おもむろに始めていた圧力ネタ、前回は深い海の底に沈むことでかかる圧倒的な水の力に対し、人類はどこまで耐えられるのか…なんて話を見ていました。
実際の記録は水深700メートル=70気圧(まぁかかるのは「水圧」ですが(笑)、標準大気圧 1013 hPaのことを「1気圧」と呼ぶので、これは単位の「気圧」ってことですね)ということでしたけど、でも冷静に考えるとこれ、そこまで潜ったんならもう10メートルぐらいいけてもよくない…?とか思えるんですけど、まぁ実際本当にそこが限界ってことなんでしょうかね…?
恐らく事前に高圧環境にその身を置くことで入念なテストをしているに決まっていますし、血液の中の酸素分圧や呼吸ガス濃度など様々なものをチェックして、結果、「これ以上は一瞬でも人間には危険」という結論がくだったのであろうことが推察されますし、やはりその辺が人間の耐えられる圧力の限界だといえそうです。
まぁだからどうしたという話でしかないんですけど、普段の70倍の圧力まで少なくとも人体は耐えることが可能だということで、気温は暖かい方がいいし、圧力は高い方がどちらかといえば体調にはよく働くことが多い人間にとってはやはり、上限はめちゃくちゃ上にあるということですから、気圧もなるべく高い場所で暮らす方がカラダにはいいといえるのかもしれません。
(…って、誰がどう考えても気温の方が重要ですし、「熱帯ほど低気圧」ってことで都合よく両方高いこともなさそうという話だったので、これは「ネタのためのネタ」みたいなもので、無理矢理にも程がある気もしますが(笑))
…と、まさにそんな話から、前々回見ていた「世界一気圧が高い国」についてですけど、これに関していくつか補足しておきたい話がありました。
まず、「緯度が高いほど気圧は高いってよく聞きますもんね」とかほざいてたわけですが、記事アップ後、改めて考えていたら、
「ん~ちょっと待てよ、ほなら南極とかが一番高気圧じゃないとおかしくないか?
まさか単に北極南極にはデータがないだけとか…?でも南極基地とかで色々観測してんじゃなかったっけ…?」
…とか思えたんですけど、流石はインターネッツ先生、検索したら秒で解決しました。
まぁネット先生というより知恵袋先生なわけですが、そのものズバリのQ&Aがいくつも見つかりました。
まずは、逆に「高緯度の方が気圧が小さい」という勘違い(ある意味勘違いではないともいえるものの)から質問されていたこちらの記事の回答にあるように…↓
…もちろん一般的に……というか日本の視点から見た場合、「緯度が高いほど高気圧」は一応間違いではないものの、実は、地球規模のマクロな視点で考えると、赤道からある程度緯度が高くなると高気圧帯になるものの、さらに緯度を上げて極にまで近づくと、逆に「高緯度低圧帯」になるということが一般的に知られており、その仕組みはズバリ、赤道付近は太陽の光が一番よく当たるので暖かく、その熱を由来とする空気の移動、いわゆる「大気の大循環」がもたらすものだったんですね。
ベストアンサーの方でリンク(↓)が貼られていましたが、なんと、この辺の話は高校の地理で学ぶことだったんですね…!
リンクカードで小さくしか表示されていませんが、非常~に分かりやすく特徴的な、地球規模の大気の循環の様子が図で示されており、こ~れは面白いですね!
僕は日本史選択で、理系は社会1科目しか取りませんから地理は高校に入って1秒も学んだことがなく、本当に完全初見の話だったんですけど、いやぁ何だかんだやっぱり高校で学ぶ内容ってのは生活に密着しているものもなくはない、結構興味深い話が色々あるもんだといえましょう。
そんなわけで大気循環により、原則として気温はかなり低くても南極の気圧はむしろ低くなるようですが、関連知恵袋記事(↓)には具体的な数値とともにその他の考察も目に付きましたけど…
リンクカード上のテキストにも表示されている通り、南極は年平均980 hPaという、台風で聞くようなかなりの低気圧しかないんですねぇ~。
質問者さんは遠心力が働きにくいはずなのにどうして…と語られていますが、やはりベストアンサーでは普通に大気循環について述べられていました(リンクも貼られていたWikipedia先生↓の記述は、やはりかなり網羅的で詳しいですね)。
そんなわけで、一瞬「高緯度の極地=南極とかの気圧は高いのか…?」と思いきや全くそうではなかったという話だったわけですが、しかし、前回の深海の話なんかを書いていた際、別の点から「そういえば…?」と思えた点があったのです。
それがズバリ、こないだのシベリアもモンゴルのなんとか村(もう名前忘れちゃいましたが(笑))の1085 hPaも、実は「海抜0メートル補正」という但し書きがついているんですよね。
これもこないだ触れていた通り、高地では基本的に常に気圧が低くなってしまうので、そういった地理的要因で他の場所との比較・気圧差が分かり辛くならないよう(現実地点の実測気圧を表示する形にすると、ほとんど等高線のような形になってしまい、気圧配置図の意味をほぼなさなくなってしまうからですね)、どの気圧も、基本的に「現実の場所ではなく、このままの大気の状態で標高0メートル地点まで下りたら」という仮定の、あえて数字を調節された値が表示されているという話でした。
すっかりそこから意識が抜けていましたが、それを考えると、こないだ「シベリアが高気圧!」「史上最高気圧は、モンゴルの極寒村!」とか書いてはみたものの、シベリアなんて「シベリア高原」とかよく聞きますし実際大部分がかなりの高地のようで、「大気の状態」としては確かに高気圧を生み出すものかもしれないものの、標高が高ければ、実測値は普通にヘボくなることが予想されるんですよね…!
