前回の記事では、コンセントに電化製品を挿して電気が流れるとは一体どういうことなのかについて見ていましたが、ちょっと時間がなさすぎたこともあって、かなりざっくりした、説明にもなっていない話をするに留まっていました。
仕切り直しの意味も込めて、改めて同じご質問コメントから触れて参りましょう。
『電源から流れてきた電子』という文面を見てふと思ったんですけど、まぁ、今更?という感じかもしれませんが、この電源から流れてくるというのは、例えばドライヤーを使う時にコンセントを挿して電源をオンにすれば風が出てくるという当たり前の事実に於いて、そのコンセントを挿したところからコード(電線?)を伝って流れてきているであろうものが電子ということで、その電子とは、陽子と電子の電子と同じものということなんですかね?
例えば、電子ピアノや、電子レンジなんかの電子も、陽子と電子の電子と同じものということ?
電子ピアノは電子で、電気自動車は電子じゃない…?その違いもよくわかってませんが、、どんな仕組みで電子が流れてきて、それによってどんな仕組みで風が出たり電気がついたりするのか?とか、そんなこと言い出したら、また迷走しちゃいますね笑
⇒「ドライヤーをコンセントに挿して、電源を入れたら温風が吹く」のは、突き詰めて言えば電子の移動が行っているもので(まぁ厳密には違う場面もあれど、今は細かい点は気にしないとして)、その電子はあの電子でOKです(って何のこっちゃですが(笑)、原子が持ってる「陽子・中性子・電子」のアレってことですね)…という話をしていました。
色々とネタは広がりそうですが、まず簡単な点からいくと、「電気は回路になって初めて流れる」ってポイントがありますかね。
その辺は前回もちょろっとだけ書いていましたけど、電源から一方向だけに導線がのびているだけの状態では、電気は決して流れません。
…ってこれも、一応、電圧をかけてやれば一瞬だけ電子の流れは発生するとは思いますが、流れた電子の行き場がないため、電気が流れ続けることは決してなく、すぐに落ち着いた状態に戻るといえるわけで…
(例えば電池の一方の極だけにケーブルをつなげた場合、そのつなげた瞬間の一瞬だけ、導線を構成する金属の、特に電極付近の電子が移動するとは思いますが、行き場がない結果すぐにまた落ち着き、電子が移動し続けることはない……というのは、ケーブルを一本だけつなげたまま放置しても、電池が減ることは決してないことからも明らかといえましょう)
…これまたそんな感じで厳密にいえば色々ツッコミ所はあるわけですけれども、この記事は電気技師養成講座でもないですし、僕も電気の専門家でも何でもなくあんまり突っ込んだ話はできないので、ざっくり物事の仕組みに触れていく…程度のノリでいかせていただきましょう。
で、電気というのは、回路になって初めて流れる=導線は、電源を間に挟んで、必ず輪っかになってつながっている、といえるわけですが、そうすると、
「え?でも、ドライヤーを電源(コンセント)につないでスイッチONにしたら、電気が流れるじゃん。
これって、コンセントからドライヤーまで、一方向にしかコードはのびてなくって、輪っかになんてなってなくない?」
…と思われるかもしれないんですけれども、これはズバリ、
「スイッチをONにすることで、ドライヤーの内部の回路がつながって、電子がドライヤーの中の電子回路をグルグル回り続けることができるようになるから、電気が流れるのです」
…と、要するに、ドライヤーの中に、電子が流れる輪っかが存在している、といえるんですね!
ちなみにご質問の最後に「どんな仕組みで電子が流れてきて、それによってどんな仕組みで風が出たり電気がついたりするのか?」とありましたが、これはまぁこんな感じだといえましょう。
・発電所で作られた電気エネルギー(これ自体も、電子の動きによって得られるもの)が、街中の電線を伝わって家庭にまで届いている。
→コンセントに、ドライヤーをつなぐ。この時点では、スイッチがOFFなので、回路が完成していないため、電気が流れることはない。
→スイッチをONにすることで、電子がグルグル移動する輪っかが(ドライヤーの内部に)完成!発電所から電気エネルギーは無尽蔵に流れてくるので、ONにし続ける限り、延々と電子が流れ続ける。
→電子が移動して生まれる電気エネルギーは、抵抗の大きいコイルを通ることで熱エネルギーに変換されたり、プロペラのついたモーターを動かすことでプロペラの回転運動になって風が発生したり…と、目的通りの仕事に使われる。
→温かい風がブローっと吹いて、髪が乾く、やったね!
…っていう仕組みなわけですね。
なお、これは前回も書いていた通り、交流電源から流れてくる電気の向きはめまぐるしく変化しているため、「電子が移動して」というのも若干語弊があるのかもしれないわけですが、細かいことは気にしないという約束でした(笑)。
ただ、ドライヤーの場合は、交流の電気を使いやすい「コイル(の動きをもとにした、モーター)」なんかが使われることからも、ほとんどの製品で交流のまま動く形になってますけど、電子機器によってはそういう「電流の向きがめまぐるしく変わる」タイプの電気だと上手く作動しないものも存在します。
その場合、交流を直流に変えてやる必要があるわけですが、そのために存在するのが、どなたもご存知、今の時代でも未だに結構な大きさの黒い塊であることの多い、ACアダプターなんですね!
