青い花のエピソードタイトルの由来をまとめてみよう(その5)

続いて4巻に入っていきますが、今回はほとんどはっきりした由来で、特にこれといったコメントもなさそうです。

順番に見ていきましょう。

 

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青い花』エピソードタイトルの由来まとめ(勝手に予想;括弧内は英語版青い花の英訳タイトル)

#19 春の鐘(The Bells of Spring)

これは、検索したらドンピシャでヒットしてきました、1985年公開の東宝映画のようですね。

ja.wikipedia.org
映画モグリの僕は当然存じ上げませんでしたけれども、キャストの名前は北大路欣也さん、古手川祐子さん、三田佳子さん、中尾彬さんと、僕でも知ってる錚々たる面子で、かなりの大作であることが予想されますね。


…と思ったんですが、この映画は原作小説が存在するようなので、より正確には、1978年刊の同名小説が、真の元ネタといえるでしょうか。

作品個別のWikipediaページは存在しなかったので、作者の立原さんのページを参考に貼っておきましょう。

ja.wikipedia.org

僕は立原さんの作品も存じ上げませんが、Amazonのレビューを読んだ限りは、結構面白そうな作品ですね。

www.amazon.co.jp
いつかもっと時間ができたらぜひ拝読させていただきたいと思います。

 

#20 辻が花(Tsujigahana)

続いてのこちらは、SBF(英語版青い花・Sweet Blue Flowers)の巻末おまけ脚注にも補足がありましたが、本来は染物の技法の一つなんですけど、ちょうど作中でそれにも言及がある(とSBFに書かれています)、1972年の同名映画が元ネタとのことですね。

ja.wikipedia.org
Wikipediaの記事は、ほぼ染物についてのみで、映画の情報は冒頭の曖昧さ回避以外にありませんでした。

しかしそこでも触れられていた通り、主演は岩下志麻さんとのことで、TV版鹿鳴館について触れていた以前の記事とあわせ、本ブログ二回目のご出演ですね!


ちょっと古いだけに映画を調べてもほとんど何の情報もないぐらいでしたが、評点がつけられたサイトを参考にすると……

www.allcinema.net
6件の評価で平均3.7点(10点中)ということで、まま、映画に一家言ある方は厳しいことが多いのか、どんな名作でも案外平均すると5点とかそういうこともありますから、あんまり点数は気にしない方がいいのかもしれませんね。


ちなみに僕は映画は本当にモグリで、漫画は誰よりも読んでると思うけれど映画は誰よりも観ていないと思うので、これまた老後とか、もう寝たきりで大画面しか見れないような老いぼれになったら、名作映画をガンガン観ていきたい限りです。

この作品も、特に話の内容とはこれといって関係がないように思われるのにあえて志村さんがタイトルに採用されたぐらいのものですから、ぜひいつか観てみようと思わずにはおれません。

 

#21-4, 6-9 鹿鳴館(Rokumeikan)

最早説明不要の、我らが三島由紀夫さんの戯曲小説ですね。

ja.wikipedia.org

Frankさんも、考察本でじっくり説明をしてくださっていました。

しかし、英語名は、流石に「Deer Bark House(鹿・鳴・館)」ではないんですね(笑)。

結局その後まだ三島作品に目を通してはいないのですが、やはり日本人として三島作品に触れないままでいるのもいけませんから、老後の楽しみとして(そればっかじゃん(笑))いつか読破しておきたい限りです。

 

#25 愛より速く(Faster Than Love)

こちらも、やや一般的な文章であり、元ネタなんてあるのかな?…と思ったら、ズバリ完璧なのがヒットしてきましたね。

1998年刊の、斎藤綾子さんによる官能小説がそれですが……

www.amazon.co.jp
内容紹介をそのまま引用させていただくと、

快感は一瞬だった。それでも、私の肉体は、深い陶酔に永遠を感じていた。奔放な性体験。寄せては返す快楽の波…。私は日々痺れていた。肉体を捧げるオスに奉仕し、心を許せる女に嵌まっていた―。売り、援交、SM、輸姦、乱交、不倫、同性愛…エロスの王道を歩む23歳の女子大生が、怖いもの知らずで体験した数々のセックス遍歴。時代を軽やかに突きぬけた、大胆不敵なラブ&ポップ

とのことで、同性愛というキーワードが目につきますし、テーマ的にもかなり近いものがありますから、確実に志村さんがこの作品をご覧になって、これに言及するために引っ張られたタイトルであることが窺えます。


上記Amazonレビューでは、「新潮文庫・夏の100冊入りって、これは子供(中高生)に勧めちゃダメでしょ…」という形で評価を下げている方が目につきましたけど、しかし大人が楽しむにはとても良い純文学的ポルノ小説といえ、その観点での評価は高いようで、こりゃあ大変面白そうじゃあないですか!


とはいえまぁ、むしろ逆に、そういう好奇心が非常に高く、しかし供給されるものが極めて少なかった幼い頃の方が、もしかしたらより楽しめたのかもしれないな…なんていう気も、少なからずするかもしれませんね。

でもまぁ、僕は多分性欲がなくなるタイプじゃなさそうな気がするので(何の告白だ、って感じですが(笑))、こちらもいつかもっと時間ができたときのお楽しみに取っておきたい限りです。

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鹿鳴館はシリーズエピソードだったこともあり、4巻のサブタイは以上で全部ですが、切りもいいので今回はこの辺にさせていただきましょう。

ただ、鹿鳴館は「愛より速く」を間に挟んで、5巻も大半を占めているので、5-6巻は一気に終わらせてもいいかもしれませんね。

 

記事アイキャッチ画像は、『おとなになっても』『ブルーム・ブラザーズ』の方も順に全部使わせていただいたため、少しずつ遡っていく感じで、今回はその1つ前に完結していた『ビューティフル・エブリデイ』の表紙をお借りしましょう。


やはり個人的には、BLよりも女の子の出てくる華やかな物語の方がどうしても好きといえてしまうわけですが、こちらは『青い花』や『放浪息子』とは違い、ストーリーの結構メインの部分にも幽霊的な、ファンタジー要素が入ってくる作品(それメインというほどでも全くありませんが)で、志村さんといえばリアルな作風という印象がある方もいらっしゃるかもしれないものの、これがまた実に上手く物語りに取り込まれていて面白くて、僕は大好きなのです。

例によって、「えぇー、もう終わり?!もっと読んでいたかったぜ…!!」というのが唯一の残念ポイントといえる感じでしたが、とても良い作品でした。


志村さんはマジで男性視点描写も実に確かで、結構生々しい様子が初っ端からいきなり出て来るため、女性は引く場合もあるかもしれませんけど(というかAmazonレビューにまさにそうありましたしね)、この程度で引かれてしまうことが多いとは、やはりちょっとその辺は男女差を感じてしまうポイントかもしれませんね。

個人的には、「全然問題ないので、もっと生々しくても全然どうぞ」と思えますが、そうはいってもそれで読者が離れてしまっては元も子もないので、やはり多くの人に喜んでもらえる作品を産み出すというのは、中々に大変な作業だといえそうです。


スペースがあったので無駄に長くなりましたが、ビュティエブも、諸手を挙げてオススメです、というお話でした。

『ビューティフル・エブリデイ』1巻、https://www.amazon.co.jp/dp/B07DDC6MJSより

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