スーツと援助も全然違うね!

それではコメントの続きです。

内容的にはほとんど被っていませんが、前回触れていたhelp yourselfに関するコメントからの派生ネタですね。

早速参りましょう。

Suit yourselfのご自由にどうぞは、これまたニュアンスが違うっぽいですし…って、このSuitはスーツのSuitですか??


⇒こちらも大変面白いポイントですねぇ~。

まず、Suitはまさしく一張羅のスーツと同じ単語ですが、この辺に関しても話が広がりそうなんですけどそれはまた次回にまわすとして、今回はSuit yourselfの方に触れていくといたしましょう。

 

こちら、まさにおっしゃられている通り、「ご自由にどうぞ」という翻訳でも成り立つ表現なんですが、完っ全にhelp yourselfとはニュアンスが異なるフレーズですね。

例によって勝手に自分の意見を語るよりネイティブの意見を参考にするのがベストでしょう、ということで、Q&Aフォーラムの力をまたお借りしようかと思います。


今回は、検索したらStackexchange.comのトピックがヒットしてきました。

(なお、HiNative.comの方にも、またもや日本人の方による「『Help yourself.』と『Suit yourself.』はどう違いますか?」という質問があったんですけど、「どちらも同じだよ :)」という回答だけがついており、改めてこのサイト、正直「うーん、この…」と思えちゃいましたねぇ……。

 ちなみにご質問者の方も、恐らく「例文だけでもありましたらお気軽にお願いします」という意図で「Feel free to just provide example sentences.」と書かれていましたが、これはちょっと、日本語に引っ張られた感もある言い方で、若干上から目線的な言い回しになってる気がするといいますか、「例文あったら、書いてくれても構わなくてよ?」「例文貼るだけでも、ご自由に(ご勝手に)どうぞ」「君に例文を貼る権利を与えよう」みたいなニュアンスが感じられる気がしちゃうかなぁ、と思えます。
 まぁ、僕がそう感じるだけで、必ずしもネイティブの全員がそう感じるかは分かりませんけど、ちょうど日本語でも、「例文だけでも結構です」という書き方だと、「え?アドバイスもらう立場の人が、なんぞちょっと偉そうだな…」と感じるのと同じ形じゃないかな、と思います(もちろん別にそんなこと全く感じない人もいると思いますし、僕も別にこの言い回しに対してイラッともムカッとも一切しませんけど、少し無礼さを感じるので、自分なら決して使わない表現かなとは思えます)。)

 

余談が長くなりましたが、こちらのトピック(↓)を、早速翻訳引用させていただきましょう。

english.stackexchange.com

(なお、このサイトは回答の他にコメントも付けられる形ですが、今回の質問に付いていたコメントは、

「こんなフレーズは極めて一般的だから、検索したらいくらでも説明が見つかるじゃないか。例えばこのフリー辞書とか」

…というしょうもないお説教みたいなものだったので、まぁ今回は無視しましょう(笑)。とはいえ、実際オンライン辞書をきちんと読めば解決する話ともいえるんですけどね。

 あとそれから、以前は気付きませんでしたが、このサイトでは各回答に「いいね」「よくないね」の数に応じたスコアがついており、高評価順に並んでいたんですね。今回もデフォルトである高評価順に見ていきましょう。)

 

stacker(質問者、ヨーロッパ在住):「Suit yourself.」はどういう意味?

