引き続き、こないだ見ていた精神疾患に関する聖典・DSM-5の記事に端を発し、前々回のAUDことアルコール使用障害の記事を経て、前回は最も著名な断酒薬・ナルトレキソンについて見ていた形のアルコールシリーズ、今回は、(前回も最初に触れていましたが、実はもうずっと前の別の記事でリンクを貼られていたはずの)関連health essentials記事が2本ほどあったため、そちらを見ていこうかなと思います。
短めなのがありがたいhealth essentials記事にしては無駄に長めに思えたのですが、箇条書きが並んでいる部分も目立ったため、まぁそこまで長すぎはしないだろう、と期待したいこちら…
…記事タイトルにもした通り、「お酒の飲みすぎはどのくらいの量から?」という記事で、まぁこないだのAUD記事でも既に触れられていたため繰り返しでもあるんですけど、もうちょい事細かに語られている感じだったので、せっかくですし見ていこうと思います。
お酒好きの方にとっては「うるせぇやい」と思われるだけの話かもしれませんが(笑)、身体の健康という一点に関しては、やはり気を付けた方がいい部分かもしれませんね。
早速参りましょう。
どのくらいの量のアルコールが飲み過ぎになるの?(How Much Alcohol Is Too Much?)
線引きすべき場所があります
上手いこと抑えようと思っていても、ついつい摂り過ぎてしまう…そう、何でもそうですよね。夕食のおかわりであれ、間食のスイーツであれ、ベンティサイズ(※スターバックスでの最大サイズ)のコーヒーであれ、誰しもしばしばちょっとやり過ぎてしまうものです。そしてそれは、特にアルコールに関してはそう―しかも危険―です。
結婚式や誕生日パーティーなんかで、たまにお酒を飲みすぎる程度であれば問題ないかもしれません(翌朝の頭痛が、そうは思わせないかもしれませんが)。しかし、頻繁な飲酒は、どのくらいから問題になるのでしょうか?また、アルコールの過剰摂取には、どういった健康リスクがあるのでしょう?こうした懸念について、肝臓専門医であるジャミール・ワキム・フレミングMD(医師)にお話を伺いました。
アルコール摂取のガイドラインはどんなもの?
まずは、アルコールにまつわる食生活ガイドラインを理解するのが一番です。アメリカ農務省とアメリカ保健福祉省による「アメリカ人のための食生活ガイドライン、2020-2025年版」では、法定飲酒年齢に達している成人は、全く飲酒をしないか、男性は1日2杯以下、女性は1日1杯以下に制限することが推奨されています。
同ガイドラインによれば、いかなる状況においてもアルコールを摂取すべきではない人には、以下が含まれます:
- 法定飲酒年齢に達していない方
- 肝臓疾患のある方
- 妊娠中または妊娠している可能性のある方
- 持病のある方、またはアルコールとの良くない相互作用を持つ薬を服用している方
- 「アルコール使用障害」から回復中の方、または飲酒量をコントロールすることが困難な方
標準的なアルコールとみなされる量について、同ガイドラインは次のように定義しています:
- ビールのような、アルコール度数(ABV)5%の飲料なら、12オンス(※約355 mL)
- 高アルコールラガーのような、ABV 7%の飲料なら、8オンス(※約237 mL)
- ワインのような、ABV 12%の飲料なら5オンス(※約148 mL)
- ジン、ラム、ウイスキーといった、ABV 40%(または80プルーフ)の蒸留酒なら、1.5オンス(※約 44mL)
しかし、このガイドラインには考慮すべき含みがあります。アメリカの主要ブランドのビールのABVは5%ですが、人気のあるクラフトビールの多くはそれよりアルコール度数が高くなっているのです。普段愛飲されているIPA(※インディア・ペールエール、植民地時代のインド発症の高アルコール飲料)のアルコール度数は、7%以上あるかもしれませんから、次の夏のバーベキューでがぶ飲みする際には、注意してみるようにしましょう。
しかし、ワキム・フレミング医師が説明するように、このガイドラインを自分の習慣に適用する際には、飲料のアルコール度数だけではなく、いくつかの理由でより慎重になる必要もあるのです。
アルコール摂取にまつわる要因
ワキム・フレミング医師によると、アルコールが自分自身にどう影響を与えるかについては、人それぞれ異なるものがあるため、考慮すべきいくつかの要因が存在しているとのことです。ワキム・フレミング医師は、アルコール消費量を考慮する際の主な要因として、以下を並べています。
- 年齢。「50歳の方と70歳の方では、アルコールの処理のされ方が違うんです。」
- 性別。「女性は、男性と同じ量のアルコールを許容できません。というのも、血液に吸収される前にアルコールを代謝する特定の酵素―アルコール脱水素酵素―の量が、女性は少ないからです。」
- 体格。体格の違う2人の方が同じ量のアルコールを摂取した場合、体の小さい方のほうが体内水分量が少なく、体内のアルコール濃度が高くなりますから、アルコールの希釈に影響が出てきます。
- 家族歴。両親が飲酒する家庭で育った方は、アルコールとの関係が良くないものになる可能性が高いです。
- 併存疾患。比較的健康な方は、健康上の問題を抱えている方よりも、アルコールを処理しやすくなっています。
こういった要因は、自分でコントロールできない部分が大きいです。しかし、自分の力でコントロールできる他のことも考慮すべきです、とワキム・フレミング医師がアドバイスしています。例えば、「空腹時の飲酒は、何か食べた後よりも毒性が強くなります。アルコールの吸収を助ける食べ物がないため、より多くのアルコールが血液に流れ込んでしまうんですね」とワキム・フレミング医師が語っている通りです。
また、改めて、アルコールの度数も考慮しなければなりません。「アルコールのパーセンテージは、アルコールの種類によって異なることを覚えておいてください」とワキム・フレミング医師がおっしゃいます。「12オンスのワインは、12オンスの一般的なビールよりも遥かに多くのアルコールを含んでいるんですよ。」
何杯が飲み過ぎにあたるの?
