放浪息子・英語版で気になった所を挙げていこう:1巻その2・電話

ようやく前回から本編に入った…かと思いきやまだ人物紹介ページだけだったので、今回から入っていく形ですね。

英語表現として気になった点(「翻訳が少しおかしい気がする」他、単純に英語の表現自体が興味深いなど)以外にも、放浪息子の内容的に気になった点なんかも挙げていこうかな、と思っています。


ちなみに、表示しているページ番号は英語版であるWandering Sonの数字なので、先述の通り既に一話目から日本語版とは食い違っている点にご注意ですね。

絶対日本語版をお持ちの方のほうが多いはずなので、日本語版のページ番号のほうがいいかな、とも一瞬思ったのですが、こないだの発音ガイドとか、「あぁでもそれだと日本語版にはないページを指せないな…」と気付いたので、やむなく英語版のページをそのまま使う形です。

ほぼ意味のない数字ですが、まぁ数ページの誤差で該当場面は存在しますし、そもそも対応させて確認する人なんておらんでしょ、ということもあるので、まぁそんな感じで適当にいこうかなと思います。


それでは順に見ていきましょう。


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(1) p. 13 MIURA-SENSEI, NAKAZAWA-SENSEI

既にもう敬称ガイド他で触れていましたけど、Mr. Kagami(各務先生)のように先生の呼び名がアメリカナイズされていた青い花(SBF)とは違い、放浪息子(WS)では、SENSEI表記がされています。

Nitori-kunより前にこの先生たちが呼ばれているシーンが出てきたので、これが作中で初登場の日本語的敬称なわけですね。

…あぁでも一応登場人物紹介で既に「Nitori-kun」表記はされており、そこに*印とともに「*敬称について、詳しくは巻末の『砂糖とスパイス』をご覧いただきたい」という注がついていました。

『砂糖とスパイス』は、放浪息子の作中でもしばらく後の話で引用されていた、マザーグースの歌が由来のフレーズですけど(なお、人物紹介ページの注では『SUGAR AND SPICE(砂糖とスパイス)』となっていましたが、実際の解説記事のタイトルは『SNIPS AND SNAILS, SUGAR AND SPICE(ボロキレとかたつむり、砂糖とスパイス)』となっているので、スペースの都合はあれど、これまたちょっと正確じゃないですね(笑))、こないだ書いていた、1巻巻末収録の、3ページおよぶ敬称ガイド記事になります。


…とそれだけでは既出情報のみなので、同じページから一点、単なる英語表現小咄ですが脱線ネタに触れておきましょう。

舞台は職員室、姉の真穂ちゃんの担任である中澤先生と、姉に間違えられた転校生の二鳥くん……から始まる一連の場面ですけど、中澤先生に、本来の二鳥くんの担任である三浦先生から電話がかかってきた所です。


最後のコマ、日本語版だと同僚の先生の「お電話です 三浦先生」から、中澤先生の「はい代わりました」という流れですが(文章だと分かりづらいですが、最初は「中澤先生―」という呼びかけからなので、「三浦先生からです」という意味ですね)、これ、英語で言おうとすると、電話特有の表現になるので知らないと絶対に小慣れた表現はできないし、逆に知ってれば最早常識レベルといえる基礎知識なわけですが、もちろん日本語の電話応対が一通りではないのと同様、多少バリエーションはあれど、WSではこうなっていますね。

同僚の先生:TELEPHONE. IT'S MIURA-SENSEI.

中澤先生:NAKAZAWA SPEAKING.

まぁ最初の「電話」はそのまんまなんでともかく、「三浦先生から」というの、「へぇ~『It's』なんだ」と、初めて聞いた時は若干意外性があるようにも思えます。

(まぁ、じゃあどう言うんだよ、って話になるというか、別にこれといって具体的に浮かぶわけじゃないですけど、itって何となく無機質で、人に対して使うのも何か違和感~、って感じですね。)


そして次の代わったときの表現、これも、それ (電話) 専用の知識がないと、やっぱり咄嗟に出てこない表現ですよねぇ~。

ちなみにこれは省略表現で、省略しない形こそが「へぇ、そう言うんだ」とマジで思える点なんですけど、省略せずに書くと、「This is Nakazawa speaking.」と、まさかの「This is」が出てくるのです。

まぁ冷静に考えると日本語でも「こちらは中澤です」とか言いますけど、やっぱり全く知らないと、この場面でThis isで応えるってのは、中々浮かばないように思います。


