それでは「人間関係」系スラングの続き……前回の「periodt」はそういえば「何が人間関係関連だったんだ…?」と思えるものの、罵倒系の表現よりはまだ使い道がありそうな言葉とはいえそうでしたね(とはいえまぁこれも、勝手に議論を打ち切るような独りよがりっぽさはありましたが)。
例によって、Verywell familyによる親世代向け55語スラングまとめ記事を参照にさせていただく形です。
今回はまたまた以前ちょろっと触れたことがあったものもあったので、3語いけるのではないかと思っとります。
順番に参りましょう。
Shook - 信じられないレベルのショックを受ける、または揺さぶられること
こちらの「Shook」はshakeの過去形であり、もちろん読み方は「シュック」(まぁ英語に促音(小さい「っ」)はないので、「シュク」の方が正確かもしれませんが)で、「シェイク」は小学生でも知っている「振り動かす・揺れる・震える」という意味ですね。
その過去形なので、「揺れた・震えた」という感じで、説明にあった「大ショック」というのも納得といいますか、まぁこれも英語に詳しくない(英語が母語ではない)立場からすると、スラングというよりそもそも「shook」にそういう意味も普通にありそうに思えるけど……なんて気もしますが、これは本来の正しい英語の用法ではなく(shakeという動詞を形容詞的に用いるなら、過去形ではなく過去分詞の「shaken」が使われるのが普通なため)、例えば日本語でいえば、めちゃくちゃ驚いた際にギャルが「ユレユレ~↑↑」とか言ってるようなもんってことですね。
そう、Slang.net先生によると、この語は「オーバーリアクションをする若い女性に典型的に使われる」ものだそうで、まさにギャル語っぽい響きがあることが想像される感じだといえましょう。
定義はもちろん「Completely surprised(完全に驚かされた)」と、元記事と全く同じものであり、その人にとってあまりにもリアルすぎるものを見せられて恐怖におののいたり、心が揺さぶられたりしたときのショックを表すものといえましょう…などと書かれていますね。
(そう明記はされていないものの)読んでて思ったのですが、このshookは「shock(ショック)」という単語に非常に近いことからも、ちょっとシャレのように、似たような意味のあるshakeの過去形シュックが「強いショックで心が揺れた」の意味で使われるようになったのかもしれませんね。
チャット型例文は、今回も非常に分かりやすいものでした。
I was so shook after watching that video.
あの動画を見て、めっちゃんこビビり倒しちゃった。
改めて、正式な英語としては文法的におかしいものですけど(shookではなく、過去分詞のshakenとしなければいけないし、より自然な表現として、shockの過去分詞である「shocked」も使えると思いますが)、スラング的に「より強烈な驚き」を表しているという形ですね。
文法的に崩れているけど意味はつかめるギャル語っぽい面白いものを見た所で、次の語に参りましょう。
Simp - 好きな人のために尽くしすぎる人のこと;誰かにマジ惚れの片想いをすること
英語でシンプといえばやはり「シンパシー(同情)」が思い浮かびますが、そちらはsympathyなので、全く関係ない語ですね。
あとは最も有名なアメリカンアニメ、あの黄色い愛らしいキャラクターが登場する「ザ・シンプソンズ」も浮かびますけど……
…こちらはスペルこそ共通ですけど当然一切関係ない語で、このスラングの意味は「好きな人のために尽くしすぎる人」とのことですが、それだけではイマイチよぉ分からないので今回もSlang.net先生の説明を覗かせていただきましょう。
かなり長々と丁寧な説明がなされていましたが、定義としては「A person who obsesses over someone(誰かに執着する人)」であり、「誰かに尽くすけど、その人から愛されない」人のことで、一般的には「女性に振り回されている男性をからかって言う」ことが多い言葉とのことですね。
(一応、「誰かに夢中になりすぎている女の子を指すこともある」ともありましたけど、どちらかといえば報われない男性を揶揄して指すことの方が多いようです。
説明を読んだ限り、そういったモテない男性(およびその行為)をバカにする文脈でよく使われてそうな印象が強いですね。)
ネット上では2012年あたりから登場が認められる言葉のようですが、一気に流行り出したのはやはりここ最近、2019-2020年ぐらいに、例によってTikTokやYoutubeなどのコメント欄などで使われるようになってからとのことです。