ワキム・フレミング博士によれば、こういった要素を全て考慮した上でもなお、アルコールの飲み過ぎの一線をどこに引くか、また、何が「短期間での暴飲 (binge)」、「深酒・大量飲酒 (heavy)」、そして「過度の飲酒 (excessive)」とみなされるかを区別する方法があるそうです。
暴飲とみなされるのは?
たまにしかお酒を飲まない方でも、長期間にわたって定期的にお酒を飲み続けると、健康に悪影響を及ぼすことが複数の研究で明らかになっています。「長期にわたる飲酒による影響は、累積的なものなんです」とワキム・フレミング医師が語ります。
しかし、もっと危険なのは、暴飲です。アメリカ疾病予防センター(CDC)によると、暴飲とは、男性では数時間以内に標準的な飲料を5杯以上、女性では数時間以内に標準的な飲料を4杯以上飲むことを指す、となっています。
この類のアルコール摂取は、以下を含む深刻な身体反応を引き起こす可能性があります:
- 脱水症状と頭痛(言い換えると、二日酔い)
- 重大な怪我につながる運動能力の低下
- アルコール中毒
暴飲から来る判断力の低下は、飲酒運転、殴り合い、さらには肉体的な怪我を含む、誤った選択をする原因にもなり得るのです。
過度の飲酒とみなされるのは?
ワキム・フレミング医師によると、過度の飲酒は、基本的に暴飲と同じだということです。CDCは、未成年者の飲酒や妊娠中の女性の飲酒もこれに含めています。
過度の飲酒の大部分―CDCによれば、90%以上―は暴飲だそうです。CDCによる、暴飲に関するその他の統計は以下の通りです:
過度の飲酒は、短期的なものとして考えられがちですが、それでも体に大きなダメージを与える可能性があるものであり、特に、習慣になることでより長期的な大量飲酒につながり得ることを考えると、そう言えます。
大量飲酒とみなされるのは?
CDCでは過度の飲酒(excessive)の一部と考えられていますが、深酒・大量飲酒(heavy)は、暴飲(binge)よりも長い期間の飲酒に適用される分類となっています; 暴飲が2~3時間単位で測定されるのに対し、大量飲酒は週単位で測定されるのです。
「女性の場合、大量飲酒は週に標準的な飲料を8杯以上です」とワキム・フレミング医師がおっしゃいます。そして、そう、1週間に何度も暴飲することは、大量飲酒にあたります。
どのカテゴリーに入るにしても、良くない結果が待っています。「身体をより大きな健康リスクや毒性にさらしてしまい、禁断症状のサイクルが始まってしまうのです」とワキム・フレミング医師が付け加えています。
アルコールの飲み過ぎは、体にどういう影響を与えるの?
