似通った英単語に注意しよう(その8:アダプターの「ター」はどっち?)

紛らわしい単語に触れていくシリーズ、前回は「アダプト」(Adapt/Adopt)から、ACアダプターを経てコンセントの話などをしていました。


「アダプター」に関連して一つネタを追加しようかと思っているのですが、その前に、まずは「アダプト」の区別について見ておくといたしましょう。


こちらは、結論から書いてしまうと「適応させる」の方(と同時に、電源のアダプターの方ですね)がadapt、そして「養子縁組をする」「採用する」の方がadoptになるわけですけど、まぁ覚え方というか、これも何となく字面と意味がもう頭の中で結びついちゃってるパターンにも思えるわけですけれども、ド忘れしたときの思い出し方としてはそうですね……

「アダプト」という発音的には「a」の方が素直なスペルに思えますが、「よく見る方は、よく使うだけに、こっちの素直な方のスペルに違いない」というイメージを持っておけば十分とでもいいますか、「そこら中に転がってるアダプターは、普通に文字通りの分かりやすいスペルだったな」みたいに覚えておくだけでも十分といえる感じでしょうか。


ただこれは一応語源的にもしっくり来るパターンでして、「a」のアダプターの中に含まれる「apt」という単語は「適切な」や、他にも「~しがちな」とか「物覚えの良い」といった意味もありますけど、第一義ともいえる「適切な」というのが、adaptの意味である「適応させる」に、非常に近い意味といえるんですよね(日本語でもそっくりです)。


なお、語源から考えるならむしろ、adoptの方も非常に分かりやすいといえるかもしれません。

adoptは「採用する」すなわち「選別・選択する」という意味を持つ単語ですが、optは、optionという語の一部であり、これらが同源の語であることは大変分かりやすいのではないかと思います。

一応説明しておくと、オプションというのは「選択肢」という意味(まぁ、カタカナ語の「オプション」は、特に小学生とかだと、シューティングゲームで本体に付いてくる補助機みたいなイメージから、「補助的な」「付属する」みたいな意味なのかな?と思うこともあるかもしれませんが(というか、僕自身、子供の頃はそう思っていた感じです)、この単語第一の意味はあくまで「選択肢」ですね)ですから、ズバリ、養子縁組・採用時に選択肢から選び抜くという感じで、これは大変分かりやすいスペルになっているともいえる形ですね。

(というか、最初に書いてた「aの方が素直な綴りだしぃ…」とかより、そっちで覚える方がよっぽどまともでしょうか(笑)。)


そんな感じで、紛らわしいっちゃ紛らわしい単語ですけど、きちんと覚えれば確実に正しいスペルの方を思い出せるタイプの組ではあるかな、と思います。

スペルの区別法については結構素直な形なのでそんな感じでおしまいなのですが、もう一つ、個人的に「アダプター」に関してしばしば迷ってしまう点があったため、今回はそちらに触れてみようと思った次第です。

それがズバリ、記事タイトルにも挙げましたアダプターの「ター」の部分、要は、プレイ→プレイヤー(プレイする人=選手)などで見られる、元の単語を「~する人・もの」という意味に変化させる接尾辞についてですね!


「〇〇ヤー」(パッと思い浮かんだのは「転売ヤー」でしたが、この語尾は日本語にも適用されるぐらい身近なものといえましょう(笑))といえば、「-er」のイメージが強いと思うんですけど、色々見ていると、地味に、「-or」になるパターンも多くて辟易するのです。

例えば、日本語でもおなじみ「クリエイト(創造する)」から派生した「クリエイター(物の作り手という意味ですが、カタカナでもそのまんま通じますね)」なんかは、createrではなく、creatorと、「ター」の部分はいきなりoになりやがるんですよね。


とりあえず件の「adapt」について見ておくと、個人的にはerかorかしばしば迷い、「あ、アダプトって単語、そういえば『o』も含まれるやつだったじゃん!」と思って「adaptor」と書いたら、スペルチェックの赤波線が引かれて、確認したらこいつは普通に「adapter」で問題なく、「あぁ、『oもある』って話は、そういや養子縁組の方のadoptやんけ、ややこしすぎぃ!」と毎度発狂の憂き目に遭っているのでした。


…って別に発狂まではしてませんけど(笑)、でも「どうもアダプターって、何となくadaptorのイメージもあるんだよなぁ…」と思って調べてみたら、なんと!