これは、例えば職場など不特定多数が出る可能性のある電話に自分が出た際、まさに自分宛ての電話だったので「私です」なんて言いたい場面だと特に、「I'm Nakazawa」とか「I am...」「Ah, me」とかめっちゃ言っちゃいたくなる気がすると思うんですけど、これは電話口の応対としては違和感バリバリ、絶対に誰も使ってない表現になっちゃう感じなんですね。

(まぁネイティブじゃないので感覚は分かりませんが、例えばちょうど「中澤さんいらっしゃいます?」→「私は中澤と申します」みたいな、何というか「いきなり自己紹介はじめよったぞコイツ」的な、「は?」という大いなる違和感があるのではないかと思います。)

ここで絶対に使わなければいけないのは「This is」であり、しかも続きにも罠があって、「私です」なので「This is me」とか言いたくなるのですが、「This is he.」(あるいは「This is she.」)と言わなきゃ自然じゃないんですねぇ~。

(百歩譲って「(こちらが)その人です」という意味で彼/彼女という言葉を使うのはいいとしても、This is himherではない、というのも、謎ポイントがかなり高めといえましょう。)


ま、これも結局お作法で、日本語の「もしもし」同様、伝統的にそう言うからそうなんだという程度の、理屈を考えたら負けな話かと思いますが、いずれにせよこの「電話の応答は原則『This is』で応える」というのは、覚えておいて損はない知識ですね。

(とかいって、僕は例えば上の中澤先生の立場のような場合、絶対「Hello?」で始めますけどね(笑)。こないだのSBFで気になった点まとめ記事でも書いていましたが(「もしもし」の話)、電話取った第一声も「ハロー?」で問題ないし、ハロー万能説(笑)。

…とはいえ、「え?どなた?」と聞かれたら「This is Konsuke」的な返しは流石にするとはいえますけど…)


実際こちらへ来て色んな人の電話応対を聞いていて、「マジでみんなちゃんと『This is XX』って言うのな」というのは感動した話でしたし……

(「マジで中国人って『アイヤー』って言うのな(笑)」と同じパターンですね。まぁ僕は『アイヤー』は実際に聞いたことはない気もしますが(笑)、これ、日本語だと何なんでしょうね?一度、隣近所の日本人スタッフと日本語で話してたら、後で中国人の同僚に「マジで日本人って『XXX』って言うんだね(笑)。そこだけ聞こえた(笑)」と笑われた記憶がありますけど、何だったかなぁ、まぁ、普通に「suimasen」とかだった気がします)

…余談が長くなりましたが、関連して一つ、大した話でもないですけど、こちらへ来て初日のしかも一番最初の最初ぐらいの場面で、僕とネイティブの学生が研究室のドア横の待合室的な場所で座っていたら、お客さんみたいな人が研究室に来て、「○○ラボ(←自分の所属研究室)はどこですか?」と尋ねてきたんですけど、その学生が間髪入れず「This is it.」と言ったのが、「あぁ、そういえば『これ (ここ) ですけど』ってそう言うんだっけ、こんなシンプルな返事も、自分は咄嗟にできないぞ!」と思えて、実に不安を覚えた&本場の生英語にいたく感動したことを今でも覚えてますねぇ~。

(まぁ、日本語でいえば、マジで当たり前すぎる応答で「そんなんに感動しとってどうすんの(笑)」レベルなんですけど、しかし実際、今でもぶっちゃけ、同じ状況で咄嗟に応えるとなると「We are...」みたいに不自然な感じか、指差しながら「Here is the one」みたいに回りくどい言い回ししか出てこないと思うので、何事もそうですがシンプルなほど難しい、ってのは本当によくあることだと思います。)


今回のネタでそんな昔話を思い出したとともに、やはりこの辺の電話応答みたいな日常的な言い回しなんかは豆知識として面白い点だなぁ、と思えた次第ですね。

本編ネタ一発目は、知らなきゃ出てこない、英語の電話表現についてでした。

(…って正直、あまり電話が好きくない&幸い電話がそこまで必要ではない仕事であることもあって、大人になってほとんど電話で話した経験もないため、偉そうに英語の電話表現について書いていながら、ぶっちゃけ日本語の電話表現すら、よぉ考えたらやや覚束ないぐらいなんですけどね(笑))


…とキレイにオチ(?)も付いた所で、まさかの今回も、ネタ1つでそれなりの分量になりました。

まさに放浪息子とは何も関係ないネタでしたが、こうして楽しく雑談ネタが生まれるのも放浪息子のおかげですし、また次回以降順番に、そのうち作品の内容にも触れる点を見ていきたいですね。

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