「アダプト」(Adapt/Adopt)という紛らわしい単語から意外と話が広がり、ACアダプターからコンセントを経て、話題は「ター」に移行していました。
前回触れていた通り、アダプターの「ター」は、実はadapterでもadaptorでもどちらでもいいという驚きの話だったんですけど、とはいえ普通はadapterであり、どちらのスペルも許容されている例の方が珍しいパターンなので、基本的にはこのややこしい接尾辞、各単語につきどちらか一方を覚えなくてはいけないという話ですね。
「ヤー」や「ター」が付加されることで「~する人・もの」という意の語を作る単語は大量に存在するわけですが、果たしてそこにルールはあるのでしょうか…?
今回はそちらに着目してみようと思います。
まぁこの辺の話、習ったことがある気もするけれど、正直ややこしすぎて「そんなの覚えてられっかよ」という風にしかならなかった記憶もあるような気がしないこともないわけですが……。
検索したら、やはりネイティブにとってもかなりややこしい部分のようで、ネイティブによるネイティブのためのまとめ解説記事はいくらでも見つかりました。
その中で、体系的にルールとその例語を列挙してくれていた記事と、違いをより深く、上手にまとめて説明してくれていそうな記事がパッと見つかったんですけど、まずはルールの記事の方からチェックしていきましょうか。
TheFreeDictionary.comという、オンライン無料辞書による解説がその前者の記事ですね(↓)。
早速、翻訳引用させていただきましょう。
(各ルールの例語が大量に列挙されていましたけど、まぁそれはあくまで一例ですし、メジャーな単語だけを少しだけピックアップして、挙がっている例語の大部分は省略しようかなと思います。)
よく混同される接尾辞:-er、-or、そして -ar
いつ、「-er」「-or」または「-ar」を語尾につければ良いのか
「-er」「-or」「-ar」は、いずれも動詞から動作主(「何らかの動作を行う人や物」を示す)名詞を作るために使われる接尾辞です。この3つの内、「-er」が圧倒的によく使われており、一方「-or」も、「-ar」よりは遥かに多く使われています。これらは同じ働きをし、発音も同じ(/ər/)なので、どの接尾辞を使うのが正しいのか判断に迷うことがあります。
接尾辞を使って動詞を動作主名詞に変える場合、ほとんど常に「-er」になります。しかし、代わりに「-or」を使うべきという判断をするために従うことのできる、いくつか特定の慣例があります。(「-ar」という接尾辞を使うことはもっと稀なので、このセクションの最後に別途説明します。)
ルール1:単子音で終わる動詞には「-er」を使う動詞が1つの子音で終わる場合、ほぼ常に、接尾辞「-er」をつけます。ただし、子音に母音が付く場合は、接尾辞の前に子音を二重に重ねるのが一般的です(が、必ずしもそうとは限りません;より詳しくは、母音と二重子音のセクションへ)。
例(※一部のみ抜粋):
- bat→batter(バッター、打者)
- cheat→cheater(チーター、ゲームなどで違反行為をする人)
- eat→eater(イーター、食べる者)
- rap→rapper(ラッパー)
- read→reader(リーダー、読者)
- sit→sitter(シッター、世話をする者)
- shred→shredder(シュレッダー)
- travel→traveler(トラベラー、旅行者)
しかしながら、このルールにはいくつか例外が存在します:
- conquer→conqueror(征服者)
- council→councilor(カウンシラー、評議員)
- counsel→counselor(カウンセラー、相談役・顧問)
- offer→offeror(提示者)
- sail→sailor(セイラー、船員・水平・セーラー服の語源)
ルール1.5:「-it」で終わる多音節動詞には「-or」を使う
「-it」で終わる単音節の動詞は、通常「-er」という接尾辞をつけ、最後のTを二重にしますが(hitter, knitter, quitter, sitterなど)、「-it」で終わる2音節以上の動詞は、「-or」という接尾辞をつけることが多くなっています。
例:
- audit→auditor(監査役)
- credit→creditor(債権者)
- edit→editor(エディター、編集者)
- exhibit→exhibitor(出展者)
- inherit→inheritor(継承者)
- inhibit→inhibitor(インヒビター、阻害剤)
- solicit→solicitor(代言者・弁護士)
- visit→visitor(ビジター、訪問者)
この慣例は基本的に信頼できるものですが、中には例外もあります:
- delimit→delimiter(区切り文字)
- profit→profiter(恩恵を受ける者)
- recruit→recruiter(リクルーター、新人の採用に携わる者)
また、最後のTの後に無音のEが続く場合は、この規則は適用されないことにもご注意ください。ルール2:無音のEで終わる動詞には「-er」を使う
子音+無音のEで終わる動詞の多くは、接尾辞「-er」(元の語の最後のEを置き換える)をつけます。
例:
- advertise→advertiser(アドバタイザー、広告主)
- bake→baker(ベイカー、パン焼き職人)
- bathe→bather(入浴者・海水浴客)
