何気に前回はご質問に1文字も触れず、何の関係もない電源スイッチどうちゃらの話に脱線してしまっていましたが、途中状態だったご質問の方に早速戻って参りましょう。
既に何回も引用貼付させていただいていますが、こちらの段落(↓)からですね。
改めまして、こちらはアンさんよりいただいていたコメントになります。
大変に話が広がる面白いポイントばかりのご質問、改めて心よりお礼申し上げたい限りにございます!
『電源から流れてきた電子』という文面を見てふと思ったんですけど、まぁ、今更?という感じかもしれませんが、この電源から流れてくるというのは、例えばドライヤーを使う時にコンセントを挿して電源をオンにすれば風が出てくるという当たり前の事実に於いて、そのコンセントを挿したところからコード(電線?)を伝って流れてきているであろうものが電子ということで、その電子とは、陽子と電子の電子と同じものということなんですかね?
例えば、電子ピアノや、電子レンジなんかの電子も、陽子と電子の電子と同じものということ?
電子ピアノは電子で、電気自動車は電子じゃない…?その違いもよくわかってませんが、、どんな仕組みで電子が流れてきて、それによってどんな仕組みで風が出たり電気がついたりするのか?とか、そんなこと言い出したら、また迷走しちゃいますね笑
⇒色々話が逸れましたが(その割にあんまり分かりやすい説明になっていなかった気もするものの)、途中でお尋ねいただいていた「電子ピアノや、電子レンジなんかの電子も、陽子と電子の電子と同じものということ?」の方に、今回は着目して参りましょう。
これはズバリ、「そうっちゃそうとも言える気もするけど、まぁやっぱりちょっと違う気もする…」みたいな、全然ズバってない、フワッとした話になってしまうかもしれません(笑)。
まず実は、電子レンジについては、既にこのご質問をいただいた後の記事(↓)で、ちょろっと触れていたんですよね。
この記事でも「高校の物理の先生の鉄板ネタで…」と書いていた通り、電子レンジってのは実は「電波レンジ」という方が圧倒的に正しく、食品に電磁波を照射してものを温めるものですから、これはほぼ電子とは関係がないといえるものかもしれません。
…とはいえ、その電波を放出するために、電気の力、すなわち電子の力を使ってるといえるっちゃいえるので、必ずしも電子が一切関わっていない嘘ネーミングってわけでもないんですけどね。
(さらにいえば、その「マイクロウェーブを照射して水分子が振動して加熱する仕組み」も…
…こちら、TDKが分子レベルの解説記事(↓)で説明してくれている通り…
結局、電子にローレンツ力を作用させて生まれる動きがその大元の原理といえますから、その意味でも「電子レンジ」という名前には、一応語弊はないともいえるのかもしれませんね…!)
(それでもやっぱり、主役は電波ですから、「電波レンジ」の方が実態を表す上ではより良い気がするんですけどね、「でんぱ」のパ行がなんとも情けない響きなのが、テメェの負けた要因ってわけだ、分かってんのかこの電波野郎…!(なんでいきなりケンカ腰なんだよ(笑)))
一方、アンさんからの疑問の例として、他に「電子ピアノ」が挙げられていましたが……
これは、ぶっちゃけ僕は実物に携わったことがあるわけではないものの、まぁ想像するに、「鍵盤と、ハンマーとが、物理的な接触をすることで美しい音色が出る」あのリアルのピアノではなく、コンピュータで制御されている、単に「このキーを叩くと、実物のピアノのこのキーの音が出てくる」という設計のされた、いわば「擬似ピアノ」「ピアノ型コンピューター」みたいなやつなのではないかな、と思います。
で、この場合は当然ですが、単にコンピュータ制御していることを「電子」と言っているだけで、例の、原子を構成する微粒子御三家、「陽子・中性子・電子」の電子とは、直接関係はない言葉といえそうですね。
(ただこれも改めて、コンピュータは中国語・漢字だと「電子計算機」と書きますし、そういえばこれは何でそういうんだろう?…と思ってちょっと考えてみましたが、これは恐らく、「電子工学によって大きく発達した計算機」だからではないかという気がします。
↑のウィ記事にある通り、半導体素子といった集積回路は、「概ね電子の真空中や固体物質中の挙動から生じる現象を工学的に利用するもの」だから、こういった部品をフル活用したコンピューターは、電子計算機と呼ぶに相応しいものであって、それを踏まえると、まぁコンピュータ制御されている電子ピアノが、「電子」の力を全く使ってないかというと、これも一応そういうわけではない(=電子の力で制御されている)といえそうですから、一応全くおかしなネーミングではないといえる感じでしょうか…)
とはいえ、そんなこといったら、人間の筋肉が動くのも電気的な反応=電子が絡んでいるといえちゃいますから、「じゃあ俺らは『電子駆動肉塊』とでも言うのか!尊厳はねぇのか!!」みたいな話になるかもしれませんし(ならないと思いますけど(笑))、やっぱりここでいう「電子」は、もうあの微粒子である「電子」とはほぼ関係ないものと考える方が自然に思えますね。
と、しかし、念のため調べてみたら、非常に面白いことに、「電子ピアノ」の他に、世の中には「電気ピアノ」と呼ばれるものもあるそうで、まさにそれについて語ってくれている記事が、ラジコのニュースアーカイブ(↓)に見つかりました。
なるほどぉ~、電気ピアノというのは、ちょうどアコースティックギターとエレキギターの違いのように、生音を電気の力で増幅させているものだということで、上記記事でお話いただいている臼井さんのように、エレピ演奏者は、
「我々は生のピアノを弾いているんだ!ピアノっぽい音をコンピューターから出すだけの電子ピアノとは、一緒くたにしないでいただきたい!」
…という誇りを感じられているのももっともな、こちらは「電子ピアノ」とは違って、仕組みとして間違いなくリアルピアノと同じ構造のものだ、って話といえるんですね!
