色々な色をした舌についてのまとめ記事を見ていたのが前回でしたが、メジャー所の色は個別記事のリンクが張られていたのに気が付きました。
具体的には白・黄色・黒舌についてのHEALTH LIBRARY記事があったんですけど、既に簡単なまとめは前回の記事で触れられていたものの、まぁ誰しもにとって身近なネタですし、特に白い舌なんかは恐ろしい原因しか載っていなかった印象もあるので、もう少し詳しく見ておく価値もあるのではないかと言えましょう。
ということで、せっかくですし各色の舌に関する個別記事も見ていこうかなと思います、まずは当然、一番身近で、誰しもが多少なりともあるに決まっている気がする、白い舌についてですね!(↓)
パッと全体の流れとイラストだけ流し見してみましたが、やっぱりそこまで重篤で危ない基礎疾患のみが原因ってわけではなさそうな気がしますね。
今回も丸っと翻訳引用という形で参考にさせていただこうと思います。
白い舌(White Tongue)
白い舌は、舌の上側表面の一部または全体に白い皮膜が形成される症状です。口臭がしたり、毛羽立つ感じになったり、炎症を起こしたりすることもあり得ます。白い舌は見た目が悪いですが、通常は無害で一時的なものです。数週間以上続く場合―あるいは痛みがあったり食事や会話に問題があったりする場合―は、医療機関を受診してください。
概要
白い舌ってどんなもの?
白い舌とは、舌に厚く白い膜が張った状態を指します。この膜は舌の表面全体を覆うこともあれば、奥の方だけを覆うこと、あるいは斑点状に現れることもあり得ます。舌が白いと何かの警告のように思えるかもしれませんが、大抵は細菌、食べカス(食べ物や砂糖など)、または死んだ細胞が舌に付着しているだけです。
白い舌は時折、黒毛舌症と呼ばれる別の舌の病気と一緒に起こることもあります。黒毛舌症の場合、食べカス、死んだ細胞、および細菌によって、舌が白くならず、黒く毛羽立ったように見えます。
白い舌にはいくつかの原因がありますが、通常は数週間で治ります。それ以上続く場合や、食事や会話に問題がある場合は、医療機関を受診してください。
(※各原因は以下で触れられており、キーワードには英語も併記しておいたので、日本語はそちらをご参照ください。)
考えられる原因
舌が白いのはなぜ?
舌の白い膜は、舌の表面にある乳頭と呼ばれる小さな突起の間に細菌や食べ物が挟まることで生じ得るものです。舌乳頭は、隆起することで表面積が広くなり、食べカスが口の中で溜まりやすくしています。舌乳頭は、腫れたり炎症を起こしたりすることもあり得ます。こういった食べカスの蓄積はしばしば口臭の原因になるもので、口の中に嫌な後味を残すこともあり得るものです。
原因には以下が含まれます:
- 口腔内の不衛生(Poor oral hygiene)(定期的な歯磨き、フロス、または舌磨きをしていない)
- 喫煙、ベイピング(蒸気吸入)、つけタバコ、噛みタバコ(Smoking, vaping, dipping or chewing tobacco)
- 毎日1本以上のアルコール飲料を飲む(Drinking more than one alcoholic beverage daily)(これは脱水症状を引き起こします)
- 入れ歯をしていたり(Wearing dentures)、鋭利なもので舌を傷つけてしまったりした場合
- 抗生物質の服用(Taking antibiotics)(口の中で酵母菌感染を引き起こす可能性があります)
- 果物や野菜が不足した食事(および柔らかい食べ物が過剰)(Eating a diet with a shortage of fruits and vegetables (and an excess of soft foods))
- 口呼吸をしている(Breathing through your mouth)
- 病状や薬(medications)の使用(筋弛緩剤や特定のガン治療薬など)によってドライマウスになっている
白い舌は、以下を含むいくつかの疾患の症状です:
- 地図状舌: 白い縁取りのある赤い斑点が舌にできる病気です。湿疹、乾癬、1型糖尿病、または反応性関節炎を持つ方により多くみられます。
- 白板症: 口の中に白い斑点ができる病気です。噛みタバコ、重度の喫煙、および飲酒は全て潜在的な原因となっています。
- 口腔扁平苔癬(こうくうへんぺいたいせん): 口の中の慢性炎症性疾患で、頬の内側、歯茎、および舌に白い斑点ができます。免疫系(細菌に対する体の防御機能)の問題が関係している可能性が高いです。
- 口腔鵞口瘡(こうくうがこうそう): カンジダ酵母(真菌)による感染症です。カンジダは通常でも口の中に見出されますが、増殖しすぎると問題となります。
- 梅毒: 性感染症(STI)のひとつで、白い舌を含む様々な症状を示します。
稀ですが、白い舌は口腔ガンの症状であることも時々あります。
ケアと治療
白い舌はどう治療するの?
