コメ返信や補足その1-49-14:「The Japanese」呼びは無礼なのか…?

前回、「複数の日本人たち」の意味で、Japaneseにsをつけた「Japaneses」という語の実態について見ていましたが(結論としてはその意味でsを付けることはなく、あるとすれば「複数の日本語」と言いたいような場合のみ)、そこから発展して、この英単語についていくつか気になることをもうちょい見ておこう、というのが今回の内容ですね。


元々StackExchange(SE)のQ&Aフォーラムに興味深い内容があったのでそれに触れる予定だったのですが、前回見ていたRedditの記事でも、ちょうどそのネタに関連する話がちょいちょい議論されていました。

そのReddit記事は、本題は解決済みだったこともあって完全に途中でぶった切る状態だったため、まずはそちらの続きから見て、その後SE記事を見ていこうと思います。


改めて、前回既に半分ほど見ていたRedditのスレッドがこちらですね(↓)。

www.reddit.com
前回の続きからですが、早速参りましょう。

 

blaze1234(新規投稿者):回答スコア8点

Japanese men / women / peopleとすべきだね。

「Three Japanese」は古臭く、私には人種差別者に聞こえる(アメリカ人の意見)。

Jewish の方が Jews よりも良いというのと同じだね、明らかに友好的な文脈でない限りは。

「The gays」「The Blacks」は間違いなく偏見を意味している。差別されることが多いグループを呼ぶのは、形容詞として使うのがベストだ。「slave(奴隷)」を「enslaved people(隷属させられた人々)」に置き換えるようにだね。

人々は一枚岩ではないし、その呼び名が人々を完全に定義するわけでもないんだ。

 

chocolatechip_camo(ネイティブスピーカー):レススコア1点

これに関してのそのルール、ちょっと混乱してしまったよ。「three Cambodians(カンボジア人3人)」は問題ないけど、「three Chinese(中国人3人)」はそうではない。最も近い説明としては、国民性から切り離された民族として語られることがあまりない場合は、国名で呼んでも問題ない、ということではないかな。Three Chileans(チリ人3人)、問題ないね。Three Mexicans(メキシコ人3人)、微妙。Three Kenyans(ケニア人3人)、OK。Three Arabs(アラブ人3人)、良くない。Three Brits(イギリス人3人)、OK。Three Poles(ポーランド人3人)、良くない…などなど。もし、そのグループが大きなディアスポラ(移民・植民)を代表しているのであれば、民族で呼ぶのは適切ではないし、人種で呼ぶのはほとんどの場合、軽蔑的である。例外:Three Asians(アジア人3人)は通常OKだけど、three whites/blacks (白人/黒人3人)はNGだね。Three Hispanics(ヒスパニック3人)はOK、three Latinos(ラテン系3人)はOK、three Jews(ユダヤ系3人)はダメ。Three MuslimsまたはChristians(イスラム教徒やキリスト教徒が3人)も問題なし。全く論理がある話ではないんだけれど。Brits(イギリス人)は準卑語で、Frenchmen(フランス人)は古臭いし、Germans(ドイツ人)は問題なく、Russians(ロシア人)も問題ないけど、Spaniards(スペイン人)はその中間、Italians(イタリア人)は問題ないものの、Finns(フィンランド人)やSwedes(スウェーデン人)は良くないね。Congolese(コンゴ人)とSomali(ソマリア人)は使われないけど、他のアフリカ人はほとんど国名で呼ばれるかな。アジアはほとんど「X people」が必要となるよ。ラテンアメリカは混在している。マジでめちゃくちゃ分かりにくいね。

 

blaze1234(新規投稿者):レススコア3点

そうだね。ルールではなく、使い方で定義されるもので、学習者には暗記が必要だ。

Orientals(東洋人)は昔はOKだったけど、今は絨毯と学者だけだね。

みんながミックスされた結果、ただのpeopleになることを期待しているよ。

 

