コメ返信や補足その1-42:「状態」は素直だね!

前回の記事では、「実は現在形って、今現在の行動を表すのが苦手なんすよ」という意外な話を具体例を交えて紹介し(「I kiss her.」=今からキスをするとか今キスをしているとかではなく「普段彼女とキスをする習慣がある」という意味になる、など)、それを受けて「マジで?!そんなわけなくない?『I am busy now.』とかはどーなる?!」という一人芝居を打った所で一旦区切りをつけ、今回へ続く…としていました。


まぁもったいぶるような話でも何でもないんですけど、これは結局、「(その文で使っている)動詞の種類が異なる」ってのがそのポイントになっているわけですね。

キス (kiss) やパンチ (punch)(まぁどちらも日本語だと「キスをする」「パンチをお見舞いする」となるので、あんまり動詞っぽい単語には思えないかもですが)、あと他にも前回の例文で挙げていた「歩く (walk)」とか、他にも「行く (go)」でも「見る (watchなど)」でも「笑う (laugh)」でも「食べる (eat)」でもその他もろもろ、多くの動詞は(その名の通り)動作・行動を表すもので、英語だとAction verbsと呼ばれますけど(日本語では動作動詞と呼ばれることが多いでしょうか)、「単純な現在形で表した場合、『現在習慣的に行っていること』を意味し、決して今その話をしている瞬間の行動を示していることにはならない」という前回見ていた話は、実はこいつらに適用される話だったのでした。


つまり、動作動詞ではない方の動詞、これは英語だとStative verbsや稀にState verbsなんかとも呼ばれ、日本語では状態動詞といわれますけど…

(ちなみに、マーク・ピーターセンさんは、「Actionの中には必ずしも『動作』ではなく『行動』であることもあるから(例えばhunt a job(就職活動をする)のhuntというactionは、動作ではなく行動といえる…という例を挙げて)、『動作動詞』という日本語は、私にとってはさほど良い名称に思えない。一方『状態動詞』という訳語は申し分のない、完璧なネーミングだね」的なことを述べられていました。個人的には、別に動作も行動も大体一緒だし良くない?と思える気もしちゃいますけどね。)

…こちらのグループの動詞は、その名の通りその時の状態を表すため、現在形でそのまま使っても、その瞬間の様子を示すことができる、という話になっているわけです。


具体的に状態動詞の例などについて見ていく前に、前回の話をもうちょっと一般化しておきますと、結局英語の「現在形」という形の文は、「今その瞬間の状態を表す」文なのだと考えるのがベストであり、ピーターセンさんもそのような説明をしてくれていました。

なので、そう考えるとむしろ、状態動詞を現在形で使って「今その瞬間の状態を表す」というのは非常に分かりやすく単純なものであり、一方、動作動詞を現在形で表した場合は、「今現在、その行動を取るという状態(=日常的にそれを行う状態)に入っている」と考えることで、前回書いていた「○○をする習慣がある」という意味になる…と、一応一つの考え方でどちらも矛盾なく説明できる形にはなっているわけです。

(ってまぁこれはぶっちゃけ、「文法事項の説明あるある」な酷いこじつけにも感じられて、「いや『キスする状態に入っている』って、それはまさに今からキスをするとかちょうど今キスをしているということにはならんのけ?」とも思えますけど、これは例によって、そういう風に(=よくされる説明のように)考えたら一応納得できる説明にはなっているので、無理やりにでもそう考えて納得すれば理解の助けにはなるので、受け入れましょう、って話でしかないかもしれないんですけどね(笑))


よって、前回見ていた動作動詞の例文、「I smoke.」であれば「タバコを吸うという状態である=私は喫煙者です」になるし、「He plays baseball.」であれば「彼は野球をするという状態である=普段、日常的に野球をプレイしている」となる(日本語だと「彼は野球をやっています」で通りますが、決して今この瞬間野球をしていると言っているわけではないことに、改めて要注意です)、という感じなわけですね。

こじつけ理論でやや納得がいかなくても、一応そう考えれば正しい意味の理解にはつながるといいますか、むしろ、英語はそういうロジックで成り立っている言語なんだ、ともいえる重要な話だといえましょう。


