パスタを茹でるときに塩を入れる意味はあるのか…?

唐突にウルトラクイズネタなんぞに逸れたりしていましたが、ここ最近は「液体に何か固体の粉末を加えて溶かしたら、その液体は凍りづらくなる」という凝固点降下について見ていたのでした。


これに関して、もう1つ脱線ネタとして、高校化学でも必ずセットで習う、非常に似たような概念の話に触れてみようと思います。


それがズバリ、凝固点(融点)といえばもう1つ、液→気へ変化する温度である沸点、面白いことに、塩やら何やらを水に溶かすとこいつも変化するんですね。


凝固点は下がるという話でしたが、沸点はといいますと、これは上がる形になっています。


結局、余計な粒がいるせいで、「液体が他の状態へと変化するのを邪魔する」というのがその本質であるため、水の中に余計なものが溶け込んでいればいるほど、氷にもなりづらいし、沸騰して水蒸気にもなりづらい…とただ単にそういう話で、凝固点降下に対してこちらは「沸点上昇」と呼ばれています(そのまんまですが(笑))。

 

ja.wikipedia.org

さらに面白…くはあんまりないかもしれないものの興味深い点として、沸点上昇は凝固点降下と全く同じ形の式で定まるもので、おさらいになりますが凝固点降下の温度変化は以下の記事(↓)で見ていた通り…

 

con-cats.hatenablog.com

ΔT = Kf × m


…という式で求まるもので、それぞれの記号は、「ΔT」=実際に下がる温度、「Kf」=溶媒に固有の値で、例えば水なら約1.85、「m」=質量モル濃度(液体1 kgあたりに溶けている物質のモル数で、単位はmol/kg、粒子の数が重要なので電離を考慮する必要あり)…という意味でした。

 

やや分かり辛いものの、これから言えることは、「何を溶かすかは一切全く関係なく、同じ数の粒が存在すれば、水の凝固点は完全に同じように下がる」というのが面白い点で、砂糖でも塩でも、その他どんな粉末でも、同じ数の粒を溶かせば同じように凝固点が下がるというのが大きな特徴だった感じですね。


(ただし、「同じ数の粒」といっても目に見える粒のことではなく、本当にミクロのレベルで「同じ数の粒子」のことであり、実際目に見える塩1粒はおおよそ0.1 mgぐらいであり、例の原子の体重である原子量から、この重さにはいくつの塩化ナトリウム粒子が含まれているかが求まるわけですけど、それと同じ数なら同じになるということで(しかも、先ほども書きましたがNaClは水に溶けてナトリウムイオンと塩化物イオンとに電離するため、2倍の力を発揮します)、「目に見えるレベルの塩1粒と砂糖1粒」の効力は全く違う感じになることには注意といえましょう。)

 

で、件の沸点上昇の方ですが、これは先ほどのウィキP記事にもあった通り、何かを溶かして上昇する沸点の温度差ΔTは、

 

ΔT = Kb × m

 

と、「液体によって固有の値」が変わるだけで、まさしく完全に同じ形で計測可能になってるんですねぇ~。


(KfとKbのそれぞれの添え字fとbは、freezing point(凝固点)とboiling point(沸点)のfとbですね、調べてませんが、ほぼ間違いなく)

 

Wikipedia記事には掲載がなかったですが、水のKbは約0.52であり、1.85であったKfと比べると1/3以下の値ですから、凝固点に比べて、沸点は上がりにくいってことが容易に分かる感じですね!

 

まぁ実際、溶液の中に異物分子がいることをイメージしても、「水分子が結晶を作ること」よりも、「気体分子となって飛び出していくこと」を邪魔する方が圧倒的に難しそうなのは想像に容易いといいますか(=自分のいるその場で手をつないで固まるのを邪魔するのは結構簡単にできそうだけど、今の場所から逃げていく奴を捕まえ続けるのは難しそう、ということ)、これは納得のいきやすい違いになっているように思えます。


そんなわけで、そもそも沸点上昇は凝固点降下に比べたら微々たる違いしか生み出せないということもあり、融雪剤なんかとして実社会で応用されている凝固点降下に比べて、沸点上昇が上手いこと身近な生活で使われている例ってのは、あんまり思い浮かびませんでした。


一応調べたら、「パスタを茹でる際、塩を加えて沸点を上げることで、より高温で茹でることを可能にする」という話が知恵袋なんかでも指摘されていましたけど……

 

detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

 

…これは正直、「そう言われがちだけど、多分それは意味がないレベルになってると思う」って話になっている気がしますね。

 

せっかくならば、求める式も紹介していましたし、実際に計算してみましょう。


パスタを茹でる際、どのぐらいの塩を入れるのが標準かは分かりませんが、まぁ1リットルのお湯に、塩ふたつまみぐらい入れるのが普通ぐらい…?と思えるので、以下の女子栄養大のナイスな実験記事を参考にすると…

