コメ返信や補足その1-11:ホモグラフ!

それでは、途中状態だったコメントの続きに参りましょう。

特に内容としてはつながっていないのでどこからの続きだったかはどうでもいいのですが、一応、こちらのバーガー記事(メインはバーガーではなく、お店のオープン時間の質問ですが(笑))からですね。

(コメントをいただいた元記事はこちらになります。
 また、先刻ご承知の通り、コメントはもちろん、アンさんよりいただいたものですね。いつも本当にありがとうございます!)

 

そして、

「What time are you open?」

「What time do you open?」

どちらでもOKっていう、このopenが形容詞か動詞かっていう問題…

マジで混乱します。「Are you」でも「Do you」でもいいなんて、勘弁して欲しいです笑

他にもこういうケースってあると思うんですけど…

全く思い浮かばないので知恵袋さんの力をお借りして、

detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

なるほど。眺めてみても全くピンとこないですね笑

このあたりは、同じようなパターンになるんですか?

言われたら簡単な英会話に思えるのに、知らないとやっぱり簡単じゃないですね笑


⇒こちらも、第二言語として英語を学ぶ我々にとっては鬼門の、ややっこちい話ですねぇ~。


知恵袋先生が挙げてくれていたのはもちろん同じパターンの、「動詞にも形容詞にもなる」単語ですが、とはいえ「開く/開ける(動詞)」「開いている/開いた(形容詞)」のどちらの意味もかなりよく見る気がするopenとは違い、例えばbestなんかは、99%ぐらい「最高の」という形容詞で用いられて、「打ち負かす」みたいな意味の動詞もあるっちゃありますけどほとんど目にしませんし(その逆パターンは、putでしょうかね。こちらは99%以上動詞としての使用で、形容詞としての定義を載せていない辞書すらある気がします。一応、「じっとしている」的な意味の形容詞として用いられることもなくはない、ってぐらいですね)、同列に語るにはちょっと物足りないかな、って気がしちゃうかもしれません。


挙げられていた中でopenレベルに動詞と形容詞の利用頻度が近いかつどちらもメジャーだと思えたのは、やはりopenのペアともいえるcloseが一番に思えましたが、マギ単シリーズで見ていたlastなんかも、形容詞「最後の/直近の」と動詞「続く」で、どちらも割と多用されている感じですね。


あとそれから、目ぼしいものとしては、形容詞と動詞と、さらに名詞としてまでめちゃくちゃよく使われる多義語王といえるのが、presentでしょうか。

「プレゼント」といえば、幼稚園児でも知ってる単語で、カタカナ語的にはこれは完璧「贈り物」という名詞になるわけですが、この単語はさらに「出席/出勤している、現在の」という形容詞、「贈り物をする、紹介する・プレゼンする」という動詞も存在し、本当にどれも汎用される、バラエティー豊かな単語(そして、どれも割と分かりやすいので、あんまりややこしさもない?)といえましょう。

なので、こいつの場合も、「When do you present?」も「When are you present?」もどちらもあり得る感じですね。

(前者は「あなたはいつプレゼンをしますか?」で、後者は「あなたはいつ登場しますか?」みたいな意味ですかね(ただし、どちらも現在形だと「普段の習慣」を聞いている形になるため、前者は「私は毎月第二火曜日の会議担当です」という答が予想される(=そういう答を期待しての質問。つまり、一回こっきりのイベントで「君はいつが出番?」と聞きたいような場合(卒論発表会のスケジュールが決まったとき、みたいな)なら、「When will you present?」などと聞くべきといえますね)し、後者・形容詞を使った質問は「君はどんな場面で出現してくるの?」という、「どういう状況での質問だよ(笑)」と思える感じかもしれませんが…))

 

ただ、幸か不幸か、openもpresentも自動詞としての形が存在するのでややこしさに拍車がかかっていたものの、他動詞として使われる動詞の場合、「~を」という部分も存在するので、「do」か「are」かイマイチ聞き取れなかったとしても、文脈で動詞として使っているのか形容詞として使っているのかは明らかにできることもあるといえそうでしょうか。

(「When do you present a toy for your kids?」(どんな時に子供におもちゃをプレゼントする?)という感じで、「おもちゃを」という目的語がある時点で動詞なのは明らかですから、例えばこの二語目を空欄にして「doかareかどちらが入るでしょうか?」みたいなのは、中学生のテストにうってつけといえましょう。
 ちなみにopenにも他動詞としての用法がありますから、「When ** you open your mailbox?」という文であれば、「いつメールボックスを[オープンXX]?」という感じで、たとえ**の部分が聞き取れなかったとしても(まぁそこだけが聞き取れないなんてことも、そもそもあり得ませんが(笑))、「このopenは『メールボックスを』という目的語があるんだから、動詞(他動詞)のopenだな」と判別がつく…ってお話ですね。

