「紺助くん、ハイ!」は英語で何て言えばいいんだろう?

前回の記事では「YES」という語についてちょろっと脱線的に話を広げていましたが、そこで「YES」の別の言い方について見ていた際、1つ思い出した話がありました。


それがズバリ、記事タイトルにもしました、「出欠確認の場面で『ハイ!』と応じる場合、英語では何と言うのが普通なのかな?」という点になります。


実はこれ、個人的に実際疑問に思ったままそういえば放置していたことでして、僕が大学1年のとき、英語の講義で……自分が英語の講義なんて選択するわけがないので必修だったと思いますが、割と少人数体制の講義で、クラスを半分とかに分けて行われる授業だったように記憶しています。

また、必修の講義でも、Intensiveコースみたいな「English only」のものもあり、それもどちらにするか自分で選べるんですけど、留学経験も英会話経験もゼロで、「英語だけで授業なんて、そんなの分かるわけないじゃん」と思う普通の大学生であった僕は言うまでもなくノーマルコースを選択したものの……ってそうなると話の辻褄が合わなくなるのですが、その「コース選択」があるのは「英語一列」という必修講義(全学共通のテキストを使うもの)で、この思い出話は「英語二列」という、担当講師によって全く異なる、各講師の裁量で行われるスタイルの、よくある英語の授業だったはずですね(ならそんなこと長々書く意味もなかったですが)。


まぁとにかくその英語の講義で、担当だった講師が「今日は配った資料に関してのディスカッションをしてもらいますが、英語だけでいってみましょう」みたいなことを言い出しやがったのです。

英語が堪能な学生も大量にいましたが、僕同様、全く一言も話せない学生も結構いたので、結局ディスカッションにもなってない、お互い「アー、ウー」とか呻くだけのしょうもない感じで終わってしまった印象がありますけどそれはともかく(笑)、クラスを半分に分けた結果、その講義で学籍番号が一番早いのが僕になってしまっていたんですね!


で、必修講義なので出欠確認が最初に行われるわけですが、当然、最初に呼ばれる僕が最初に返事をしなければならず、講師に「ID 123456, Mr. Konsuke」と呼ばれた際、

「おいおいこれ何て答えればいいんだ?!『ハイ』って、直訳すれば『Yes』だけど、それでいいのか?!この際あいさつの『Hi』のふりして、『ハイ』で押し通しちまおうかしらん…??」

…などということが頭を駆け巡った…と思わせて実際はそんなことを考える余裕などなく(笑)、合ってんのかどうなんか分からないまま「Yes...」と自信なさ気に答えて、まぁ一応特に問題はなかったんですが、そのまま次の学生たちも僕を真似して「Yes」という人もいれば、似たようなことを考えたのか最初の説明を聞いてなかったのか「ハイ」って言う学生もいたような気がしますけど(笑)、何か英語の得意な子は別の返答をしていたような記憶もあった気がするものの、配布済みの資料を読むのに必死でどういう応え方だったか特に覚えていないまま、この年までズルズル生き続けてきてしまいました。


(※ちなみにクソほどどうでもいいですが、先ほどの学生証番号は当然仮のもので、僕は今でも大学の頃の学生章番号を覚えてますけど、うちの大学の場合、最初の数字が入学年度の西暦下1桁(なので、今年入学した子達は「3」で始まります)、2番目の数字が科類で、文科一類が1、文科二類が2、…、理科三類が6となり、最後の4桁が純粋にクラス順・あいうえお順で1人ずつ通しで振られるもの(理一は1000人以上いるので、4桁が必要です)であり、さらに末尾にアルファベットがA~Jまで振られるのですが、これには法則があって、「奇数桁目の数字」と「偶数桁目の数字をそれぞれ3倍したもの」とを足し合わせて、1の位が1だったらA、2=B、…、0=Jとなる感じです。

 なので、先ほどの架空の番号123456(文二には3000人も学生がいないので、この番号は存在しませんが)なら、1+3+5+(2+4+6)×3=45で、5番目のアルファベットEが付き、「123456E」までが学生証に書かれている実際の番号になる形です。

 僕が入学してから20年以上経ってるので、今でも覚えている思い出の、僕と同じ学籍番号が割り当てられた子は、既に2人存在していた感じですね(もちろん自分の10年前にもいたと思われますけど)……どうでもいいにも程がありますが(笑))

 

話を戻すと、こちらへ来てからもそんな出欠確認をする場に出くわしたことはなかったため、この疑問は謎のままであり、今回調べてみようと思い立った次第にございます。


なお、これに限らず、案外日本語なら意に介さず簡単に言っている表現も、いざ英語となると「あれ?これどう言やいいんだ…?」と思えることは結構あるもので、例えば……あれ、めちゃくちゃあるはずが、特にパッと「これ!」というのは浮かばないですけど、あぁひとつ、個人的に一番最初期に疑問に感じて学んでおり、特に印象的だったものを、本題に入る前にちょっと紹介させていただきましょう。

