青い花・英語版で気になった所を挙げていこう:1巻その2

青い花・英語版(SBF)で気になったポイント(Frankさんに質問形式で投げかけ、コメントをもらう形式)、早速1巻の続きに参りましょう。


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(1) p. 103他:京子だけが、あきらのことを「Okudaira」と苗字で呼んでいるのに気が付いた。これは単に、京子はよりフォーマルであるってことなだけだよね?例のダーシーさんみたいに…?

この呼び方でも別に、親密ではない、ってことを意味してるわけではないっしょ?

A. この時点では、あきらと京子はまだ下の名前の呼び捨て関係になっていないように思う。

例えば、p. 27であきらが自分(あきら)の母親と話すときに京子を「Ikumi」と呼んでいる場面、p. 55であきらが直接京子を「Ikumi」と呼んでいる場面、p. 80であきらが心の中で京子を「Ikumi」と呼んでいる場面などが見て取れる。

だから、103ページで京子があきらのことを「Okudaira」と呼ぶのは、特にあきらと初対面の康にあきらを紹介する際の呼び方として、特段驚くことではないとであろう。


(質問後半):アメリカでは、苗字呼びをした場合、そこまで親しい友人じゃないか、あるいはよりフォーマルな形をとっている、ってことになるんかね?

A. 面白いポイントだね。アメリカでは、知り合いに言及したり、その人のことを呼んだりする際、その人の苗字「だけ」で呼ぶことは、比較的少ないと思う。(例えば、私のことを「ヘッカー」と呼ぶなど。)

しかし、アメリカにはもっとフォーマルな人もいて、「Mr. X」「Ms. X」「Mrs. X」などと呼ぶ人もいる---基本的に日本語の「~さん」に相当するものだね。例えば、同僚に、私のことをいつも「Mr. Hecker」と呼び、他の人にメールを書くときも私のことをそう呼ぶ人がいる。

つまり、アメリカではほとんどの場合、下の名前を使うか、「Mr/Ms/Mrs/Miss」+苗字を使う。一般的には、知らない人について話すとき以外(例えば、「Mr. バイデン」ではなく、"What do you think about Biden?"と言う)は、苗字単体では使わないね。


(⇒追加の独り言:)
質問した後に自分でも気付きましたが、確かに、あーちゃんも「Ikumi」って呼んでるんですよね。

多分、井汲さんの雰囲気が、同級生とってKyokoと呼ぶのは畏れ多く、苗字呼びにさせる何かがあるのかな、って思えますし、それでも「Ms. Ikumi」呼びよりはややカジュアルでフレンドリーな感じではあるのかな、という気もします。

しかし、まだ最後まで見ていませんけど、この先二人の関係性が大きく変わることもないように思うので、作中ではあーちゃん⇔京子ラインの呼び方は、ずっと苗字呼びなのかな、って気がしますね。


また関連して、後の巻で、井汲さんが先輩のことをいきなり「SUGIMOTO」呼びしたのが気になったので、その旨も既に質問していたのですが、当初、井汲さんは確か、先輩のことだけはずっと「YASUKO」呼びしていた気がしたんですけれど、改めて読み直してみたら、どうもずーっと「SUGIMOTO」呼びだった感じですかね…?

まぁせっかくなので、そちらの質問&回答も、また出てきたら載せておこうと思います。

 

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(1) p. 127:"BUT I ALREADY PROMISED TO MEET HER."(「私は既に、あきらと会う約束をしていた。」)

この文はふみの台詞だと思うが、日本語版では、実は恭己の台詞になっている。

しかし、これは全く重要なシーンではないし、どちらでもほとんど同じ状況(日本語では、単に恭己が自分で状況を確認しただけ)なわけだけど、一応、原文と明らかに違ってるポイントだね。

 

A. オリジナルの日本語は、以下の文で正しい?

要はさ
あーちゃんと先に
約束してたのに私と
ぶつかっちゃったわけだ

もしそうなら、そして私が機械翻訳を信頼して良いなら、そうだね、これはふみではなく恭己が話しているかのように見えるね。

この台詞が表示されている5コマ目では、ふみは口を閉じているので、その解釈は実際理に適っている。つまり、ふみは恭己が話しているのを聞いているということだ。

そしておっしゃる通りで、この違いは会話全体のポイントに何も影響を与えないが、考察本の第二版を作る際には、ぜひこの誤訳を指摘しようと思う。

もっといい訳は、"OK, but I know you had promised to meet her."(「なるほど、あきらと会う約束をしてしまってたわけだ」)のようなものだろう。

もう少しよく見てみたら気付いたが、このように訳されたのは恐らく、次のコマの恭己の言葉(「小学生みたいな話だね」で合っている?)が、ふみの言葉に対して恭己が何か言っているように見えるからではないかと思う(実際は恭己が話している言葉なのに)。


(⇒追加のメッセージ:)

