コメ返信や補足その1-49-19:Americanはどうだい?

「The+国名を表す単語」の使い方についてここ何回かの記事で色々と見ており、何を隠そう僕自身が一番色々と知らなかったことを学べている状況でした。


「※I met the Japanese.」なんて、「私はあの日本人に会った」という意味になりそうなものなのに、どうやらネイティブの目からすると全くそうはならないってんだから驚きです。

(※強いて言うならこれは「私は日本国民全員と会った」という意味になるので、それは常識的にあり得ないから、「その文はおかしい・意味をなさない・極めて不自然」とみなされる感じだと思われます。)


そんなわけで、色々なフォーラム記事を参考にさせていただいていましたが、ひとまず話をご質問の方に戻していきましょう。

ちなみにまた追ってご質問をいただいていたので、Japaneseについてもまた改めて触れていこうと思っていますが、とりあえず保留状態になりっぱなしだったAmericanの方を見ていく感じですね。

既に何度か貼っているご質問、該当部分からまた再掲させていただきましょう。

 

彼らはアメリカ人です

They are Americans.(複数形で-sになる)

彼らは日本人です

They are Japanese.(複数形だけど-sはつかない。 Japaneseの最後が-seっていう発音だから?)


彼はアメリカ人です

He is an American.(単数形でan American)

彼は日本人です

He is Japanese.(単数形だけどaはつかない?)


Americans learn American football.

アメリカ人はアメフトを習います

The Japanese learn judo.

日本人は柔道を習います


↑一般的な国民をいう場合、

アメリカ人はAmericans(複数形?)で、

日本人はthe  Japanese(複数形??)

文法的な扱いはともかく、こんな感じでしょうか?

 

⇒これまで「『Japanese』という語は、それ単独で、名詞として『日本人』という意味で使うのは危険なようだ」と何度も見てきたわけですが、一方の「American」という語、こいつはどうやら別のカテゴリーに入る単語のようで、「アメリカ人」という意味で使うのでも全く問題ないようです。

そんなわけで、引っ張った割に何の変哲もない話に落ち着きますが、挙げられていた例文、

  • They are Americans.
  • He is an American.
  • Americans learn American football.

…は、どれも全く問題ない表現だと思われます。


とはいえ二点、本題とは関係ない部分にまず触れておくと、まず「アメフト」について、アメリカにおいては「football」だけで「アメフト」を指す……というかむしろ、奴らは「football=アメフト」という図式に誇りを持っていると思われるので(笑)、少なくともアメリカ国内であれば、これは基本的にfootballのみで表されることの方が圧倒的に多いかな、という気がしますね。

アメリカ以外の世界中ほとんどの国は「football=サッカー」なわけですけど、アメ公さんは頑なに「football=アメフト」と信じてやまないので…

(なお、今W杯で盛り上がっているサッカーは、アメリカだとズバリ「soccer」ですね。言うまでもなく、アメリカ文化の影響を如実に受けている日本は、何気にこのゴールキーパー以外は脚だけでプレイする競技を「soccer」と呼ぶ、アメリカ軍門下にいるともいえますね(笑))

…アメ公さんどもは、「アメフトがAmerican footballだなんてとんでもない!我々にとって、君のいうアメフトというのは『football』だよ、むしろsoccerの方をnon-American footballとでも呼んでくれたまえHAHAHA」と思うようですから、例の例文も、アメフトは「American」なしで、「Americans learn how to play football.」とかの方が、アメリカ国内ではもしかしたら通りがいいかもしれません(笑)。)


そしてもう一点表現上で気になったポイントとしては、そもそものAmericanという単語が、もちろん辞書的にも慣用的にも「アメリカの」「アメリカ人の」「アメリカ人」という意味にはなるわけですけど、厳密にいえば「America」というのはアメリカ大陸のことであり、アメリカ大陸にはアメリカ合衆国以外の国も含まれていますから、人によっては…

「Americaという単語でアメリカ合衆国を指すのやめーや。Americaというのは南北アメリカ大陸のことであって、カナダやメキシコどころか、ブラジルやアルゼンチンだって本来はAmericaやろがい」