「アダプター」という英単語記事に触れた際にチラッと見た気もしますが…
「adapt」は「適応させる・作り替える」という意味の単語で、ACアダプターは、「AC(Alternating current;交流)をDC(Direct current;直流)に変換させるもの」って意味だったんですね。
なので、ACアダプターをかまして作動するもの…例えば多くのゲーム機やパソコンやスマホの充電(アダプターをかますタイプの充電は、もう若干古いタイプかもしれないものの…)なんかは、直流の電気を使っているということで、こいつらの内部回路では単純に一方向に電子が流れることで電気の力が生み出されている感じだといえましょう。
(まぁ、交流だろうと直流だろうと、どっちも電気の力を仕事に変えているのには変わりないので、その違いはユーザーにとってはどうでもいいともいえますが…)
直流交流の違いはともかく、「回路にならないと電気が流れない」というのは、電気がどのように流れているのかを知る上で重要なポイントですね。
例えば、小学生のいたずらキッズがよくやるヤベェ遊びとして、コンセントの穴にシャープペンの芯を入れて…というやつがありますけど、あれも、シャー芯一本だけを挿すのであれば、電気は決して流れないんですよね。
(むしろ2本指しても、それがつながらない限り、電気は流れない)
まぁそんないたずらをするクソガキなんて全てがメチャクチャですし(笑)、一本だけ挿したつもりが色んなところに触れた状態で、意図しない回路が完成してビリッ!と来ることはあるかもしれませんが(芯→指→コンセントの壁とかで、ある意味小規模な回路が完成してしまうとか)、例えば電気を通さないものの代表、ゴム=都合よく学校には消しゴムもいくらでもあるので、消しゴムに芯をブッ挿して、消しゴムを持って慎重にコンセントの穴に入れるとかすれば、それだけでは電気が流れることは決してありません。
それは結局、まだ電源が入っていない装置のプラグ(あの、日常生活ではそっちを「コンセント」と呼んでしまいがちな(笑)、先ほどリンクを貼った記事のアイキャッチ画像にある、2本の金属が突き出た、コードの先端ですね)をコンセントに挿したのと同義ですから、そりゃ電気が流れるわけはないのもある意味納得といえましょう。
(要は延長コードを挿したのと同じ、ってことですね)
ただ、その2本のシャー芯を、もう1本別のシャー芯を乗せるなりしてつないでしまうと、そこで回路が完成…!
抵抗も極めて小さく、オームの法則(電圧=電流×抵抗)を思い出すと、抵抗が小さいものには同じ電圧でも凄まじく大きい電流が流れますから、家庭用のブレーカー(一般的には20 A(アンペア)の電流で落ちますね)や学校のブレーカー(業務用だし、家庭用より大きいのかな、と思ったものの、調べてみたら大抵の学校は15 Aとかみたいですね!)は一瞬で落ちてしまう可能性がありますし…
…それ以上にもちろん、高電流が流れた瞬間シャー芯は高すぎる電気エネルギーに耐え切れず爆発してしまうことすらありますから、あまりにも危険極まりない行為ってことで、死のお説教が待っているのが確定的に明らかだといえる感じですね(笑)。
まぁ小学生男子で誰しもがやりがちないたずらとかいわれますけど、僕は高貴な少年でしたから、何気にやったことないし、友達がいたずらしてる場面を見たこともないんですよねぇ~
しかし、流石は令和時代、ちゃんと、いたずら心を忘れないしょうもない大人の手で、シャー芯コンセント実験を行った様子が、Youtubeにアップされていましたよ!
(まぁ、動画自体は平成のものですけど(笑))
早速紹介させていただきましょう。
この方は(こんな実験をしてるくせに(笑))多少の知恵があったのか、まさに消しゴムを使って芯を持たれていましたね(笑)。
まぁ、どの程度の電流が流れるかは、各芯の設置条件にもよりますし、この動画では、ホンの小さな爆発ともいえない「ポンッ」が起きた程度で何よりでしたが、場合によってはブレーカーが完全に落ちるとか、火災にまで発展する大爆発が起こる可能性もありますし、紹介しておいてなんですが、こんなことは絶対にやらないようにしましょう(笑)。
(動画で満足して、自分でやらずに済むという啓蒙…ってことにしておきたいところです(笑))
あとは似たような話として、キッズ科学Q&Aコーナーの鉄板ネタとして、「電柱に止まる鳥はなぜ感電しないの?」ってのがありますね。
まさにこれも、「回路にならないと電気が流れない」というのがポイントといえましょう。
色々な質問コーナーで触れられていますが、トップに出てきた学研の記事を参考リンクとしてお借りしておきます(↓)。
リンクカードにもある通り、その質問の答は「1本の電線にしかさわっていないから」になるわけですけど、これはズバリ、「それだと回路ができないから」と考えればOKといえるわけですね。
その話の裏づけとして、「鳥でも、2本の電線を同時に触ってしまうと、感電します」ということがどの解説記事でもなされていますが、これは要するに、2本の電線に触れた時点で、一方の触れている先(例えば脚)から、体内の電気を通しやすい筋肉なりを通って、他方の触れている先(例えば羽)へと、電気が流れ続ける道が完成しちゃうんですね!
まぁ実際は、電位差が存在しないと電流は流れないので(1本の電線に立って電気が流れないのも、厳密にはこれが理由)、「完全に同じ電圧・位相の電気が流れている2点」に触れれば実は2本の電線を同時に触っても無事なんですけど、現実的にそれは不可能ですから、電線をまたいでしまうと、焼き鳥コースが待っていることになるわけです……
という感じで、鳥さんにおかれましてはどうか不慮の事故で感電してしまわないようにお気をつけください…という、誰に向けて語っとるんじゃ、って話でおしまいとさせていただきましょう(笑)。
いやぁ~、結局また時間がなく、適当な脱線ネタをだらだら語ってスペースを埋めただけなのが丸分かりな感じだったかもしれません(笑)。
なかなか時間が取れない状況が続くのですが、まぁ少しずつご質問の内容を消化できてはいますし、のんびり進めさせていただこうと思います。
アイキャッチ画像は、ちょうど良い感電注意のいらすとをお借りさせていただきました。