こんなに重かった空気……

サイフォンの原理に関する、あらきけいすけさんによるdefinitiveなご説明を紐解いていく話、前回ベルヌーイの定理に基づいてなされていた考察部分にだけ中途半端に触れていましたが、記事タイトルにしていた「完全に理解した」はネタ以外の何物でもなく、むしろ「完全に途中状態」でしかなかったんですけれども(笑)、今回はちょっと元記事を読み進める時間が全くなかったため、別の圧力の話を進めさせていただこうかと思います。

 

(ちなみに、前回の記事アップ後にちょっと考えただけで、ベルヌーイの定理の解釈がちょっと(というか大分)おかしい部分があることに自分で気が付いたんですけど…

(例の図で考えていたのは「静圧」のみであること、また、「水圧を考える必要は…?」とか書いていましたが、そもそもベルヌーイの式の「ρgz」の項が流体の圧力そのものを考えている部分であった…など)

…それを修正する時間も中々なかったため、その点含め、またいずれ追記補足記事をまとめていこうと思っています。)

 

やはり大学教養レベルの、ベルヌーイとかが絡む流体力学は我々非専門家にはやや難解であるため、複雑な数式の絡まない、基本的な話に触れていくといたしましょう。


まず、「気圧ってよく聞くし、そりゃ名前からしても『大気の圧力』なんだろうってことは分かるけど、具体的にこれは何なのさ?」っていうポイントからですね。

 

まぁこれは、恒例のWikipedia先生(↓)他、中学理科やどんな解説サイトでも書かれている話になりますけど……

 

ja.wikipedia.org

…結局の所、気圧(大気圧)ってのは、「その場にかかる空気の重さから生まれる力」っていえるものなわけですね。


これ、初めてその手の説明を聞いた際は、

「いや空気なんて重さがないじゃん」

…とどうしても思えてしまうわけですけど、これは、気体が固体や液体に比べて圧倒的に軽いから重さを感じないだけで、気体だって分子が飛び回ることで形成されてできている現実的に存在している物質ですから、めちゃくちゃ小さいながらも、普通に重さは存在しているといえまして……


やはり、例によって「気体は目に見えない」というのが、「目に見えないから、そもそも存在しているという実感を覚えにくい」ことから「重さうんぬん」も中々想像しにくい点だといえるわけですけれども、実は結構空気も重いんですね。

(まぁ気体なんで軽いんですけど(笑)、地球上には莫大な量の空気があるので、塵も積もれば…で、かなりの重さだということです。)

 

(ちなみに、「いや空気の重さなんて、どうやって測るのさ?」と思われるかもしれませんが、これは工夫をすれば全然簡単に測れるもので、例えば子供向け科学記事(↓)で、写真入りで分かりやすくまとめられていたこんな感じ(=スプレー缶の空気を抜いて、前後の重さを計測)で計測可能といえますね。

futabagumi.com

…もちろん、「空気中を漂ってる空気分子の重さを測る」のは中々難しいですが、これも、例えば完全に密閉した部屋を用意して、十分な大きさの吸引ポンプを接続して完全に全ての空気を抜いてやり(=部屋が真空状態になる。まぁポンプをつなげられる密室って何だよ、って話かもですけど、完全気密性の窓でもあって、「窓を開ける→入口にポンプをつなぐ→吸う→窓を閉める→ポンプを外す」とかでもすればいけますね)、その前後の部屋の重さを測る…とかで十分可能といえましょう。)

 

話を戻して、大気圧=地球上に存在する空気がどのぐらいの重さかといいますと、こないだダイヤの記事で似たような話を書いていましたが、標準大気圧である1気圧=1013.25 hPaは、1 cm2に大体1 kgの重さが乗っている力が加わっているといえるため……


まぁ数字だとやっぱりイメージが湧き辛いので、より具体的に考えてみますと、検索して出てきた以下の記事の数値をお借りして…

cir.nii.ac.jp

…成人男女の手の平の大きさはそれぞれ平均140 cm2と120 cm2だそうで、まぁ男女平均の130 cm2としますと、なんと、手の平に130 kgのおもりを乗せているのと同じぐらいの力を、我々は地球上にある空気=大気圧から受けていることになるんですね!

 

そう聞くと、「いや待て待て、手の平を上に向けても、130 kgの重さなんて全く感じないんやが?」と思えるポイントではないかと思いますけれども、これは言うまでもなく、手の平の上だけではなく、手の平の下からも同じだけの大気圧を受けている(=下から「上向きの圧力」も、同じように受けていて、要は両者は打ち消しあっているということ。もちろん、横からだろうとどの角度からだろうと、同じように圧力がかかっている感じですね)ので、現実的に、手の平を上に向けようが何しようが、我々はその「130 kgの重さの空気」を実感することはできないわけですね。

(=改めて、上から下のみに力がかかっているわけではないため。

…まぁ、その辺の話も、「重さがかかる」って言ってるのに、「下から上に重さがかかる」ってどういうことさ?…と思えるかもしれないんですけれども、この辺はちょっと物理学的な考え方が必要で、「気圧や水圧はあらゆる面に垂直にかかってくる」という考え方を抑える必要はあるかもしれません…)

 