 

生命系の実験では、色んな試薬を混ぜる際、水ではなく適当な塩の溶けた溶液を使うことが極めて多いのですが、大量に使うため、基本的には濃縮したものを用意し、実際に使うときにちょうどいい濃度に薄めて用いるのが普通なのです(その方が作る手間も、保管スペースの節約的にも、あらゆる点で都合がいいため)。

で、そういう溶液のことを「バッファー (buffer;日本語なら『緩衝液』ですが)」と言い、例えば2倍に薄めて使うものを「2×バッファー」と書いて「にかけバッファー」、10倍に薄めて使うものなら「10×バッファー(じゅっかけバッファー)」などと呼んでいるのですが、こちらへ来て一番最初に感じた疑問として、

「あれ?『5× buffer』って、英語で何て言えばいいんだ?危うく『ファイブかけ…』とか言いそうになったけど、通じるわけがねぇぞ…?」

…と当たり前すぎるアホなことを考えながら悩み、マゴマゴしていたのですが、バッファーなんてマジであらゆる実験で使うので周りに耳を傾けていたら即解決しまして、これは英語だと「ファイブ・エックス・バッファー」と、まさかの「かける」記号をそのまま「エックス」と読んでいるんですね!

 

とはいえこれはあくまでこういう倍率表記の場合だけであり、数式であれば、例えば、

5×105

というのは、日本語なら「ごかけ(る) じゅうのごじょう」と中学生でも読めるわけですが、英語だとこれは、「エックス」ではなく、

five times ten to the fifth

と読む感じですね。


あぁこの累乗も結構パッと見だと読めないパターンで、検索したら大抵「powered」みたいな表現もよく出て来ますけど、数学科ならともかく、普通の会話(まぁ普通の会話であんまり累乗表現が出てくることもないものの(笑))なら、わざわざpowerとかはつけず、そのまま「to the 序数表現」で済ませてしまうことがほとんどではないかな、と思います。


日常会話の例ではなく、若干専門的な語になってしまいましたが、まさにこんな感じで、日本語だと特に何も考えず読めるものが、英語だと「あれ?どう言えば…?」と思えてしまうことはよくあるという話で(実際、パッと考えると、数字関連に案外難関が多い気がします)、本題に戻りますと、出欠確認で応じる際の返事ですね。

 

検索したら、またしてもStackExchangeのQ&A記事がヒットしてきました。


今回もまた、頼れるSEフォーラムの力をお借りさせていただきましょう。

english.stackexchange.com

こちらも結構レスがついていて賑わっていたのですが、質問は「roll call(出欠確認・点呼)」というフレーズの発音に関してのものも含まれており(非ネイティブの質問かと思ったら、まさかの、回答者としてめちゃくちゃよく見かける気がする、超トップランカー・Mari-Lou Aさんによる質問でしたね!)、まぁ英語に堪能なネイティブによる発音の質問ということで、我々には理解できない縁遠いものという気もするため、そちらはほぼ触れず、前半の「何て返事をする?」という点をメインで見ていきましょう。


(ただ、無駄な前置きが無駄に長くなってしまってもう結構スペースを食ってしまったので、基本的にスコアの高いもの・面白いものだけをピックアップしていこうかなと思います。)

 

Mari-Lou A(質問者、上位0.08%に位置する超優良回答者でもあり):「roll call(出欠確認・点呼)」に対して生徒はどう返答するか、およびそのフレーズをどう発音する?(質問スコア7点


2つばかり質問が。


イギリスでは、点呼をする (do a roll call)(ところで点呼って「read=読む」っていう動詞を使う方が普通かな?)ことを、一般的に「calling out the register(名簿を呼び出す)」と言うんだ。私が子供の頃からずいぶん時間が経っているので、生徒がどのように返事をしていたのか、絶対的な自信はないんだけど、個人的には「Present, miss/sir(出席です、先生)」だったような気がするんだよね。

あとそれから、学生はただ手を挙げるだけだったことがあったようにも記憶しているかも。他の英語圏では違う対応があるものなのかな?


次に、roll callの発音が難しいと思えちゃうのよね。それぞれの単語別々なら問題なく言えるんだけど、2つの単語を合わせると、まるで「rolkol」とか「rolekol」、あるいは「rol kol」と言っているように聞こえちゃうんだ。wiktionaryやTFDで調べたんだけど、どちらも発音がないんだよね。「roll call」のrollは、/rəʊl/と/roʊl/のどちらで発音すればいいんだろう?