通常、白い舌は治療しなくても数週間以内に治ります。しかし、長引く場合や早く治したい場合は、治療を受けた方がよいでしょう。白い舌の治療法は、症状や原因によって異なります。
舌の発疹
通常、発疹は治療しなくても治ります。口腔扁平苔癬に伴う発疹がなかなか治らない場合は、かかりつけの医療機関でステロイド洗口液(ステロイド錠剤を水に溶かしたもの)やステロイドスプレーを処方してもらい、火照りや歯茎の痛みといった症状を抑えることが可能です。
感染症
口腔鵞口瘡(カンジダ症)のような真菌感染症に対しては、担当の医療従事者がフルコナゾール(ジフルカン®)やナイスタチン(ナイストップ®)といった抗真菌薬を処方してくれることでしょう。
梅毒が白い舌の原因になっている場合は、細菌を殺すための抗生物質(ペニシリン)が必要です。
白い斑点
地図状舌に伴う白い斑点がガン化する危険性はありません。治療は主に不快な症状を抑えるためになされます。例えば、痛みを引き起こす食べ物や飲み物を避けることが挙げられます。舌に抗真菌剤を塗ることも症状を和らげるのに役立ちます。
時に白板症がそうであるように、白斑がガン化する危険性がある場合は、かかりつけの医療従事者がそれを切除します。メス、レーザー、あるいは(稀に)凍結療法(液体窒素で凍らせる)といった別の方法が用いられることもあるかもしれません。この手術によって、舌の細胞がガン化しないようにすることができます。
白い舌を治療するために自宅でできることは何かある?
ほとんどの方は、良い口腔衛生を実践し、脱水を防ぐために水分をたくさん摂ることで、白い舌を取り除くことができます。家庭でできる案には以下が含まれます:
- 毎日コップ8杯以上の水を飲む
- 柔らかい歯ブラシで歯を磨く
- 舌をブラッシングするか、舌磨き器具を使って白い膜を取り除く
- 微量のフッ素入りの歯磨き粉やマウスウォッシュを使用する
- タバコやベイピングペンのような、舌を毒素にさらす可能性のあるものを避ける
- 辛いもの、しょっぱいもの、酸っぱいもの、または温度が極端に高いものなど、口の中を刺激する食べ物は避ける
白い舌に痛みや不快感がある場合は、市販(OTC)の鎮痛剤を服用してください。
白い舌を治療しない場合、どんな合併症やリスクが考えられる?
治療を行わないと、舌を覆っている細菌や食べカスが歯周病を引き起こすかもしれません。感染症は体の他の部分に広がる可能性があります。白板症に伴う白い斑点は、最終的に口腔ガンに進行する可能性があります。
白い舌はどうやって防げばいいの?
時には、白い舌になることを予防できないこともあります。しかし、良い口腔衛生を習慣づけることで、その可能性を減らすことは可能です。半年に一度はかかりつけの歯科医院で検診を受けるようにしてください。歯磨きは1日2回以上行いましょう。フロスは毎日行い、新鮮な果物や野菜を使った健康的な食事を心がけるようにしましょう。
かかりつけの医療機関から白い舌の症状が深刻であると言われた場合は、アルコールやタバコをやめる(またはどちらかの量を減らす)ことを検討すべきです。かかりつけの歯科医や医療機関で、定期的な経過観察を受けるようにしましょう。一貫したケアは、白い斑点がガン化するのを防ぐのに役立ち得ます。
医師に連絡する時
舌が白くなったら医者に診てもらうべき?
場合によります。通常、白い舌は無害で一時的なものです。白い舌が唯一の症状である場合は、症状が治まるのを待つのが無難でしょう。
白い舌が数週間経っても普通の色に戻らない場合は、かかりつけの医療機関または歯科医に診てもらってください。舌が痛かったり、痒かったり、食事や会話に支障があったりといった場合も、検査を受けましょう。担当の歯科医が、綺麗にするお手伝いをしてくれます。あるいは、より深刻な症状ではないことを確認することも可能です。また、免疫力が低下している場合やHIVに感染している方も、こういった症状がある場合は受診予約を取る必要があります。
その他のよくある質問
舌ピアスは白い舌の原因になる?
ご自身(またはティーンエイジャーのお子様)が舌ピアスを開けたばかりであれば、舌に白いコーティングが見られることはあるかもしれません。これは正常な細菌の繁殖で、ナイスタチン(商品名ナイストップ))などの抗真菌マウスウォッシュで抑えることが可能です。また、ピアス穴の両脇に白いリング状の組織があることに気付かれるかもしれませんが、これは単に舌が正常に傷から回復する過程となっています。
舌が白いのは病気なの?
必ずしもそうとは限りません。多くの場合、舌が白いということは、口腔衛生や全身の健康に注意を払う必要があることを意味しています。例えば、歯磨きとフロスを定期的に行い、タバコやアルコールを控える必要があるというメッセージなのかもしれません。
それでも、白い舌は酵母菌や細菌感染の兆候であることはあり得ます。定かでない場合は、かかりつけの医師や歯科医にご相談ください。
クリーブランド・クリニックからのメモ
口腔衛生は重要ですから、問題を早期に発見するために、定期的に歯科検診を受けるようにしましょう。白い舌は通常、有害なものではありませんが、舌が(またはその見た目だけでも)気になる場合や痛みがある場合は、かかりつけの歯科医または医療機関を受診してください。そうすることで、健康上のリスクを早期に発見し、事態が悪化する前に治療することが可能となります。
前回は他の色でしか挙げられていなかった「口腔内の不衛生」が結局白い舌苔でも一番あり得そうな原因だということで、やっぱりそこまで怯える必要はなさそうですね。
黄色と黒の舌記事も見ていく予定ですが、いくつか気になる原因症例(基礎疾患)があったので、次回はまずそちらに脱線してみようかなと考えています。