ちょ、待って!「待った」の表現をもうちょい見てみよう

既に何度か取り上げているAll setの記事前回も貼ったのでリンクカードは省略)へのコメントでは、もう一点、記事内で触れていた別のネタにも言及されていました。

今回はそちらを取り上げさせていただきましょう。

(もちろん前回同様、コメントはアンさんからのものになります。)

 

そして、waitはあんまり良くないような気もしながら普通に使ってますけど、just a momentもまぁ使いますけど…

hold onって、電話で「切らずにそのまま待っててね」みたいに使うじゃないですか??

なので、電話でしか使わないって思い込んでました。

っていうか、多分日本で電話のかけ方とか習う時に、まずそうやって教わるような気がするので、This isと同じく電話用語って思いがちですよね。これもやっぱり私だけかもですが笑


⇒そもそもholdが、電話のボタンにたまに [HOLD] ボタンが付いてたりしますし(まぁ普通は[保留]と日本語表記だと思いますが、シャレオツな電話は英語表記のもある気がします)、それもあって電話と結びつきの強い印象のあるフレーズなのかもしれませんね。

そして、電話ではもう一つ、hangもしばしば出てくるわけですけど、まぁ流石に多少慣れはしてきた気はするものの、初めて知ったときは、両方hで始まるし、「抱え上げる」「吊り上げる」という若干似たイメージの原義のワードってこともあって(そんな似たイメージなんて1ミリもないかもしれませんが(笑))、使う場面も意味も形も似すぎ紛らわしすぎで腹立つのり(笑)と思えるわけです。

hangはまた後ほど出てくるので、そこで改めて触れてみましょう。


hold onはもちろん電話でも「つなげたままでお待ちください」の場面で間違いなく登場してくるイディオムですが、All setの記事でも触れていた通り、電話以外の場面でも普通に頻繁に使われる表現となっています。

記事でも書いていた通り、僕が一番よく聞くのは、複数の似たようなテーマをやってる研究室が集まって、主に学生が最近の実験結果なんかを報告する発表会みたいなのがあるんですけど…

(そんなに大規模でも公式でもなく、3, 4の研究室が集まって小規模にカジュアルにやるタイプです。例えばガン研究をやってるラボの集まりだったらCancer clusterとか、酵母を使ってるラボの集まりだったらYeast clusterとか、そういう感じですね。どうでもいい話ですが、場の雰囲気も一応重要なため、書いておきました)

…その場で、よく一緒になる割と似た研究をしているおばあちゃん教授が、あやふやな点・疑問点があると、発表者に向かって即座に「ホードン」とか「ホードンアセカン(Hold on a second.)」と言って、「ちょっと待って」と止めているのをめっちゃくちゃよく耳にする、という感じです。


この場面で「Wait.」というのはあんまり聞いたことがないし、かなり直接的すぎる表現なので、「waitは強すぎるのではないか?」と思っていたのですが、どうも最近、いただいたコメントで気になって改めてチェックしてみると、やはり自分の英語もそこまでのレベルじゃないこともあり、案外的外れなことを言っていたこともありましたし、念のためその辺を改めてチェックしてみました。


検索してみたところ、これまでとは別のQ&Aフォーラム・HiNative.comというサイトがヒットしてきました。

そして、質問者がちょうど日本の方でしたねぇ!

やはり日本人には気になる所といえましょう。


しかし、参考にさせてもらって悪く言うのもあれなものの、実はこれまでもHiNativeの記事は色々調べる中で何度かヒットしていたのですが、(もちろんたまたまだと思うんですけど)ぶっちゃけ回答の質が、何度も引用させてもらっているWordreference.comやStackExchange.comと比べて、明らかに低い気が……

そんなわけでこれまでは参照&紹介させてもらったことはなかったのですが、このスレッドは日本人からの質問にうまく答えてくれるネイティブの方がいらして、大変良かったため紹介させていただきましょう。


こちらがそのトピックですね(↓)。

hinative.com

 

_yuya(質問者:日本語話者):アメリカ英語に関する質問

just a moment と hold on と wait for a second の違いは何ですか? 例文だけでも結構です。


(追加コメント)これらはどれも、日本語で「ちょっと待って(cyotto matte)」と訳せる単語ばかりだと思います。

適切に使い分けるにはどうすれば良いですか?

 

TriggerHappyアメリカ英語話者):

Just a moment が最も丁寧だよ。

Wait for a second もまだ丁寧ではあるけど、そこまで丁寧ではない。

Hold on が一番くだけた感じ/インフォーマルだね。

 

_yuya(質問者:日本語話者):TriggerHappyさんへ

こんにちは 、コメントありがとうございます !

へぇ、知りませんでした !

では 、フォーマルな場面、例えばお客さんと話しているときなら、「Just a moment~」を使った方がいいってことですね ?

そして、友達と話しているときは「Hold on~」を使ってもいいのでしょうか?よくないです ?