…といってもまぁ、別に他動詞どうこう抜きにしても、そんなの文脈や、目的語以外のその他の文の要素から明らかといえますけどね(笑)。)


なお、presentは、Google検索画面最上部に表示されるオックスフォード言語辞典では「形容詞→名詞→(別項目で)動詞」という順番、検索結果のトップであるメリアムウェブスターは「名詞1(ギフト)→動詞→形容詞→名詞2(存在)→…」という順番、その次のケンブリッジ辞書では「名詞→形容詞→動詞」の順番で定義の説明がされていましたが、まぁ動詞が一番メジャーな語義になることはなさそうではあれど、登場順はバラバラですし、「英語でpresentといえば、やっぱりこの意味!」というのは言い切れなさそうですね。

 

こういった、同じスペルで異なる意味を持つ語は「Homograph」(モグラ)と呼ばれるわけですが、一部の界隈の方が大喜びしそうなこの用語(笑)……

(とはいえ、そもそもhomoというのは「同一の」という意味の接頭辞に過ぎず、homosexualという意味から一人歩きしてしまっている感もあるわけですが……
 最近はその呼称も用いられなくなっている気もしますけど、まぁ「ホモ」と聞くと、やっぱりどうしても我々はまずそっちの「男性同性愛」の意味を思い浮かべてしまいがちかもしれないですね)

……よぉ考えたら、「一つの単語が複数の意味を持つなんて当たり前じゃない?むしろ、たった一つの意味しか持たない語なんて、存在するのか??」とも思えるわけですけど、やはりそんなのは誰でも思うことであり、↓のWikipedia記事にもある通り、

en.wikipedia.org


The Oxford Guide to Practical Lexicography(オックスフォード実践辞書学ガイド)なんかでは、「ホモグラフには様々なものがあるが、異なる単語クラスに分けられるもの、例えば『to strike(打つ)』という意味の動詞と、『a blow(打撃)』という意味の名詞が存在するhitなどがその一例」みたいな感じでまとめているようですね。

つまり、まさに今回見ていた「違う品詞の存在する単語」がホモグラフの代表格といえましょう。

(他には、「同じスペルで異なる発音であるもの」や「語源が異なるもの」という分類もある…という感じのようです。)


せっかくなので、(全然面白い話でもないですけど)上記Wikipediaにあった(リンクカードにも表示されている)ホモグラフのグラフに触れておくと…

(ちなみに、「グラフ」も、イメージ的には「データなどを図の形でまとめたもの」という感じの語に思えますが、homoが「同一の」を意味するギリシャ語由来の言葉であったのと同様、こちらは「write(書く、記述する)」という意味のギリシャ語を語源にもつ言葉なので、「タイポグラフィー」という語から想像できるのと同じで、実は、文字や記述されるもの全般を意味する言葉なんですね。)

 

https://en.wikipedia.org/wiki/Homographより

右上の黄色の円(正確には三日月っぽい形ですが)にいるのがホモグラフで、ホモグラフは実はheteronymヘテロニム)とhomonym(ホモニム)から出来ているということになるわけですが、これらはそれぞれ日本語というか漢字で書けば同形異音語同形同音異義語になるわけですけど、まさに図にあるように、desert(動詞で「放置する」のデートと、名詞で「砂漠」のザート;アクセントの位置が違います)がヘテロニムの例、tire(動詞や名詞で「疲労」(これを形容詞化したtiredの方がよく見ますが)、そしてよりおなじみ、車の「タイヤ」、どちらも同じ発音の「タィア」)がホモニムの例になるようですね。

 

そう、この話をしようと思ったときにせっかくなのでここまで触れておきたいなと思っていた点なんですけど、Yahoo知恵袋にも書いてありましたが、ちょうど図のヘテロニムがかなり大きいことからも分かる通り、品詞が変わると発音が変わることって、英語では極めて多いんですね!

とはいえ基本的には「動詞」と「名詞・形容詞」で変わることが多いわけですが(=名詞と形容詞は同じことも多い)、ちょうど高2の時のReadingの授業で担当だった先生が教えてくれて非常に印象に残っているフレーズがありまして、まぁ別にその先生オリジナルの話ではなく受験英語では結構おなじみのキーワードである、「名前動後(めいぜんどうご)」というのが、大変覚えやすいルールというかキャッチフレーズといえましょう。


まぁ説明するほどのものでもないですが、ちょうど先ほど上でも出てきて、かつマギ単シリーズでも触れていた(そこでは発音・アクセントについては触れなかったものの)「desert(デザート)」なんかが、名詞だとザート、動詞だとデートと発音するように、大原則として、多くの英単語では、名詞のアクセントは前に、動詞のアクセントは後ろに来ることが多い、って話ですね。