SO(※訳注:恐らく、このサイトの兄弟サイトである、プログラマー用のQ&AフォーラムであるStackOverflow.comのことですね)でこの表現を見かけて、「suit yourself」というイディオムをググったんだけど、一致する訳語が見つからなかったんだ。


文脈としては、質問者が小言を言っていて、回答者が堪忍袋の緒が切れたというものだったよ。

 

Monica Cellio(上位2%に位置する、高評価回答者):回答スコア21点

「Suit yourself」は、基本的に「分かった、何でも何なりと好きにしてくれ;もう何も言わないから」という意味だね。これは、話し手が聞き手に何かをさせるために何らかの試み(恐らく小さな試み)をしたことを意味するよ;なので、一般的にいきなり言う言葉ではないかな。アメリカ英語ではかなり一般的なイディオムだよ。由来は知らないけどね。

 

Mehper C. Palavuzlar(上位0.43%に位置する、超高評価回答者):回答スコア6点

ケンブリッジ上級学習英英辞典は、「Suit yourself」を、以下のように定義している:

suit yourself!

インフォーマル

ユーモラスに、あるいは怒って、「do what you want to do(やりたいことをやれ)」という意味で使われる表現

ここにもナイスな議論がある。リンク切れになったときのために、以下にこの書き込みをコピーしておこう。

投稿者: R. Berg 投稿日: 2004年5月22日

Word Camelによる2004年05月21日の「Re: しかし、なぜ他に」への返信

: : そういう時に言われるのだろうか?「私の方にもあの人たちの方にも行きたくないのなら、自分の道を行けばいいと思う」という文脈なんだけど。

: : 「Suit yourself」は「Do what you want(お好きなように)」と同じように、常に議論や対立の文脈を持つわけではないよ。中立的に言うこともできる。口調に耳を傾ける必要があるね。

: : これは、同意に使うには適さないと思う。いずれにせよ、口調に耳を傾ける必要があるのはその通りだね。

: : 「ヘイ、みんなでゲームに行くんだ。来てみない?」

: : 「もちろん、最高じゃん」の意味で「Suit yourself」

: : あるいは、「ステーキのおかわりはいかがですか?」おいしそうの意味で「Suit yourself」

: : さらには、「ベスよりメアリーと付き合いたい」俺もそう、メアリーの方が可愛いわ…の意味で「Suit yourself」

: : 「Suit yourself」は上記のどの例にも当てはまらないよ。反応を否定的なものに変えれば、それぞれの例で「suit yourself」は機能するね。

: いや、そんなこたぁない。確かに、最近は皮肉っぽく使われることが多いかもしれないけど、中立的に使われる例もたくさんあるんだ。

: 「メカジキやステーキがありますから、suit yourself!」「船室には3つのベッドルームが用意されていますので、suit yourselfしていただけます」

私は、「Suit yourself」が主に同意や非同意の状況に関係しているとは思わない。誰かに選択肢を提供するときや、その選択肢が自分ではなくその人のものであることを明確にするときに言う言葉である。「Up to you」と似ていて、「Up yours」とは似て非なるものだ。

(※訳注:↑引用の引用部分、誰が誰に言ってるのか、発言者がちょっと分かりにくい書き込みですね…)

 

rest_day(上位4%に位置する、高評価回答者):回答スコア3点

誰かが「suit yourself」と言ったら、「you decide for yourself(自分で決めなさい)」という意味で、「あなたの選択に私は責任を持ちません」という暗黙の了解があるといえるかもしれないね。

おそらく、「It suits you(それはあなたに合っている)」のようにsuitを使うことから来ているのであろう。

 

apaderno(上位0.23%に位置する、超高評価回答者):回答スコア1点

新オックスフォード米語辞典に記述されているように、「suit oneself」は「act entirely according to one's own wishes(己の欲するままに振る舞う)」を意味する。

私はあなたを助けるつもりはない。

Suit yourself.(お好きにどうぞ。)

 

Annoyed:回答スコア0点

この表現は、誰かが他の人がやっていることや選んでいることに腹を立てているときに使われる。

AからBへ) ねぇ、今週末にハイキングに行かない?その後、君の好きなあのレストランで夕食をとろうよ。

B)うーーん。いや。友達と出かける予定があるんだ。

A) Suit yourself.(勝手にせい。)

 

chapka(上位4%に位置する、高評価回答者):回答スコア0点

英語では、"to suit "という動詞の意味の一つに、「~に満足する」「~にふさわしいと思う」というものがある。なので、例えば誰かの予定に約束を合わせようとする場合、次のように言うことができよう:

木曜の1時なら空いてます。Does that suit you?(そちらにも合っていますか?)