そんなわけで、もしかして…と思って再調査をしてみることにしました……その結果!!
まず、世界で一番標高が低いのは、これは僕も雑学豆知識として知ってましたけど、どこかと申しますとズバリ、中東イスラエルにある(どこの国にある湖だったかは地理苦手勢なので覚えていなかったものの(笑)、イスラエルなんですね)、死海!
標高が低いのみならず、塩分濃度が尋常じゃなく高いことでもおなじみのこの死海ですが、大地の窪みに存在するこちらさんは、海抜マイナス400メートルという、あべのハルカスどころか東京タワーすらすっぽり埋まってまだまだ全然届かないぐらいの低みに位置するという、「ひっく!」の極みの地底土地なんですね。
大体10メートルで1 hPaぐらいの気圧差が生まれるということでしたから、単純計算で、マイナス400メートルなら、死海の海面すぐ横の砂浜とかは、標準大気圧より実に40 hPaは高くなるはず……
実際、上空になればなるほど空気の密度は小さくなるのと逆で、空気も積もれば積もるほど底の方は密度が大きくなるはずですから、実際はそれよりもっと高いはず……
と、実際の平均気圧を調べなくとも、実は「人間の活動限界、低圧の方はどうなんやろ」と思って調べていたら出てきた、それを意味する「アームストロング限界」というウィ記事(↓)に、ズバリの値が載っていました!
この記事によると、死海海面の実測気圧は、なんと1067 hPa!
世界一高気圧とされるシベリアの海面補正気圧は平均1050 hPa程度とのことでしたから、なんと、海面補正済みの値(=本当の実測値よりかなりゲタ履き)よりも、実測値の時点で死海の方が高気圧地域だったぁー!!
何がシベリア高気圧だ、まさかの、死海の圧勝ッ!!
(一応、モンゴルの村の観測史上最高気圧は1085 hPaで、死海の実測最高気圧記録は1081.8 hPaとのことなので(この値は何気にこないだ見ていたウィキP英語版気圧記事に掲載されていました(笑))、数字的にはモンゴルに負けていますが、こっちは実測値で、モンゴルは海抜0補正を受けてのいわば紛いもんですからね、完全に死海の勝ちといって問題ないでしょう…!)
…と、そんなわけで、前々回は「世界一気圧が高い国は、ロシアと思いきやモンゴルでした~」とか抜かしてましたが、普通に語弊があった&あっさり前言撤回で(ウソを書いてしまい、誠にごめんなさい(笑))、本当の高気圧の楽園は、モンゴルと思いきや実はイスラエル・死海の周りということに決定しました!
(いや「決定」っていうか元々そうで、自分が気付いてなかっただけですけどね(笑))
イスラエルは真冬の最低気温も一桁になることがなく、夏も日本と同程度の気温で、かつかなり乾燥している(だから、水が干上がって、死海の塩分濃度は凄まじくなってるんですね)ため日本より遥かに過ごしやすい夏のようですし、気圧に敏感な方にとって一番過ごしやすいこの世の楽園は、まさかのイスラエルだった?!
パレスチナ万歳!!(地理苦手勢の、意味不明な雄叫び(笑))
そんなわけで、前々回の情報はなかったことにしてくださいレベルのちゃぶ台返しで恐縮ですが、実測値で地球上最も高い気圧を誇るのは地の底・死海だったということで、やはり気圧には圧倒的に標高が重要、って感じだといえそうですね。
ちなみに死海は名前こそ禍々しいですけど、超高塩濃度=水の密度が大きいということで、人間の体ですら水に沈むことがないことでも有名ですね。
死海に浮かんで新聞を読むおっさん……う~ん、これは楽しそう!!
(絶対ぇ写真撮るためだけにやってるだろ、って気はするものの(笑))
高い気圧を求めて…のみならず、こういう珍しい経験ができるのもめちゃんこ面白そうですし、いつか死海訪問もしてみたいものです。
では次回はまた圧力の話を進めて、今度こそ水圧の話にでも入っていこうかなと思っています。