…と、恐らくアメリカ国外のみならず、下手したらアメリカ国内にも、自分をAmerican呼びされることを嫌う人はいるかもしれません(そんな話を聞いたことがあるだけで、実際見たことはありませんが)。


ではどうすれば正確かというと、これはもちろん、アメリカ合衆国を意味する、the United States of America、おなじみの「USA(ユーエスエー)」の出番だということですね。

これは略語なので、正確にはU.S.A.とピリオドを打つものですし(でもあまりにも汎用されるのでこれはピリオドなしでOKではありますが)、冠詞のtheも厳密には常に必要であるとともに、他にも「the US」とか「the States」とか色々な略称はあるものの、この呼び名であれば、北アメリカ大陸に位置する、50州からなるあの国を指すのに異論が全くなくなる形といえましょう。


とはいえ「USA」は完全に名詞なので、形容詞的に使うことはできないんですけど、AmericaのAを抜いた「US」であれば、形容詞としての利用も普通に目にします。

  • US people enjoy football.(アメリカ人はアメフトを楽しんでいる。)

という具合ですね。

(実際、Americanより、USやUSAの方が圧倒的によく目・耳にする表現なのは間違いないかな、って気はします。)


…とはいえしかし、さらにそもそも論を言えば、アメ公さん達にとっての世界は「アメリカ」であり、「アメリカ人」であることは地球人であること同様最早当たり前のこととして、自分のアイデンティティは、USAではなく「どの州出身か」が、アメリカ国外の人にとっての出身国に等しい……なんてこともまことしやかにいわれている話かもしれません(笑)。

つまり、「我々はアメリカ人ではなく、New Yorkers(ニューヨーク人)なんだ。I ❤ NY」とか「California girls talk very fast.(カリフォルニアの女の子たちは喋るのがめちゃくちゃ早い)」とか、「USAで括るな、俺らにとっての"国"は州だからよ」という傲慢さのある国民、それがthe US peopleだといえる感じですね(笑)(まぁ改めて、そんなこだわりのある人、正直実際にこの目で見たことはないですけど(笑))。

 

…などと長々と補足に触れたものの、そうは言ってもそれは何というか単に特定の個々人のこだわりみたいなもので、「American」と言ってアメリカ人を指すのは全くおかしな表現ではありませんから、いただいた例文でも全く問題ない感じといえましょう。


がしかし、例文では名詞としての利用が念頭に置かれていたように思われますが、Americanには当然形容詞としての用法もあるため、「They are Americans.」「He is an American.」のどちらの場合においても、

  • They are American.
  • He is American.

という使い方(=主語が何だろうと、形容詞として「アメリカ出身の」という意味になっている形)でも全く問題がないように思います。


…ですがしかし、これらの違い、およびどちらがよく使われるのかとかについては、僕には全く分からなかったので、また集合知をお借りさせていただくといたしましょう。


パッと検索して出てきたのはこちら、今回はまたStackExchangeの方ですね(↓)。

english.stackexchange.com

そんなに長くない記事だったので、質問文へのコメント、そして一番最後の回答は(そんなおかしな回答でもないのに非常に珍しく)運営Botからのコメントがついていましたけど、そういう珍しさも含め、上から順に全部紹介させていただこうと思います。

 

lukas(質問者、上位19%に位置する回答者でもあり):「Are they American?」または「Are they Americans?」(質問スコア5点)

 

以下の違いは何かな?

Are they American?(彼らはアメリカ人?)

Are they Americans?(彼らはアメリカ人?)

