コメ返信や補足その1-12:I'm done!!

いくつか溜まっているコメントの続きに行こうかと思っていたのですが、前回の記事を書いている途中に、「あ、この話に触れてみるのもいいかもな」と思った点があって脇にメモをしていまして、前回の記事アップ後にそちらに目が付いてそのネタを思い出したため、今回は予定を変更してそちらに行ってみようかと思います。

これまた、個人的にずっと感じていた疑問点に触れる話で、別に誰に問われた質問というわけでもないんですけれども、まぁ一連の英語ネタ自体が、そもそも勝手に始めた話なので、ちょっと自分の裁量で横道に逸れてみましょう。

 

元ネタとしてはこないだから触れている、「『What time do you open?』と『What time are you open?』は、doとareの違いでopenが動詞か形容詞かが判断が付きますね」というものからで、(全く同じ形ではないものの)それと似た、「『ここがこうだから、こういう意味だろ?』と思える表現」が今回のテーマですね。

それがズバリ、記事タイトルにも書きました、「I'm done.」になります。

 

具体的に見ていく前にまず基本的な英文法についてのおさらいですが、doneというのはdoの過去分詞で、「be動詞+過去分詞」で、「受け身」を意味する文になる……というのは、中学3年生の最初に習うお話でしょう(…って、流石にいつ習ったかは覚えていなかったので検索しましたが、中3英語はまさにこの単元から始まるとのことでした)。

例えば、「This window was opened by my dog.」で「この窓、うちの犬に開けられたんだよ」みたいな感じですね。

(とはいえこれは例文のための例文で、日本語でもそうであるように、普通はそんな風には言わず、この場合なら「My dog opened the window!!」(うちの犬が窓を開けたよ!)と、能動態で言うわけですけどね。

 よく言われることですが、特に英語ではあくまで行為者が主役なんだから行為者が主語の方が収まりが良い&単純に文の構造として簡潔にして明快…といった理由から、基本的に日常会話では受動態の文なんてほとんど使われず、能動態の文で話されることがほとんどだと考えて間違いないでしょう。

 あとそれから「情報を出す順番で、与えるニュアンスも変わってくる」ということもよく言われますが(「既知の情報を前に、新しい情報を後に」みたいな)、これはやっぱり非ネイティブである我々にはそこまで意識してしゃべる/考えてる暇はないともいえますし、基本的に受け身の文はよっぽど必要な場合を除いて、避ける(能動態の文を心がける)方が、「英語らしさ」のある文になるという観点含め、良いのではないかなと思います。)

 

話を本筋に戻すと、この過去分詞を使った文としてはもう一つ、「have+過去分詞」で「現在完了」の形になる、というのも同じく中3で習う話(恐らく、過去分詞が導入されて、受け身と完了を順番に習う感じでしょうね)なわけですが、まぁ完了形というものは極めて重要であるものの、語るとなるとまたスペースが沢山必要になるので今回詳しくは割愛しますが、「完了」というその名の通り、まさしく「~し終えた!」という意味を持つ(正直、それが完了形の持つ第一のイメージではないんですけど、少なくともその意味も持ち得るのは間違いありません)…というのが今回の話に関係してくるネタなので、抑えておきましょう。


以上を踏まえて、件の「I'm done.」です。

これ、我々が学んだ英文法知識では、be+doneという形ですからズバリ「受け身」の文で、「私はやられる」みたいな意味になるのかな?…と思えるわけですけど、「いやどんな意味だよそれ、そんな台詞が言われる場面なんて思いつかねーよ(笑)」と思われるのももっともな話といえるぐらい、意味不明な意味に思えてしまいます。

しかしこの台詞、実際は日常生活でドチャクソ使われまくってる表現でして、どんな状況でかといいますと、ズバリ、「終わったよ!」と言う場面なんですね。


自分の身近な例を挙げてみますと、アメリカの大学には研究科の全員が使う共用機器が多く、競争率の激しい装置だと予約がずらっと並んでることもあるのですが、例えば電気泳動のゲルの写真撮影をするための装置を使おうとして部屋に行ったら、別の人が利用中でちょっと待つ必要がある場面…なんてのもあるわけです(これは数分で終わる作業なので、普通に後ろに立って待つ感じですね)。

で、前の人が作業を終えた時なんかに「I'm done! Your turn!!」と言って去っていく……という感じで、これはズバリ「終わりました。君の番だよ」という意味の台詞なわけですけど、初めて聞いたとき僕は、「『I'm done』って、そらおかしいだろ。これはまさに完了形がピッタリな場面なわけだし、言うなら『I've done』だろ?こんなことを間違えるとか、英語力大丈夫かここの学生??」と思えたわけですけど、どう見ても、どんなに優秀な学生でも、それどころかネイティブの教授みたいな人たちですら、普通に完璧「I'm done.」と言っているのです。