大変面白いです。
一方、「電気自動車は、電子じゃなくて電気…?」というご質問もいただいていたわけですけど、これはまぁ、やっぱり「電子」だと、「コンピュータ制御されている」や、そこから発展した「インターネット上に存在するデータ」みたいな意味合い(電子書籍とかですね)が強い気がするので、「電子自動車」としてしまうと、
「うん?マイコンとかで制御されてるような、ちっこいミニカーなのかな?」
…みたいに思えてしまうとでもいいますか、自動車レベルの立派なマシンだと、電子というよりもっとパワフルに「電気」とした方がいいのでは適切なのではないか、という人情が働いてついた名称なのかもしれませんね…!
(もちろん、電気の力は電子の動きによるものなので、意味としてはどちらでもいいと思います。あくまで「感覚」ってやつにすぎない話だと思います。
…なお、念のため検索してみたら、流石に「電子自動車」は、検索エンジンが勝手に「電気自動車」に変えて検索するぐらい、全く存在しない名称でした。)
他に「電子」で始まる言葉って何かあったっけ、と思って調べてみましたが、goo国語辞書では、そういう「『○○』で始まる言葉」が一覧で見られるんですねぇ~。
大変便利ですが、1ページ10項目が合計なんと21ページもあったので、正直めんどくなったため深追いはやめておこうと思います(笑)。
…とか言いつつ何かネタがあれば…と思って結局全ページ流し見しちゃいましたが(笑)、まぁ「微粒子の意味の、本来の電子」「コンピュータ制御の」「インターネット上のデータ」という意味以外での「電子」の用法は、全く見当たらなかったっすねぇ~。
特に面白い言葉もなかったですが、あぁ、1つだけ、「電子タバコ」というもの、僕はタバコは一度も吸ったことがないし恐らく一生吸うこともないので全く知らなかったのですが、初めて見たとき、
「電子タバコ?先端がUSBメモリみたいになってるものを口に咥えて、まさにUSBとかでコンピューターにブッ刺すことでそこから何か電気刺激が伝わってきて、タバコを吸ったと勘違いさせてくれる次世代デバイスか何かかな?ヒュ~、未来技術ぅ~」
…とか思ってたんですけど(笑)、これは全くそんなことはなく、火を使わずに電気の力で加熱しているだけで、これも結局何か特別な薬剤入りの液体の蒸気を吸うものだそうで…
…「いや何が電子だよ、全然電子要素なさすぎるやんけ!」と憤りを覚えたものですが(笑)、せめて「電気タバコ」ならまさに早とちりな僕でも本来のブツをイメージできた気がしますから、「電子=コンピュータ」という図式は、いつの間にか刷り込みレベルで、少なくとも僕は持ってしまっていたのかもしれません。
いずれにせよ、「電気」も「電子」の力で生まれるものですから、突き詰めると言葉の違いもいささかはっきりしないものになりますけど…
(ちなみに、英語も当然そっくりで、
「電気」はelectricity、形容詞だと「electric(エレクトリック)」「electrical(エレクトリカル)」(違いは、軽く調べても「ほぼない」という感じですね)であり、
「電子」はelectron、形容詞だと「electronic(エレクトロニック)」
…となり、特に形容詞の「エレクトリック」と「エレクトロニック」が、似すぎてて腹立つのり、って感じですね(笑))
…電子タバコしかり、ネーミングの意味についてはあんまり深く考えないのが吉といえるのかもしれませんね!
という所で、今回はこの辺にして、アイキャッチ画像には「電子ピアノ」をお借りしようと思いますが…
…もっとおもちゃみたいなものかと思ったら、案外見た目は普通のピアノに見えるものなんですねぇ~。
これは、見た目では全然区別がつきませんし、エレピ奏者の方からしたら、「一緒にしないでくれぇ~」と悲しい思いをするのももっともといえるかもしれませんね…!