 

TriggerHappyアメリカ英語話者):_yuyaさんへ

うん、その通りだよ。

それから、ピリオド/疑問符/感嘆符は、単語のすぐ後に付けよう。こんな風にね:「Hello!」「What is your name?」

 

_yuya(質問者:日本語話者):TriggerHappyさんへ

OKです。なるほど。コメントとアドバイスありがとうございます !

ついつい、このマークつけるの怠ってます 。(^^ );

 

TriggerHappyアメリカ英語話者):_yuyaさんへ

どういたしまして!でも、こんな風に書いてみてね:

OKです。なるほど。コメントとアドバイスありがとうございます!

ついつい、このマークをつけるのが億劫になりがちなんです。

(※訳注:「tend to lazy」という文法ミスを、「tend to be too lazy」に校正してくれた感じですね。)

 

_yuya(質問者:日本語話者):TriggerHappyさんへ

おっとしまった!(><)

ありがとうございます!

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ということで、うっかり屋の_yuyaさんが何だか可愛いトピックでしたが、なんと、hold onは、極めてインフォーマルな表現だった…?!

wait単独ではないものの、wait for a secondよりむしろくだけてぶしつけな表現であるということで、そういえば僕が聞くのはおばあちゃん先生が学生たちに向けて言ってる台詞ですし、おばあちゃん先生は上品な人なのでこの表現も割と丁寧なのかと勝手に思っていたのですが、状況的にも確かに、結構インフォーマルな表現なのかもしれませんね。


とはいえ、アメリカなんて接客もクッソ適当ですし、実際カジュアル・フレンドリーな輩ばかりですから、お店とかで「ホードンアモーメン」みたいなのも、ちょいちょい聞く気がしますけどねぇ~(これは気がするだけで、ハッキリとは覚えていません)。

 

せっかくなので、信頼のWordreference.comの方でも、hold onが取り上げられているトピックはないか検索してみました。

まぁあんまりズバリカジュアルさについて述べているのはなかったんですけど、似たようなイディオムの違いについて述べられた、こちらのトピック(↓) を引用紹介させていただきましょう。

 

forum.wordreference.com

 

namlan(質問者:ベトナム語話者):

フレンズの皆さん。

- Hold it! - Hold on! - Wait up! - Hang on!

- これらは「wait!」と同じ意味なのかな?

- ありがとう!

NamLan

 

Siberia(イギリス・ウェールズ英語話者):

写真を撮っている最中。ポーズを取っている人の動きを止めるために、「Hold it」と言う。

電話をしている最中。どこか別の場所から情報を得なければならない。電話の相手に「Hold on」と言う。

母がすぐに食事に降りて来いと言っているが、用事を済ませなければならないので、「Hang on」と言う。

「wait up」はよりアメリカ英語表現であり、私は使わない。アメリカ人ならもっと良い例を挙げることができるであろう。

どれも「待つ」という意味だけど、異なるシチュエーションで使われるんだね。

 

kayokid(シカゴ在住・アメリカ英語話者):

こんにちは。「hold on, wait up, hang on」は、口語では「wait」と同じ意味と言えるかな。「hold it」はかなり強い表現で、警察官が誰かを追いかけているときに聞くやつだね。また、「hold on と hang on」は電話で誰かに「回線をつないだままで」と言うときに使われるね。お役に立てれば幸い。

 

cruxcriticorumアメリカ英語話者):

私なら、次のような場面で「Wait up.」を使うかな。

1) グループで何人かと一緒に歩いていて、何らかの理由で彼らが遠くに行ってしまう(誰かと話すために立ち止まるなど)

2) 友人らと何かする準備をしていて、彼らが私を待つのが嫌で、ドアの外に向かって歩き出す。

もちろん、他の状況もあるけどね。これらはほんの一例さ。「Wait up.」は、相手が今まさに自分から離れようとしている所で使われる感覚なので、「Hold on.」や「Hang on.」よりも切迫感があるね。

 

Siberiaスロバキアブラチスラヴァ在住、アメリカ英語(ボストン/ニューヨーク)話者):

cruxcriticorumさんに同意だ。「Wait up」は、相手の動きを止めて、自分が追いつくのを待ってもらいたいときに使うね。

 

xuliang(中国在住・標準中国語話者):

(※注:関連質問をされていましたが、残念ながら直接的な回答が付くことはなかったので、省略)

 

pines222アメリカ英語話者):

「Hold it」=「Stop!」または「Freeze!」。上でも書かれていたように、このフレーズはテレビや映画で警察官がよく使うものである。

「Hold on」=「Wait!」。(注:「Hold on」には別の意味もあり、転ばないように何かを掴む、身構えるという意味もある)。

「Wait up!」= 一人または複数の人が先にいて、追いつく必要があるときに特に使われる。

「Hang on」=「Hold on」に極めて近い―もしかしたら個人的な好みや地理的な条件によって、状況的に若干異なる使い方があるかもしれないが、両者の状況的な意味の違いは、問題になるほど大きくなく、普遍的なものでもないと思う。