日本語でも、古くは「アッシーくん」「メッシーくん」から、最近はやっぱり「チー牛」とかになると思いますけど(まぁチー牛は男女関係に言及してるわけではないのでちょっと違いますが)、洋の東西を問わず、弱者男性というのはいつの時代もからかわれがちな存在だといえましょう。
まぁ僕はこう見えて誰かに尽くすこと・無償の愛を与えることが好きなタイプ(というか、それが自分の性格に合っていると思う)なので、何気に僕はシンプくんタイプの男かもしれず、あんまりバカにはできないというか、結構シンパシー(共感)を感じてしまう表現かもしれません(笑)。
…と、男として多分しない方がいいであろうそんな自己紹介はともかく(笑)、この語の由来というか単語そのものの意味自体は、新語であるためどうもハッキリとはしないようであるものの、バクロニム(後付けで略語に意味を付けたような感じ)的に、「Suckas Idolizing Mediocre Pussy」(最後のPは↑の解説文では伏せ字になっていましたが、まぁ例によって英語のダーティーワードは日本人的にはあんまり抵抗感がないので、モロ出しでいきましょう(笑))の頭文字を取ったものと主張する人もいるようで、これはまぁ日本語にすると途端に恥ずかしくて書きにくくなりますけれども(笑)、まぁそれっぽく書けば「平凡な女のあそこを崇拝してペロペロする野郎ども」みたいな感じで、意味的にはまぁ上手いこと言ってる感じですね(笑)。
長いだけあって今回の説明文には他にも意外と面白いフレーズがありましたが、目に付いた中では「head over heels」というのが、直訳だと「頭とカカトが真っ逆さま」ですけど、転じて「誰かにぞっこん」という意味のある面白いイディオムですね。
あとは、解説文中でリンクも貼られていた「breadcrumbed」、これも直訳すると「パンくずを撒くこと」という感じですけど、スラングとして、「(主に男性を)気のある素振りで、自分の手中に引き留める」という感じで、まぁこのスラングにピッタリな、「男性を掌でコロコロ転がすような魔性の女性」的な意味合いで使われる言葉のようです。
その他の気になるフレーズを見た所で、時間がなくなってきたのでとっととチャット型例文の方もチェックしておきましょう。
He got her JLo perfume and she gave it to her friend right in front of him.
(あいつ、あの子にJLoの香水をプレゼントしたんだけど、あの子ったらあいつの目の前で友達にプレゼントしちゃったんだ。)
Man, Adam is such a simp.
(あぁ、アダムって本当にシンプだねぇ。)
…がんばれシンプボーイズ、同じくシンプマンとして、僕は応援しているぞ!(笑)
…と、気付いたら本当にちょっと時間が無くなってしまっていたので、最後再登場の語はごくごく簡単に見るに留めておきましょう。
Spill the Tea - ゴシップの暴露を求めること
こちら、こないだ「Tea」で出てきていたときに、既に見ていましたね(↓)。
Teaが「ゴシップ」の意味で、Spill the teaは直訳だと「お茶をこぼす」ですが、定義的には「Share the gossip(噂話をシェアする)」という意味なので…
…こないだの記事でも書きましたが、「こぼす」だと「漏らす」というニュアンスが強い気がするものの、意味的には「シェア=共有する」という感じのようで、「ついつい漏らしてしまう」よりはもうちょっと「公然と堂々教える」みたいなニュアンスが強い感じなのかもしれませんね。
(とはいえ「秘密を共有する」というのは結局「漏らしている」と同義ですし、これは「暴露している」ような感じで、結果としてはほぼ似たようなもんなのかな…と書いていて思えても来ましたが。)
例文は、こんな感じでした。
Stop holding out on us, spill the tea!
(隠し事はやめて、あの噂話の真相を聞かせて!)
「hold out on」もイディオムで、holdはあまりにも色々な意味があってややこしいに尽きる動詞ですが、これは「秘密を明かさずに隠し事をする・要求をつっぱねる」という意味ですね。
前半も後半もイディオム的な文ですが、文脈的には大変分かりやすい使い方だといえましょう。
…といった所で、今回もあまりしっかりまとめられないまま時間切れになってしまいました。
今回はいかにも若い子が使いそうな表現が多かった(というか、実際「若い子が好んで使う」と明記されていた)ですが、そろそろ人間関係スラングも終わりを迎えそうで、またもうちょいアダルトな表現が来ることに期待したい所です(といっても、そもそも「ナウでヤングなスラング」なので、これが平常運転だったかもしれませんけどね(笑))。
また次回順番に見ていこうと思います。