言うまでもなく、「present(プレゼント)」もそうで、カタカナ語のプレゼントは「レ」が強いと思いますが、我々は名詞として「プレゼント」という語を使うことが多いわけですけど幸いにしてこのイントネーションは正しく、名詞なら「プゼント」、一方動詞の「プレゼンをする」という意味で使いたい場合は「プレント」という発音になるという形で、実際慣れてくると、確かにそう発音すると動詞っぽい響きになるね!という気がするものです。

 

Wikipedia英語版にもまさに「名前動後」みたいな記事がありました。

en.wikipedia.org


この話の例として挙げる語としては、僕はpresentが一番いい気がしますけど、それは日本人がプレゼントという単語をよく使うからかもしれないだけで、大体の英語記事の場合、「record」が使われている印象ですね。

最早言うまでもなく、「録画する」という動詞なら「レード」、もう今は遺物ですが、音楽が収録された黒い円盤の「レコード」という名詞だと「コード」という発音になるということで、これは、日本語(カタカナ語)の「レコード」の場合、名詞として使うのに動詞型の発音になっているといえるので、日本人的にはちょっと直感的ではない例かな(でも、だからこそ要注意で覚えやすいともいえますが)、って気もしちゃいます。


上記Wikipediaには、この「名前動後」となる語のリストとして大量の単語が載っていましたが、もちろんこれは、「同じ語で名詞と動詞になる言葉」のことであり、「全ての名詞のアクセントが前」というわけでは決してないことに要注意ですね。

例えば極めて分かりやすい例外の例として、マギ単記事で触れていたデザートでも挙げていた通り、sが二つ付いたデザート(dessert)は、まさにカタカナ語のスイーツ的な意味のあのデザートですが、これは名詞なのに、カタカナ語の通りのデートという発音になりますから、「砂漠」という意味の名詞desertとはアクセントの位置が違います。

「デザートは、名前動後の例でよく見る単語だったな、なので、名詞ならザートだ」…と考えて、dessertなのにそちらをアクセントとしてしまうと、入試問題などでは間違えてしまうので注意が必要ですね。

 

一方、元々のネタである形容詞と動詞に話を戻しますと、こちらよりやっぱり「名前動後」で発音が変わるものの方が圧倒的に数は多いものの、検索したら形容詞もリストに挙げてくれている記事がありました。

 

yoursecondlanguage.com


Noun(名詞)とVerb(動詞)で発音が違うやつらは沢山あり(Wikipediaよりは少ないですが)、その下にAdjective(形容詞)とVerbで発音が異なるものが挙げられており、更にその下にNounとAdjectiveがありました。

どちらも三語ずつで、そんなにマイナー単語ではないもののそんなにメジャー単語でもなかったですが、形容詞と動詞なら、absent(不在・欠席している/欠席する)なんかが一番ピンと来ますかね。

ズバリ、presentの反対語で、presentの兄弟だけあって、形容詞と動詞でアクセントは変わる感じです(「動詞が後」は鉄則なので、形容詞がブセント、動詞がアブントですね)。

 

そして本題の名詞と形容詞ですが、これはcomplexが一番おなじみの単語ですかね?

こちらも、「名前(めいぜん)」の原則通りに、名詞が前で形容詞が後になるわけですが、「複合体・コンプレックス(いわゆるコンプレックスですね(何の説明にもなってませんが(笑)、精神的に抱える悩みみたいなあれです))」などなどの意味を持つ名詞なら「コンプレックス」、一方、「複雑な・合成の」という意味の形容詞なら「コンプックス」と、こちらも、日本語だと名詞として使うことが多いのに、英語でいう形容詞に近い発音になってるので注意が必要かもしれません。

 

…と、もう大分長くなってしまいましたが、そもそものホモグラフも、Wikipediaにリストがありましたけど……

en.wikipedia.org


いっぱいあるもんですね~。

リストの最後はまさかのyouで、やっぱりyouはホモグラフ(あぁ今更ですが、これは日本語だと同綴異義語(どうてついぎご)(別称として同形異義語(どうけいいぎご)もありますが、言語学では前者の方がよく使われてる印象です)、つまり、同じスペルで複数の意味のある単語の代表例なんだね!と思える感じでした。

(ただ、ぶっちゃけyouはいくつか意味はあれど全部代名詞ですし、これホモグラフと言えんのかぁ?って気は少ししますが…。)


といった所で、途中、わざわざ「高2の頃の先生が…」と書いていた通り、高校の先生に関する脱線雑談も書こうかなと思ってたんですけど(当初、ホモグラフリストを見て終わりぐらいの、短い記事になりそうな気がしていたので)、結局グダグダ長くなってしまったので、関係ないネタに逸れるのはやめておきましょう。

またいつか機会があれば語ってみたい所です。

では、次回もまた、いただいていたコメントに触れていこうと思います。

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