間違いなくadapterの方が多数派ではあるけれど、特にイギリス英語では時代によってはadaptorの方が多数派だった頃もあったぐらいに(今ではadapterが優勢みたいですけど)、「どちらも使われ得る、もちろん意味は同じ」という感じのようですね…!


参照先のWritingexplained.orgの記事(↓)、グラフ付きでとても面白かったので、当初、今回は「er/or」全般の話にしようかと思っていたんですけど、ちょっと予定を変えてこちらを翻訳紹介させていただくといたしましょう。


リンクはこちらになります。

writingexplained.org

Adapter 対 Adaptor:違いは何?

英語には紛らわしい単語がたくさんあり、ネイティブの書き手もそうでない人も、同じようにつまずくものです。今回紹介する2つの単語も例外ではありません。

adapterとadaptorは、具体的にどのように使われるのでしょうか?

AdapterとAdaptorの違いは?

残念ながら、明確な、そして普遍的に観察されるような区別は存在しません。そうであれば良かったのですが、言語というのはそんなに親切なものではないということですね。

この記事では、adapterとadaptorの違いを概説します。これを読めば、この語を使う際、もう二度と不安に駆られることはないでしょう。


AdapterとAdaptorの使い分け

これらの言葉には、主に2つの意味があります。

1つ目の定義は、直接接続することのできない機器同士を接続するための装置という意味です。

  •  I need a power adaptor to charge my laptop.
    (ノートパソコンを充電するために、電源アダプターが必要だ。)

  • Most power adapters do feel quite warm to the touch, especially if you have the laptop turned on and are working as you recharge. This is normal. –The New York Times
    (ほとんどの電源アダプターは、特にノートパソコンの電源が入っていて、充電しながら作業している場合、触るとかなり暖かく感じる。これは正常なことである。―『ニューヨーク・タイムズ』紙)


2つ目の定義は、何かを適合させる人、例えば、ある文章を、映画や放送、舞台に適したものにするために脚色する人のことを指しています。

  • The screenplay adapter thinks the script needs some work.
    (その舞台の脚色家は、脚本に少し手を加える必要があると考えている。)

  • The plays were a very different story: I worked with the adaptor for 10 drafts. –The Washington Post
    (その戯曲は全く違う話であった:脚色家と一緒に10回ほど草稿を直した。―『ワシントン・ポスト』紙)


しかし、どちらの綴りを、いつ使えば良いのでしょうか?お気付きかもしれませんが、私は上記の例で、両方の定義に、両方のスペルを用いました。


可能性のある違い

この2つの単語には地域差があると主張する人がいます:「adapter」はアメリカ英語で、「adaptor」はイギリス英語で使われるというものです(そして逆の主張の人もいます)。

下のアメリカ英語の用法のグラフを見ると、「adapter」の方が「adaptor」より遥かに高い頻度で使われていることが分かります。

(※訳注:特に何の表記もありませんが、普通に考えて、横軸に年代・縦軸に利用頻度が示されたグラフですね。赤が当然adapterで、青がadaptorです。)


しかし、イギリス英語の用法を見てみると、アメリカ英語ほどではないにしろ、こちらも「adapter」が「adaptor」より頻繁に使われていることが分かります。

 

このことから、両地域とも、全体として「adapter」という綴りがより高い頻度で使われていることが分かります。

これは、それぞれの単語がどのように使われているか(装置か人か)を示しているわけではありませんが、「adapter」がアメリカ式で「adaptor」がイギリス式という考え方が間違っていることを証明するものとなっていますね。

地域差の代わりに、これらの単語を意味によって区別しようとする人もいます。

「adapter」は人を指すときにのみ使われ、「adaptor」は電子機器やその他の機械装置を指すときにのみ使われると主張する人がいます。

さらには、装置は「adapter」にも「adaptor」にもなり得るが、人は「adapter」にしかなれない、と主張する人もいます。

Fowler's Modern Usage Guideによると、このような区別は便利ではあるけれど、広く観察されるものではないとのことです。それに加えて、「adapter」という綴りは、どちらの意味でも3倍以上一般的である、ともされています。


結論は一体?