- change→changer(チェンジャー、変化をもたらす者)
- code→coder(コーダー、プログラミング設計者)
- divide→divider(ディバイダ―、分割機・分配者)
- give→giver(与える者・贈与者)
- grate→grater(おろし器)
- hate→hater(ヘイタ―、~を憎む者)
- love→lover(ラバー、恋人・愛人)
- make→maker(メーカー)
- organize→organizer(オーガナイザー、主催者・まとめ役)
- page→pager(ページャー、ポケベル)
- ride→rider(ライダー、乗り手)
- slide→slider(スライダー)
- time→timer(タイマー)
- write→writer(ライター、著者)
これは信頼できる規則ですが、例外もあります。多くの場合、単語が「-ise」で終わるときです:
- promise→promisor(promiserの変化形、特に法律関係の文章で使われます)(約諾者)
- supervise→supervisor(スーパーバイザー、監督者・管理者・上司)
- survive→survivor(サバイバー、生存者)
しかし、最も一貫した例外は、「-ate」で終わる二音節以上の動詞の場合になります。ルール2.5:「-ate」で終わる多音節動詞には「-or」を使う
複数の音節を持ち、「-ate」で終わる単語は、ほとんどの場合「-or」という接尾辞が付きます。この場合も、語尾の無音のEを接尾辞で置き換えます。
例:
- accelerate→accelerator(アクセラレーター、加速器)
- administrate→administrator(アドミニストレーター、管理者)
- animate→animator(アニメーター)
- calculate→calculator(カルキュレーター、計算機・電卓)
- coordinate→coordinator(コーディネイター、幹事)
- educate→educator(エデュケーター、教育者)
- elevate→elevator(エレベーター)
- generate→generator(ジェネレーター、発生器)
- motivate→motivator(モチベーター、きっかけ・動機付け要因・やる気を引き出してくれる人やもの)
- narrate→narrator(ナレーター)
- refrigerate→refrigerator(レフリジレーター(※ネイティブでも読み辛いのにめちゃくちゃよく使うので、ほぼ確実に「フリッジ」と呼ばれます)、冷蔵庫)
- terminate→terminator(ターミネーター、終末をもたらす者)
grater、hater、skaterなどのように、「-ate」で終わる単音節の動詞は、「-er」という接尾辞をつけることを覚えておいてください。
ルール3:子音クラスターで終わる動詞には「-er」を使う
ここまでは、子音と無音のEで終わる動詞の例を中心に見てきており、「-er」の代わりに「-or」が使われる(かもしれない)例もいくつかありました。
しかし、動詞が子音群(クラスター;同じ音節の中で2つ以上の子音が即座に混ざり合う)で終わる場合は、「-er」をつける可能性が非常に高くなります。
例:
- adapt→adapter*(アダプター)
- bend→bender(ベンダー、物を曲げる人・(転じて)飲酒暴行・飲酒による迷惑行為)
- boost→booster(ブースター、増幅器)
- build→builder(ビルダー、建築業者・起業家など)
- contend→contender(コンテンダー、競争者(※優勝の見込みが高い人やチームに用いられることが多い))
- defend→defender(ディフェンダー、擁護者・弁護者・ディフェンディングチャンピオンなど)
- duster→duster(ダスター、布巾・雑巾・掃除人など)
- forest→forester(フォレスター、森林労働者)
- golf→golfer(ゴルファー)
- grind→grinder(グラインダー、粉砕機・砥石)
- help→helper(ヘルパー)
- jump→jumper(ジャンパー、跳躍選手・上着のジャンパーなど)
- lend→lender(レンダー、貸し手)
- mend→mender(メンダー、修理人)
- protest→protester(プロテスター、抗議者)
- respond→responder(レスポンダー、応答者)
- shoplift→shoplifter(ショップリフター、万引き犯)
- tempt→tempter(誘惑する人)
- weld→welder(溶接機)
しかし、この慣例にはいくつかのよくある例外があります:
- invent→inventor(インベンター、発明家)
- invest→investor(インベスター、投資家)
- sculpt→sculptor(彫刻家)
- torment→tormentor(拷問官)
- vend→vendor(ベンダー、販売店・自動販売機)
(*Adapterはadaptorと表記することもありますが、こちらはやや一般的ではありません)
独特なものとして、語尾がCTというクラスターの場合は、「-or」を使うのがより一般的になります。
ルール3.5:CTで終わる動詞には「-or」を使う
他の子音クラスターで終わる動詞は「-er」という接尾辞をつけますが、CTで終わる動詞はほとんどの場合、以下のように「-or」という接尾辞をつけて名詞にします:
- abduct→abductor(拉致者)
- act→actor(アクター、俳優)
- conduct→conductor(コンダクター、指揮者・車掌、導電体)
- contract→contractor(コントラクター、契約者・請負人)
- correct→corrector(校正者)
- direct→director(ディレクター、指導者・重役・理事など)
- eject→ejector(イジェクター、排出装置・放射器)
- instruct→instructor(インストラクター、指導員)
- object→objector(異議を唱える者)
- project→projector(プロジェクター、映写機)
- react→reactor(リアクター、化学反応器・原子炉)
- reflect→reflector(リフレクター、反射器・レフ板)
- select→selector(セレクター、選択者)
ルール4:2文字子音で終わる動詞には「-er」を使う
子音クラスターで終わる動詞(CT以外)同様、2文字子音で終わる動詞には「-er」接尾辞を用います。これは3文字子音TCHで終わる単語にも当てはまります。
例:
- catch→catcher(キャッチャー、捕まえる人・捕手)。
- choreograph→choreographer(コレオグラファー、振付師)
- cough→cougher(咳をする人)
- etch→etcher(エッチャー、銅板画工・エッチング画家)
- laugh→laugher(笑い声、笑う人)
- march→marcher(行進者・デモ参加者)
- publish→publisher(パブリッシャー、出版社・版元)
- sing→singer(シンガー、歌手)
- teach→teacher(ティーチャー、教師)
- wash→washer(洗浄機・洗う人・(工具の)ワッシャー・座金)
- watch→watcher(ウォッチャー、監視人・看病人・通夜をする人)
これは、動詞が二重子音で終わる場合も同様です(後述するSSを除く)。
例:
- bluff→bluffer(ブラッファー、相手にブラフ(はったり・虚勢・ポーカーなどでのごまかし戦略)をかける人)
- buzz→buzzer(ブザー)
- call→caller(コーラー、来客・(電話などの)発信者)
- distill→distiller(ディスティラー、蒸留器)
- mill→miller(ミラー、粉砕機)
- roll→roller(ローラー)
- staff→staffer((アメリカ英語で、幹部などを含まない)平社員・職員)
ルール4.5:SSで終わる動詞にはパターンがない
FF、LL、ZZで終わる動詞には必ず「-er」という接尾辞がつきますが、SSで終わる単語にははっきりしたものがありません―明確なパターンがないので、特定の単語がどの接尾辞をとるかを記憶しておくしかないのです。
-er組
- address→addresser(差出人・宛名印刷機)
- dress→dresser(ドレッサー、着付師・衣装方・タンス)
- express→expresser(表現者)
- guess→guesser(想像だけで物を言う人)
- kiss→kisser(キスをする人)
- pass→passer(通行人・ボールをパスする人)
- trespass→trespasser(不法侵入者)
-or組
- assess→assessor(査定人)
- compress→compressor(コンプレッサー、圧縮機)
- confess→confessor(コンフェッサー、告白者・聴罪司祭(カトリックの、懺悔を聞く偉い人))
- depress→depressor(ディプレッサー、抑圧者)
- possess→possessor(所有者)
- process→processor(プロセッサー、加工機・演算機)
- profess→professor(プロフェッサー、教授)
- suppress→suppressor(サプレッサー、抑圧するもの・(生物学の)抑制遺伝子)
- transgress→transgressor(違反者・罪人)
(※案外面白い例語も多く、途中からほとんど省略しなかったこともあって無駄に長くなってしまったため、残り-arの部分のセクションについては、次回へ…)
…って、色々ありすぎ、ルール多すぎぃ!
しかも「ただし例外もあります」とか、果ては「パターンがありません」とか、こんなの最早ルールじゃねぇ!!
…と、一瞬憤りを覚える感じでしたがしかし、まぁ正直、冷静に考えたら、所詮-erか-orのほぼ二択の話な上、日本語の数え方の単位(個・枚・匹など)とかの方が覚える量としてはよっぽどグロいですし、それ以前に、我々はほぼ無限にも思える漢字を当たり前のように使いこなしているわけで、「よぉ考えたら自分たちの方が異常だったわ」と気付きを得るポイントだったかもしれません(笑)。
今回は途中でぶった切る形になったため、細かい話はまた次回終えてからにいたしましょう。
ただ一つ、adapterについては、ちゃんと注釈として「adaptorも使うけど、頻度は低い」と但し書きがありましたね。
信頼できるぜ、フリーディクショナリードットコム!
という所で今回はここまでですが、アイキャッチ画像は……栄えある例語の一つ目に挙げられていた、野球のバッターのいらすとからお借りしましょうか。大して本題には関係ないですけど(笑)。