 

(※まずはコメントからですね。特にコメントと回答に大きな違いは感じませんが…)

 

(質問へのコメント1)FumbleFingers(上位0.03%に位置する超優良回答者):コメントスコア5点

どちらも完全に正しいけど、複数形の名詞より単数形(形容詞)の方がより一般的だと思えるかな。

 

(コメント2)Peter Shor(上位0.09%に位置する超優良回答者):コメントスコア3点

「Are they Danish?」と「Are they Danes?(彼らはデンマーク人?)」の違いと同じだね。「Are they Danishes?」と言うと、パンのデニッシュを意味することになっちゃうから、言わない方がいいだろうけれども。

 

(コメント3)John Lawler(上位0.05%に位置する超優良回答者):

これらはどちらも質問文だね。対応する説明文は「They are American/Americans」であり、これはむしろ They are tired(彼らは疲れている)と They are dogs(それらは犬だ)の違いに似ている -- 一方は述語形容詞で、もう一方は述語名詞ということだね。

 

(コメント4)Anton(今年上位0.07%に位置している超優良回答者):

これは、@JohnLawlerさんが明らかにしているように、意見の相違によるものではないね。このままコメントを募ろう。

 

(※以下、回答です。)

user2683:回答スコア7点

どちらも正しく、同じことを意味しているよ。違いは、

Are they American?(彼らはアメリカ人?)

…では、Americanが形容詞として使われているのに対し、

Are they Americans?(彼らはアメリカ人?)

…では複数形の名詞として使われているということだね。もし、一人しかいなかったら、質問は次のようになるだろう

Is he American?

Is he an American?

だね。

 

(この回答へのコメント1)David Schwartz(上位2%に位置する優良回答者):

この2つが全く同じものだとは思わないなぁ。一つは「an American」で、これはアメリカ出身であれば使うものだね。一つは「American」で、これはアメリカ出身の人の特徴を備えていれば使うものかな。

 

(同じ人からの連投コメント2)David Schwartz:コメントスコア1点

人を指すのに修飾なしで使われると、そう、それが主な意味になってしまうんだね。しかし、これらを否定にすれば、その違いはより明確になるよ。アメリカ人らしくない行動をする人を「not American(アメリカ人ではない)」と言うことはできる。しかし、アメリカ人ではないという意味以外で「not an American」とは言わないと思えるね。

 

Barrie England(上位0.03%に位置する超優良回答者):回答スコア7点

どちらも主語はtheyだけど、Are they American?がグループを全体として捉えているのに対し、Are they Americans?はグループを個人の集合体として捉えているといえるね。

 

alba:回答スコア0点

  • The americans are lovely people(名詞)(アメリカ人は愛らしい人たちだ。) 名詞として、単数形と複数形を持つね。

They were born in USA, they are AMERICAN(形容詞)(彼らはアメリカで生まれた、彼らはアメリカ人だ。)英語の形容詞に複数形はないよ。

 

(この最後の回答についていたコメント)運営Bot):

こちらの回答は、追加的な補助情報によって改善されるかもしれません。他の人がこの回答は正しいと確認できるように、引用や文書などの詳細を追加など、編集してください。ヘルプセンターで、良い答えを書く方法についての更なる情報を得ることが可能です。

 

…といった感じで、最初のコメントに、こないだ別のフォーラム記事にいたtchristさんより更に総合評価が高い超優良回答者、同じ記事でFlaterさんに「意味のない議論だよ」と若干馬鹿にされていたPeterさん(でも評価的にも、彼の言ってることは必ずしも間違ってない気もします)、そして世界的に著名な文法学者John Lawlerさんがここでもお目にかかれたなど、いきなりかなりバラエティに富む面々がコメントを残してくれていて驚きでしたが、結局、最高評価回答者であるFumbleさんが最初に書いていたのが一番分かりやすかったというか、相変わらず評価の高い人の意見を信用する権威主義かもしれませんけど(笑)、やはり若干形容詞の方がよく使われるのかな、って印象がある感じといえそうですね。


また、意味的には同じという人もいれば若干違うという人もいましたが、割れるぐらいに微妙な感じということですし、結論としては、我々非ネイティブには「ほぼ同じ」と考えて問題がなさそうな気がします。

 

…というわけで、Americanに関しては、あまり深追いする必要もなさそうな感じですね。

続いてはまたここ最近のJapaneseの話にいただいていた追加コメントを見ていこうと思いますが、いい分量になったためそちらはまた次回とさせていただきましょう(あ、コメントの前に、一点補足しておきたかった話に触れるかもしれません)。

アイキャッチ画像には、ちょうど話にも出しましたし、アメフトのいらすとをお借りするのがちょうど良くて何よりでした。

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