要にも思えないので、覚える必要はないです、雰囲気を感じられれば十分でしょう」とか適当ほざいていた「クロマチン」のウィ記事に、同様の「大きいスケールから小さいスケールまで、分かりやすく示されたイラスト」があったため、こちらをお借りして見ていくとしましょうか。

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/クロマチンより


…とはいえ基本的にどんな生命科学資料集でも、よく見たら多分似たようなこういう図は載ってると思うんですけど、何だかんだ初めて見る場合、あんまり「つながり」が意識できないというか、「模式的に示されているもの」と「それが現実にどういう物質なのか」というリンクが完全に失われていて、「結局どういう物なんだよ!」ということが分からず、何か最後まで狐につままれたというか騙されたというか、そこまではいかずとも全然本質を理解した気になれないものではないかと思います。


実際僕自身が高校生…どころか、何度も書いている通り、大学に入って後期専門課程へ進んだ後でもなお、学んだ分子生物学的な知識のほとんどは正直全然現実世界とリンクしていなかったというか、「テストに答えるためだけに覚えた、現実味のないただの文字列・記号」としてしか理解していなかったですからね。

 

今回のこのイラストも、とりあえず順番に見ていきますと……

左上のCell細胞;これまた「L」が一文字抜けている、タイポ入りのイラストになってしまっていますが(笑))、これがこの画像では一番大きなもので、現実的には顕微鏡でないと見えないレベルの小さな部屋なのが細胞というのはどなたもそこはイメージできるのではないかと思いますが…

この細胞の中には「nucleus)」があり、遺伝子DNAってのはこの核の中に、基本的にはchromosome染色体)という構造で格納されているのでした。


まぁこれも、「『遺伝子DNA』って言われても、結局何なのさ?!」というのは、知識をまだ整理できていない方には鬼門のポイントだと思うんですけど、実は以前そこはちょろっと書いていたこともありましたし(この辺の記事ですね↓)、とりあえず今は見ているもののスケールダウンをしていくのでそれはまた後で触れるとして、一旦置いておきますと…

 

con-cats.hatenablog.com

 

…2本の太いヒモみたいなのが「X」字状の構造を取っているこの染色体、これはマジで今はどうでもいいですけど、「X」の片割れ1本分をchromatid染色分体)、「X」の交点で両者がくっついている部分をcentromereセントロメア)、端の部分をtelomereテロメア)と呼んでいるのですが、改めて細かい名前は本当にどうでもいいので無視しましょう……

 

で、この染色体が、イラストを見ると少しずつ拡大表示されているわけですけど、拡大表示してみると実は一本のヒモがグルグルと巻かれて出来上がっていたものになっていまして…

そのグルグル部が、これまた前回言葉だけは出ていましたnucleosomeヌクレオソーム)と呼ばれている構造が集まって出来たものであり、丸を付けて更に右下に拡大図が表示されている通り、ヌクレオソームというのは、histoneヒストン)というタンパク質がDNAを上手いこと巻き取ってまとめ上げてできているもので……

 

…そこから先、さらにズームして分子を拡大していくと、一本のヒモに見えていたDNAの鎖は、実は二重らせん構造double helix)を取るものであり、その二重らせんをさらに拡大して見ていくと、4種類の塩基、A, C, G, Tが、「AとT」「CとG」が互いに手をつなぎ合って塩基対base pair)を形成することで二本鎖を作っており、この各鎖それぞれがラセン状に巻かれることで二重らせんになっていた……

 

…という、うーん、果たして高校生の僕はこの説明で納得できたのであろうか……

 

まぁ上述の通り、模式的に描かれているACGTの4塩基、これは「ヌクレオチド」とも呼ばれる分子ですけど、

「結局何なの?まぁ色は分かりやすく着けてるんだろうけどさ、色付きの棒がくっついてるのは『二本鎖』ってんでいいとして、色付きの棒がズラーっと並んでる、ラセンそのものの灰色のヒモは何モンなんだよ!」

…という謎が、「意味分からん、こんなの理解しろという方が悪いね…」と拗ねてゲームでもしていたように思えますが(笑)……

 

