シリンジで圧を感じよう

気体の状態を決定する因子として、圧力・体積・温度・分子数の4つがあるという話で、特に気体といえば圧力だということから(まぁそんな流れの論理は存在しませんけど(笑)、最近着目してたのが圧力だ、ってことですね)、圧力とその他の因子との関係を見ていました。

 

これまでは、空気を送り込んだり吸い出したりすることで……要は気体の分子数を変えることで部屋の気圧を変えているクリーンブースとか(→結局圧力とは何なのか)、温度変化により内部が陰圧になって扉が開けられなくなる冷凍庫の例とか(→冷凍庫を閉めて、すぐに開けると…?)を見ていた感じですね。


部屋とか冷凍庫みたいな施設・設備なんかを考えた場合、体積を変えることは大変難しいためこれまで話には出てこなかったですけど(まぁ、スプレー缶の例は、スプレーから出されたガスの体積が変わるという話でしたが、スプレー缶内の体積は不変ですし、それは内圧と体積とが直接関わるわけではない、またちょっと別の話でした)、しかし、素人・個人がいじれる因子として一番簡単なのは、実は逆に体積ともいえるんですよね。

 

一番分かりやすく身近な例としては、普通にポテチの袋(まぁポテチに限らず、完全に密閉されて、しかも柔らかいプラスチックやビニール素材で包まれたものなら何でもいいわけですが)なんかを考えた場合、特に近年は「これ、もう空気を売っとるんちゃうか?」と言われるぐらい空気の割合が大きくなっているのでより分かりやすくなっていると言えましょう(笑)…

…普通に、ポテチ袋を指とかで押し付けると、袋がへこんで、ある程度押すとかなりの抵抗を感じると思うのですが、これぞまさにボイルの法則、「圧力×体積=一定」という話そのものからいえるもので…

指で押し付けて体積が減ると、(気体には、両者を掛け算して一定になる性質があるため)その分袋の中に存在する気体の圧力が大きくなり、これは当然、押さえつける指に対して反対向きとなる、内から外に向けての力ですから、ある程度以上の圧力になると反発する力が大きくなりすぎて、もうそれ以上袋を押せなくなってしまう(押してもそれ以上形が変わらない=体積が小さくならない)わけですね。

 

まぁポテチ袋の場合、あまりにも大きい力を加えるとノリ付けしてある口の部分が耐え切れず、ボンと破裂してしまうわけですけど、圧力の凄まじい力を感じるのであれば、シリンジなんかがより分かりやすいといえるでしょうか。

 

…と、「シリンジ」というのはあまり聞き慣れないかもしれませんが、個人的には実験でかなりよく使うのでおなじみのアイテムなんですけれども、これはまぁ普通に、注射器を英語で言っただけのものですね。

 

https://www.google.com/search?q=シリンジより

…とはいえ一応厳密には、↑で開いておいたGoogle検索結果のモノタロウの簡易説明にあるように、「シリンジ」が指すのは(しばしば目盛りのついた)筒部分」のみであり、ピストンを形成する、多くの場合先端に黒いゴムの付いた「押子」や、当然「針」の部分は指さないわけですけど、普通、日常的な用法としては「シリンジ」といったら、筒とピストンが組み合わさったものを指すことの方が多い気がします。

 

まぁそんな曖昧さがあるなら「注射器」って言えよ、って話ですけど、しかしこれ、「シリンダー」が「円筒」を意味する英単語ですし、モノタロウもそう言ってましたから、「シリンジ」は「円筒の部分」のみを指すのかと一瞬思えましたが…

普段、注文して購入する際は「syringe」で出てきたものを買っていますけど、「あぁっ!筒しか来なかった!これでどうやって注射器を押せばいいんだ!」なんてなったことは一度もありませんし、以下のWikipedia記事を見ても……

 

en.wikipedia.org

普通に「シリンジ」というのは、ゴム付きのピストン部も一緒に指して問題ない言葉だといえそうですね。

 

…何だか一人で「ただし厳密には…」「と思いきや別にそんな厳密さはなく…」みたいな行ったり来たりの話で何やねん、って話でしたが(笑)、まさに時間不足に端を発する「記事の水増し」ってやつですね(笑)。


いずれにせよ、シリンジというのは注射器のことで、とはいえ針の部分は絶対に含まれないものですから、注射針は別売りとなっています(syringeとneedleですね)。

 

せっかくなので針の方にも脱線してみますと、まずシリンジには大きく分けて「ニードルを着ける部分の形状」によって2種類あり、ただ押して嵌め込むだけの「ルアースリップ式」と、ネジ状になっていて完全に固定可能な「ルアーロック式」がありますが…

 

https://www.monotaro.com/note/productinfo/syringe/より


(個人的には、きちんと固定できるネジ式の方が好きですけど、値段も手軽さも、押し込み式の方が主流かもしれませんね)

 

…一方、注射針の方は(少なくとも僕が知ってる限り)規格は1種類で、嵌め込む側の形は、先端にでっぱりというか溝が入っているためネジくちに捻じ入れることもできるし、スリップ式の口にジャストフィットするサイズにもなっているのでそのまま押し込むこともできる…という感じになっています。

