ここ最近見始めておりますアルコール関連シリーズ、AUDことアルコール使用障害の話が一番網羅的だった気もするものの、前回の「お酒の『飲み過ぎ』はどのくらいの量から?」という記事や、今回のアルコールと心臓との関係という、より細かい各論的な記事の方も、せっかくなので見ていこうかなと思います(↓)。
まぁこんなの、「心臓にいいわきゃあないよね」としか思えない、「知ってた」記事になるのは目に見えているわけですけど(笑)、お酒好きの方には目障りな話かもしれませんが、やはり大事なこととは言えますし、啓蒙的な意味で今回もざっと目を通しておくといたしましょう。
アルコールが心臓に与える影響(How Alcohol Affects Your Heart)
アルコールの使用は不整脈、血圧上昇、およびその他諸々を引き起こす可能性があります
アルコールをあまりにも頻繁に、あるいは過剰に飲むことが健康上良くないことは、恐らくどなたもご存知のことでしょう。しかし、アルコールと心臓の健康に関しては、色々と異なる意見を聞いたことがあるかもしれません。飲酒は心臓に悪いのでしょうか?グラス1杯のワインは、心臓病のリスクを減らすのに役立つのか―それとも悪化させるのでしょうか?
まずは大事なことから: アルコールを飲むなら、アルコールに関連した心臓の問題を避けるために、適量を守るべきです。また、心臓病のリスクを減らそうとして、意図的にアルコールを使用するべきではありません。
心臓と、お気に入りのメルロー(※ワインの一種)やIPA(※インディア・ペールエール; ビールの一種)との関係をさらに探るため、今回は心臓専門医のレスリー・チョウMD(医師)にお話を伺いました。
アルコールが心臓の健康に与え得る影響
以下、アルコールが心臓に及ぼす影響のいくつかです:
心拍数の増加
心臓の最も重要な働きのひとつは、リズムを保つことです。平均すると、安静時の心拍数は1分間に60~100回程度です。しかし、アルコールは心拍数を一時的に跳ね上げる可能性があり、1分間に100回を超えると頻脈と呼ばれる状態になり得ます。頻脈の発症が多すぎると、心不全や不整脈といったより深刻な問題につながる可能性があり、これは心臓発作や脳卒中の原因になり得るものとなっています。
血圧を上げる
バーでのその4杯目の一杯は、リラックスさせてくれるように感じるかもしれませんが、実は、想像以上に体に影響を及ぼしているものなのです。アルコールは血圧に影響を与え、一時的な血圧上昇につながることがあります。特に、暴飲(女性および出生時に女性と割り当てられた方は、2時間以内に4杯以上、男性および出生時に男性と割り当てられた方は、2時間以内に5杯以上の飲酒と定義される行為)をすると、その傾向が顕著になります。
もちろん確かに、誰しもあちらこちらで飲み過ぎた夜を経験したことはあるものですし、そんなことを周知のことでしょう。しかし、飲み過ぎた夜はあくまで例外であって、定期的なものではないことをハッキリさせておくことが肝心です。もし確信が持てないのであれば、今後1ヶ月ほど、自分がどれだけ飲んでいるかを記録してチェックするようにしてみてください。推奨量を超えている場合は、過度のアルコールが引き起こす血圧の上昇を抑えるために、意識的に飲酒のペースを抑えるようにしましょう。
また、高血圧の既往歴がある方の場合は、アルコールは完全に避けるか、たまに飲む程度にして、程々にするのがベストです。
不整脈
七面鳥と一緒に赤ワインを一杯飲んだり、新年を祝ってシャンパンで乾杯したりと、年末年始はアルコールの存在感が増しています。お祝いのお酒を適量楽しむのは多くの人にとって良いことですが、飲み過ぎるとホリデー・ハート症候群に陥る可能性があるので、気を付けるようにするのが重要です。食べ過ぎやアルコールの飲み過ぎは不整脈を引き起こすため、特に注意が必要です。
ホリデー・ハート症候群は、普段はお酒を飲まないのに、年末年始の(ホリデー)パーティーで少し飲んだり、暴飲したりすると起こり得ます。心房細動と呼ばれる不整脈が引き起こされる可能性があり、これは脳卒中、心筋梗塞、それから心不全のリスクを高め得るものです。
長期の飲酒はアルコール性心筋症を引き起こし得る
アルコールの短期的な影響(頭痛や吐き気など、後はお分かりですね)は分かりやすいです。しかし、長期にわたってアルコールが体に与える影響には、理解しておくべき重要なものが存在しています。アルコールが心臓に及ぼす長期的な影響のひとつに、アルコール性心筋症があります。これは、長期間にわたるアルコールの大量摂取による変化で、心臓のポンプ機能が弱くなり、心臓が肥大してしまう症状です。
大丈夫、落ち着きましょう。時々お酒を飲む程度なら、心配する必要はありません。しかし、何が暴飲にあたるのか、また、知らず知らずの内に飲み過ぎている可能性がないかどうかについては、知っておく価値があることでしょう。
ある程度のアルコールは安全、あるいは有益なの?