そんなわけで、動詞の種類に限らず、「現在形というのは『現在の状態を表す』ものなんだ」と理解しておけば、動作動詞なら習慣を表す意味になるし、状態動詞ならそれはそのまま今の状態を表すことができる……という話が抑えられた所で(日本人的にはやっぱり、ややこじつけくさく思える部分はあるものの(笑))、では状態動詞にはどんなものがあるのかといいますと、まぁ最初および前回終わりにちょっと触れていた通り、もっとも代表的な状態動詞がbe動詞で、他にも一般動詞でよく使われるのが、love(愛する)、like(好む)、want(欲している)、know(知っている)、believe(信じる・思う)などなど、基本的に感情・知覚などを表すものが多いといえますね。


「動詞」というものは動作動詞と状態動詞の2つに分けられれますけど、いうまでもなく、世の中の動詞は圧倒的に動作動詞の方が多く、状態動詞は大分例外的な性質の、マイナーグループだといえそうです。

(しかし、状態動詞には動詞界最強の「be」という輩がいるせいで、実際の登場頻度ではむしろ動作動詞と状態動詞はほぼ肩を並べるぐらいになっていますから、(動作動詞を念頭に置いて)「動詞を現在形で使った場合、今現在の『時』を表す単語(todayとかnowとか)と組み合わせるのは不可能。意味がおかしくなる」という前回見ていたポイントが、そのせいで単純に鵜呑みには出来ないものになってしまっている、ややこしさの元凶ともいえましょう。

 何気に派閥は小さいとはいえ、be以外の、感情や知覚を表す動詞の登場頻度も、日常会話ではかなり大きいですしね、語数の割に無視できない存在であることは間違いありません。)

 

ちなみにそもそものこの「状態」という分類も正直、

「loveの『愛す』って、誰かと出会って見たり触れたりすることで生まれる心の動きで、相手に感情を吐露したり何らかの働きかけがあるものでもあるんだから、これだってある意味動作の一種とちゃいますのん?」

とか、

「knowの『知る』も、何かを吸収して学ぶことと同義であって、行動っぽいともいえへん?」

とか難癖をつけたくなる気もしちゃうんですけど、まぁこれは一応、

「『I love you.』というのは、『愛している』という状態のことだから」

「knowというのは、『知る』というより『知っている』という状態を意味する言葉」

という説明がなされる点ではあるものの、これもやっぱり例によって正直、若干こじつけっぽい話になってる気もしちゃうのは否定できない所かもですね(笑)。

文法なんてぶっちゃけ、誰かが決めた適当ルールをどこまで許せるかの勝負だといえましょう(笑)。

 

(ただ、個人的にかなり納得行かないので先ほどの単語例には挙げなかったものの話ついでにやっぱり触れておくと、実は、be動詞に並ぶ最強動詞の一角、haveもなんと状態動詞なんですね!

…これ、「『持つ』のどこが状態だ、模範的・代表的な動作じゃないか!ふざけるのも大概にしろ…!」と思えるわけですけど、まぁ僕もあんまり納得いかない組なのでその憤りを支持したい所ですが(笑)、haveの意味する所はあくまで「所有している」ということのようで、これは「何かが自分に所有しているという、状態を表すんだね」と、トンチかよ(笑)と思える話になってるんですね。

…分かります。「やってられっか!」となるのはよく分かりますが、ここは僕の顔に免じて(?)、こぶしを納めて受け入れていただきたい場面に存じます。

英語話者には、僕が後で「やーい、お前の言語、こじつけだらけの欠陥ひーん!」と罵っておきますので……。

(なお、日本語も普通に謎ルールはいくらでもあるので、言ってもただのブーメランになる模様(笑))

 

…と話が逸れましたが、状態動詞を使った現在形の文をおさらいしておくと、状態動詞はその時の状態を表しますから、「I am busy now.」なら「私は今、忙しいという状態である」で、そのまま普通に「私は今忙しい」になりますし、「I love you.」なら「私はあなたを愛している状態である」で、「私は習慣的にあなたを愛す」という謎な感じ(動作動詞の場合にそうであったパターン)ではなく、普通に「あなたが好き」という意味になる(全然関係ないですけど、「あなたが好き」の「~が」について、この使われ方だと主語ではなくいきなり目的語になるというのも、日本語の不思議な点ですね。やーい、俺らの言語、欠陥ひーん!(笑))ので、状態動詞の現在形は動作動詞のそれと比べて、極めて素直な意味になっているといえましょう。


それからもちろん、「I have a pen.」なら、haveはなぜか状態動詞に分類される野郎だったので、「私は習慣的にペンを持つ」ではなく、「私はペンを所有しているという状態である」=「私はペンを持っています」になるという、正直マジでこいつだけ何でだよ(笑)と思えるチート野郎な気もしますね(笑)。