 

編集追記

点呼の際に「Present」と答えるのは、英米とも時代遅れになっているようだね。カナダやオーストラリアでもそうなのかは不明だけど。イギリスの学生は、70年代まで「Yes, miss/sir」と答えていたようだけど、今では「Here」というシンプルな言葉が、大西洋の両側で使われているみたい。ロングマン現代英語辞書では、英国ではcall/take the registerは古いとされており、また、@bibさんの回答に示されていたGoogle Ngramチャートにあるように、米国では「calling the roll」は時代遅れになっているとのことだけど、本当にそうなのかな?

(※注:既に質問ポストに追記で一部触れられていましたが、付いていたコメントを適宜抜粋しておこうと思います。)

Andrew Leach(上位0.06%に位置する超優良回答者):

40年前のイギリスでは、間違いなく「Yes, miss」であった。

 

Mari-Lou A(質問者):

あぁー、@AndrewLeachさん、それね?!では、いつから「present」が受け入れられるようになったんだろうね?

 

emsoff (上位5%に位置する優良回答者):コメントスコア2点

ロサンゼルス郊外では、「huh?(ハァ?)」というのが標準的な反応だったよ。

 

Anonym(上位10%に位置する優良回答者):コメントスコア2点

私の経験だと、現代のカナダでの使い方は様々だね;yes, yup, yeah, here, present, uh-huhなどはどれもごく一般的で、時には生徒が全く違うことを言うこともあるよ。表現については、通常、taking attendance(出席を取る)という言い方をするかな。

 

Pieter Geerkens(上位6%に位置する優良回答者):

私はいつも「Absent!(欠席!)」と返事をして、持ってきた小説に戻っていたよ。

 

Spagirl(上位2%に位置する優良回答者):

@AndrewLeachさん、そこまで絶対的なものではないと思うな。60年代末から80年代初めまで、私が通っていたスコットランド中央部の小中学校では、教師本人が好む形式で返事をしないと欠席扱いにされることもあったよ。ある先生の場合は黙って手を挙げ、別の場合は「here, Miss(はい、先生)」、また他の先生は「Present」だったし、「Yes, Mr Tweedie(はい、トゥイーディー先生)」だったこともあるね。

 

nnnnnn(上位10%に位置する優良回答者):

私が小学6年生の時、先生は私たちの名前を全く呼ばず、全員に名簿の名前の順番(アルファベット順)で次々と「present」とだけ言うようにさせていたよ。楽しかったなぁ。

 

(※割と十分な情報が挙げられていたこともあり、ベストアンサーとそのコメントだけ触れておしまいとしましょう。)

 

bib (上位0.06%に位置する超優良回答者):回答スコア16点・質問者の選んだベストアンサー

アメリカではHereが一般的だね。1950年代以前にはPresentも聞かれたけれど、これは大げさに気取って言う場合を除き、ほとんどなくなったよ。


発音については、アメリカでは地域によって若干の違いがあり、北東部ではよりハッキリしたohbowl (ボウル) という語の発音のように)のように聞こえるけど、中西部ではそれほどでもないかな。


補足:Calling the rollは20世紀後半まで学校で使われていたもので、roll callは現在でも軍や消防・警察などの制服組、立法機関(点呼投票など)で使われているね。1980年代以降は、このngramに反映されているように、taking attendance(出席を取る)という表現がより一般的になっているよ。

 

上で紹介されていたGoogle Ngram、2019年(最新データ)まで期間を延ばしたスクショ


T.E.D.(上位0.99%に位置する超優良回答者):コメントスコア2点

この回答はまさに私の経験通りである(最後にその立場になったのは30年前だが)。一部の地域(フィラデルフィア?)では「Yo」が使えると聞いているよ。

 

ということで、どうやらイマドキの子は出欠確認で呼びかけられた際は「here」と応えるのが一番普通みたいですね。

まぁ実際呼ばれただけで、質問されたわけでもないのに「yes」って何か違和感がありますし(とはいえもちろん、実際使われていたし、そこまで一般的ではないだけで、今でも、普通に使っても全く問題ない表現ではあるようですが)、「どうぞ」という英語表現同様、「あぁこういうのにはやっぱり『here』が来るのね」と思えて大変しっくり来るといいますか、確か僕が大学の講義で聞いた、留学経験のある子らの返事もそれだった気がします。

長年の謎が解けて何よりでした。

 

一方、日本語の場合は、「はい」一択だと思いますが……あぁでも、僕が小1のときのクラスでは「紺助くん」「はい、元気です!」までなぜか言わされていたので(笑)、一応学級ごとにバリエーションはあるのかもしれませんね。


もう出欠を取る(応じる)こともこの先の人生でまずない気もしますけど、意外と面白い話だったように思います。


アイキャッチ画像は、当初「ハイ!」と元気に返事している男の子のイラストをお借りしようと思いましたが、まぁいらすとやのイラストも正直安っぽいだけですし(借りまくっていて酷い言いようですが(笑))、上記Ngramのスクショで代用させていただきましょう。


では、次回はまたいただいていたご質問の方に戻っていこうと思います。

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