確かに、蒸留酒よりは赤ワインの方がより良い選択肢です。しかし、ワインバーに行けば心臓の健康が高まるのでしょうか?
心臓病のリスクを下げる手段として、ワインやその他のアルコールを選ぶべきでは絶対にありません。そして、実際に、1日1杯以下の飲酒が脳卒中で死亡する可能性が最も低いことも研究で示されています。しかしチョウ医師は、より最近のデータでは、真に安全なアルコールの量というものは存在しないかもしれないと示されていることを指摘しています。「ワインが心臓の健康に良いという神話は、もはや真実ではありません」とチョウ医師が言及している通りです。
「心臓病のリスクを下げようとしてアルコールを飲み始めるのは良い考えとは言えません」とチョウ医師が続けます。「お酒は一切飲まない方がいいのです。」
アメリカ心臓協会も、同じことを推奨しています。
留意すべきその他の要因
アルコールが心臓に与える影響は、年齢やその他の健康状態によって個人差があるということを知っておくのも大切です。
年齢
40代半ばの二日酔いは、20代前半の二日酔いとは違うという現実を受け止めましょう。これは、年齢がアルコールへの耐性に影響するからです。時間が経つにつれてアルコールに耐性を持つようになる方も中にはいますが、全ての人に当てはまるわけではありません―そして、この能力は永久には続かないのです、とチョウ医師が付記しています。
「年を取るにつれて、アルコールを分解する能力は確実に低下し、アルコールに対する感受性は間違いなく高まっていきます」とチョウ医師が説明しています。「また、年を取れば取るほど罹る病気も増えていきますから、体内のアルコール代謝を妨げるような薬を服用している可能性も出てきますね。」
その他の病状
多くの面で、ご自身の病歴(および現在の病状)は、アルコールとの将来について沢山のことを教えてくれます。つまり、他の病歴がある、かつ/または特定の薬を服用している場合、どれもアルコールとの付き合い方への影響を与えてくるということです。
「特定の健康状態は、飲酒をより危険なものにします」とチョウ医師がおっしゃいます。
例えば、コレステロールを下げる薬を飲んでいる方の中には、お酒を飲むと筋肉痛になる場合があります。アルコールとコレステロールの薬はどちらも肝臓で処理されるため、ある意味、消化を争うことになるからです。ですから、全身の健康について考え、個人的な危険因子について医療従事者に相談していくことが肝心なのです。
「アルコールは糖からできています」とチョウ医師が指摘します。「ですから、糖尿病の素因があったり、中性脂肪値の高さが健康問題の一つであったりする方の場合は、お酒を飲むのは良い考えとは言えません。」
チョウ医師はまた、肝機能障害があったり、肝臓で処理される他の薬を服用したりしている場合は、異なるリスクがあるかもしれません、とも警告しています。アルコールが現在服用している処方薬とどう相互作用するかについては、かかりつけの医師に相談するようにしてください。
仕事帰りに何気なく飲んだり、夕食時にグラスワインを飲んだりすることが、心臓の健康に悪影響を及ぼしてしまうのは一番避けたいことです。たまにお酒を楽しんだり、友人や家族と祝ったりできるような、健康的でバランスの取れたアルコールとの付き合い方が存在しています。しかし、心臓も同時にケアするべき大切な臓器と言えますから、お酒を口にする前に、節度ある飲酒を心がけ、暴飲について学び、自分の身体が許容できる(およびできない)範囲を知っておくことを心がけるようにしましょう。
全く意外性の欠片もない記事でしたが(毎度、「そんなことわざわざ言わなくていいじゃん」って話で恐縮ですが、まぁチョウ医師がこれを読む可能性はゼロなのでヨシとさせてください(笑))、やはり、最近盛んに言われ始めた「一滴でも良くない」のが、少なくとも心臓の健康には原則のようで、そこは意識しておいてもいい点かもしれませんね。
前回の「飲みすぎ」記事には、この記事と対をなすかのような「アルコールと脳との関係」という記事もあったので、まぁそれもどんな内容かはほぼ見えてると言えますけど(笑)、次回はそちらを見ていこうかなと予定しています。