 

www.eiyo.ac.jp

…指三本を使った「ひとつまみ」は大体0.5グラムぐらいとのことで、気持ち多めで、以下の計算が上手いこと割り切れるためだけの、取って付けたような思わせぶりな数字ですが(笑)、パスタ100グラムを茹でる際に使われる水1リットルに、1.17グラムほどの食塩を溶かした場合を考えてみましょう。

 

改めて、上昇する沸点は、Kb × mで求まるものでしたけど、Kb は単なる数字なので、まずは「質量モル濃度m」を求める感じですね。


NaClが1 mol(改めて、「モル」ってのは、ちょうど「ダース」が12個のことを指すように、「モル」は6000垓(がい)個のものをまとめてそう呼んでいる、単なる個数のことですね)の重さは、原子量Na=23、Cl=35.5を使って58.5グラムとなるので(=58.5 g/mol)、1リットルに1.17グラムのNaClを溶かした場合の質量モル濃度mは、

(1.17/58.5 × 2) ÷ 1 = 0.04

(↑(塩の重さ/塩1モルの体重 × (NaとClに分かれるので2倍分) )÷ 1 kgの水、ってことですね)


…で、ズバリ、0.04と上手いことキレイな数に求まりました(まぁ、そういう重さを設定しただけですけどね(笑))。

 

ということで、実際の「沸点の上昇」はこいつと水のKb とを掛け合わせればよく、0.52 × 0.04=0.0208℃ と求まりました。

なんと、1リットルの水に塩を2-3つまみほど加えた場合の沸点は、100.02℃になるということで、こんなもん誤差以外の何物でもねぇーっ!!

 

…と、そんなわけで、沸点上昇は意味のあるものでは全くないということが分かるかと思うのですが、まぁ沸点上昇に関わらず、そもそも「パスタを茹でる際に塩を入れる」意味が、僕には全く分からないのです。

 

実際、学生時代、仲良くしていた子とパスタを一緒に作る機会もままありましたが、その際その子が「いや塩入れなきゃダメだよ、全然違うよ」と主張する子でして、まぁ僕は決して口答えをしないできた男なので普通に「あぁ、やっぱ違うよね」とか言いつつちゃんと入れていたんですけど、心の中では「いや絶対何も変わらんでしょ!」と思っていたため、一人で作るときは絶対入れませんでしたし、一緒に作るときも、最早文句言われないためだけに、塩の袋を開けてつまんだふりしてパラパラと「入れてますよ~」的なアクションをするという、「やってる感」を出すだけだった気もしますけれども(笑)…

(別に塩がもったいなかったってわけでもないんですけど(笑)、本当に意味ないとしか思えませんでしたし、塩分過多な現代人の食生活においては、塩なんて少ないに越したことはないでしょ…という思いやりの心もあった感じでした(笑)。

 まぁその微量の塩が健康という側面でも意味をなすとも思えないので、基本的にはその子の顔を立ててちゃんと入れてましたけどね(笑))

…実際一度本当に「やってる感」のみで、パラパラアクションだけで実際は塩を加えずに作ったこともありましたが、その子から文句が出ることは一切ありませんでした(笑)。

 

違いなんて、マジでないんだって!(笑)

 

一応この辺は議論になりがちなネタで、検索したら色々出て来ましたが、まぁ僕は「無意味派」なので都合いい結論の記事を持ってきてるだけかもしれませんけど(笑)、以下の信頼できる我らがロケットニュース24によると…

 

rocketnews24.com

…「塩なしでOK」というお墨付きを、東京家政大学大学院・家政学研究科の教授からいただけているようですね。

 

ハイ塩なしの勝ち~、塩入れる派、涙目敗走・顔真っ赤(笑)!!

 

とはいえ、実際プロは塩を入れて茹でるのが基本のようですけど(↓のクックパッドニュース他、多数のソースあり)…

 

news.cookpad.com

…それはもちろん、沸点上昇を意図したものではなく、割とドバドバと、1リットルの湯に対して10グラムほど、かなりどっちゃりと入れるようで、これだけ入れると、「麺に塩味がしっかり染み込んで、プロの味になる」とはいえるみたいですね。


しかし、正味パスタの麺に味なんて無くてもソースをかけますし、むしろさっきも書いた通りそんな無駄に塩分摂取してもいいことないじゃん、無味のパスタでも十分美味しいし……って話なので、僕は塩なし派を貫かせていただきますよ。

 

ということで、結論ありきの記事になった感じですが、「素人がパスタを作る上で、塩を入れる意味はありません。入れなくても美味しいし、一切何も問題がないので(そういえばその子は、「入れないとくっつくよ」とか言ってた気がしますが、別にくっつくことはない気がしますし、くっついても別にいいじゃん、としか思えない気もします(笑))、塩、やめよう」と主張したい限りにございます(笑)。

 

沸点上昇は一瞬で終わると思ったので無理やりパスタの塩に話を広げましたが、ちょうどここまで書き上げた辺りで時間もなくなってしまいました。


別にこれが一番好きってわけでもないですが、一番映えそうだったので、アイキャッチ画像にはたらこスパのいらすとをお借りさせていただきましょう。


…こんな絵で「映える」も何もない気もしますけどね(笑)。

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