(削除済み投稿者):レススコア1点

Finns(フィンランド人)、Swedes(スウェーデン人)は完全に全く問題ない。Brit(イギリス人)は蔑称ではない。それ以外は、賛成だね。

 

 

OllieFromCairo(一般的アメリカ人のネイティブスピーカー):回答スコア14点

「Japanese」を名詞として使うのは侮蔑的とみなされるので、基本的には避けた方がいいと思う。なので、心配するぐらいなら、代わりに「a Japanese person」や「the Japanese people」を使うのがいいね。

 

LearningWithInternet(スレ主、B1レベル):レススコア2点

良いアドバイスだね、ありがとう。

 

sfwaltaccount(ネイティブスピーカー):回答スコア2点

こちらの私のコメントを参照してくれ。

一般的に、日本の人を指す名詞にJapaneseを使うことは全く推奨できないし、「Japaneses」はさらに完全におかしく聞こえるね。

辞書では認められているかもしれないが、私にはとんでもなく古臭く聞こえ、侮辱的とさえ思う人もいるかもしれないよ。

(※注:↑で貼られていたリンク先のコメントは、「-eseまたは-ishで終わる国籍の単語は、人を表す名詞として機能しない(例:(×) I'm a Japanese. (×) I'm a Turkish.)けれど、-anや-ianで終わるものは使える(例:(OK) I'm a Mexican. (OK) I'm a Nigerian.)と思う」とのことでした。)

 

ConnachttheBluebriceleaf.com - 英文校正します):回答スコア2点

他の方のコメントの繰り返しだけど、確かに「three Japanese」や「three Japaneses」ではなく、「three Japanese people」と、私自身言いがちに思えるね。

 

LearningWithInternet(スレ主、B1レベル):レススコア1点

そして、「one/a Japanese person」または「person」なしなのかな。

編集:なるほど、「person」付きにすべきなんだね。

 


Careful-Break-3786(新規投稿者):回答スコア2点

japanesesという単語は聞いたことがない。Japaneseで正しい複数形だし、これは単数形でもある。

「He is japanese」

「They are japanese」

 

 

TheBananaKing(ネイティブのバナナ(豪)):回答スコア2点

通常、人について話す場合、形容詞を名詞として使うことは避けるべきといえるね。侮辱的/人種差別的/品位を落とすものだとみなされる可能性があるよ。

国籍によっては大丈夫だけど(例えば、誰かを「an American(アメリカ人)」と呼んだり、「Germans(ドイツ人)」について語ることは可能)、他のほとんどの形容詞は、形容詞として使うべきだね。

「a Chinese(中国人)」とは言わず、「a Chinese person(中国の人)」と言おう。

「a gay(ゲイ)」とは言わず、「a gay man(ゲイの男性)」と言おう。

「a female(女)」とは言わず、「a female customer / patient / politician / etc(女性客/女性の患者/女性の政治家など)」、または単に「a woman(女性)」と言おう。

もし疑問があれば、常に人々を表す名詞を使うといいよ。

 

 

Necessary-Chicken(新規投稿者):回答スコア2点

お願いだから、民族を名詞としては決して使わないで。なぜこれが間違っているかの良い例としては、誰かが『those Blacks(あの黒人たち)』と言った場合と似たようなものだといえば分かりやすいんじゃないかな。Japanesesはほぼ全ての文脈で間違っているように聞こえる。単に『Japanese people』と言おうよ。

 

そんなわけで、議論のポイントは、「Japanese」をそれ単独で「日本人」を指すのは失礼にあたるのか?……という点にシフトしつつあった形ですが、当初参考にしようと思っていたSE記事での論点とは、よく見たらまたちょっと違うものでした。

ひとまず一旦そのSE記事の方も見ていくといたしましょう。

 

ell.stackexchange.com

alex(質問者、上位5%に位置する優良回答者でもあり):数えられない国籍の形容詞を記述する際は、「the」を使うべき?(質問スコア1点)

例文:

(The) Japanese have been doing business with (the) Chinese for a very long time.
(日本人は非常に長い間、中国人とビジネスを行ってきた。)