木曜日の1時に会うことに相手が同意するかどうかを尋ねているわけだね。もし合意に至れば、こう言うかもしれない:

That suits me fine.(大丈夫です。)

一方、こう言ったら:

Suit yourself!

この場合、こういった意味合いで「suit」を使っている。通常の文脈では、話し手が双方の意見を取り入れようとしているのに、相手が協力的でないためにイライラしているというものになる。これはちょうど、以下のように言っているのとほぼ同じだ:

Fine; do whatever you want to do, then.(よろしい。じゃあ、好きなようにして下さい。)

話し手があきらめている、あるいはもう何でも構わないという意味合いがあるね;会話の途中よりも最後に聞くことが多いであろう。

 

Joe:回答スコア -1点

文字通りの意味を考えてみよう―「suit yourself」―比喩的な意味は、話し手が、他人の手を借りずに鎧や衣服を身につける行為からきているようだ。Etymonlineによると、「suit」の動詞形は15世紀まで遡り、「make agreeable(同意・適合させる)」という意味とのことである。つまり、「go ahead, agree with yourself (and not me)((私ではなく)君自身に合わせてくれ)」というのが、ある種の憤慨を込めて言う場合の裏の文脈のようだ。これは、より生々しい表現として「you can go fuck yourself(勝手にしろやクソが)」にも通じるものがあるかもしれないね。私は、「suit yourself」は、議論することに対して真剣な利害関係はないが、注意は喚起したいような、意見の相違を表現する丁寧な方法にはなり得ると思う。でも、これを「中立」と呼ぶのは、ちょっと違うような気がするよ。

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ということで、若干英語話者の間でも意見が割れているようではありますが、圧倒的に「いいね」を集めていた最初の回答にもあるように、基本的には「うんざり感」を伴う、「もう知らね、勝手にして」というニュアンスの強いのが、この「Suit yourself.」という表現だといえそうですね。

(最後の回答も色々面白い情報が含まれる良い回答に思えましたが、やはり「ファック」という単語はネイティブの目には受け入れがたいのか、まさかのマイナス評価というのもちょっと笑えましたね。)


もちろん文脈によってはニュートラルな意味も出せるのかもしれませんけど、あくまで文脈・条件次第であって、基本は「呆れてる感」のある台詞と考えておく方が安全かな、という気がします。

その意味で、大変丁寧な「よろしければどうぞ」というニュアンスのある「Help yourself」とは、似た意味・構造でありながら、一語の違いで大きな差が生まれる表現だという感じといえましょう。


あと、検索したら他に出てきた記事も分かりやすくまとめてくれていたので、もし上記の引用部分がすぐ終わりそうだったら、そこで触れられていたもう一つの「yourselfを使ったフレーズ」についても取り上げようと思ったのですが…

www.espressoenglish.net


もう大分長くなったのでこちらを全文紹介するのはやめておきましょう。

一応、上記リンクカードにもある通り、もう一つよく聞くイディオムは「Make yourself at home」で、これはもう単純に、家に来たお客さんに向かって「自宅のようにおくつろぎください」というものですね。

(なお、上記エスプレッソイングリッシュの記事でも、「Suit yourself」は、「自分は納得いっていないけど、もう説得も無理そうで議論するだけ無駄だから「好きにして」というときに使う表現…と、やはりネガティブなイメージを伴うものと説明されています。)


yourselfと組み合わせた場合、援助とメイクはとてもポジティブで優しい表現である一方、スーツは若干厳しい感じなので、使う際は要注意かもしれません、という感じですかね?

(まさに、このいらすと通りのイメージでしょうか(笑))

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