その場面に出会うにつれ、僕なんぞは「はぁ~っ、英語の乱れもここまで来たか…もう終わりだよこの国……」と思わずにはおれなかった……ほど傲慢な人間では流石になく(笑)、どう考えても自分の考え方が間違っているのは明白ですから、「マジか、『I'm done』が正しいってこと?」と考えを改めて、ついに僕も、何でそうなるのかの仕組みもよく分かってないまま、終わって交代する際には「I'm done!」といつの間にか言うようになっていました(笑)。

まぁ、特に深入りして調べるとかまではしなかったものの、自分の中では「過去分詞はもう形容詞みたいなものだし、doneが『やり終えている』という形容詞みたいな感覚で、ちょうど、『I am satisfied.(私は満足している)』と似たような形で使われてるってことなんかな…?」と納得していたわけですけど、それでもやっぱり、これは「I've done.」の方が理論的には絶対ピッタリに思えるけどなぁ……と少しモヤモヤしていたのです。


で、今回「doがつくかareがつくかで意味が変わる」例を考えている際、「そういえばamがつくかhaveがつくかの、このI'm done.も気になるな」というこの長年のモヤ疑問を思い出した次第だったわけです。


こちらやはり、非ネイティブには疑問に思える点のようで、検索したら関連トピックがディスカッションされているQ&Aフォーラムがうじゃうじゃ見つかりました。

何度も参照させていただいているStackExchangeのスレッドもたくさんありましたが、今回は非常に分かりやすい回答のあったQuoraの方から、個人的に「あ、な~る!」と思えたものをいくつかピックさせていただこうと思います。

例によってQuoraは、誰がいつしたのか分かんない単文の質問に、いくつか解答やらプロモ広告やら関連質問への返信やらがぶら下がっている意味不明な構造なのですが、適当に興味深い回答を拾ってみるといたしましょう。

(…と思っていたのですが、2つ目以降の回答は、正直いまいちピンと来ないというか微妙だったので、結局一番上の、ベストアンサー的なものだけを採用しました。

……と思っていたのですが更に注意点として、Quoraはアクセスする度にレスの順番が変わることもあるようで、再度アクセスしたら↓の回答はトップではなくなっていましたね…。謎すぎるシステムですが、まぁ間違いなく上の方にいる回答ではあるし、実際一番なるほどと思えたので、以下のJoyさんの回答を個人的ベストアンサーということで紹介させていただきましょう。)

www.quora.com

 

「I'm done」と「I've done」、どちらが正しいの?

Joy livさんの回答

*私は全くもって教師とよばれるものではないんだけど、単に、私自身がどう使うか、そしてネイティブがどう使うと思われるか、って話をしてみるよ。

5歳の頃から英語を話している者としてね。

どちらも正しいよ。ただ、使い方が違うんだね。例えば:

  • 誰かに対し、(自分が何をやっているのかを、その人は既に知っている作業を終えた、と知らせたい場合。

つまり、先生に作文をするように言われ、書き終えたとしたら、あなたはこう言うんじゃない?「I'm done.」そんな感じで、それ以上でもそれ以下でもないね。

  • もし、自分が何を終えたか(相手は)知らない何か新しい作業を終えたと誰かに知らせたいなら。

例えば、友人が自分の家に来て、友人が特に尋ねたわけではなかったけど、何かをして、終わったことを伝えたいと思ったとしよう:「I have done something terrible.(ひどいことしちゃったよ。)」相手はあなたが何かひどいことをしたとは知らないので、「have done」を使うんだね。


これは大変に分かりやすい説明ですね!

(正直Joyさんの英語はかなり崩した感じの口語的な形で、文法的におかしい点も散見されたものの、それは些細な点として無視してOKといえましょう。)

結局、誰かを待たせているときに、「終わったよ!」というのはまさに挙げられていた前者の例なわけで、その意味で、僕は「I've doneの方が正しい気がするけど、I'm done.の方がよく使われているし、『郷に従え』的にI'm doneって言ってるけど、どうもしっくり来ないな…」と思ってましたが、「本当はI've doneの方がいい気がするけど…」ってのは全くおかしく、シチュエーション的にネイティブの感覚からはI'm done.の方が完全に適している、といえるってことなんですね。

 

その他の回答を省略した代わりに、他に何か分かりやすい説明はないか調べていて、これまた非っ常~によくまとまっていると思えた記事があったので(↓)、こちらを引用紹介させていただきましょう。

ellii.com


ただこちらはElliiという英語学習者向け教材の配信などをされているサイトのブログ記事なので、こないだのエスプレッソ・イングリッシュ同様、念のため翻訳紹介の許可を後ほど取っておこうと思いますが(不許可なら削除するつもりですけど、まぁ多分OKでしょうと甘く考えています(笑))、結論までの流れが大変に明快で分かりやすいこちら、せっかくなので今回最後に翻訳紹介しておきたくなった次第です。

 

Is It Correct to Say "I'm Done"?(「I'm Done」と言うのは正しい?)