もしかしたら、「hang on」が広く使われるようになったのは、電話の登場とともに、「hang on the line」のように使われるようになったというのがその歴史なのかもしれないね。その後、「hang on」と短縮され、他の文脈でも使われるようになり、その時点で「hold on」とほぼ同義になったのであろう。

 

Andygc(デヴォン在住、イギリス英語話者):

電話が発明される少なくとも15年前から、「hang on」は「しがみつくこと、固着し続けること:通常、期待や、つながりを断ち切りたくない意志を暗示する」という意味で使われていた(出典:オックスフォード英語辞典)。電話が普及するずっと前から、人々は「待つ」という意味で「hang on」を使っていたわけだね(私が子供の頃、電話を持つことはちょうど特筆に値しなくなりつつあったが、遊び仲間に「hang on」と頼んでいたものだ)。「hold the line(電話をつないだままにする)」という意味で使われるようになったのは、「待つ」という意味で広く使われるようになった後だと思われる。

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ということで、それぞれのイディオムの各論の説明はまあまあ分かりやすいものだったといえるものの、正直これはもう、非ネイティブが付け焼き刃で使い分けようとしてもあまり意味のない、やや微妙な差異の表現にも思えるので、ここに労力を費やす必要はない(使い分けを覚えなくても、この際全部hold onや、むしろ普通にwaitでもいい)ように思えますね。

(日本語でもありますよね、当然自分は使い分けできるし、聞かれたら具体例は答えてあげられるけど、ルールの明示や一般化はできないし、非ネイティブの方が自然に使いこなすのは難しいんじゃないかな、と思える表現って。)

改めて、そこだけ完璧に使いこなせた所で、ぶっちゃけ他の部分は完璧には程遠いわけですし、こんな各論を抑えても何かただチグハグ感があるだけなのでは…といいますか、この辺の使い分けは経験から自然に使えるようになってこそで、「あえて覚える→使う」というより、「経験として浴びる→いつの間にか覚えていて、使えるようになっていた」という流れの方がより理想なんじゃないかな、というお話ですね。

もちろん、積極的に正しい表現を使おうとする姿勢が悪いわけはないので、正しく使い分けるのが徒労とまでは思わないものの、どうせ力を割くならもっと別の所の方がいいと思う、って感じでしょうか。

(そもそも僕が英語マスターでもないですし、そんな奴の意見なんてどうなの、って話でもありますけど(笑))

 

あとは一応、最初にも触れていたhangについてですが、hold onhang onは、上記フォーラムのコメントにもあった通りまさかの全く同じ意味(カジュアルな「ちょっと待って」)なんですけど、hangの方は電話だと特に「hang up」で「電話を切る」という全く真逆の意味になるので、これはマジで「いや、ややこしすぎだろ!」と憤りを覚える表現だと、個人的には強く思えてしまいます(笑)。

(しかもupって、受話器をガチャリと置くのとイメージが違いすぎますしね。もちろんこれは太古の電話で行われていた行為に由来するんでしょうけど、しかし、最早受話器をガチャリと置くことすら、今どきの電話からはなくなってしまったとも言えますから、さらなる時代の流れかもしれませんね。)

ということで、実際「hang up」という正反対の表現もあって紛らわしいですし、電話で「そのままつないでお待ちください」として「hang on」は恐らくまずもって使われない印象があるのは当然として、電話以外の一般の状況でも、「待って」で「hang on」はあんまり聞かない気がするなぁ、と思えますけど、僕の場合は例のおばあちゃん先生が口癖のように言うhold onのイメージが強すぎて、hold onという印象が凝り固まりすぎてる可能性もあるかもしれません。

(結局、個人差かも、って話に帰着する感じでしょうか。)


結論としては、最初のHiNativeの記事にある通り、何気に「Just a moment」が丁寧度でいえば一番上のようなので、丁寧さを出したければこいつが第一選択肢で良さそうです。

ただ、丁寧すぎても「何やコイツ」…とまでは思われなくとも、必ずしも正解とは限らないのも人間関係というか社会の難しさですから、もっとカジュアルにいきたければ、普段使いはhold onあたりがやっぱり気軽に口に出すにはオススメの表現かな、という気がします。

…まぁ以前の記事で書いていた通り、やたら推してるくせして僕はhold onを自分で使うことはないんですけど、少なくとも大変偉い、丁寧で上品なおばあちゃん先生の口癖であるので、よっぽど間違った使い方になってしまう場面はないのではないか、という感じですね。

 

最後また電話に話を戻すと(話をアイキャッチ画像にもっていくため(笑))、もちろん、テレアポの方々は「hold on」のみならず「hold the line」など変わり種もガンガン使ってきますが、基本「hold」なら「待ち」の判断でいいですし、逆の意味のhang upが使われる際は「こちらからかけ直すので、一度切ってお待ちください」みたいな流れに明らかになると思うので、まぁ勘違いすることはなさそうかな、って気がします。

電話はマジでハードルが高いですけど、「案外何とかなる」を合言葉に、こういう笑顔のオペレーター(↓)を想像して、上手にやり過ごすとしましょう(笑)。

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