(それがいいなら、「I smoke today.」も「私は煙を吸っているという状態である」=「今日、私はタバコを吸います」でいいじゃねーかよ、と思えますけど、文法界隈はそういう口答えを許さないクズのような業界なので、ここは潔く諦めましょう(笑)。)


そんな具合でhaveというややこしいやつもいますが、動作動詞と状態動詞の見分け方…というかその他の大きな違いとしては、状態動詞は既にその単語そのものが状態を表しているので、「be+ingにして、現在進行形の形を取ることができない」というのがその大きな特徴といえましょう。

なので、「私はペンを持っている」は、「I'm having a pen.」とは決して言えないんですね。

 

…あぁこれに関してちょっと考えてみたら、一応、これも何だかんだ日本語がややこしい例の一つかもしれず、「I have a pen.」というのは、先ほども書いていた通りやっぱり「私はペンを所有している」であって、「ペンを手に持っている」というのとはちょっとニュアンスが違うのかもしれませんね。

例えば「今、右手に持って(抱えて)いる」なら「I'm holding a pen in my right hand.」とか、「手に何を隠しているの?」なら「What are you hiding in your hands?」とか、そういう実際の動作を意味したいなら、ここは動作動詞を使って現在進行形にしなければいけない場面なんだと思います。

そう考えると、haveが状態動詞というのも、多少納得がいく話ともいえるでしょうか(まぁ、あんまりいえませんけど(笑))。


なお、「haveやbeは状態動詞なので、ing形は取らない」と書きましたが、それはあくまで状態動詞の意味で使う場合であり、何気に幅広い意味を持つこいつらは、実は動作動詞的な役割で用いられることもあるという、「出たよまた例外!」と英語考えた人をヌッ殺したくなるやつになってるんですね(笑)。

例えば、haveを「have a break(休憩を取る)」という意味で使った場合、このときのhaveはまさに動作動詞なので「I'm having a quick break until noon.(正午までちょっと小休止を取ってます。)」と、現在進行形を用いても全く問題ない形になっているわけです。

とはいえhaveもbeも大抵の用法は状態動詞としての使用であり、一般的にこいつらは状態動詞といえる、という話だといえましょう。


ただ、他にもどちらも取れる動詞は結構あって、分かりやすいのだとtasteなんかは、「~の味がする」という意味であれば状態動詞で…

(例:「This cereal tastes so delicious!!」(このシリアルはとても美味しい味がするという状態である=このシリアルめっちゃ美味しい!)…状態動詞なので、今食べたシリアルの味の感想を述べるのは、単純な現在形でOK(現在形でも、別に「習慣」の意味にはならない)……というかむしろ、現在進行形にはできません)

一方、「味見をする」という使い方であれば、これは動作動詞なので、「The chef is tasting the soup.(シェフが味見をしているよ)」と、今まさに味見をしているシェフを描写するならば現在進行形で表せる……というか現在進行形で表さなくちゃいけない話で、これを現在形にすると、「The chef is tastes the soup.(シェフは普段いつもそのスープの味見をする日々を送っている)」と、シェフの習慣を意味する文になっちゃうんですね。



…とそんな所で、あんまり大した話でもないのにちょっとクドクドと長ったらしい説明になってしまいましたが、実は、もう一つせっかくなら触れておこうと思えるネタがありました。

しかし結構長くなってしまったので、これまたもったいぶるほどでもない、この話が出てきたら必ず触れられる最早手垢のついたネタといえますけど、記事水増しを兼ねて、次回もちょっとそちらに脱線した話を続けてみようかと思います。

前回の記事含めこのネタに関してもご質問をいただいているので、脱線から戻り次第、また改めてそちらにも触れさせてもらう予定です。


記事タイトルもアイキャッチ画像も毎回あんまりいいのが浮かばない感じなんですが、まぁ今回は、状態動詞の代表ともいえるloveにちなんで、ハートのいらすとをお借りしておきましょう。


ちなみに「love=愛している」は状態ですが、このイラストが表していそうな「恋に落ちる」は動作動詞fallを使った「fall in love」という表現になるので、これを現在形で使うと「I fall in love easily.(私は普段、恋に落ちやすい)」みたいな感じの意味になってしまう、というのがこれまでのおさらいですね…!

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