Tanya Truslerさん著のブログ記事、 2013年9月12日

I'm done for now...(とりあえず終了…)

生徒が「I'm finished(終わりました)」という意味で「I'm done」と言うのは、どのぐらいよく聞くことでしょう?そして、私たち自身がよく口にするものでしょう?あまりにもよくあることなので、私自身、これまであまり深く考えたことがありませんでした。しかし最近、ある人が、I'm doneは間違った文法だと言っていたのです。他の人はどう思っているのか、この表現について調べてみることにしました。

受動態なのか形容詞なのか?

各パーツをよく見ると、Beに、Doの過去分詞形がることが分かります。この構文は、英語では二つの場面で使われます:受動態と形容詞ですね。

受動態は、主語が動作の主体でない場合のものです。つまり、動詞に「誰かによって」という意味が含まれます。 (例:The book was checked out of the library [by someone].(その本は、[誰かによって]図書館から貸し出された。) この場合は、「I'm done (by someone)(誰かによって、私はなされる)」 とは言えないので、この構文は受動態ではないと判断してよいでしょう。

形容詞の場合はどうでしょうか?英語では、感情を表す分詞的な形容詞が一般的です(例:I'm embarrassed(恥ずかしい)、I'm frightened(怯えている), etc.)。通常、これらの形容詞は感情を伴うので、doneは正確にはこのカテゴリーには当てはまりません。しかし、ご存知の通り、英語には例外が多く、doneを「finished(終えて)」という意味で形容詞として分類するのが、多くの辞書や参考書のやり方なのです。うん、形容詞ですね!

参考文献(ガイド)ではどうなっているのか?

Merriam-Webster's Dictionary of English Usage(メリアム・ウェブスター英語用法辞典):

メリアム・ウェブスターには、この意味で使われるdoneの包括的な項目があります。ここでは、doneは明確でない理由で広く批判されていると記述されています。実際、finishedの意味を持つ形容詞としてのdoneは14世紀から使われており、一方be doneの方は18世紀まで遡るそうです。メリアム・ウェブスターのスタンスは明確です:

「The construction is standard.(この構文は標準的である)


この辞書では、finishedが18世紀後半からbeと一緒に使われていることにも触れています。つまり、両方の構文が同時期に誕生したように思われますね。

Google Ngram Viewer:

1920年から2000年までの書籍におけるI'm doneI'm finishedの利用度を調べると、1970年から1990年を除いて、I'm doneの方がI'm finishedより遥かに多く使われていることが分かります。1990年以降は、I'm doneの人気は明らかですね。

Google Ngram Viewerでの図の作成方法が分からなかったので、この図はブログ記事より拝借しました。

 

まとめ

I'm doneI'm finishedはどちらも正しく、一般的に受け入れられており、I'm doneの方が圧倒的に人気があります。文法にこだわる人の中には、I have finishedがベストだと主張する人もいるかもしれませんが、私の意見では、これは少しフォーマルで堅苦しい感じがします。私は、気兼ねなくI'm doneが正しいと生徒に教えようと思います。

 

…と、こちらの記事はI've doneとの比較ではなかったですが、少なくともI'm doneは全く問題ないという結論で、大変ためになるお話でした。

結局これはやはり形容詞で、「私は、doneという状態である」と言っているに過ぎないという感じで、これからは自信をもって「I'm done!!」と言って良さそうですね!

(ちなみに、記事で触れられていたI'm finished.もたまに聞いて、これも「I've finished.の方が正しくない?」と思えるフレーズでしたが、これまたdoneと同じ感じということですね。)

 

…あぁ、よく考えたら、これってまさに、こないだ触れていた「You're all set!」(↓)と、まさに同じ感じだったかもしれませんね。

con-cats.hatenablog.com


setも過去分詞が原形と全く同じ形でややこしい語ですけど、これこそ形容詞「完了した・整った」として使われている感じといえますし、You're all set!とI'm done!は非常に近い表現だったんだなぁ、と気付きを得た感じでした。

 

という所で、次回はコメントに戻ろうかと思いましたが、もうちょい脱線補足しようかなと思えるネタがあったので、次回も一回だけコメント以外の内容に触れて行こうと思います。

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