つまり、生まれてこの方、我々はずーっとその「手の平一枚あたり、130 kgの重さの空気」に全身を押され続けて生きているといえるわけで、最早まったく意識することもないものの、実は地球上の生物は皆、かなりのおもりを背負いながら(当然、改めて、地面に向かって押し付けられているわけではなく、全身があらゆる方向から「むぎゅっ」と押しつぶされているわけですね)日々暮らしているのである、といえましょう。

 

「そんな手の平に130 kgの重しとか、じゃあ何で人間はつぶれないの?」と思える話になってる気もするものの、それは生命の恒常性とでもいいますか、我々人間(というか地球上の生物)は、その気圧に日々さらされる状態で生命活動を最も良く維持できるように進化してきた…という感じで、「それありきの肉体・骨格・生体であるから」ってのが結論といえそうですね。


実際、よく聞く話として、深海に棲む深海魚は、当然気圧の他にかなりの大きさの水圧も受けて暮らしてるわけですけど、それはその魚が「その水圧で生命活動を維持できる生き物」として進化というか生活しているだけに他ならず、むしろそいつらを水圧の低い海面近くにまで一気にもっていくと、逆に彼らにとっては圧力が低すぎて、目玉が飛び出てしまったり、エラだか浮き袋だかが破裂してしまったり…というのは、実際に映像を見たことがある方もいらっしゃるのではないかと思います(まぁそんなグロ画像、あんまり公開されてない気もしますし、僕も実際にその画を見たことはないですけど(笑))。

 

とはいえ気圧というのは天気予報を見たら分かる通り、場所によっても異なるものなわけですけど…

これはもちろん、気体というのは移動がかなり自由なので、大気の移動によって、空気分子の密度は容易に変わるからそうなっているものといえますが……


むしろ気圧というのは、標高によって大きく変わるというのは、これも常識の話でどなたもご存知のことだといえましょう。


それは当然、気圧というのは「そこより上空にある空気の重さ」がかかってくるものだという話でしたから、「より高い場所には、そこより上で地球が持つ大気が少なくなるから」とのいうのがその理由になる形ですね。


(=ある程度以上高い所は宇宙空間になりますから、地球の空気は大気圏のみに限られるものだ、ってことですね。

 空気があるのは上空約500 km程度までで、しかも上空ほど空気分子の密度は薄くなりますから、空間の体積のみならず、空気の密度もどんどん減っていく(最終的に「宇宙圏」に入ると空気はゼロ)感じだといえましょう。)

 

なお、「標高によって気圧が変わるなら、天気予報の気圧は高地ほど常に低気圧になるわけ?」とも思えるものの、これは、ちょうどQuoraの方にドンピシャの質問&回答があったように(↓)…

 

qr.ae

…あれはちゃんと、海抜0 mの気圧に補正して発表されているものなんですね。


なので、長野や山梨といった標高の高い地域にお住まいの方は、実際の天気図上で表示された気圧より若干低い気圧にさらされていることになりますけど、まぁ同じ標高なら常に一定の気圧差ですから、それは特に意識する話でもないと思います。

 

なお関連して、いわゆる天気痛、低気圧性頭痛なんてのを感じられる方は世の中多く、「低気圧爆弾、怖い…!」と感じられている方も大勢いらっしゃるように見受けられますが、あれは基本的に、「気圧が低いこと」ではなく、「気圧が大きく変化する際に、自律神経系が狂ってしまう」のが原因であるといわれているので、低気圧でも、ずっと同じ気圧であればそこまで問題ないことが多いとのことですね(参考:↓の記事など)。


(もちろん、気圧の変化としては、基本的に「低下」の方が体調不良を引き起こしやすいのはそのようですが…

 圧力が低くなって締め付けが緩くなる方が、色々不調の引き金になるってことなんですね。)

 

zutool.jp

まぁ僕はこの気圧変化に幸いものすごく鈍感で、「雨が…来る……!」とか「今日は気圧低くて気分も激Low…」とかは全く分からないんですけど(印象としては、女性のほうがこれに敏感な方が多いように思えます)、しかし、一度アメリカ国内便の小さい飛行機に搭乗した際、飛行機が一気に高度を上げる際には当然気圧が大きく低下するわけですが、まさに「ぐわぁー、頭が痛い、目玉が破裂しそうだ、これ大丈夫なのか…?」と座席の上で一人頭を抱えて苦しんだことがあったんですけど(無事脳も目玉も破裂せず旅を終えられましたが(笑)、やはり小型機は大型機よりも気圧調整が甘いのか、あれはかなりキましたね)、そう考えると、気圧が大きく下がるたびにこれと同じ(多少はソフトなバージョンの)痛みを感じられている気圧性頭痛持ちの方は大変だなぁ…などと思ったことを思い出しました。

 

…と、もうちょい「気圧とはなんぞや?」って点について、実際僕自身が昔疑問に思ってたことを含めて分かりやすく説明しようと思ってたんですけど、今回もまた時間不足で、当初書こうと思ってた豆知識っぽいネタに全く到達することのないまま、またしても中途半端の極みで恐縮ですが、今回はここまでとして、続きは次回とさせていただこうと思います。

 

アイキャッチ画像も、大していいものが浮かばなかったので、「圧力」で検索したらヒットしてきた気圧計のいらすとをお借りしてごまかさせていただきましょう。

 

では、次回、気圧や恐らく水圧について、もうちょいその「何たるか」を分かりやすく描けるような説明をしていこうと思っています。

にほんブログ村 恋愛ブログ 婚活・結婚活動(本人)へ
にほんブログ村