(もしかしたら「the」を使うのはちょっと侮辱的にあたるかもしれない?)



user3395:回答スコア2点

以下の名詞句には、それ自身に内在的な侮蔑的な響きはないよ:the Japanese(日本人)、the Chinese(中国人)、the Portuguese(ポルトガル人)、the Nepalese(ネパール人)などなど。

a Japanese, a Chinese, a Portuguese, a Nepaleseなどという形で、一人の日本人/中国人/ポルトガル人/ネパール人/などを指すのは慣用的(かつ自然)ではないけどね。でも、これらの表現も侮蔑的なものではないよ;単に英語では使われないってだけさ。しかし、a Japanese / Chinese / Portuguese / Nepaleseなどに、person/student/man/woman/childといった単語をつければ、これらはすべて慣用的(自然)に聞こえるね。


ロングマン現代英語辞典には以下の項目がある:

the Chinese

people from China(中国出身の人々)

the Japanese

people from Japan(日本出身の人々)

つまり、これらは単純にそれぞれ中国および日本から来た人々という意味にすぎないんだ。


以下のような文章…

1. The Japanese have been doing business with the Chinese for a very long time.
(日本人は非常に長い間、中国人とビジネスをしてきている。)

…は完全に文法的であり、慣用的でもあるよ。JapaneseとChineseは形容詞だね。これらはそれぞれの名詞句の主要部ってことさ。名詞句だって?その通り、普通は名詞が名詞句の先頭になるので(例えば、a pretty girlという表現の場合、girlは名詞で、その名詞句の主要部として機能している)、これは奇妙な現象だけど、形容詞の中にはこういう使い方ができるものがあるってことだね;すなわち、poor(貧しい)、rich(豊かな)、free(自由な)、gifted(才能がある)、Chinese(中国の)、Japanese(日本の)などなどさ。

形容詞が融合修飾語主要部として機能するこの特殊な構造には、いくつかの興味深い性質があるよ。一例としては the 以外の限定詞は許されないということだね;例えば、a poor / Chinese / gifted は文法的に正しくないんだ。もう一つの性質は(いくつか例外あり)、名詞句全体が複数形である、って点があるね。つまり、the rich / Japanese / free has somethingとは言えないわけだ(※注:意味がおかしいわけではなく、動詞がhasにはならないということですね)。

2. Japanese have been doing business with Chinese for a very long time.
(日本人は非常に長い間、中国人とビジネスをしてきている。)

改めて、JapaneseChineseは通常、文中のこれらの位置で属性修飾語として機能する形容詞なんだ―ただし、修飾するような名詞がないことを除いて、といえるね:Japanese companies have been doing business with Chinese companies for a very long time(日本企業は非常に長い間、中国企業とビジネスをしてきている)は、文中にこれらの形容詞が修飾する名詞があるのでOKといえるよ。

さらに、これらの形容詞は融合型修飾語主要部としても機能していないんだ。なぜなら、これらの想定される名詞句には the が存在しないからだね。

したがって、文2は非文法的であるということになるよ。

 

(※他にもう一つ、「theがないと日本人全般を指し、theがあると定冠詞付きだから特定の日本人を指していることになるね」という回答が付いていたのですが、まさかのスコアは「マイナス1点」で低評価のみとなっていたので、大分長くなっていることもあり、そちらは割愛させていただきましょう。)

 

…と、最後回答を1つ割愛したものの、何気に僕の中の考えでは、その低評価回答の通りのもの(=theのあるなしで、特定しているかしていないかが変わる)だったんですけど、どうやら、user3395さんがかなり突っ込んで説明してくれているように、Japaneseという単語におけるtheは、いわゆる「あの日本人」という意味を作るために…というより、文法構造上必須なものであったといえそうです。

これは大変面白いポイントでした。

ということで、まさに「あの日本人」「あの中国人」という言い方だと、何となく侮辱的・差別的なニュアンスがもしかしたら含まれていないかな、と非ネイティブ的には不安になるというSE記事の質問者の気持ちも非常によく理解できるものだったんですけど、少なくとも「the Japanese」という表現自体にはそういう攻撃的な意味合いは全くないという感じで、このSE記事は非常に納得いくものでしたね。


ところがどっこい!