では、その影響について詳しく見ていきましょう。「アルコールは身体に2つの影響を与えます」と語るのはワキム・フレミング医師。「最初の段階は、飲酒直後に起こります。飲酒によって、嚥下管(食道)、胃、消化管に炎症が起こります。さらに、肝臓も炎症を起こし、これが肥大と圧痛につながっていきます。」
この段階で飲酒をやめれば、この炎症は元に戻るものです、と話すのはワキム・フレミング医師。しかし、長期にわたって過剰な飲酒を続けたり、深酒飲みになったりすると、深刻な合併症につながってしまうのです。
ガン
「飲酒と炎症が毎日続くと、肝硬変のように瘢痕化して元に戻らなくなり、これがガンになっていく可能性があります」とワキム・フレミング医師が付記している通りです。
アメリカ癌学会とアメリカ臨床腫瘍学会のどちらも、アルコールはガンのリスクを直接的に高めると勧告しています。飲酒が引き起こす可能性のある消化器系のガンの種類には以下が含まれます:
「覚えておくべき重要なことは、両学会ともアルコールをガンの修正可能な危険因子とみなしているということです。これはつまり、自分自身でできることがあるということなんです」とワキム・フレミング医師が付け加えています。「つまり、ガイドラインに従い、飲酒を避けるということですね。」
アルコールが脳に与える影響
多くの方はお気付きではないかもしれませんが、アルコールの過剰摂取による最も一般的な結果―二日酔い―は、アルコールが脳に直接影響を及ぼしているのです。摂取直後の影響として、二日酔いには、集中力の低下、反射神経の遅れ、頭痛、吐き気、および嘔吐が含まれ得ます。
しかし、時間が経つにつれて、アルコールの過剰摂取が脳に与えるダメージは遥かに大きくなっていき、その結果、不快な朝を迎えるだけでは済まなくなるのです。「アルコール性認知症や、医療従事者がニューロパチーと呼んでいる神経障害の一種を引き起こすこともあり得ます」とワキム・フレミング医師が警告している通りです。
ニューロパチーの症状には以下が含まれます:
- 手足のしびれや麻痺
- 運動制御や協調性の喪失
- 筋力低下
- 膀胱や消化の障害
- 筋肉の制御不能
慢性的なアルコール依存症は、体に必要なビタミンや栄養素が不足する、食生活の乱れとも関連しており、これは脳や中枢神経系を含む体の多くの部分の問題を悪化させる可能性があるものとなっています。
アルコールが心臓に与える影響
アルコールは筋肉に悪影響を与え得るもので、心臓は筋肉で出来ています。深酒は食生活の乱れにつながり得るもので、これはつまり、筋肉が健康的な食べ物ではなく、アルコールによる栄養が空っぽのカロリーを使うことになってしまうことを意味しているわけです。
その結果、心筋が拡張し、最終的には拡張型心筋症になり得ます。心臓が弱って血液を強く送り出せなくなり、腎臓に水分が残りやすくなってしまうのです。その結果、四肢や肺に水分が溜まりやすくなり、うっ血性心不全になることさえあり得ます。
アルコールが肝臓に与える影響
過度の飲酒および深酒は肝硬変や肝臓ガンを引き起こす可能性があります。しかし、ワキム・フレミング医師によれば、リスクはそれだけに留まりません。
肝硬変は、肝臓が正常に機能しなくなる瘢痕組織ができてしまうもので、アルコール依存症によって引き起こされることが多いものです。「瘢痕が肝臓の機能に影響を与えるため、生命を脅かす状態になることがあり得ます。アルコールが肝移植の最も一般的な理由のひとつであるのは、そのためなのです。」
一晩の飲酒が全身の健康に影響することはある?
一晩だけの過度の飲酒は、急性障害につながり、アルコール中毒を引き起こす可能性があるもので、これは、最も極端な場合、死を含む深刻な結果をもたらすものとなっています。
しかし、時々、適量を飲む程度―例えば、夕食時にグラス1杯のワインを飲んだり、球場でビールを飲んだりすること―であれば、長期的なダメージを産み出すことはありません。適量を守り、慢性的な使用を避けることが重要なのです、とワキム・フレミング医師がおっしゃっています。
そして、推奨されるガイドラインに従うことも重要ですが、自分自身と自分の限界を知ることも肝心です。「アルコールに関しては、人それぞれ反応が違うため、個別化医療というものは存在しないんです」とワキム・フレミング医師が話しています。
お酒を飲み過ぎてはいなかったとしても、1年を通して、一度あるいは何度か休憩を取ることを意識してみましょう。「身体は炎症を抑える時間を必要としていますから、休みを取ることは良いことです。アルコール摂取を1~2ヶ月休むことは、大いに健康の役に立つことでしょう」とワキム・フレミング医師が提案しています。
「自分の体を知り、個人的および家族的な既往歴を知り、自分の限界を知りましょう」とワキム・フレミング医師が語っています。「他の人に効くものが必ずしも自分に効くとは限りませんから、自分に良いものを知っていきましょう。ご自身の健康は自分で管理し、必要であれば、家族、友人、あるいはその他の支援グループからの助けを求め、常に担当医に相談するようにしてくださいね。」
かなり長かった割に、例によって当たり前のことしか並んでいなかった気もしますが、最近の傾向は「一滴でも飲んだらダメ!」だと思っていたんですけど、この記事ではかなり「適度ならいいですよ」な空気が強い感じでしたね。
まぁ、多分ワキム医師がお酒好きで、自分を正当化してるだけちゃいますのん?って気もするものの(笑)、とはいえ実際、よく「百害あって一利なし」なんて言いますけど、本当に一利もないならそんなもの摂取する人はいないわけで、「精神の安定」「気持ちよさ」みたいなのは絶対に無意味ではない非常に大きなメリットだと思えますから、お酒をお好きな方は、適量を意識して楽しむのが一番という感じですね。
意外と長かったのでこの辺にしたい所ですけど、もう一つのhealth essentials記事は、今回途中でもちょろっと取り上げられていた「お酒と心臓」に関する話でした。
似たような話の繰り返しかもしれませんが、そっちの方が短い記事なので、長い方だけ読んで短い方は放棄ってのもシャクですから(笑)、次回はそっちを見てみようかなと思います。