両方の単語とも、あらゆる文脈、世界中のあらゆる種類の英語で、互換性を持って使用されています。

自分自身が文章を書くときに安全策を取りたいなら、全てのケースで「adapter」を使いましょう。Fowlerの注釈にあるように、このスペルは英語圏で両方の意味を表す最も一般的な綴りです。この綴りにこだわることが、聴衆の注意を言葉の選択などではなく、メッセージそのものに向けさせる最善の方法なのです。


とはいえしかし、中にはこの2つの綴りを区別して使用する書き手も存在します。例えば、イギリスの新聞『ザ・ガーディアン』紙は、社内のスタイルガイドで「adaptor」と「adapter」を区別していますが、具体的には、装置を指す場合は「adaptor」を使い、人を指す場合は「adapter」を使うとのことです。

もちろん、これは絶対的なことではありません;単なる好みです。自分の文章をより分かりやすくするために区別したいのであれば、そうすれば良いでしょう。もし、シンプルにしたいのであれば、両方の意味で「adapter」を使いましょう。


まとめ

adaptorとadapterのどちらを使うべきでしょうか?

どちらの単語も同じように使うことができます。Adapterが、どちらの意味でもより一般的なスペルです。

 

大変面白い記事でした。

僕は当初グラフだけ見て「イギリス英語ではadaptorが使われがちなのかな」と思って、先ほど上ではそんなようなことも書いていましたが、実際アメリカの新聞でも普通にadaptorが使われているということで、これからは迷った結果「adaptor」と書いてしまってスペルチェックくんに警告を出されても、無視しようと思います!

(でもまぁ、やっぱり記事内のオススメにもある通り、adapterの方が普通なので、直した方が無難とはいえそうですけどね(笑))

 

ついでなので、あまり関係ないですが、記事最後の「まとめ」の段落は原文だとSummaryだったんですけど、その一つ前の「結論は一体何じゃらほい?」という段落見出しの原文は、「What's the Bottom Line?」という形でした。

この「ボトム・ライン」というフレーズ、めちゃくちゃよく聞く上、結構色々な使われ方のする、これまた厄介な熟語なんですよね(まぁ逆に、色々な使われ方があるからこそ気軽に使われているわけで、言い換えれば、雰囲気を掴めたら色んな場面で使える便利フレーズとも言えるのかもしれませんが)。


「ボトム・ライン」はまぁ字義通りの解釈なら「底=一番下の行」ということですけど、必ずしも「結論」に限らず、「最重要ポイント」とか交渉事での「これだけは譲れない最低のライン」みたいな文脈でも「The bottom line is...」みたいに使われる感じのフレーズです。

これ、本来は会計用語で、最終行すなわち「最終損益」を意味するフレーズであり、辞書にもそれだけが掲載されていることが多く、「ここを見て欲しい重要ポイント」という意味はいわばスラング的な用法になるわけですけど、スラング的とはいえ、この用法はむしろ会計以上にビジネスのあらゆる場面で(かなりフォーマルなものでも)めちゃくちゃ多用されている表現に思えます。


まぁ僕は、「『ボトムライン』って、ボトムのライン=下半身のシルエットか何かかよ(笑)」と思えて何か妙な響きに聞こえますし(ちなみに、スラング辞書を見ても、そんな意味は一切ありませんでしたが(笑))、僕自身は絶対に使いませんけど、本当によく見聞きする表現ですね。

 

…といった所で、引用記事が結構いい長さのものだったため、元々触れる予定だった本題の「er/orの使い分け」みたいな話は、また次回にまわさせていただくといたしましょう。

にほんブログ村 恋愛ブログ 婚活・結婚活動(本人)へ
にほんブログ村