最初に見ていたRedditの方では、また少し違う観点からの、別の議論が展開されていた形じゃあありませんか…!

どうも、「people」などをつけず、「three Japanese」という感じで「3人の日本人」を指すような表現は、人によっては侮辱的な表現に感じることもあるというようですね。

当初、「んなわけあるかい(笑)。普通の表現だべ?」と思って読んでいたのですが、どうも、複数のネイティブが全く同じ(細かい点が違うことはあれど、概ね似たような)主張をされているので、どうやらマジで「Japanese」という単語単独で名詞として「日本人」を指すという呼び方は、侮辱的…とはいわないまでも、人によっては不快に感じることもあるかもしれないので、何気に極めて注意が必要な使い方だといえるのかもしれません。


同じ理屈で、「a Japanese」という言い方(=特に何か別の単語をつなげず、これ単独で「一人の日本人」という表現)は絶対にしない方がいい(というか、普通に聞かないおかしな表現)ともされていました。

(この辺は、SE記事の回答(=使わないけど、侮辱的なニュアンスはないように思う)とは若干食い違うものの、少なくともおかしな表現であることは疑いようがないといえそうですね。)


「それマジ?!今まで絶対ぇ使ったことがある気がするんですがそれは…」と思えたものの、よく考えたら、「I'm a Japanese post-doc(日本の博士研究員です)」とか「I'm from Japan」とか、あとは微妙な違いだけど「I'm Japanese.」(←名詞ではなく、形容詞で「日本の」という意味で用いていることになるので、「名詞として使うな」ルールからはセーフすね)みたいな感じで言うことの方が多かったような気もするので、ギリギリ回避できてたかもしれない……とも思えたものの、その辺はまっったく意識していなかったので、間違いなく「I'm a Japanese.」と言っていたこともあると思います。


幸いにして、自分のことを言う場合は仮にちょっと侮蔑的でも基本問題ないように思うためヤバすぎるミスにはならないのが不幸中のラッキーとは言えますが、まぁ言葉に繊細な人であれば、「その言葉遣いは良くない/教養が欠けた人だね」と思われていた可能性が非常に高い話だったといえそうです。

(…って、まぁ理論上はそうですけど、自分のようなカタカナ英語の場合、どう考えてもそれ以前の問題=「なんやコイツ、英語下手すぎだろ(笑)」としか思われないので、そういう話の中身の判断に持ち込まれる以前の論外さがあると考えれば、差別的うんぬんの話はセーフともいえる(=どう考えても、こんな覚束ない英語を話す人が、そういう表現の機微を意識できているわけはないから)んですけどね(笑)。)

 

「Japanese」を名詞として「日本人」を指すのが果たしてどれぐらい良くない表現なのか、非ネイティブの僕には分かりかねますが、「やめるべき」という主張は間違いなく全く見当外れな話ではないように思えるので、これからは形容詞のみを使って名詞のように人を指すことはしないように注意しよう、と思えた話でした。


ちなみに前回「SE記事、3つほど見ようかなと思っています」と書いていた通り、当初、今回見ていたSE記事で語られていた別の論点=「Japaneseは形容詞でぇ…」という部分も、「マジけ?!」と思えるネタだったのでそれに関する記事を続いて見ようと思っていたんですけれども、既に長くなりすぎたので、これまた次回持ち越しとさせていただこうと思います。

 

とりあえず今回は自分自身、大変学びがある(というかマジで全く知らなかった)話になりました。

JapaneseやChineseは、この語単独の名詞用法で日本人や中国人を指すのは控えた方が良さそうで、「a Japanese person」「Japanese people」などのように、形容詞として、名詞を修飾する形で使いましょう、というのが結論ですね。

アイキャッチ画像には、和服のいらすとをお借りしました(↓)。

「Japanese clothes」ですね!)

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