「もしFrankさんの新訳が英語の会話として不自然じゃないなら、英訳版でわざわざ発言者を変える必要がないし、そっちの方がいいね」

というのと、

「そう、次のコマの恭己の発言は、英語にすると"It's like a primary students' story, huh?"みたいな意味で、杉本やっちゃんの台詞がちょうど問題のその前の部分から続いているという形になっている」

という旨の返信をしておきました。

 

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(1) p. 138:"I'M NOT A LITTLE GIRL BEGGING YOU!"(「私はダダをこねる小さい子じゃないよ!」)

ここは、日本語版オリジナルのあきらの台詞だと、主語が全く逆で、"YOU are not a little girl, right?"(「あなたは小さい子じゃないでしょ?」みたいな、ややふみを非難しているようなニュアンス)という形になっている。

でも、これもどっちだろうと全く大きな違いはないね(これは言語構造の違いで、もしかしたらこの状況ではSBF版の英訳の方が自然なのかな…?)。

A. オリジナルの台詞「小っちゃい子が ダダこねてんじゃ ないんだからさあ」は、機械翻訳にかけてもハッキリした意味が取れなかったので、ここはおっしゃる言葉を信じるとしよう。


(⇒追加の独り言:)毎度、Frankさんは日本語を恐らく画像キャプチャ&自動文字検出して、それを機械翻訳にかけて確認してくれているようですが、どうとも取れる可能性のある曖昧な部分を除き、日本語話者の目からして確実に違いがあると思われる点のみを指摘しているので、あえて日本語のニュアンスを確認してもらう必要はないんですが…(というか、日本語のオリジナル台詞が英語版と大きく違っているのは確実なので、その確認を求めているのではなく、英語版公式の翻訳が、日本語を直訳的に英語にした文のニュアンスと差異があるかどうかが気になるので確認してみて欲しい点)…とも思えるものの(笑)、まぁ実際ややこしい文かつ大したことはない点なので、

「このあーちゃんの台詞はカジュアルな口語なので、翻訳は難しいのかもしれないね。改めて、直訳では、この部分の台詞はこれこれこういう感じで、ちょっと日英でニュアンスに差がある形に思う…」

…という旨の返信をしておきました。

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(1) p. 184:"MY FIRST LOVE IS YOU, FUMI."(「私の初恋が、ふみだよ」)

英語版だと、実際に恭己がこの台詞をふみに言っているようにも見えるよね?

でも、日本語版原典では、英語版でふみが「URGH!」と言ってる手書き文字の所、この部分の言葉は「そんなくだらないことを想像するのはやめよう」と自分に言い聞かせる意味のフレーズになっており、明らかに実際に聞いた言葉ではない(あくまで想像の台詞)ことが示されているんだ。


A. 恭己が「初恋はふみ」と現実に言うのはおかしい、というのは同意できる。なぜなら、我々読者は、恭己が以前各務先生に片思いしていたということを知っているからね。だから、この言葉はふみの想像の中のものであって、現実ではない、というのが自然な結論であろう。

しかし、英語版で使われているフォントの書体が、これを混乱させている。p. 183の "DO YOU REMEMBER YOUR FIRST LOVE?"と、p. 184の "MY FIRST LOVE IS YOU, FUMI."が同じ書体なので、あたかも恭己がふみに言ったことのように見えるんだね。

日本語版では、p. 184の「私の初恋が......ふみだよ」の書体が、p. 183の「初恋を覚えてる?」の書体より少し薄いような気がする。だから、2番目の文(p. 184)が1番目の文(p. 183)とは異なる性質のものであることが、少しわかりやすくなっているのであろう。


(⇒追加の独り言:)
書体もそうですが、やはりふみちゃん自身による、吹き出し外・手書き文字の「しょーもな」というセルフツッコミが、この台詞は妄想の産物だと結論付けている形ですね。

とはいえFrankさんのおっしゃる通り、英語版でも妄想の台詞だということは話の流れで判断できるようにはなっているようなので、ここは特に問題のあるポイントではないともいえる感じでしょうか。

 

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では次回は続いてまた日本語版2巻(英語版1巻後半)の翻訳・気になる点に触れていきましょう。

 

ブログ記事のアイキャッチ画像は、とうとう青い花のお試し読み範囲にあるカラーページも尽きてしまったので、放浪息子の英語版・Wandering Sonの、裏表紙は既に全部使ってしまったので…

(ちなみに描き下ろしかと思っていたあの裏表紙、例の、Amazonにはなかったので貼らなかったアンニュイな千葉さんの絵(7巻)でピンと来たので確認してみた所、やはりあれは漫画のコマから抜粋されている感じですね(みんな大好き「誰かの愛人にでもなるわ」の、やさぐれたさおりんでした(笑)(正確には、その1つ上のコマですが)。)

…普通に日本語版と同じですが、表紙画像の方を使わせていただこうかと思います(最早、青い花とは何の関係もありませんが)。

英語版『放浪息子』1巻表紙、https://www.amazon.com/dp/1606994166より

翻訳版、本当に刊行再開してほしいですねぇ~!

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