 

そして、これは注射針を使ったことのない方は恐らくご存じないことでしょう、針はサイズによって、世界中どこでも同じな国際規格でが付いていまして(といっても、針は金属の銀色なわけですけど、針とシリンジ先端を接続するプラスチック部分に色がついてる感じになりますが)、検索したらメジャーな針のカラーバリエーション一覧が、我らがウォルマートのページで見つかりました。


お借りさせていただきましょう。

 

https://www.walmart.com/ip/25-Pack-of-Blunt-Tip-Lure-Lock-Dispensing-Fill-Industrial-Arts-and-Crafts-Needles-23-Gauge-Orange-0-5-1-27cm/347953107より

 

改めて、医療用途に極めて重要な注射針は、日本のみならず世界中で同じ規格・色が用いられていまして、サイズは「ゲージ」(Gaugeでゲージって読むのも意外な気がする英単語ですね…気になったので調べてみたら、以下の知恵袋によると…

detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

…特に明白な理由もなく、「英語は例外が多い」というクソみたいな理由でした(笑))


…と、話が逸れましたが、注射針は「ゲージ」という数字で太さが決められており、これは数字が小さいほど太くなる形になっています。

 

研究室に常備してあって僕がよく見るのは、グレーというか個人的には茶色っぽいイメージだった16G、緑の18G、ピンクの20G、青の22G、そして赤の25G辺りで、用途によってどれを使うか使い分ける感じですね。

(組織やDNAといった高分子を細かく破砕する際とかに使いますが(それ以外にも色んな用途で使いますけど)、もちろん径が細いほど剪断能力は高いんですけど、肝臓みたいにめちゃくちゃ濃密な臓器なんかですと、25Gとかだとすぐ詰まってお話にならないので、太いものを使う必要がある…みたいな感じです。)


写真からも明らかな通り、16Gはゴンぶと、そっから少しずつ細くなり、25Gだともう、下手に扱うと折れ曲がってしまうぐらいホソっちい感じですね。


(ただ、ワクチンを打つとか、人体に刺すような場合、より細い26Gとかが使われてる印象があります。

 あぁでも、全血献血みたく大量の血液を必要とするような場合は、もっと太い……今調べたら、まさに16Gが使われるみたいですね。

…これを刺すのは、大人でも結構抵抗がありそうです!)

 

…まぁ、それは単なる豆知識で、圧力の話とは一切関係ないんですけど、注射針にも色々あり、玄人になると色で太さが分かる、って話でした。


(今度注射を受けることがありましたら、針の根元の色をチェックし、「何ゲージの針を刺されたんやろか…」ってことを知っておくと……まぁ別にそんなこと知っても何もいいことありませんけど(笑)、面白いかもしれません)

 

で、圧力に戻ると、先端に針ではなく、普通に栓をして固定した状態で、注射器のピストンを押してやりますと、まぁ言うまでもないですがある程度押した段階で恐ろしく強い圧力を感じ、それ以上押せない状況になる感じですね。

(もちろんそれはシリンジのサイズにより、小さいものならそこまでの圧を感じることなく押し切ることができますけど(ただし、手を離すとビュンと戻るぐらい、押せば押すほど圧は大きくなる感じですね)、大型のシリンジだと、開放した状態から始めて、半分にすら到達することなく人力では絶対にそれ以上押せなくなるぐらいの超高圧が生まれる感じだといえましょう。

 ただ当然、体積が半分になれば圧力は倍になるので、シリンジの大きさに関わらず「全体のどこまで押したか」で内圧は同じになるはずですけど、圧力は単位面積あたりの力なので、面積が大きくなればなるほど押し込むのに力が必要になるわけですね。)

 

もちろん逆に、ピストンを完全に押し切った状態で栓をし、ピストンを引くと、内部は真空状態になりますから、逆に引っ張られる力が非常に強く、大型のシリンジだとピストンを最後まで引っ張って抜き去ることはほぼ不可能といえる感じですね。

 

…というわけで、別にそんな例を挙げるまでもなかったかもですが(単なる言葉だけで、実際にやっていただかないと分からない気もするものの、何となくイメージは湧くのではないかと思います……まぁ注射器なんて、医療・研究用途以外ですと、何となくいかがわしい用途しか思い浮かばない気もしますし(笑)、もしかしたら全くイメージが浮かばないかもしれませんが…)、いずれにせよ、その辺にある注射器程度のサイズに含まれる空気でも、人間が全体重かけても負けるぐらいの凄まじい力が作れるのです、なんて話でした。

 

この話から、また1つ別のネタ…ちょうど、こないだ見ていたパスカルの原理の所で、リンクを貼った解説記事の末尾でも紹介されていた油圧ポンプの話なんかに行こうと思っていたのですが、またしても例によって例のごとく時間切れ&分量もそれなりのものとなっていたため、次回はそれに触れていくとともに、ちょうどそっから関連して、アンさんにいただいていた少し前の水圧の話に関するご質問なんかにも触れていけそうかな、と思っています。

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