まぁこの辺は結局、ちょっと化学の知識が必要にどうしてもなってきてしまうんですけれども、結局「各塩基が塩基対=二本鎖を作る」のも、「隣の塩基とつながっていく」(イラストだと、灰色のラセンリボン)のも、有機化合物が「結合」をすることで実現されるもので、その「結合」ってのは、これも以前何記事かにわたって説明していた通り、「原子に存在する電子のやり取りや共有」といった、究極的には電気の力で行われているものだと、そうなる感じになっています。

 

具体的に、DNAのヌクレオチド4種類・A, C, G, Tは、以下のものになるわけですが…

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/ヌクレオチド#各種デオキシヌクレオチドより


…まぁ実はこれも何度か示したことがあった、「ヌクレオチドの構造式」ってやつですけど、上からA, G, T, C(本当は「U」の構造が挟まっていましたがDNAでは「U」は通常使われないので、カットしました)と1文字表記されるもので、正確には画像にある通り、「dAMP」などと書かれるものになっており……


RNAではなくDNAであることを明記するための先頭の「d」、そして最後の2文字は↓の通り…)


…それぞれ横に3つあるのは、「P」つまりリン酸基の数の違いで、「モノ」「ジ」「トリ」という1, 2, 3を表す数字接頭辞の名が示す通り、左からリン酸基-PO4の数が1つ、2つ、3つになっているのは、画像からも明らかかと思われます(つながることでOの数が微妙に変わっていたり、端にあるHはまぁ無視してください)。

 

で、具体的にDNA分子の中に存在しているのは、左側の「dNMP」でして…


(ACGTの4つをまとめて、しばしば「N」と表します。「任意の」を意味する「aNy」のNですね。先頭のAはアデニンのAで使われているので、Nが使われています…まぁ「N」って語は、そういう「適当なもの」という意味でよく使われがちでもあるので、仮に「A」が使われていなくても、「N」が適役ですけどね)


…先ほど「どういうこどたよっ!」とブチ切れていた、具体的なDNAの「つながり」、つまり各ヌクレオチド同士を1つずつ繋いでいる灰色のリボンは、この-PO4と、各分子左下に位置する-OHとがつながる(-PO4にある1つのHと、この-OHとがくっついて、水分子H2Oとして外れることで両者がつながる、いわゆる「脱水縮合」という反応が起こります)ことで、延々と1つずつ繋がっていくんですね!


(正確には、実際にヌクレオチドをつなげていく反応における原料としては「dNTP」が使われるんですけど、つながった後に長い鎖のDNA分子中に残っているのはリン酸基1つのdNMP分子といえるので、まぁ今は細かい反応の流れはともかく、「そういう形のつながりになってる」で問題ないと思います。)

 

ただ、それは灰色のリボンのつながりであり、「二本鎖」を形成するための色付きのヌクレオチド同士の「手つなぎ」は、各dNMPの右上の部分、まさに「塩基」と呼ばれる構造そのものが「水素結合」という弱い結合を形成することで、弱~くつながっている形になっています。

画像にある通り、AとTは水素結合が2本、CとGは水素結合が3本形成されるのですが、この結合はあくまで「分子間」に働くものであり、例えば加熱したら簡単に離れる程度の弱い相互作用でしかなく、あくまで「完全につながっている」とみなせる「1分子」なのは灰色のリボンの方(リン酸基Pを介した結合)であり、要はDNA二本鎖ってのは、

「全く同じ長さで、AはT、CはGに入れ替わっただけの鎖が2本、ピッタリと(水素結合という弱い結合で)くっついているだけなのである」

…と、そういう形になっているわけです。

 

…うーん、元気に早口で長々と書いたものの、文字ばっかってこともあるし、これは正直、ダメですね(笑)。

流石に全く何も知らない方がこの説明だけで即理解出来たら天才レベルで、全然「分かりやすく」なっていないとしか思えないのですが、いかんせん、分かりやすく推敲する時間がないので、次回またもうちょい簡潔に分かりやすく述べる所からリベンジさせていただこうと思います。

 

一応、頑張って読めば言わんとしていることは理解して……いただけると良いのですが、正直結局「結合」とかいうイメージしづらいものが出てきてしまっているので、本当にもうちょっと噛み砕いた説明を試みたい限りです。

ダラダラ似たようなことを書く感じになっていますが、時間切れにつき次回へ続く……。

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